国税徴収法 第59条(引渡命令を受けた第三者等の権利の保護)
クイックジャンプ
- 前条第二項の規定により動産の引渡を命ぜられた第三者が、滞納者との契約による賃借権、使用貸借権その他動産の使用又は収益をする権利に基きその命令に係る動産を占有している場合において、その引渡をすることにより占有の目的を達することができなくなるときは、その第三者は、その占有の基礎となつている契約を解除することができる。この場合において、その第三者は、当該契約の解除により滞納者に対して取得する損害賠償請求権については、その動産の売却代金の残余のうちから配当を受けることができる。
- 2.徴収職員は、前条第二項の規定により動産の引渡を命ぜられた第三者の請求がある場合には、その第三者が前項前段の規定により契約を解除したときを除き、その動産の占有の基礎となつている契約の期間内(その期限がその動産を差し押えた日から三月を経過した日より遅いときは、その日まで)は、その第三者にその使用又は収益をさせなければならない。
- 3.前条第二項の規定により動産の引渡を命ぜられた第三者が賃貸借契約に基きこれを占有している場合において、第一項前段の規定によりその契約を解除し、かつ、前条第二項の命令があつた時前にその後の期間分の借賃を支払つているときは、その第三者は、税務署長に対し、その動産の売却代金のうちから、その借賃に相当する金額で同条第三項の規定による差押の日後の期間に係るもの(その金額が三月分に相当する金額をこえるときは、当該金額)の配当を請求することができる。この場合において、その請求があつた金額は、第八条(国税優先の原則)の規定にかかわらず、その滞納処分に係る滞納処分費に次ぎ、かつ、その動産上の留置権により担保されていた債権に次ぐものとして、配当することができる。
- 4.前三項の規定は、前条第一項に規定する動産の引渡を拒まなかつた同項に規定する第三者について準用する。
この条文の基本情報
引渡命令を受けた第三者等の権利の保護とは何ですか?
定義引渡命令を受けた第三者等の権利の保護とは、国税徴収法第59条に定められた規定で、「前条第二項の規定により動産の引渡を命ぜられた第三者が、滞納者との契約による賃借権、使用貸借権その他動産の使用又は収益をする権利に基きその命令に係る動産を占有して…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第59条(引渡命令を受けた第三者等の権利の保護)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第59条の条文原文は「前条第二項の規定により動産の引渡を命ぜられた第三者が、滞納者との契約による賃借権、使用貸借権その他動産の使用又は収益をする権利に基きその命令に係る動産を占有して…」で始まります。
- 国税徴収法第59条は第二款に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第59条の前の条は国税徴収法第58条です。
- 国税徴収法第59条の次の条は国税徴収法第60条です。
- 国税徴収法第59条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第59条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第59条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/59
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法59条は、差し押さえられた動産を借りている第三者に、契約解除権、請求による差押日から3か月までの使用収益の継続、前払借賃の優先配当を認める規定である。
Q · 借りている機械が貸主の税金滞納で差し押さえられたら、明日から使えなくなるの?
