国税徴収法 第188条
クイックジャンプ
- 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
- 一第百四十一条(徴収職員の滞納処分に関する調査に係る質問検査権)の規定による徴収職員の質問に対して答弁をせず、又は偽りの陳述をしたとき。
- 二第百四十一条の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避したとき。
- 三第百四十一条の規定による物件の提示又は提出の要求に対し、正当な理由がなくこれに応じず、又は偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類その他の物件(その写しを含む。)を提示し、若しくは提出したとき。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第188条は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第188条の条文原文は「次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。」で始まります。
- 国税徴収法第188条は第十章に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第188条の前の条は国税徴収法第187条です。
- 国税徴収法第188条の次の条は国税徴収法第189条です。
- 国税徴収法第188条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第188条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第188条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/188
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法188条は、徴収職員の質問への不答弁・虚偽陳述、検査の拒否妨害忌避、正当な理由のない帳簿不提出に対し、一年以下の拘禁刑または五十万円以下の罰金を定める。
Q · 滞納しているのは取引先なのに、うちが税務署の質問に答えないと罰せられるんですか?
罰せられます。一年以下の拘禁刑または五十万円以下の罰金です
国税徴収法141条の質問検査権は、滞納者本人だけでなく、滞納者の財産を占有する者、滞納者に対して債務を負う者、取引関係のある者にも及びます。同法188条は、この質問に答えない・偽りを述べる、検査を拒み妨げ忌避する、正当な理由なく帳簿等の提示提出に応じない、虚偽記載の帳簿を提出する、これらの行為に一年以下の拘禁刑または五十万円以下の罰金を定めています。罰金だけでなく拘禁刑が選択肢にある犯罪類型です。さらに同法189条の両罰規定により、行為者個人だけでなく法人にも罰金刑が科されうる点に注意が必要です。
解説
玄関のインターホンが鳴り、徴収職員の身分証が示される。滞納しているのは自分ではなく取引先だ。それでも、この訪問はあなたにとって刑罰の射程内にある。国税徴収法141条の質問検査権は、滞納者本人だけでなく、滞納者の財産を占有する者、滞納者に対して債務を負う者、取引関係にある者にも及ぶ。そして188条は、その質問に答えないこと、偽りを述べること、検査を拒み妨げ忌避すること、正当な理由なく帳簿の提示提出に応じないこと、これらすべてに一年以下の拘禁刑または五十万円以下の罰金を用意している。罰金だけの規定ではない。拘禁刑が選択肢にある以上、これは逮捕も前科もありうる犯罪類型だ。しかも条文をよく読むと、「正当な理由」という逃げ道が書かれているのは第三号の提示提出要求だけで、第一号の答弁と第二号の検査には文言上その留保がない。あなたがその場で「今は忙しい」と言って追い返すとき、どの号に触れているのかで法的評価は変わる。
法的な位置づけ
国税徴収法188条は、滞納処分に関する調査の実効性を確保するための罰則規定である。同法141条による徴収職員の質問に対する不答弁・虚偽陳述、検査の拒否・妨害・忌避、正当な理由のない物件の不提示不提出および虚偽記載物件の提示提出を構成要件とし、一年以下の拘禁刑または五十万円以下の罰金を法定刑とする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.身分証と根拠条文をその場で確認し記録する 徴収職員が来訪したら、身分証明書の提示を求め、氏名・所属部署・訪問日時をメモする。あわせて国税徴収法141条に基づく滞納処分の調査なのか、国税通則法第11章の犯則調査なのかを口頭で確認する。同じ質問でも位置づけが違い、後の供述の使われ方が変わる
