国税徴収法 第21条(留置権の優先)
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- 留置権が納税者の財産上にある場合において、その財産を滞納処分により換価したときは、その国税は、その換価代金につき、その留置権により担保されていた債権に次いで徴収する。この場合において、その債権は、質権、抵当権、先取特権又は第二十三条第一項(法定納期限等以前にされた仮登記により担保される債権の優先)に規定する担保のための仮登記により担保される債権に先立つて配当するものとする。
- 2.前項の規定は、その留置権者が、滞納処分の手続において、その行政機関等に対し、その留置権がある事実を証明した場合に限り適用する。
この条文の基本情報
留置権の優先とは何ですか?
定義留置権の優先とは、国税徴収法第21条に定められた規定で、「留置権が納税者の財産上にある場合において、その財産を滞納処分により換価したときは、その国税は、その換価代金につき、その留置権により担保されていた債権に次いで徴収…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第21条(留置権の優先)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第21条の条文原文は「留置権が納税者の財産上にある場合において、その財産を滞納処分により換価したときは、その国税は、その換価代金につき、その留置権により担保されていた債権に次いで徴収…」で始まります。
- 国税徴収法第21条は第三節に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第21条の前の条は国税徴収法第20条です。
- 国税徴収法第21条の次の条は国税徴収法第22条です。
- 国税徴収法第21条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第21条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第21条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/21
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法21条は、留置権がある財産を滞納処分で換価したとき、国税は留置権で担保された債権に次いで徴収され、その債権は質権や抵当権より先に配当されると定める。適用には証明が必要。
Q · 預かっている車が税金の滞納で差し押さえられたら、未払いの修理代は取れなくなるの?
証明すれば取れます。抵当権より先に配当されます
国税徴収法21条により、留置権がある財産が滞納処分で換価された場合、国税はその留置権で担保されていた債権に次いで徴収されます。つまり修理代や保管料は国税より先に配当され、さらに質権、抵当権、先取特権、同法23条1項の担保のための仮登記により担保される債権よりも先に配当されます。ただし2項により、滞納処分の手続において行政機関等に留置権がある事実を証明した場合に限られ、黙っていれば優先の地位は使えないまま手続が終わります。
解説
修理代38万円が未払いのまま預かっている車。ある日、徴収職員が来て「その車は差押え済みだ、引き渡せ」と告げる。ここで諦めるのは早い。国税徴収法21条は、換価代金から、留置権で担保されていた債権を国税より先に配当すると定める。それだけではない。その債権は質権、抵当権、先取特権、23条1項の担保仮登記により担保される債権よりも先に配当される。つまり公売代金の分配表で、あなたは事実上の最上段に座る。民法の教科書では、留置権は物を返さないという圧力を持つだけで優先弁済権はないと習う。その権利が、滞納処分の場面だけは配当の先頭に呼ばれる。ただし2項が条件を一つ切っている。「留置権がある事実を証明した場合に限り」。黙っていれば、法律上の最優先権者が一円も受け取らずに手続が終わる。
法的な位置づけ
国税徴収法21条は、滞納処分により換価された財産上の留置権について、配当順位を定める規定である。国税は留置権により担保されていた債権に次いで徴収され、当該債権は質権、抵当権、先取特権および同法23条1項の担保のための仮登記により担保される債権に先立って配当される。適用は、留置権者が滞納処分の手続において行政機関等にその事実を証明した場合に限られる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.引き渡す前に三点の証拠を固める 預り証、注文書、請求書から(a)占有取得の時期(b)債権の発生原因(c)残債権額の三点を一枚に整理する。占有取得が債権発生より前に見えると牽連性を疑われるため、日付の整合を先に確認する
- 2.行政機関等へ書面で留置権の存在を申し出る 国税徴収法21条2項に基づき、留置権がある事実を書面で証明する。口頭では記録に残らない。発生原因を示す契約書、債権額のわかる請求書、占有取得時期を示す預り証を添付し、担当部署と受付日を控える
- 3.引渡命令には期限内に応じ、受領書を取る 国税徴収法58条2項の引渡命令に期限内に応じる。その際「引き渡すが21条により配当は最上位で受ける」旨を書面で明示し、引換えに受領書を取得しておく。後出しの主張ではなく当初からの前提として扱われる
- 4.配当が確定する前に到達を確認する 換価代金の配当が確定する前に、証明書面が担当部署に届き記録されているかを確認する。公売が済んでからでも間に合うと構え、配当計算書が出た後に動くと、条文上は最優先の権利が使えないまま終わる
よくある質問 AI による整理
Q1国税徴収法21条とは何ですか?
