国税徴収法 第65条(債権証書の取上げ)
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徴収職員は、債権の差押のため必要があるときは、その債権に関する証書を取り上げることができる。この場合においては、第五十六条第一項(動産等の差押手続)及び第五十八条(第三者が占有する動産等の差押手続)の規定を準用する。
この条文の基本情報
債権証書の取上げとは何ですか?
定義債権証書の取上げとは、国税徴収法第65条に定められた規定で、「徴収職員は、債権の差押のため必要があるときは、その債権に関する証書を取り上げることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第65条(債権証書の取上げ)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第65条の条文原文は「徴収職員は、債権の差押のため必要があるときは、その債権に関する証書を取り上げることができる。」で始まります。
- 国税徴収法第65条は第三款に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第65条の前の条は国税徴収法第64条です。
- 国税徴収法第65条の次の条は国税徴収法第66条です。
- 国税徴収法第65条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第65条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第65条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/65
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法65条は、徴収職員が債権差押えのため必要なとき、その債権に関する証書を取り上げられると定める。56条1項と58条が準用され、第三者占有の証書は引渡命令を経る。
Q · 税務署に借用証書を持って行かれたら、差押えはもう止められないんですか?
証書を隠しても差押えの効力は変わりません
国税徴収法65条により、徴収職員は債権差押えに必要なとき、その債権に関する証書を取り上げられます。ただし差押えの効力自体は第三債務者に差押通知書が到達した時点で既に発生しており(同法62条2項)、証書の所在は効力に影響しません。取上げには56条1項が準用され差押調書の謄本が交付されます。争う場合は処分を知った日の翌日から3か月以内に再調査の請求または審査請求(国税通則法77条)、実務上の出口は換価の猶予・納税の猶予の申請です。
解説
徴収職員が事務所に現れて「貸付金の借用証書を出してください」と言う。多くの人はここで初めて差押えが始まったと受け止める。順序が逆である。債権の差押えは、第三債務者(あなたにお金を払う側)に差押通知書が届いた瞬間に効力を生じている(国税徴収法62条2項)。証書の取上げは、その後にやってくる後処理だ。狙いは、あなたが証書を使って自分で取り立てたり他人に譲渡したりする物理的な手段を奪うことにある。65条は56条1項を準用するので、取上げは占有によって行われ、差押調書の謄本が交付される。さらに58条を準用するので、証書を第三者が保管していても手は届く。ただしその場合、第三者が引渡しを拒めば、その場で持って行かれることはない。徴収職員は期限を指定した引渡命令を出し、期限を過ぎて初めて取り上げられる。この段差が、実務上あなたに残された数日である。
法的な位置づけ
国税徴収法65条は、債権差押えに付随する証書の取上げを定める規定であり、徴収職員が債権の差押えのため必要があるときに、その債権に関する証書を占有によって取得できることを規定する。取上げには同法56条1項および58条が準用され、差押調書の謄本交付と、第三者占有物に対する引渡命令の段階手続が適用される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.その場で差押調書の謄本を受け取り内容を確認 徴収職員が証書の取上げに来たら、まず差押調書の謄本の交付を求める。差し押さえられた債権の特定内容(第三債務者名・債権額・差押金額)を確認し、その場で写真または写しを残す。65条が準用する56条1項に基づく正式な手続であるため、調書は必ず存在する
- 2.取り上げられた証書の種類と枚数を自分でも記録 取上げの対象となった書面の種類(借用証書・契約書・通帳等)、枚数、債権者名・債務者名・金額を自分の側でも一覧化する。後日の取立て状況の確認、二重払い紛争、超過差押えの主張で、この記録が唯一の手掛かりになる
- 3.第三者として求められた場合は書面の引渡命令を要求 滞納者から預かっているだけの立場なら、口頭の要求に即応せず、まず書面による引渡命令の交付を求める。65条が準用する58条により、第三者占有物はその場で直ちに取り上げられない。命令書の写しは、預け主に対する責任を免れる盾になる(同法59条)
- 4.引渡命令の指定期限を管理し、預け主へ通知 引渡命令に指定された期限は実務上数日であることが多い。期限をカレンダーに登録し、期限内に預け主へ書面またはメールで通知して、後日「勝手に渡した」と争われる余地を消す
- 5.3か月以内に不服申立て、同時に猶予を申請 取上げや差押えを争うなら、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に再調査の請求または審査請求を行う(国税通則法77条)。並行して換価の猶予・納税の猶予を申請する。差押えを現実に解く出口は猶予制度の側にある
よくある質問 AI による整理
Q1債権に関する証書とは何ですか?