- 2.誰の滞納に関する調査かと自社との関係範囲を特定する 調査対象となっている滞納者が誰かを確認し、自社がその滞納者に対して負っている債務(未払いの外注費・買掛金)や、預かっている財産の範囲を把握する。答える前に自社の債権債務を整理しておくことで、直後に届きうる債権差押通知書への備えができる
- 3.記憶が曖昧な事項は断定せず期日を切って回答する その場で確実に答えられない事項について、推測で辻褄を合わせる回答は絶対に避ける。「確認のうえ何月何日までに回答する」と述べ、その内容をメールまたは書面で残す。虚偽陳述(第一号)のリスクを断ち、同時に不答弁の固定化も避けられる
- 4.提示提出は理由と期日を明示して書面で申し入れる 帳簿等の提示提出に即応できない場合、無言で拒むのではなく「顧問税理士の立会いのうえ何月何日までに提出する」と理由と期日を明示して書面かメールで残す。第三号の「正当な理由」の有無が争われる場面で、記録の有無が決定的に効く
- 5.虚偽記載物件の提出だけは絶対に避ける 手元の売上ノートや帳簿の写しに実際と異なる数字が記載されている場合、そのまま提出すれば第三号後段の「偽りの記載をした帳簿書類の提出」に該当する。写しも条文に明記されている。誤りに気づいたら速やかに訂正した資料と訂正理由書を提出する
- 6.立件のおそれがあれば税理士に加えて弁護士を入れる すでにした発言の内容と日時を時系列で復元して記録化し、事実誤認があれば速やかに訂正回答書を提出する。訂正の早さは情状に直結する。滞納本体については納税の猶予(国税通則法46条)の申請も並行し、悪質性の評価を下げる。拘禁刑の可能性がある類型である以上、早い段階で弁護士に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1国税徴収法188条とは何ですか?
徴収職員の滞納処分調査に対する妨害行為の罰則規定です。不答弁・虚偽陳述・検査拒否・帳簿の不提出に、一年以下の拘禁刑または五十万円以下の罰金を定めています。
Q2税務署の質問に答えないと逮捕されますか?
法定刑に一年以下の拘禁刑があるため、逮捕・勾留の対象になりうる類型です。ただし実務上、単純な不答弁のみでの立件は多くなく、虚偽陳述や偽りの帳簿提出が摘発されやすい傾向です。
Q3帳簿の提示を断る正当な理由とは?
第三号のみ「正当な理由」の留保があります。担当者の入院、書類の保管先が遠隔地、税理士の日程調整など、期日を切って書面で申し入れた事情が評価対象になります。
Q4滞納していない第三者も罰則の対象ですか?
対象です。141条の質問検査権は滞納者の財産を占有する者、滞納者に債務を負う者、取引関係者にも及び、その者の違反行為に188条が適用されます。
Q5従業員が嘘をついたら会社も罰せられますか?
同法189条の両罰規定により、行為者本人のほか法人にも罰金刑が科されうります。社内の税務調査対応ルールがない会社はこの点で無防備です。
Q6税務調査の事前通知は滞納処分調査にもありますか?
ありません。事前通知を定めるのは国税通則法74条の9で、滞納処分に関する調査には及びません。抜き打ち訪問が制度上ありえます。
Q7国税徴収法188条の時効はいつまで?
法定刑の長期が一年の拘禁刑のため、公訴時効は3年です(刑訴法250条2項)。起算点は犯罪行為が終わった時(同253条)です。
Q8答弁を強制するのは憲法違反ではないですか?
最高裁は川崎民商事件(最大判昭和47年11月22日)で、犯罪捜査を直接の目的としない行政上の質問検査に罰則を付すことが直ちに憲法38条1項に違反するものではないとしています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1うちが滞納してるわけじゃないのに、なんで税務署がうちに聞きに来るんですか?
国税徴収法141条の質問検査権は、滞納者本人のほか、滞納者の財産を占有する者、滞納者に対して債務を負う者、取引関係のある者にも及ぶからだ。売掛金や預り品を差し押さえるための情報収集である。実務のポイント:この訪問は「あなたが滞納者に何を支払う予定か」を確定させる目的が多い。ここで支払時期や金額を軽々に述べると、その直後に債権差押通知書が届き、取引先への支払が法的にできなくなる。答える前に自社の債権債務を整理しておくかどうかで、資金繰りの読みが変わる。
Q2その場で答えたくないとき、黙っていたら捕まりますか?
