国税徴収法 第142条(捜索の権限及び方法)
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- 徴収職員は、滞納処分のため必要があるときは、滞納者の物又は住居その他の場所につき捜索することができる。
- 2.徴収職員は、滞納処分のため必要がある場合には、次の各号の一に該当するときに限り、第三者の物又は住居その他の場所につき捜索することができる。
- 一滞納者の財産を所持する第三者がその引渡をしないとき。
- 二滞納者の親族その他の特殊関係者が滞納者の財産を所持すると認めるに足りる相当の理由がある場合において、その引渡をしないとき。
- 3.徴収職員は、前二項の捜索に際し必要があるときは、滞納者若しくは第三者に戸若しくは金庫その他の容器の類を開かせ、又は自らこれらを開くため必要な処分をすることができる。
この条文の基本情報
捜索の権限及び方法とは何ですか?
定義捜索の権限及び方法とは、国税徴収法第142条に定められた規定で、「徴収職員は、滞納処分のため必要があるときは、滞納者の物又は住居その他の場所につき捜索することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第142条(捜索の権限及び方法)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第142条の条文原文は「徴収職員は、滞納処分のため必要があるときは、滞納者の物又は住居その他の場所につき捜索することができる。」で始まります。
- 国税徴収法第142条は第二款に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第142条の前の条は国税徴収法第141条の2です。
- 国税徴収法第142条の次の条は国税徴収法第143条です。
- 国税徴収法第142条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第142条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第142条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/142
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法142条は、徴収職員が滞納処分のため必要があるときに滞納者の物・住居を令状なしで捜索できると定める。戸や金庫を自ら開くため必要な処分も認められる。
Q · 税金を滞納したら、令状なしで家の中を捜索されるんですか?
されます。滞納処分の捜索に令状は不要です
国税徴収法142条1項により、徴収職員は滞納処分のため必要があるときに滞納者の物・住居その他の場所を捜索できます。刑事手続と異なり裁判官の令状は要件ではなく、税額が確定した後の行政の自力執行として位置づけられているためです。3項は戸や金庫を開かせ、応じなければ職員自ら開くため必要な処分(施錠の破壊等)を認めます。ただし第三者の場所は2項の二類型に限られ、時間制限(143条)、立会人(144条)、捜索調書の交付(146条)が歯止めとして置かれています。
解説
刑事ドラマの家宅捜索には裁判官の令状が要る。だが税金の滞納で徴収職員が玄関に立つとき、その手に令状はない。国税徴収法142条1項は、滞納処分のため必要があるときは、滞納者の物・住居その他の場所を捜索できると定める。根拠は、税額がすでに確定しており、行政が裁判所を通さず自ら執行できる(自力執行力)という点にある。3項はさらに踏み込む。戸や金庫その他の容器の類を開かせ、応じなければ職員が自ら開けるため必要な処分ができる。鍵屋を呼んでシリンダーを壊す、それが法律上あらかじめ予定された手順だ。ただし無制限ではない。第三者の家に踏み込めるのは2項の二類型に限られ、しかも「その引渡をしないとき」が要件になっている。求められた時点で素直に渡せば、捜索の根拠はそこで消える。あなたが握っておくべきは条文の文言ではなく、この条文が与えているのが「入る権限」であって「いつでも誰の家でも何をしてもよい権限」ではない、という線引きの位置だ。
法的な位置づけ
国税徴収法142条は滞納処分における捜索権を定める規定であり、徴収職員が滞納処分のため必要があるときに滞納者の物・住居その他の場所を捜索できる旨を規定する。第三者の場所については財産所持者または特殊関係者が引渡しをしない場合に限定され、戸・金庫等を開くため必要な処分をする権限も併せて認められる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.身分証明書と開始時刻を記録する 徴収職員に身分証明書の提示を求め(147条)、氏名・所属・到着時刻・捜索着手時刻をその場でメモする。日出前・日没後の着手は原則できないため(143条1項)、時刻は後に手続の適法性を争う唯一の一次資料になる
