国税徴収法 第60条(差し押えた動産等の保管)
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- 徴収職員は、必要があると認めるときは、差し押えた動産又は有価証券を滞納者又はその財産を占有する第三者に保管させることができる。ただし、その第三者に保管させる場合には、その運搬が困難であるときを除き、その者の同意を受けなければならない。
- 2.前項の規定により滞納者又は第三者に保管させたときは、第五十六条第二項(動産等の差押の効力発生時期)の規定にかかわらず、封印、公示書その他差押を明白にする方法により差し押えた旨を表示した時に、差押の効力が生ずる。
この条文の基本情報
差し押えた動産等の保管とは何ですか?
定義差し押えた動産等の保管とは、国税徴収法第60条に定められた規定で、「徴収職員は、必要があると認めるときは、差し押えた動産又は有価証券を滞納者又はその財産を占有する第三者に保管させることができる。ただし、その第三者に保管させる場合…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第60条(差し押えた動産等の保管)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第60条の条文原文は「徴収職員は、必要があると認めるときは、差し押えた動産又は有価証券を滞納者又はその財産を占有する第三者に保管させることができる。ただし、その第三者に保管させる場合…」で始まります。
- 国税徴収法第60条は第二款に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第60条の前の条は国税徴収法第59条です。
- 国税徴収法第60条の次の条は国税徴収法第61条です。
- 国税徴収法第60条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第60条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第60条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/60
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法60条は、差し押えた動産を滞納者や第三者に保管させることを認め、その場合の差押えの効力は封印や公示書で差押えを表示した時に生じると定める。
Q · 差し押さえられた機械が工場に置いたままなのは、どういう状態なんですか?
持ち去られず、その場で保管させる制度です
国税徴収法60条により、徴収職員は必要があると認めるときは、差し押えた動産や有価証券を滞納者本人や、それを占有する第三者に保管させることができます。第三者に保管させる場合は、運搬が困難なときを除き、その者の同意が必要です。保管させたときの差押えの効力は、56条2項の占有時ではなく、封印や公示書その他差押えを明白にする方法で表示した時に生じます。表示を破棄すれば刑法96条の封印等破棄罪の対象となりえます。
解説
差押えを受けた側にとって、最も見落とされている事実がここにある。税務署が動産を差し押さえても、そのモノは持ち去られるとは限らない。徴収職員は「必要があると認めるとき」、差し押えた動産や有価証券を、滞納者本人や、それを預かっている第三者に保管させることができる。つまりあなたは、法的には自分のものでなくなった機械や商品在庫を、自分の倉庫に置いたまま管理する立場になりうる。ここで決定的なのは第2項だ。通常、動産の差押えの効力は徴収職員が占有した時に生じる(56条2項)。しかし保管させる場合は違う。封印、公示書その他差押えを明白にする方法で表示した時に、初めて効力が生じる。表示がなければ効力は発生していない。そして第三者に保管させるには、運搬が困難な場合を除き、その者の同意が必要である。あなたが他人の物を預かっている立場なら、同意しない権利がある。
法的な位置づけ
国税徴収法60条は差押財産の保管を定める規定であり、徴収職員が必要と認めるときは差し押えた動産又は有価証券を滞納者又は占有第三者に保管させることができる旨を規定する。第三者への保管は運搬が困難な場合を除き同意を要件とし、差押えの効力発生時期は同法56条2項の占有時ではなく、封印・公示書等による表示時とされる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.封印票・公示書の貼付日時を撮影して記録する 封印や公示書が貼られた位置、記載内容、日時が分かる形で写真を撮り、撮影日時とともに保存する。差押えの効力は表示した時に生じるため、この記録が効力発生時刻を争う際の直接証拠になる
- 2.第三者なら「運搬が困難」の根拠を確認し同意を判断する 他人の財産を占有しているだけの立場なら、徴収職員に運搬が困難であると判断した具体的事情(重量・容積・分解の要否など)を確認する。困難でなければ同意を留保でき、保管責任を負わずに済む
- 3.使用の可否を書面で照会する 事業継続に必要な機械等であれば、使用収益を認めてもらえるか徴収職員に書面で申し出る。口頭の許可は後日否認されうるため、回答も書面または記録に残る形で受け取る
- 4.不服があれば3か月以内に再調査の請求または審査請求を行う 差押処分自体に不服があるときは、処分を知った日の翌日から3か月以内に再調査の請求または審査請求を行う(国税通則法77条)。表示が実際になされていなければ効力発生時期を争点にできる
- 5.並行して換価の猶予・納税の猶予を申請する 争う一方で、換価の猶予(国税徴収法151条の2)や納税の猶予(国税通則法46条)を申請し、分割納付の枠組みを作る。認められれば差押解除につながることがある
よくある質問 AI による整理
Q1国税徴収法60条とは何ですか?