沈黙は188条1号の「答弁をせず」に形式上該当しうる。憲法38条1項との関係では、最高裁(最大判昭和47.11.22、川崎民商事件)が、犯罪捜査を直接の目的としない行政上の質問検査に罰則を付すことを直ちに違憲ではないとしている。実務のポイント:実務上、単純な不答弁だけで起訴される例は多くない。摘発されやすいのは虚偽陳述と偽りの帳簿提出のほうだ。分からないことを「分からない」と言うのと、辻褄を合わせるために作り話をするのとでは、リスクの桁が違う。
Q3顧問税理士に立ち会ってもらうまで待ってください、と言うのはダメですか?
帳簿等の提示提出(188条3号)については条文に「正当な理由がなく」という留保があり、合理的な期間の猶予要請が直ちに違反になるとは限らない。ただし立会い希望それ自体が常に正当な理由になるかは、実務上、解釈が分かれている。実務のポイント:口頭で「待ってください」と言うだけでは記録に残らず、後から単なる拒絶と評価されやすい。期日を切ってメールや書面で申し入れた事実があるかどうかが、後日この一語の意味を決める。
間違えやすい点 AI による整理
- 「滞納しているのは自分ではないから関係ない」という問いの立て方自体が間違っている。141条の調査対象は滞納者に限られない。滞納者の財産を持つ者、債務を負う者、取引先が正面から含まれる。あなたが問うべきは「自分は滞納者か」ではなく「自分は滞納者の財産や債務につながっているか」である
- 答弁拒否に罰則があること自体は知っていても、その重さを取り違えている人が多い。50万円以下の罰金という部分だけが記憶に残るが、条文は「一年以下の拘禁刑又は」と並べている。拘禁刑が選択肢にある犯罪は、逮捕・勾留・前科の対象になりうる類型だということだ
- あなたから見れば、税務署の人が来て少し話をしただけの出来事である。法律から見れば、罰則で担保された行政調査に対する応答であり、その場の発言は後に供述として評価される。この落差を意識しないまま口を滑らせた一言が、後から取り返せなくなる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する対象 | 188条:質問検査(141条)への不答弁・虚偽陳述・検査拒否・帳簿不提出 | 187条:財産の隠蔽・損壊・仮装譲渡などの滞納処分免脱 189条:法人の代表者・従業者の違反行為に対する両罰規定 |
| 法定刑 | 一年以下の拘禁刑または五十万円以下の罰金 | より重い法定刑(滞納処分の実体を害する類型のため) 行為者を罰するほか法人に罰金刑を科す |
| 行為主体 | 滞納者本人のほか財産占有者・債務者・取引関係者を含む調査対象者 | 主として滞納者本人およびその情を知った第三者 法人その他の団体(行為者の所属先) |
| 「正当な理由」の抗弁 | 第三号(物件の提示提出)のみ条文上明示。第一号・第二号には文言なし | 免脱目的の有無が争点となる 相当の注意・監督義務の履行が免責事由となりうる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は拒絶調査・帳簿不提示に対して行政罰(罰鍰)を中心に構成し、日本のように拘禁刑を第一次的な法定刑に置かない点で設計思想が異なる
韓国も質問検査の拒否・妨害に罰則を置くが、租税犯処罰法に集約する立法形式をとる。日本の徴収法内完結型と対照的
ドイツは強制金(Zwangsgeld)等の行政的強制手段を第一次手段とし、刑罰は Steuergefährdung 等の限定的類型にとどめる。間接強制の手段選択が日本より段階的
米国は IRS summons に従わない場合、裁判所による enforcement を経由し、なお従わなければ1年以下の拘禁と罰金。裁判所の介在という手続的統制を挟む点が日本と異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先の建設会社が国税を滞納した。ある朝、徴収職員があなたの事務所に来て「御社の未払いの外注費はいくら残っていますか」と聞く。滞納者の債権を差し押さえるための調査だ。ここで「もう全部払いました」と事実と違う答えをすれば、それは第一号の偽りの陳述にあたる。取引先をかばう一言が、あなた自身の刑事事件になる