- 2.立会人の要件を確認する 144条により、同居の親族や成年者が立ち会えないときは市町村職員または警察官の立会いが必要になる。誰が立ち会っているかを確認し、要件を欠く場合はその事実を記録する
- 3.所有関係を最初に明示する 第三者の物や家族名義の財産がある場合、購入資金の出所(通帳の記録、領収書)を示して所有関係を主張する。求められた財産が自分の所有でなく滞納者のものであれば、その場で引き渡せば2項の要件が満たされず自宅の捜索は回避できる
- 4.現場では実力行使をしない 職員は捜索の場所への出入りを禁止できる(145条)。腕をつかむ、押し返す、財産を隠す・持ち出すといった行為は公務執行妨害罪(刑法95条)や滞納処分免脱罪(187条)の評価材料になる。抗議ではなく記録に徹する
- 5.捜索調書の謄本を必ず受け取る 捜索終了時に捜索調書の謄本の交付を求める(146条2項)。何も差し押さえられなかった場合ほど軽視されるが、開けた場所・立会人・時刻の記録は後の不服申立てで唯一の証拠になる
- 6.争う場を現場から手続に移す 捜索や差押えの違法を争う場合、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に審査請求を行う(国税通則法75条、77条)。並行して、換価の猶予(151条の2)や分割納付の相談を税務署の徴収担当に持ち込む
よくある質問 AI による整理
Q1滞納処分の捜索とは何ですか?
徴収職員が差押財産を探すため、滞納者の物・住居その他の場所を調べる強制手続です。国税徴収法142条が根拠で、裁判官の令状は要件になっていません。
Q2税金の滞納で家に来るのはいつからですか?
督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないと差押えが可能になり(47条1項1号)、その段階で捜索も法的に可能な状態になります。
Q3滞納処分の捜索は拒否できますか?
拒否する法的な立場はありません。直接強制であり同意は要件ではないため、拒否しても職員は3項により自ら戸や金庫を開けることができます。
Q4捜索は何時までできますか?
原則として日出前・日没後には着手できません(143条1項)。旅館等で公開された時間内は例外です。着手時刻の記録が後の争点になります。
Q5捜索に立会人は必要ですか?
必要です(144条)。同居の親族や成年者がいないときは市町村職員または警察官の立会いを求めなければなりません。立会人は捜索調書に記録されます。
Q6金庫を壊されたら弁償されますか?
142条3項の必要な処分に該当する限り適法な執行に伴う損壊とされ、原則として弁償の対象になりません。必要な限度を超えた場合は国家賠償で争う余地があります。
Q7同居していない家族の家も捜索されますか?
されうります。親族その他の特殊関係者が滞納者の財産を所持すると認めるに足りる相当の理由があり、引渡しをしないときは2項2号で捜索対象になります。
Q8住民税や国保料の滞納でも同じ捜索を受けますか?
受けます。地方税や社会保険料の滞納処分は国税徴収法の滞納処分の例によるとされ、市区町村の徴収職員も同等の捜索権限を行使します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1留守にしてたら、勝手に鍵を開けて入られるんですか?
入られます。142条3項が戸や金庫その他の容器の類を開くため必要な処分を認めており、不在でも執行できます。ただし144条により、同居の親族や成年者がいないときは市町村職員か警察官の立会いが必要です。実務のポイント:立会人が誰だったかは捜索調書に記録されます(146条)。立会人の要件を欠いた捜索は手続の違法を主張する足がかりになるので、帰宅したらまず調書の立会人欄を見る
Q2税務調査を断るのと、この捜索を断るのって同じことですか?
まったく別物です。調査段階の質問検査(国税通則法74条の2)は協力を求める間接強制で、拒否には罰則があります(同法128条、最新の改正状況をご確認ください)。142条の捜索は直接強制で、あなたの協力を要件にしていない。だから拒否に対する罰則も置かれていません。実務のポイント:協力しても捜索の範囲は縮まらないが、自ら納付計画を出したかどうかは、その後の換価の猶予(151条の2)の判断に効いてくる
Q3家族の物まで持っていかれるんですか? 妻名義の車は?