差し押えた動産や有価証券を、搬出せずに滞納者や占有第三者へ保管させることを認める規定です。第三者に保管させるには原則としてその同意が必要です。
Q2差押えの効力はいつ発生しますか?
原則は徴収職員が占有した時ですが(56条2項)、保管させる場合は封印・公示書その他差押えを明白にする方法で表示した時に効力が生じます(60条2項)。
Q3封印と公示書の違いは何ですか?
封印は財産そのものに施して開閉や移動を物理的に禁じる標識、公示書は差押えの事実を掲示して外部に知らせる書面です。いずれも表示時に効力が生じます。
Q4差押財産の保管費用は誰が負担しますか?
滞納処分に要した費用は滞納処分費として原則滞納者の負担となります。第三者が保管する場合の実費の扱いは、同意する前に徴収職員へ確認してください。
Q5差押えを解除してもらう方法はありますか?
納付や換価の猶予(国税徴収法151条の2)、納税の猶予(国税通則法46条)が認められれば解除の道があります。無益な差押えの場合も解除の対象となります。
Q6差押処分に不服がある場合の期限はいつまでですか?
処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に、再調査の請求または審査請求を行う必要があります(国税通則法77条)。期限を過ぎると争えなくなります。
Q7保管中の財産が壊れたら誰の責任ですか?
保管者は現状維持義務を負うため、故意や過失による損壊は賠償責任や刑事責任の対象となりえます。自然損耗や第三者の行為は、発見時点で直ちに記録し通報してください。
Q8差し押えられた在庫を売ったら違法ですか?
差押えにより処分が禁止されるため、無断売却は許されません。隠匿や損壊にあたる場合は国税徴収法187条の滞納処分免脱罪が成立しうる行為です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1差し押さえられた機械、うちの倉庫にあるんですけど、使ったらダメなんですか?
原則として使用はできない。差押えにより処分が禁止され、保管者は現状維持の義務を負う。ただし徴収職員が事業継続の必要を認めて使用を許可する運用は現に存在する。実務のポイント:この許可は職員の裁量であり、口頭で済ませると後に否認されうる。使用を認めてもらうなら必ず書面か記録に残る形で求めること。許可の有無が、後日「無断使用」と評価されるかどうかの分水嶺になる
Q2封印票が自然に剥がれちゃったんですけど、どうすればいいですか?
その場で写真を撮り、直ちに担当の徴収職員に連絡する。放置すれば刑法96条の封印等破棄罪を疑われる余地が生じ、3年以下の拘禁刑または250万円以下の罰金の対象になりうる。実務のポイント:徴収職員は封印票の貼付時に写真を残していることが多い。あなたが同じく写真と日時を残しておけば、剥離の経緯を客観的に示せる。記録を持っている側といない側では、疑いが向いた瞬間の立場が全く違う
Q3他人の荷物を預かってるだけなのに、保管させられるって理不尽じゃないですか?
本条1項ただし書により、運搬が困難であるときを除き、第三者に保管させるにはその者の同意が必要である。同意しない選択肢は法律上確保されている。実務のポイント:職員が「運搬が困難」と口にしたら、その根拠を尋ねること。重量・容積・分解の要否など具体的事情がなければ、同意なき保管指定の正当性は揺らぐ。この一問を出せるかどうかで、無償の保管責任を負うかが決まる
間違えやすい点 AI による整理
- 「差し押さえられたら全部持って行かれる」と思われているが、実務では保管させる方が多い。理由は税務署側の都合であり、運搬費・保管場所・価値毀損のコストを避けるためだ。あなたのために残しているわけではない。この認識のズレが、後の「勝手に使ってよいと思った」という誤解を生む
- 封印票が貼られたことは知っていても、その深刻度が理解されていない。封印や公示書を破ったり、無視して勝手に処分したりすれば、刑法96条(封印等破棄罪)で3年以下の拘禁刑または250万円以下の罰金、またはその併科である。滞納という行政上の問題が、この一手で刑事事件に変わる
- 「同意を求められたら断れない」と多くの第三者が考えるが、法律の建て付けは逆である。第三者に保管させる場合、運搬が困難であるときを除き、同意を受けなければならない。同意は権利であって義務ではない。ただし運搬困難という例外に該当すれば同意なしで指定されるので、その線引きが交渉の焦点になる
- あなたから見れば「自分の倉庫にある自分の機械」だが、法律から見れば「国の支配下にある財産をあなたが預かっている状態」である。この落差が刑事責任を生む。使えば横領類似の評価、隠せば滞納処分免脱罪(国税徴収法187条)の射程に入る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる場面 | 60条:差し押えた動産等を搬出せず保管させる場合 | 56条:徴収職員が動産等を差し押え占有する原則形 59条:第三者が占有する動産等を差し押える場合 |