- もし徴収職員が「帳簿を見せてください」と言ってきたら、その場で拒めるのか。第三号には「正当な理由がなく」という文言がある。顧問税理士の立会いを求めて日時を改める交渉と、理由を告げずに扉を閉めることは、条文上まったく別の評価になる
- 飲食店を経営していて消費税を滞納した。徴収職員がレジ裏の売上ノートの提出を求める。手元のノートには実際より少ない数字を書き写したものがあり、それを渡した。第三号後段の「偽りの記載をした帳簿書類の提出」に該当する。写しも条文に明記されている
- 差押えの予告を受けてから三日。あなたは弁護士に相談する時間を稼ぎたい。だが調査への対応を先延ばしにするうち、答弁拒否の状態が固定化していく。時間稼ぎと拒絶の境界線は、あなたが何をどう記録に残したかで決まる
- 従業員が本人の判断で徴収職員に嘘を答えた。会社は無関係か。国税徴収法189条の両罰規定により、行為者だけでなく法人にも罰金刑が科されうる。社内に「税務署が来たら誰がどう対応するか」の取決めがない会社は、この一点で無防備だ
取るべき行動
被害を受けた側:調査を受ける側(滞納者本人でない第三者を含む)の手順。1. 身分証の提示を求め、氏名・所属・訪問日時を記録2. 滞納処分の調査(国税徴収法141条)か犯則調査かを口頭で確認3. 誰の滞納に関する調査かを聞き、自社との関係(債務・預り財産)の範囲を特定4. 記憶が曖昧な事項はその場で断定せず「確認して回答する」と述べ、期日を明示5. 提示提出は期日を切って書面で応じる。虚偽の数字を出すことだけは絶対に避ける
訴えられた側:答弁拒否や虚偽陳述で立件されそうな側の手順。1. すでにした発言の内容と日時を時系列で復元し、記録化2. 事実誤認や記憶違いであれば、速やかに訂正した回答書を提出する。訂正の早さは情状に直結する3. 第三号の事案なら、応じられなかった具体的事情(担当者の入院、書類の所在、税理士の日程)を疎明資料とともに整理4. 滞納本体の分割納付や納税の猶予(国税通則法46条)の申請と並行して進め、悪質性の評価を下げる5. 拘禁刑の可能性がある類型である以上、早い段階で税理士だけでなく弁護士も入れる
時効(請求できる期限):公訴時効は3年(法定刑の長期が1年の拘禁刑であるため、刑事訴訟法250条2項)。起算点は犯罪行為が終わった時(同253条)で、答弁拒否や虚偽陳述をしたその日から進行する。滞納処分そのものの進行とは別の時計が動いていると考えること(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:188条は141条の質問検査権を刑罰で担保する間接強制の規定であり、直接強制(実力行使)は認められない。したがって徴収職員は罰則を背景に協力を求めうるにとどまり、実力で帳簿を奪うことはできず、それを行うには142条の捜索によるべきであるとされる
有力説:第一号・第二号には「正当な理由」の文言がないが、可罰的違法性および期待可能性の観点から、合理的な事情がある不応答・不応対まで一律に処罰対象とすべきではないと解する見解。実務上も単純不答弁のみでの立件は抑制的である
改正沿革 AI による整理
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 懲役と禁錮を拘禁刑に統合する刑法改正に伴い、本条の「一年以下の懲役」が「一年以下の拘禁刑」に改められた
- 検証が必要な項目 帳簿書類その他の物件の提示提出要求違反(第三号)の追加時期、および罰金額の引上げ時期については、税制改正による沿革の確認が必要。改正年と改正内容に確信がないため total_revisions を -1としている
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:国税徴収法の全部改正(昭和34年法律第147号)に伴い、質問検査権とこれを担保する罰則の体系が整備された
- 2.令和4年(2022年)公布・令和7年(2025年)6月1日施行 改正:懲役と禁錮を拘禁刑に統合する刑法改正に伴い、本条の「一年以下の懲役」が「一年以下の拘禁刑」に改められた
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める