名義ではなく実質的な所有関係で判断されます。滞納者本人の財産でなければ差押えはできませんが、142条2項2号は、親族その他の特殊関係者が滞納者の財産を所持すると認めるに足りる相当の理由があれば捜索を認めます。「捜索される」と「差し押さえられる」は別の話です。実務のポイント:購入資金の出所を示す通帳の記録が、家族名義の財産を守る最強の証拠になる。名義を分けているだけでは弱い
Q4捜索って、身体検査までされるんですか?
条文は「滞納者の物又は住居その他の場所」と書いており、身体そのものは対象外と解されています。ただし着衣のポケットや携帯している鞄は「物」に含まれるとして扱われるのが実務で、この線引きは実務上、解釈が分かれている領域です。実務のポイント:その場で財産を隠した、持ち出した、投げたという行為は、後に滞納処分免脱罪(187条)の評価材料になりうる。動かさない、隠さないが原則
間違えやすい点 AI による整理
- 「令状がないなら拒否できるはずだ」という問いの立て方そのものがずれている。滞納処分の捜索は、税額がすでに確定した後の執行手続であって、犯罪捜査ではない。争う場は捜索の現場ではなく、その前段階の課税処分(審査請求・訴訟)か、その後の差押処分への不服申立てだ。玄関先での押し問答は、法的にはほとんど何も生まない
- 捜索と聞いて「引き出しを開けられる」程度を想像している人は多い。実際には3項が、金庫その他の容器の類を「自ら開くため必要な処分」まで認めている。鍵を壊す、こじ開ける、それが適法な範囲の内側にある。深刻なのはその先で、必要な限度での破損は適法な執行に伴うものとされ、原則として弁償されない
- 「第三者の自分には関係ない」と考えていても、滞納者の親族その他の特殊関係者にあたれば、相当の理由がある限り捜索の対象になる(2項2号)。同居していなくても、生計を別にしていても、この枠から自動的に外れるわけではない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 権限の性質 | 142条:直接強制の捜索、同意不要・令状不要 | 141条:質問検査権、間接強制で相手の応答が前提 国税通則法74条の2:調査段階の質問検査、拒否に罰則あり |
| 発動の前提 | 税額確定後、滞納処分のため必要があるとき | 滞納処分に関する調査の必要があるとき 課税標準等の調査の必要があるとき(税額確定前) |
| 第三者への及び方 | 2項の二類型に限定(財産所持者・特殊関係者が引渡しをしないとき) | 滞納者の財産を占有する第三者等に質問可 取引先等への反面調査が可能 |
| 手続的歯止め | 時間制限(143条)・立会人(144条)・捜索調書(146条)・身分証提示(147条) | 身分証提示(147条) 事前通知(国税通則法74条の9)・理由附記 |
他国ではどう定めているか 6 か国
台湾は滞納整理を行政執行署に集約し、査封の際の住宅立入り・容器開扉は強制執行法の準用による。徴収機関が自ら捜索するのではなく、専門の執行機関が担う点が日本と大きく異なる
韓国も税務公務員による捜索を認め、第三者の場所への捜索を限定列挙する構造は日本とほぼ同型。日本統治期に継受した制度が戦後も維持された典型例
税務機関に強制執行措置(預金の差押え、財産の差押え・競売)を認めるが、住居捜索に相当する明文の権限構成は日本ほど整備されていない
ドイツは執行官の住居立入り・施錠開扉を認めるが、居住者の同意がない住居捜索には裁判官の許可(richterliche Anordnung)を要する点で、日本より令状主義に近い設計になっている
フランスは税の強制回収を司法執行官(huissier de justice)の手続に接続し、住居内での差押えには居住者不在時などに検察官等の関与が必要となる場面がある
米国は行政上の levy 自体は令状不要だが、私的な住居・建物への立入りには合衆国憲法修正4条により令状が必要とされる。日本の142条とは住居に関する扱いが正反対
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、朝8時に徴収職員が三人で玄関に立ち、身分証明書を提示してきたら? 追い返す法的な立場はない。だが日没後に着手する捜索は原則として認められていない(143条1項)。始まった時刻を時計で確認してメモを取る、それが後で唯一残る一次資料になる
