要点国税徴収法 187 条は、滞納処分を免れる目的で財産を隠す・壊す・国に不利益に処分する行為を、三年以下の拘禁刑または 250 万円以下の罰金とする規定。滞納額ではなく行為が処罰される。
Q · 税金を滞納したまま財産を家族名義に移したら、犯罪になりますか?
滞納自体は犯罪ではないが、免れる目的の財産隠しは犯罪
国税徴収法 187 条により、滞納処分の執行を免れる目的で財産を隠蔽・損壊・国の不利益に処分すれば、三年以下の拘禁刑または 250 万円以下の罰金(併科可)の対象になります。処罰されるのは滞納額ではなく行為であり、少額の滞納でも構成要件を満たしえます。財産を預かる第三者(2 項)や、情を知って名義を貸した相手方(3 項、二年以下の拘禁刑または 150 万円以下の罰金)も独立に処罰されます。後から全額納付しても成立した犯罪は消えず、起訴猶予や量刑の情状にとどまります。
税金が払えない、それ自体は犯罪ではない。国は督促し、差し押さえ、売って税に充てる。ここまでは行政手続の世界だ。ところが一線を越えた瞬間、話は刑事の世界へ飛ぶ。国税徴収法 187 条は、滞納処分(役所があなたの財産を差し押さえて換価し、税金に充てる手続)を免れる目的で財産を隠す、壊す、国に不利な形で処分する、借金があるかのように負担を偽装する、そうした行為に三年以下の拘禁刑または 250 万円以下の罰金を科す。しかも併科できる。注意すべきは主語だ。処罰されるのは滞納者本人だけではない。滞納者の財産を預かっている第三者も(2 項)、事情を知って名義を貸した相手方も(3 項、二年以下の拘禁刑または 150 万円以下の罰金)、それぞれ独立の犯罪になる。さらに 4 項・5 項は、租税条約に基づく徴収共助の対象国税に関する部分について、国外での行為にも適用を広げている。海外に移せば逃げ切れるという発想は、条文の設計上、最初から塞がれている。
国税徴収法 187 条は滞納処分免脱罪を定める規定であり、滞納処分の執行または共助対象国税の徴収を免れる目的で行われる財産の隠蔽、損壊、国に不利益な処分、負担の仮装等を処罰する。行為主体は納税者本人のほか、その財産を占有する第三者、および情を知って相手方となった者に及び、それぞれ独立の犯罪として構成される。
国税徴収法 187 条が定める罪で、滞納処分の執行や共助対象国税の徴収を免れる目的で財産を隠す・壊す・国に不利益に処分する行為を、三年以下の拘禁刑または 250 万円以下の罰金で処罰します。
なりません。滞納は督促・差押え・換価という行政手続の対象です。犯罪になるのは、徴収を免れる目的で財産を隠したり不利益に処分したりする行為をした時点です。
免れる目的が認定されれば 187 条 1 項の「国の不利益に処分する行為」に当たりえます。目的は本人の説明ではなく、滞納時期との前後関係、対価が相場か、移転先との関係から推認されます。
公訴時効は 3 年です(刑事訴訟法 250 条 2 項、長期 5 年未満の拘禁刑)。起算点は犯罪行為が終わった時で、犯人が国外にいる間は進行が停止します(同 255 条)。
実際に隠匿・処分行為をした個人が処罰され、両罰規定(国税徴収法 189 条)により法人にも罰金が科されうる構造です。「会社の話だから自分は無関係」という前提は成り立ちません。
されえます。4 項・5 項は共助対象国税に係る部分について国外犯にも適用を広げています。共通報告基準(CRS)による口座情報交換もあり、国外移転は防御になりません。
換価の猶予(国税徴収法 151 条の 2)や納税の猶予(国税通則法 46 条)の申請があります。申請記録を先に残すと、その後の資金繰りを徴収逃れではないと説明しやすくなります。
実務上は国税当局の告発が端緒となり、検察官が起訴・不起訴を判断します。起訴猶予は検察官の裁量であり、納付しても権利として公訴を止められるわけではありません。
なりません。187 条は徴収を免れる目的での隠匿や処分という行為そのものを処罰する規定で、その後の完納は構成要件を消しません。実務上、納付は起訴猶予や量刑の重要な情状になりますが、それは検察官の裁量です(刑事訴訟法 248 条)。業界裏話ヒント:国税は告発を固める前に本人と接触し、納付の意思と実行を確認する運用が多い。稟議が回り切る前に完納または確実な分納計画を出せるかが、実際の分水嶺になる。
なりえます。「隠蔽」は財産の所在を把握できない状態にする行為を広く含み、預金を現金化して所在を不明にするのは典型例です(187 条 1 項)。生活費として費消していれば別ですが、金額と時期が徴収手続と重なるほど目的が推認されます。業界裏話ヒント:徴収職員は滞納処分のために捜索する権限を持ち(国税徴収法 142 条)、金庫やタンスの中まで開けられる。しかも裁判所の令状は要らない。この点は意外なほど知られていない。
3 項は「情を知つて」相手方となった者を二年以下の拘禁刑または 150 万円以下の罰金としています。滞納と徴収逃れの目的を知っていたかが唯一の分岐点で、名義を貸しただけでも、知っていたと認定されれば独立の犯罪です。業界裏話ヒント:この「情を知つて」の立証は、ほぼ LINE やメールの文面で決まる。「税務署がうるさいから」と相手が一言書いた履歴が、貸した側の故意を決定づける証拠になる。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 制度の性質 | 国税徴収法 187 条:刑事罰(滞納処分免脱罪) | — |
| 対象となる行為 | 免れる目的での財産の隠蔽・損壊・国に不利益な処分・負担の仮装 | — |
| 主観的要件 | 「免れる目的」という目的犯(3 項は「情を知つて」) | — |
| 効果 | 三年以下の拘禁刑または 250 万円以下の罰金(併科可) | — |
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