国税徴収法 第58条(第三者が占有する動産等の差押手続)
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- 滞納者の動産又は有価証券でその親族その他の特殊関係者以外の第三者が占有しているものは、その第三者が引渡を拒むときは、差し押えることができない。
- 2.前項の動産又は有価証券がある場合において、同項の第三者がその引渡を拒むときは、滞納者が他に換価が容易であり、かつ、その滞納に係る国税の全額を徴収することができる財産を有しないと認められるときに限り、税務署長は、同項の第三者に対し、期限を指定して、当該動産又は有価証券を徴収職員に引き渡すべきことを書面により命ずることができる。この場合において、その命令をした税務署長は、その旨を滞納者に通知しなければならない。
- 3.前項の命令に係る動産若しくは有価証券が徴収職員に引き渡されたとき、又は同項の命令を受けた第三者が指定された期限までに徴収職員にその引渡をしないときは、徴収職員は、第一項の規定にかかわらず、その動産又は有価証券を差し押えることができる。
この条文の基本情報
第三者が占有する動産等の差押手続とは何ですか?
定義第三者が占有する動産等の差押手続とは、国税徴収法第58条に定められた規定で、「滞納者の動産又は有価証券でその親族その他の特殊関係者以外の第三者が占有しているものは、その第三者が引渡を拒むときは、差し押えることができない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第58条(第三者が占有する動産等の差押手続)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第58条の条文原文は「滞納者の動産又は有価証券でその親族その他の特殊関係者以外の第三者が占有しているものは、その第三者が引渡を拒むときは、差し押えることができない。」で始まります。
- 国税徴収法第58条は第二款に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第58条の前の条は国税徴収法第57条です。
- 国税徴収法第58条の次の条は国税徴収法第59条です。
- 国税徴収法第58条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第58条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第58条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/58
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法58条は、第三者が占有する滞納者の動産の差押えを、その第三者が引渡しを拒む間は禁じる。ただし税務署長の書面による引渡命令が出され、指定期限を過ぎれば差押えができる。
Q · 取引先の滞納で、うちが預かっている商品まで差し押さえられるんですか?
拒めば止まるが、税務署長の引渡命令が出るまでの猶予にすぎない
国税徴収法58条1項により、滞納者の動産・有価証券を親族その他の特殊関係者以外の第三者が占有している場合、その第三者が引渡しを拒めば差し押さえることはできません。ただし2項で、滞納者に他に換価が容易で滞納国税の全額を徴収できる財産がないと認められるときに限り、税務署長は期限を指定して書面で引渡命令を発することができます。3項は、引渡しがされたとき、または命令を受けた第三者が指定期限までに引き渡さないときは、1項にかかわらず差押えができると定めます。拒否権は差押えを消す権利ではなく、期限までの猶予にすぎません。
解説
取引先が国税を滞納した。その会社の倉庫には、あなたが預けた商品、あなたがリースした機械、整備のために預かった車がある。徴収職員が現れても、あなたが「渡しません」と言えば、その場で差し押さえることはできない。国税徴収法58条1項が、第三者の占有をそこまで強く守っているからだ。だが話はそこで終わらない。2項で税務署長は書面による引渡命令を出せる。ただし条件がつく。滞納者に他に換価が容易で、かつ滞納国税の全額を徴収できる財産がないと認められる場合に限られる。つまりあなたに届いた引渡命令は、「他に取れる財産が見つからなかった」という税務署側の内情の開示でもある。そして3項が冷たい。命令の期限までに引き渡さなくても、その時点で差押えは可能になる。1項の拒否権は差押えを消す権利ではなく、時間を買う権利である。買った時間で何を動かすかが、あなたの棚に積まれた商品の行方を決める。