滞納処分で換価された財産に留置権があるとき、国税は留置権で担保された債権に次いで徴収されると定める規定です。その債権は質権や抵当権より先に配当されます。
Q2留置権の証明はいつまでにすればよいですか?
条文に明示の期限はありませんが、実務上は換価代金の配当が確定する前に届いている必要があります。配当計算書が出た後の申出では、事実上間に合いません。
Q3商人間の留置権も21条の対象になりますか?
条文は留置権の種類を限定していません。商法521条の商人間留置権も、運送・倉庫実務で成立していれば21条の適用対象として扱われます。
Q4引渡命令に応じたら優先配当は失われますか?
物の引渡しと配当上の優先は別の問題です。国税徴収法58条2項の引渡命令に応じても、留置権が存在した事実を証明できれば21条2項の適用を受けられる扱いです。
Q521条の証明をしないとどうなりますか?
2項は証明した場合に限り1項を適用すると定めます。証明しなければ最優先の地位は使われず、その分の配当は国税や後順位の担保権者に流れます。
Q6留置権が成立しないのはどんな場合ですか?
債権がその物に関して生じたものでない場合(民法295条1項)、占有が不法行為により始まった場合(同条2項)です。この場合21条の優先も生じません。
Q721条には抵当権のような時期の要件はありますか?
ありません。15条や16条は「法定納期限等以前」の設定を要求しますが、21条にはその要件がなく、留置権の成立時期は問われません。
Q8配当表で留置権の順位を争えますか?
争えます。被担保債権額の当否や、その物に関して生じた債権かという牽連性、占有取得の経緯を検証し、留置権の成立自体を争う余地があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1差押えの書類が来たら、預かってる物は素直に渡さなきゃダメなんですか?
第三者が占有する動産は、その第三者が引渡しを拒めば原則として差し押さえられません(国税徴収法58条1項)。ただし期限を指定して引渡しを命じられ、応じなければ差押えが可能になります(同条2項、3項)。実務のポイント:拒み続けても最終的に差押えは避けられず、心証を損ねるだけです。引渡しに応じる代わりに、21条2項の証明の宛先と配当の予定時期を担当者に確認しておくほうが、回収額には直結します
Q2抵当権が付いてる機械を修理しました。銀行より先に取れるって本当ですか?
留置権が有効に成立していて、21条2項の証明をすれば、抵当権や質権、先取特権、23条1項の担保のための仮登記で担保される債権より先に配当を受けます。設定時期の前後は問われません。実務のポイント:争点は順位ではなく牽連性に移ります。相手方はまず「その物に関して生じた債権か」(民法295条1項)を突いてくるので、修理・保管の対象物と請求書の記載が一対一で対応しているかを先に固めておくことです
Q3証明ってどうやるんですか、決まった書式はありますか?
条文に書式の定めはなく、行政機関に対して書面で申し出るのが実務です。留置権の発生原因を示す契約書や注文書、債権額のわかる請求書、占有取得の時期を示す預り証などを添えます(国税徴収法21条2項、詳細は国税徴収法基本通達21条関係)。実務のポイント:預り証の日付が生命線です。占有の取得が債権の発生より前に見えると牽連性を疑われ、それだけで最上位の席を落とすことがあります
間違えやすい点 AI による整理
- 留置権に優先弁済権がないことを知っている人でも、その帰結が手続ごとに正反対になることまでは追えていない。破産手続では民事留置権は破産財団に対して効力を失い(破産法66条3項)、不動産競売では消滅せず買受人が引き受け(民事執行法59条4項)、そして滞納処分では配当の最上位に立つ。同じ一つの権利が、どの手続に転ぶかで三つの顔を持つ
- 「抵当権のほうが先に設定されているのだから、自分は後順位だ」という問いの立て方そのものが誤っている。21条には15条や16条のような時期要件がない。留置権はいつ成立したかを問われず、質権、抵当権、先取特権、担保のための仮登記により担保される債権のすべてに先立って配当される
- 引き渡してしまえば終わりだと思われがちだが、物の引渡しと配当上の優先は別の話である。徴収職員の引渡命令(国税徴収法58条2項)に応じても、実務上は留置権が存在した事実を証明すれば21条2項の適用を受けられる扱いとなっている。権利を失うのは引き渡した瞬間ではなく、証明しないまま配当が終わった瞬間である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 配当順位 | 21条:留置権で担保された債権が国税より先、かつ質権・抵当権・先取特権・担保仮登記債権より先 | 15条:質権は要件を満たせば国税に優先 16条:抵当権は要件を満たせば国税に優先(留置権には劣後) |