| 差押えの効力発生時期 | 封印・公示書その他差押を明白にする方法で表示した時 | 徴収職員が占有した時(56条2項) 引渡しを受けて占有した時(原則形に従う) |
| 第三者の同意の要否 | 運搬が困難であるときを除き同意が必要(1項ただし書) | 同意の問題は生じない 引渡しの拒否・期限の設定など別途の手続規律がある |
| 財産の物理的な所在 | 現場に残る(滞納者又は第三者の手元) | 徴収職員が搬出・保管 第三者から引渡しを受けて徴収職員が保管 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も查封した動産を保管人に委託する方式を認め、封条の貼付が公示手段となる。債権者を保管人とできる点で日本より柔軟な設計
韓国も押留動産を滞納者等に保管させる方式を採り、封印による公示を伴う。具体的条番号は改正が重なっており要確認
ドイツの租税執行でも、封印その他の方法で差押えが認識できるようにすれば、財産を滞納者の占有に残したまま差し押えることができる。構造が日本の60条とほぼ同型
米国の levy でも、財産を物理的に持ち去らず現場に残す constructive seizure が用いられる。掲示と通知が実質的な公示機能を担う
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 工場の主力機械が差し押さえられた。持って行かれたら明日から操業停止、従業員の給料も払えない。だが徴収職員は機械に封印票を貼り、あなたに保管を命じた。機械は動かせないが工場にはある。この状態で何ができて何が犯罪になるのか、判断を誤ると刑事事件になる
- 取引先から預かっていた商品在庫に、税務署が差押えに来た。滞納者は取引先であり、あなたは単なる保管者だ。徴収職員は「このままここで保管してください」と言う。運搬が困難でない限り、あなたの同意なしにこれを押し付けることはできない。断る権利があることを知っているか
- もし封印票が誰にも触られていないのに、いつのまにか剥がれ落ちていたとしたら? 気付いた時点で徴収職員に連絡しなければ、後に「あなたが剥がした」と疑われる。写真を撮り、日時を記録して即日連絡する。それだけで刑法96条の封印等破棄罪の疑いから離脱できる
- リース会社から借りている機械に、税務署が封印票を貼った。あなたは滞納者だが、その機械はあなたの所有物ではない。第三者異議の申立てはリース会社が行うもので、あなたが動く話ではない。だが放置すればリース会社との契約違反になる。あと数日で月次の点検日が来る、その前に連絡しなければ話が複雑になる
取るべき行動
被害を受けた側:第三者として保管を求められた立場なら、1. 運搬が困難と判断した根拠を職員に確認し、困難でなければ同意を留保する2. 同意する場合も、預かっている財産が誰の所有かを明確にし、自分に所有権があるなら第三者異議(国税徴収法171条の関連手続、民事執行法38条に相当する救済)を検討3. 保管の範囲、使用の可否、保管費用の負担を書面で確認4. 財産の現状を写真で記録し、引渡し時のトラブルに備える
訴えられた側:滞納者として保管を命じられたなら、1. 封印票・公示書の貼付日時と位置を撮影記録、これが効力発生時刻の証拠になる2. 事業継続に必要なら、使用を認めてもらえるか徴収職員に書面で申し出る3. 差押え自体に不服があるなら、処分を知った日の翌日から3か月以内に再調査の請求または審査請求(国税通則法75条、77条) 4. 換価の猶予(国税徴収法151条の2)や納税の猶予(国税通則法46条)の申請を並行して検討、分割納付が認められれば差押解除の道もある
時効(請求できる期限):差押処分への不服申立ては、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(国税通則法77条)。封印票の破棄・無視は時期を問わず刑法96条の対象となる。本条自体に固有の期間制限はないが、保管中に財産を隠匿・損壊すれば国税徴収法187条の滞納処分免脱罪が別途成立しうる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:60条の保管は、差押えの効力を維持したまま占有を現場に残す執行方法であり、保管者は公法上の現状維持義務を負う。使用収益の可否は徴収職員の裁量に委ねられ、許可なき使用は無断使用として評価されうると解される。
通説:効力発生時期を表示時とした2項の趣旨は、外形から差押えの存在を認識できる状態を作り出し、取引の安全と第三者保護を図る点にあるとされる。表示を欠く間は差押えの効力が生じていないと解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:国税徴収法の全部改正(昭和34年法律第147号)により現行法が成立し、差押財産の保管に関する本条が置かれた。搬出を原則としない執行方法と、表示時を効力発生時期とする特則が明文化された
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