法的な位置づけ
国税徴収法58条は、第三者が占有する滞納者の動産・有価証券の差押えを規律する規定である。1項は特殊関係者以外の第三者が引渡しを拒む場合の差押えを禁じ、2項は滞納者に他に換価が容易で滞納国税の全額を徴収できる財産がないと認められるときに限り税務署長の書面による引渡命令を認め、3項は引渡し又は指定期限の徒過により差押えを解禁する三段階構造をとる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.引渡しを拒む意思を書面で残す 徴収職員がその場に来た段階で、口頭で済ませず書面またはメールで「引渡しを拒む」旨を明示して記録に残す。58条1項の拒絶は、記録が残っているかどうかで後の争い方が変わる
- 2.占有・所有権の根拠書類を揃える 寄託契約書、リース契約書、受領証、保管台帳、納品書、請求書、保険証券を集める。所有権留保の特約は契約書の一行だけでは弱く、納品書・受領証・請求書の記載が揃って初めて主張として通る
- 3.「滞納者の動産ではない」旨を書面で通知する 所有権が自社にある場合、差押えが実行される前に徴収職員と税務署長宛に書面で通知する。実行前なら差押財産の選択(58条とセットで働く49条)の段階で外される余地が残るが、実行後は不服申立てや訴訟に乗せる話になる
- 4.引渡命令書の指定期限を起点に逆算する 命令書が届いたら、まず指定期限と根拠条文を確認する。期限までに引き渡すか、疎明を続けるか、不服申立てに進むかを決める。期限を過ぎれば拒否を続けていても58条3項で差押えは可能になる
- 5.不服申立ての要否を3か月以内に判断する 引渡命令・差押処分に対する審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(国税通則法77条1項)。国税は審査請求前置(同法115条)であり、取消訴訟は裁決を知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条1項)
よくある質問 AI による整理
Q1国税徴収法58条とは?
第三者が占有する滞納者の動産・有価証券について、その第三者が引渡しを拒めば差し押さえられないと定める規定です。税務署長の書面による引渡命令とその期限徒過で、初めて差押えが解禁されます。
Q2引渡命令が出せるのはどんなときですか?
滞納者に他に換価が容易で、かつ滞納国税の全額を徴収できる財産がないと認められるときに限られます(58条2項)。命令書が届いたこと自体が、他に回収先がないという税務署側の状況を示します。
Q3引渡命令の期限は何日と決まっていますか?
法律上一律の日数はなく、税務署長が個別に期限を指定します。書面に記載された日が唯一の締切です。期限を過ぎれば、引渡しを拒み続けても58条3項により差押えが可能になります。
Q4リース中の機械は差し押さえられますか?
58条の対象は「滞納者の動産」です。所有権がリース会社にあるなら本来対象外ですが、外形上滞納者の物として扱われる事態は起きます。リース契約書と設置場所の記録を早期に書面で示すことが要点です。
Q5引渡命令に不服がある場合はどうしますか?
引渡命令は行政処分であり、国税通則法75条の審査請求の対象です。申立期間は処分を知った日の翌日から3か月(同法77条1項)。国税は審査請求前置のため、訴訟はその後になります。
Q6銀行など民間の債権者も引渡命令を出せますか?
出せません。民事執行では第三者が提出を拒めばそこで差押えは止まります(民事執行法124条)。書面命令という次の一手を持つのは国税徴収手続だけで、ここが公租と私債権の決定的な差です。
Q7引渡命令が出たことは滞納者にも伝わりますか?
伝わります。58条2項後段は、命令をした税務署長が滞納者にその旨を通知しなければならないと定めています。取引先との関係は必ず動くため、先に自分から説明する判断が必要になります。
Q8倉庫業者に徴収職員が来たら何をすべきですか?