| 時期の要件 | なし。留置権の成立時期は問われない | 法定納期限等以前の設定が必要 法定納期限等以前の設定登記が必要 |
| 公示 | 公示なし。占有という事実のみで発生 | 登記・登録または証書の日付等 設定登記 |
| 手続上の負担 | 2項により行政機関等への証明が適用条件 | 登記等により原則として職権で把握される 登記等により原則として職権で把握される |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も税捐の優先を原則としつつ、留置権を含む担保物権との調整を図る。ただし日本の21条のように、留置権を租税にも登記済み担保物権にも一律先行させる明文の配当順位規定は置かれていない
韓国も国税優先を原則とし、その例外として担保物権との調整規定を置く。留置権の扱いは日本と類似するが、優先の主張に関する手続的要件の定め方が異なる
ドイツの Zurückbehaltungsrecht は原則として給付拒絶権であり、日本の留置権のような換価手続内での優先配当地位は当然には認められない。租税債権にも一般的優先権はない
米国連邦税リーエンは、修理・改良のため物を継続占有する者の possessory lien に対して劣後する。占有という事実に基づく優先という発想は日本の21条と共通するが、対象と要件は限定列挙的である
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 預かったままの重機に差押えの標識が貼られ、引渡しを命じる書面が届いた。指定期限まであと7日。応じたら未払いの整備代120万円はどうなるのか。実務上の答えは、引き渡しても優先配当は失われない。ただし換価代金の配当が確定する前に、留置権があった事実を証明できていた場合に限る。この7日で証拠を揃えるか、何もせず期限を見送るかで、120万円が満額かゼロかに分かれる
- クリーニング店に半年放置された高級コート。持ち主が滞納処分を受け、コートも公売にかかる。未収の保管料は、国税より先に配当を受けられる
- あなたが金融機関の融資担当で、抵当権を設定した工場設備が滞納処分で公売された。配当表を開くと、名前も知らない整備業者が自社より上位にいる。設定登記の前後を争っても届かない。21条には15条や16条のような「法定納期限等以前」という時期要件が置かれていないからだ。担保設定時に「その設備は今どこにあり、誰が占有しているか」を見ていれば読めたリスクだった
- 同業の知り合いから「客の金型を預かったまま、客が税金滞納で差押えを受けた」と相談された。伝えるべきことは二つ。配当では国税より先に立てること、そして自分から申し出なければゼロで終わること
取るべき行動
被害を受けた側:1. 引き渡す前に、預り証・注文書・請求書で(a)占有取得の時期(b)債権の発生原因(c)残債権額の三点を固める2. 行政機関に対し書面で留置権の存在を申し出る(国税徴収法21条2項)。口頭で済ませない3. 引渡命令(同58条2項)には期限内に応じ、引換えに受領書を取る4. 換価代金の配当が確定する前に、証明が担当部署に届いて記録されているか確認を入れる
訴えられた側:1. 配当表で自社より上位に留置権が入っていないか確認し、入っていれば被担保債権額と牽連性(民法295条1項、その物に関して生じた債権か)を検証する2. 修理や保管の実態がない、債権額が水増しされている場合は留置権の成立自体を争う3. 占有が不法行為によって始まったときは留置権は成立しない(同295条2項) 4. 次回以降は担保設定時に占有者を確認する。この順位は事前に読める
時効(請求できる期限):本条自体に時効の定めはない。実務上の期限は換価代金の配当が確定するまでで、これを過ぎると2項の証明ができず優先の地位は事実上消える。留置権で担保されている原債権(修理代金・保管料等)は一般消滅時効(民法166条、権利を行使できることを知った時から5年)で消滅し、留置権を行使していても被担保債権の時効の進行は妨げられない(同300条)ため、留置している間も時効の完成猶予・更新の手当てが要る
学説
通説:本条が公示なき留置権を国税および登記済みの担保物権に優先させる根拠は、修理・保管という労務がその財産の価値を現に維持し、換価代金そのものを底上げしている点にある。2項の証明義務は、公示の欠如を手続内の申告で補い、担保取引の予測可能性との均衡を図るものと解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 制定:現行国税徴収法(昭和34年法律第147号)の制定に伴い、国税と私債権の調整に関する規定群の一部として本条が置かれた。国税優先の原則(8条)の例外として、留置権により担保された債権の配当上の地位を明文化している。
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