借用証書、金銭消費貸借契約書、預金通帳、売掛金の請求書控えなど、債権の存在や内容を証明する書面です。手元になくても権利行使できる点で、有価証券とは区別されます。
Q2税務署の差し押さえはいつ効力が発生しますか?
債権差押えは、第三債務者に差押通知書が送達された時点で効力が生じます(国税徴収法62条2項)。証書の取上げはその後に行われる付属手続で、効力発生時期とは無関係です。
Q3証書の取上げに裁判所の令状は必要ですか?
必要ありません。滞納処分は行政の自力執行であり、捜索(同法142条)にも令状は要りません。歯止めは差押調書の交付と、事後の不服申立て手続の側に置かれています。
Q4差押調書はもらえますか?
65条が準用する56条1項により、取上げは差押手続として行われ、差押調書の謄本が交付されます。第三債務者名と差押金額の記載を必ず確認し、写しを保管してください。
Q5約束手形や小切手も65条で取り上げられますか?
いいえ。有価証券は証券の占有が権利行使の前提となるため、動産等として56条で直接差し押さえられます。65条の対象は、手元になくても権利行使できる借用証書等です。
Q6取り上げられた後、その債権はどうなりますか?
国税徴収法67条により、徴収職員が第三債務者から直接取り立てます。第三債務者が差押通知書の到達後に滞納者へ支払うと、二重払いのリスクを負います。
Q7差押えが税額に比べて多すぎる場合は?
超過差押えを理由に争えます。処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に、再調査の請求または国税不服審判所への審査請求を行います(国税通則法77条)。
Q8差押えを実際に解いてもらう方法はありますか?
不服申立てより、換価の猶予・納税の猶予の申請が実務上の出口です。分割納付計画が認められれば、差押えの解除や換価の停止につながる余地があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1借用証書を「なくした」と言って渡さなかったら、どうなりますか?
差押えの効力には何の影響もありません。効力は第三債務者に差押通知書が届いた時点で発生しており(62条2項)、証書はその後の付属手続だからです。徴収職員は捜索(142条)で自ら探せますし、隠匿は滞納処分免脱罪(187条)の検討対象にもなります。実務のポイント:実務で効くのは隠すことではなく、換価の猶予の申請です。心証を悪くした相手には、この猶予交渉がほぼ通らなくなる
Q2うちは滞納者から預かっているだけなんですが、渡す義務はありますか?
拒むこと自体はできます。65条が準用する58条は、第三者が占有する物についてはその場で直ちに取り上げられない構造になっているからです。ただし徴収職員は期限を指定した引渡命令を出せ、期限を過ぎれば取り上げられます。拒否が買えるのは数日です。実務のポイント:応じるなら必ず書面の引渡命令を先に出してもらい写しを残す。その記録が預け主に対する唯一の盾になる(59条)
間違えやすい点 AI による整理
- 「証書を渡さなければ差押えは完成しない」と考えて隠す人がいる。この問いの立て方そのものが誤っている。債権差押えの効力は第三債務者への差押通知書の送達時に発生しており(62条2項)、証書の所在は効力を1ミリも動かさない。動くのは、隠したという事実の評価だけである
- 約束手形や小切手も「債権の証書」だから65条で取り上げられると思われがちだが、有価証券は動産等として56条で直接差し押さえられる。65条の対象は、それが手元になくても権利行使できる借用証書・契約書・通帳の類だ。どちらの扱いになるかで、その後の取立て手続の道筋が変わる
- あなたから見れば「税務署が勝手に人の書類を持って行った」。法律から見れば、それは56条1項を準用した占有取得であり、差押調書の謄本が交付されているはずの正式な行政処分である。この落差の中で、多くの人が不当だという感情だけを抱えたまま、不服申立ての3か月を過ぎていく
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続の位置づけ | 65条:債権差押えに付随する証書の取上げ(後処理) | 62条:債権差押えの本体手続(差押通知書の送達) 58条:第三者が占有する動産等の差押手続(準用元) |
| 効力の発生時期 | 取上げ自体は効力を生じさせない(既に発生済み) | 第三債務者に差押通知書が送達された時点 引渡命令の期限経過後に占有取得 |
| 対象物 | 債権に関する証書(借用証書・契約書・通帳等) | 債権そのもの(貸付金・売掛金・預金等) 第三者が占有する動産・有価証券等 |