まず引き渡さない意思を書面かメールで残し、寄託契約書・受領証・保管台帳を確保します。所有権が自社にあるなら「滞納者の動産ではない」旨を徴収職員と税務署長宛に書面で通知するのが順序です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1引渡命令を無視したらどうなりますか。罰則はあるんでしょうか
直接の罰金や刑罰はない。ただし58条3項により、期限までに引き渡さなくても徴収職員は差押えができる。無視しても結果は防げず、交渉の余地だけが消える。実務のポイント:最悪手は拒否したまま黙ることである。期限内に所有権や占有の根拠を書面で出せば、差押財産の選択の段階(49条)で外される余地が残る。沈黙は「争点なし」として処理される
Q2うちが預かっている在庫、所有権はうちにあります。それでも差し押さえられますか
58条が対象にするのは「滞納者の動産」であり、所有権があなたにあるなら本来は対象外である。ただし徴収職員は現場で所有関係を即断できず、外形上滞納者の物として押さえられる事態は実際に起きる。争い方は国税通則法75条の審査請求と、所有権に基づく第三者異議の訴えの二本立てで、どちらを選ぶかは実務上、事案により判断が分かれる。実務のポイント:所有権留保の特約は契約書に一行あるだけでは弱い。納品書、受領証、請求書の記載が揃って初めて通る
Q3親族が預かっている場合も同じように拒否できますか
できない。1項の保護は「親族その他の特殊関係者以外の第三者」に限られており、配偶者や生計を一にする親族、同族会社などが占有していても、引渡拒否は差押えを止めない(範囲は国税徴収法施行令13条)。実務のポイント:滞納が見えてきてから動産をグループ会社へ移す手は、特殊関係者と認定されるだけでなく、39条の無償譲渡等に係る第二次納税義務まで招くことがある。逃げ道を作るつもりが、税務署の追及先を一つ増やす結果になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「拒み続ければ守り切れる」と思われているが、1項の拒絶が効くのは税務署長の引渡命令が出るまでの間だけである。3項は、命令を受けた第三者が期限までに引き渡さないときも差押えを認めている。拒否は結論ではなく、猶予にすぎない
- 引渡命令書を単なる事務連絡だと受け取る人が多いが、これは税務署長があなたに直接下す具体的な決定、すなわち行政処分である。不服申立ての対象になり、しかも申立期間は命令を知った日の翌日から3か月で閉じる(国税通則法77条1項)。深刻なのは差押えそのものより、争う入口が静かに閉まることだ
- 「どうやって拒み続けるか」という問いの立て方自体が的を外している。本当に効く問いは「その動産は滞納者の物か、自分の物か」である。所有権が自分にあるなら、そもそも58条は「滞納者の動産」を前提とした条文であり、あなたはこの土俵に上がる必要すらない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 58条:第三者が占有する滞納者の動産・有価証券 | 56条:動産・有価証券の差押えは徴収職員の占有により行う 49条:差押財産の選択における第三者の権利の尊重 |
| 第三者に与えられる手段 | 引渡しの拒絶(1項)=差押えを一時停止させる | なし(占有取得の方法を定める規定) 権利の目的となっている財産を避けるよう求める余地 |
| 国側が越えるべきハードル | 他に換価容易かつ全額徴収可能な財産がないこと+書面の引渡命令(2項) | 占有の取得のみ 選択の際の配慮義務 |
| 効果が消える瞬間 | 引渡し又は指定期限の徒過で差押え解禁(3項) | 占有取得時に差押えの効力発生 差押え実行後は主張の場が不服申立て・訴訟に移る |
他国ではどう定めているか 6 か国
台湾では公法上の金銭給付義務の執行は行政執行分署が担い、強制執行法を準用する。第三者が占有する動産については交付を命ずる構造があり、日本の引渡命令と同種の事項を規律する。逐条の一対一対応ではない点に留意
韓国も租税徴収を民事執行とは別の行政的手続で行い、第三者が占有する財産の差押えには引渡しの問題が生じる。具体的な条番号は人的検証が必要
税務機関が扣押・査封等の強制執行措置を執れる旨を定めるが、第三者占有動産について日本58条のような明文の拒絶権と補充性要件を置く構造ではない