- 同居していない弟が滞納していて、弟の高級時計をあなたが預かっている。職員が来て引渡しを求めたとき、断ればあなたの部屋そのものが捜索対象になる(2項2号)。渡せば、あなたの家は開かれない。分かれ道は「持っているかどうか」ではなく「渡すかどうか」にある
- 店のレジの現金が目の前で数えられていく。あなたは止める言葉を持たない。滞納処分の捜索に、受ける側の同意は要件として書かれていない
- 督促状が届いてから10日。この期間が過ぎれば法律上は差押えが可能になり(47条1項1号)、差押えができる状態とは捜索もできる状態ということだ。分割納付や換価の猶予を相談しに行くか、通帳を睨んで待つか、選べる時間が残っているのは今だけ
- 取引先の事務所に徴収職員が入ってきて、あなたはたまたま居合わせた。職員は捜索の場所への出入りを禁止できる(145条)。腕をつかんで押し返せば、その瞬間に公務執行妨害罪(刑法95条)の現行犯になりうる。ここは実力で戦う場面ではない
取るべき行動
被害を受けた側:捜索を受ける滞納者本人の場合。1. 身分証明書の提示を求め(147条)、氏名・所属・開始時刻をメモする2. 立会人が誰かを確認する(144条)。同居の親族や成年者がいないときは市町村職員または警察官の立会いが必要3. 日没後に着手された捜索は原則として認められない(143条1項)、時刻の記録が後の争点になる4. 終了時に捜索調書の謄本を受け取る(146条2項) 5. 現場では抗議より記録に徹する。争う場は差押処分に対する審査請求(国税通則法75条、77条)
訴えられた側:巻き込まれた第三者の立場の場合。1. その物が誰の所有かを最初に確定させる。あなた自身の所有物なら引渡義務はなく、2項の要件も満たされない2. 引き渡すなら、何をいつ渡したかの受領書を必ずもらう3. 自分の所有物なのに差し押さえられたら、現場での実力行使ではなく、差押処分に対する審査請求と取消訴訟で争う4. 職員の身体に触れる行為は公務執行妨害罪(刑法95条)と評価されうる、手は出さない
時効(請求できる期限):142条自体に期間の定めはないが、捜索は原則として日出前・日没後に着手できない(143条1項、ただし旅館等で公開された時間内は例外)。前提として、督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないときに差押えが可能になる(47条1項1号)。捜索や差押えの違法を争う場合は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に審査請求(国税通則法75条、77条)
学説
通説:142条の捜索は行政上の強制徴収の一環であり、犯罪捜査を目的としないため憲法35条の令状主義は直接適用されないと解されている。もっとも住居の平穏の保障は、143条の時間制限、144条の立会人、146条の調書交付といった手続的規律によって代替的に確保されるべきものとされる。
身体検査の射程に関する実務的理解:条文が「滞納者の物又は住居その他の場所」と規定していることから、身体そのものは捜索の対象外と解される。他方で着衣のポケットや携帯する鞄は「物」に含まれるものとして扱われるのが実務であり、この境界は解釈が分かれる領域として残されている。
3項の必要な処分の限界:施錠された戸・金庫を開くための破損は、必要な限度にとどまる限り適法な執行に伴うものとして受忍すべきとされ、原則として損失補償の対象にならない。必要な限度を超えた損壊は国家賠償法上の違法評価を受けうるとするのが一般的な理解である。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 改正:国税徴収法の全部改正により現行の体系が成立。捜索権限を条文として整備し、時間制限・立会人・捜索調書の交付といった手続的規律を併せて置くことで、令状主義によらない住居立入りの適正化を図った
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