請求すれば最長3か月使えます。黙っていれば即日ゼロです
国税徴収法59条2項により、徴収職員に請求すれば、契約期間内(差押日から3か月を経過した日が上限)は使用収益を続けさせなければなりません。ただし1項前段で自ら契約を解除した場合、この保護は外れます。賃貸借で前払していた借賃は、解除したうえで3項の配当を請求すれば、差押日後の期間分について最大3か月分相当を、滞納処分費と留置権被担保債権に次ぐ順位で回収できます。2項も3項も、請求があることが要件です。
解説
レンタルした厨房機器、リース中の建設機械、取引先から借りたままの什器。それが、貸主の税金滞納を理由にあなたの現場で差し押さえられる日がある。税務署長は、所有者でも滞納者でもないあなたに対して引渡命令を出す(国税徴収法58条2項)。あなたはただの巻き添えだ。59条は、その巻き添えの側にだけ三本のロープを垂らす。第一に、引き渡せば借りている意味が消えるなら、あなたは賃貸借や使用貸借の契約を自分の側から解除できる。第二に、徴収職員に請求すれば、契約期間内(差押日から3か月を経過した日が上限)は使用収益を続けさせなければならない。第三に、前払いしていた借賃は、動産の売却代金から最大3か月分を高い順位で取り戻せる。決定的なのは、第二と第三が請求主義だという一点。あなたが黙っていれば、この条文はあなたを一円も守らない。
法的な位置づけ
国税徴収法59条は、滞納処分により差し押さえられた動産を賃借権・使用貸借権その他の使用収益権に基づき占有する第三者の保護を定める規定である。引渡しにより占有の目的を達し得なくなる場合の契約解除権および損害賠償請求権の残余配当(1項)、徴収職員への請求を要件とする使用収益の継続(2項)、前払借賃の優先配当請求(3項)を規定し、引渡しを拒まなかった第三者にも準用される(4項)。
手順
- 1.引渡命令の書面と差押日を確定する 引渡命令の書面を受け取ったら、名宛人、対象動産の特定、差押えの日付を控える。差押日が2項の3か月の起算点であり、3項の「差押の日後の期間」の基準にもなるため、ここを誤ると請求できる金額と日数が変わる
- 2.解除を口にする前に使用収益の継続を請求する 徴収職員に対し「国税徴収法59条2項に基づき使用収益の継続を請求する」と伝え、同日中に日付入りの書面またはメールで記録を残す。1項前段の解除を先に行うと2項の保護は明文で外れるため、順序が最大3か月分の稼働を左右する
- 3.前払借賃の有無と対象期間を洗い出す 契約書と入金記録から、引渡命令があった時より前に支払済みの借賃と、その対応期間を特定する。3項の対象は差押日後の期間に係る分に限られ、上限は3か月分相当額であるため、期間の切り分けがそのまま回収額になる
- 4.事業継続の可否を判断し、必要な場合に限り解除する 使用収益を継続しても事業が成り立たないと判断した段階で初めて1項前段の解除を行う。賃貸借であれば解除は3項の配当請求の前提要件でもあるため、代替機の調達可否と前払額を並べて損得を比較してから決める
- 5.換価・配当が終わる前に配当を請求する 税務署長に対し、動産の売却代金からの配当を請求する。3項の請求であることと、滞納処分費に次ぎ留置権被担保債権に次ぐ順位で扱われるべき旨を明示する。一般債権として届け出るのとは回収可能性が根本的に異なる。引き渡してしまった後でも4項の準用により同じ請求ができる
よくある質問 AI による整理
Q1国税徴収法59条とは何ですか?
滞納者の動産を借りて占有している第三者を保護する規定です。引渡命令を受けたときの契約解除権、請求による使用収益の継続、前払借賃の優先配当請求の三つを定めています。
Q2引渡命令とは何ですか?
第三者が占有する滞納者の動産について、税務署長が差押えのためその引渡しを命じる処分です(国税徴収法58条2項)。名宛人は所有者でも滞納者でもない占有者になります。
Q3使用収益の継続はいつまで認められますか?
契約期間内が原則で、その期限が差押日から3か月を経過した日より遅いときは、その3か月経過日までです(59条2項)。徴収職員への請求が要件で、自動的には認められません。
Q4無償で借りている使用貸借でも国税徴収法59条は使えますか?
1項の解除権と2項の使用収益の継続は使用貸借にも及びます。ただし3項の配当請求は賃貸借契約に基づく占有が要件で、借賃を払っていない使用貸借では構造上使えません。
Q5前払借賃の配当順位はどうなりますか?
国税優先の原則(8条)にかかわらず、その滞納処分に係る滞納処分費に次ぎ、かつ当該動産上の留置権により担保されていた債権に次ぐ順位で配当されます(59条3項後段)。
Q6解除と使用収益の継続請求はどちらを先に行うべきですか?
先に2項の使用収益の継続を請求します。1項前段で契約を解除すると2項の保護は明文で外れるため、順序を逆にすると最大3か月分の稼働をその日から失います。
Q7引渡命令を拒んだらどうなりますか?