第三者の占有する物は、その第三者が引渡しに応じる場合にのみ差し押さえられる。日本58条1項と同じ発想だが、ドイツでは租税徴収も同種の枠組みで処理され、日本のような税務署長の一方的な引渡命令という次の一手の位置づけが異なる
税務当局が第三者の保有する債権・金銭を直接押さえる制度で、対象は主として金銭債権。動産の占有をめぐる拒絶権という構成はとらない
levy の対象財産を占有する者は原則として引渡義務を負い、正当な理由なく拒めば個人責任を負う。第三者に拒絶権を与える日本58条1項とは方向が正反対で、対照として最も鮮やかな例
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先の工場に据え付けたリース機械に、税務署長名の引渡命令書が届いたとしたら? それは1項の拒否権をすでに一度使った後に来る書面である。慌てて引き渡すか、指定期限内に所有権を疎明するかで、その機械が数か月止まるか、そのまま稼働を続けるかが分かれる
- 自動車整備工場を営んでいる。預かり中の顧客の車に、その顧客の滞納で徴収職員が来た。引き渡せば、今度はあなたが顧客に対する保管責任を問われかねない
- あなた自身が滞納者側で、差押えを避けようと高価な機材を実兄の会社に預けたとする。1項の保護は「親族その他の特殊関係者以外の第三者」にしか及ばない。預け先が特殊関係者と判定された瞬間、拒否権はそもそも存在しない
- 引渡命令書に書かれた指定期限まで、あと5日。この5日で寄託契約書と受領証を揃えて所有権を主張するのか、不服申立ての準備に入るのかを決めなければならない。期限を過ぎれば、拒否を続けていても3項によって差押えはできる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 引き渡さない意思を口頭で済ませず、書面かメールで残す。1項の拒絶は記録が命2. 占有の根拠書類を集める。寄託契約書、リース契約書、受領証、保管台帳、保険証券3. 所有権が自社にあるなら「滞納者の動産ではない」と徴収職員と税務署長宛に書面で通知する4. 引渡命令が届いたら指定期限を確認し、期限内に不服申立ての要否を判断する。3か月の申立期間は命令を知った日の翌日から進み始める
訴えられた側:1. 第三者への預け入れを隠匿の手段にしない。特殊関係者への移動は1項の保護を外すうえ、39条の第二次納税義務まで呼び込む2. 2項は「他に換価が容易で全額徴収できる財産がない」ことが要件。処分可能な財産を自ら提示すれば、取引先への引渡命令を回避できる余地が残る3. 命令が出れば税務署長はあなたにも通知する(2項後段)。通知が来た時点で取引先との関係は動く、先に自分から説明する4. 換価の猶予(国税徴収法151条の2)や納税の猶予(国税通則法46条)の申請を並行して検討する
時効(請求できる期限):2項の引渡期限は税務署長が個別に指定するため一律の日数はなく、書面に記載された日が唯一の締切になる。引渡命令や差押えに対する不服申立ては、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(国税通則法77条1項)。国税は審査請求前置であり(国税通則法115条)、取消訴訟は裁決があったことを知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条1項)
学説
実務上の一般的理解(条文構造からの整理):58条は第三者保護を三段階で構成する。1項の拒絶権は差押えを終局的に排除するものではなく、2項の補充性要件と書面命令という手続負担を国側に課すことで第三者を保護し、3項で手続を経た後の差押えを解禁する。保護の実質は占有そのものではなく、国に要件と手間を背負わせる構造にある
改正沿革 AI による整理
- 昭和34年(1959年)国税徴収法全部改正 現行国税徴収法の制定に伴い、第三者が占有する動産等について原則差押禁止と税務署長の引渡命令という二段構えの仕組みが置かれた。以降の改正履歴は人的検証が必要
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 改正:国税徴収法の全部改正に伴い、第三者が占有する動産等について原則差押禁止と税務署長の引渡命令という二段構えの仕組みが置かれた。以降の改正履歴は人的検証が必要
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