| 第三者が占有する場合 | 58条準用により、期限を指定した引渡命令を経る | 第三債務者への送達で足り、占有者の意思は問わない 引渡しに応じた第三者は59条で保護される |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾では公法上の金銭給付義務の強制執行を行政執行署が担い、民事の強制執行法を準用して債権執行を行う。日本のように徴収職員が自ら証書を取り上げる専用条文を置く構造ではない
韓国も税務公務員による自力執行体制を採り、債権差押えの通知到達により効力が生じる点は日本と共通する。関係書類の提出・確保に関する具体的条番号は人的検証を要する
税務機関が銀行への書面通知による預金控除、財産の差押え・封印・競売という強制執行措置を直接行える点で自力執行型。証書取上げに相当する独立規定は置かれていない
ドイツも租税債権の自力執行を認め、金銭債権の差押えは Pfändungsverfügung による。債権に関する証書の引渡義務は民事執行法制(ZPO 836条3項)に対応規定がある
米国 IRS の levy は裁判所を経ずに発せられ、財産を占有する第三者には surrender 義務が課される。応じない第三者は個人責任を負う点が、日本の引渡命令+第三者保護(59条)と対照的
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたの会社が取引先に800万円を貸していて、その借用証書を徴収職員に取り上げられたら何が起きる? 回収権はすでにあなたの手を離れている。差押通知書は取引先に届いており、取引先があなたに払えば二重払いのリスクを負う。証書の引渡しに指定される期限は多くの場合わずか数日、その間にやるべきは抵抗ではなく記録と猶予申請だ
- 顧問税理士のキャビネットに、滞納者から預かった預金証書が眠っている。徴収職員が引渡しを求めてきたとき、拒むこと自体はできる。だが期限を指定した引渡命令が出れば、拒否が買えるのは数日だけである
- 督促状を封も切らずに放置していたら、ある朝、徴収職員が事務所に入って金庫の中の契約書を持って行った。あなたは「令状もないのに」と抗議したが、滞納処分のための捜索(国税徴収法142条)に裁判所の令状は要らない。抗議を向けるべき先は現場ではなく、不服申立ての窓口である
取るべき行動
被害を受けた側:1. その場で差押調書の謄本を受け取り、差し押さえられた債権の特定内容(第三債務者名・金額)を写真に残す2. 取り上げられた証書の種類と枚数を自分でも記録する3. 滞納税額に比して差押えが過大なら超過差押えを主張し、争うなら処分を知った日の翌日から3か月以内に再調査の請求または審査請求(国税通則法77条) 4. 同時に換価の猶予・納税の猶予を申請する。差押えを現実に解く出口はこちら側にある
訴えられた側:1. 保管者として口頭で求められても即座に渡さず、まず書面の引渡命令の交付を求める2. 命令書の指定期限を確認し、期限内に預け主へ通知して後日の紛争を予防する3. 命令に基づいて引き渡した第三者は59条で保護され、預け主への責任は原則生じない4. あなたが第三債務者なら、差押通知書の到達後に滞納者へ支払うと二重払いになる。支払先は徴収職員であることを経理に周知する
時効(請求できる期限):取上げそのものに固有の時効はない。争う場合は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に再調査の請求または審査請求(国税通則法77条)、その後の取消訴訟は裁決を知った日から6か月(行政事件訴訟法14条)。第三者に対する引渡命令は、命令書に指定された期限までが勝負で、実務上は数日しかないことが多い
学説
実務通説:65条の「債権に関する証書」は、証券の占有が権利行使の前提とならない書面(借用証書・契約書・通帳等)を指し、権利が証券に化体する有価証券は56条により動産等として直接差し押さえられると解される。両者の区別により、その後の取立手続の道筋が変わる
実務通説:「必要があるとき」は目的的限定であり、証書の取上げは債権の保全・取立ての実効性確保に必要な限度で認められる。差押調書の交付(56条1項準用)と第三者に対する引渡命令の段階手続(58条準用)が、令状によらない実力行使に対する手続的歯止めとして機能する
改正沿革 AI による整理
- 昭和34年(1959年) 国税徴収法の全部改正により現行法典が成立し、債権差押えに付随する証書取上げの規定が現在の条文構造に置かれた。個別の改正沿革は人的検証を要する
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 改正:国税徴収法の全部改正により現行法典が成立し、債権差押えに付随する証書取上げの規定が現在の条文構造(56条1項・58条の準用)に置かれた。個別の改正沿革は人的検証を要する
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