引渡しを拒んでも差押手続は進み、最終的に動産は手元を離れます。59条4項は引渡しを拒まなかった第三者にも1項から3項を準用するため、協力しても保護は失われません。
Q8地方税の滞納処分でも同じ保護がありますか?
地方団体の徴収金の滞納処分には国税徴収法の規定が準用されるのが基本的な枠組みです。ただし個別条項の適用関係は根拠条文を都度確認する必要があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1借りてる機械に差押えの紙が貼られました。明日から使えなくなるんですか?
徴収職員に請求すれば、契約期間内(差押日から3か月を経過した日が上限)は使用収益を続けさせなければならない(国税徴収法59条2項)。ポイントは「請求がある場合には」と書かれていること。実務のポイント:この請求は職員側から案内される保証がない。口頭でも成立しうるが、後に日付が争点になるため、その日のうちにメールか書面で「59条2項に基づき使用収益の継続を請求する」と残す人と残さない人で、稼働できる日数が変わる
Q2前払いしたレンタル料は返ってこないですよね?
賃貸借契約に基づいて占有し、59条1項前段で契約を解除し、引渡命令前に借賃を前払いしていた場合、動産の売却代金から配当を請求できる(同条3項)。対象は差押日後の期間分、上限は3か月分相当。実務のポイント:この配当は8条の国税優先原則の例外として、滞納処分費に次ぎ留置権被担保債権に次ぐ順位で扱われる。一般債権として届け出るのとは回収可能性が根本的に違う
Q3解除して損害賠償を請求すれば、損した分は全部取り返せますか?
1項後段の損害賠償請求権について配当を受けられるのは「売却代金の残余のうちから」である。残余とは、優先する債権への配当をすべて済ませた後に残った分を指し、動産の滞納処分で残余が生じることは多くない。実務のポイント:条文上の権利としては損害賠償が目立つが、実際に金が動くのは3項の前払借賃ルート。だから賃貸借では入金記録と前払期間の証拠を残しておくことが、そのまま回収額になる
Q4職員が来たとき、揉めたくないので素直に渡してしまいました。もう何も言えませんか?
言える。59条4項は、58条1項に規定する引渡しを拒まなかった第三者についても1項から3項を準用する。協力した者が保護から外れる設計にはなっていない。実務のポイント:ただし準用されるのは権利の内容であって、請求の手間まで免除されるわけではない。渡した後に何も言わなければ動産は換価され配当が終わる。配当計算が確定する前に動けるかどうかが唯一の分かれ目になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「自分の物ではないのだから自分には関係ない」という問いの立て方自体が誤っている。差押えの対象は貸主の動産だが、引渡命令の名宛人はその物を握っているあなただ。あなたが応じなくても徴収手続は進み、物は結局あなたの手を離れる。関係があるかどうかではなく、離れる前に何を請求しておくかだけが論点になる
- 「解除できる権利がある」ことは条文を読めば分かる。だが解除した瞬間に59条2項の使用収益継続の保護が外れることまで読み取れる人は少ない。2項は「前項前段の規定により契約を解除したときを除き」と明記している。解除は損害賠償請求権を作る代わりに、使い続ける権利を捨てる取引である
- あなたから見れば前払いした家賃は当然返ってくるべき自分の金だ。法律から見れば、それは動産の売却代金という限られたパイをめぐる配当順位の争いにすぎず、しかも上限は3か月分。この落差を知らずに全額返還を前提に資金繰りを組むと、回収できなかった差額がそのまま資金ショートになる
- 無償で借りていれば損はしないと思われがちだが、使用貸借の場合、59条3項の借賃配当は構造上使えない。借賃を払っていないのだから返してもらう借賃もない。使えるのは1項の解除権と2項の使用継続だけで、代替品の調達コストは自腹になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 59条:引渡命令を受けた第三者の救済(解除・使用継続・優先配当) | 58条:第三者占有動産の差押えと引渡命令の根拠 8条:国税優先の原則(59条3項が明文で例外化) |
| 誰のための規定か | 所有者でも滞納者でもない占有者(借主) | 徴収側(税務署長・徴収職員) 国(租税債権の優先確保) |
| 発動の要件 | 2項・3項は第三者からの請求が必要(沈黙は放棄と同じ) | 税務署長の処分として職権で発動 法律上当然に適用される一般原則 |
| 金銭回収の位置づけ | 3項=滞納処分費に次ぎ留置権被担保債権に次ぐ順位/1項後段=残余からの配当 | 回収の入口であり配当順位は定めない 原則として他の債権に優先 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では第三者の救済を訴訟(異議の訴え)に集約する構成が中心で、日本の59条のように使用収益の継続と前払借賃の優先配当を行政手続内に組み込む明文は乏しい
差押財産を占有する第三者の権利保護規定を置く点で日本と共通するが、具体的な保護の設計と条番号は個別確認を要する
ドイツも第三者異議の訴えを軸とし、占有者の使用継続を期間限定で保障する明文は日本ほど整理されていない
米国は違法な levy に対する納税者以外の者の民事訴訟という事後救済型で、行政手続内で使用収益を継続させる仕組みではない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 借りている建設機械に差押えの封印が貼られたら、明日からの現場はどうなる? 元請けへの納期は動かせず、代替機の手配には最短でも1週間。ここで先に動くべきは代替機の見積もりではなく、徴収職員への使用収益継続の請求だ。契約期間内かつ差押日から3か月までなら、その機械を使い続けたまま次の手を打てる時間が買える
- 美容室でシェアしていたセット椅子と機材が、オーナー(貸主)の消費税滞納で差し押さえられた。あなたは引渡命令の名宛人になる。ここで反射的に契約を解除すると、59条2項の使用継続権が消える。条文は「解除したときを除き」と書いてある。解除は最後のカードであって最初のカードではない
- 半年分のレンタル料を前払いした翌月、貸主が滞納処分を受けた。前払分は消えたと諦める人が大半だが、賃貸借契約を解除したうえで、差押日より後の期間に対応する借賃を最大3か月分、売却代金から配当請求できる(59条3項)
- あなたが動産を貸している側で、税金を滞納して差押えを受けたとする。借主が3項の配当請求をすれば、その分は国税より先に売却代金から抜かれる。あなたの滞納税額の充当額はその分だけ減り、残った税金はあなたに残る。借主を守る条文は、滞納者にとっては回収額を目減りさせる条文でもある
- 税務署の職員が来て「引き渡してください」と言われ、その場で素直に渡してしまった。もう何も主張できないと思い込む人が多いが、59条4項は引渡しを拒まなかった第三者にも1項から3項を準用する。渡した後でも請求の窓は開いている。ただし動産が売却され配当が終われば、その窓は閉じる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 引渡命令の書面を受け取ったら、日付と対象動産を控え、差押日を確認する(3か月の起算点になる) 2. 解除を口にする前に、徴収職員へ使用収益継続を請求(59条2項)、日付入りの書面かメールで記録を残す3. 契約書と入金記録から前払借賃の有無と期間を洗い出す4. 使い続けても事業が成り立たないと判断した段階で初めて解除し、賃貸借なら3項の配当請求、それ以外は1項後段の損害賠償を主張する5. 素直に引き渡してしまった後でも4項の準用で同じ請求ができる
訴えられた側:1. あなたが滞納者側なら、第三者が3項の配当請求をすればその分は国税より先に配当され、残った税額はあなたに残ると理解しておく2. 借主に無用の損害を与えれば、契約解除に伴う損害賠償請求を別途受ける立場になる3. 他の債権者の立場であれば、3項の請求金額が滞納処分費と留置権被担保債権に次ぐ順位で先取りされる前提で、自らの配当見込みを計算し直す4. いずれの立場でも、動産の換価前に配当順位を確認しておくことが唯一の実務的な打ち手になる
時効(請求できる期限):使用収益の継続は、契約期間内かつ差押日から3か月を経過した日までが上限(59条2項)。前払借賃の配当請求は、対象が差押日後の期間分に限られ、金額は3か月分相当が上限(同条3項)。いずれも動産が換価され配当が実施される前に請求しなければ実効性を失う。解除に伴う損害賠償請求権そのものの時効は、民法166条により権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める