国税徴収法 第66条(継続的な収入に対する差押の効力)
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給料若しくは年金又はこれらに類する継続収入の債権の差押の効力は、徴収すべき国税の額を限度として、差押後に収入すべき金額に及ぶ。
この条文の基本情報
継続的な収入に対する差押の効力とは何ですか?
定義継続的な収入に対する差押の効力とは、国税徴収法第66条に定められた規定で、「給料若しくは年金又はこれらに類する継続収入の債権の差押の効力は、徴収すべき国税の額を限度として、差押後に収入すべき金額に及ぶ。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第66条(継続的な収入に対する差押の効力)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第66条の条文原文は「給料若しくは年金又はこれらに類する継続収入の債権の差押の効力は、徴収すべき国税の額を限度として、差押後に収入すべき金額に及ぶ。」で始まります。
- 国税徴収法第66条は第三款に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第66条の前の条は国税徴収法第65条です。
- 国税徴収法第66条の次の条は国税徴収法第67条です。
- 国税徴収法第66条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第66条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第66条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/66
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法66条は、給料や年金など継続収入の債権への差押えの効力が、徴収すべき国税の額を限度として差押後に収入すべき金額にも及ぶと定める。完済まで毎月取り立てが続く。
Q · 給料を差し押さえられたら、それは今月だけの話ですか?
いいえ。完済か解除まで、毎月続きます。
国税徴収法66条により、給料や年金など継続収入の債権への差押えの効力は、徴収すべき国税の額を限度として、差押後に収入すべき金額にも及びます。つまり一度差し押さえられれば、税務署が毎月手続をやり直さなくても、完済または差押えの解除まで自動的に天引きと国への納付が続きます。しかも国税の場合、督促状を発した日から10日を経過すれば裁判所の手続を経ずに差押えができます(47条1項1号)。手元に残る額は76条の差押禁止額により確保され、151条の2の換価の猶予によって取立てが緩和される余地があります。
解説
差押えと聞いて浮かぶのは、通帳の残高を一度に持っていかれる場面だろう。給料の場合はそれと違う。66条は、一度の差押えの効力が「差押後に収入すべき金額」、つまり来月も再来月も、まだ発生していない給料に及ぶと定めている。限度は徴収すべき国税の額。完済するまで、毎月自動的に削られ続ける。しかも税務署は判決も裁判所の差押命令も必要としない(国税徴収法47条、督促状を発した日から10日を経過すれば差押えができる)。民間の債権者が訴訟と執行手続を経てようやく手にする権利を、税務署は督促状一枚で持っている。そして差押通知は勤務先に届く。会社の経理はあなたの給料から法定の額を天引きして国に納める作業を、毎月続けることになる。滞納が職場に知られるのは、この効力が生む副作用である。
法的な位置づけ
国税徴収法66条は、継続収入の債権に対する差押えの効力範囲を定める規定である。給料、年金その他これらに類する継続的な給付を目的とする債権が差し押さえられた場合、その効力は徴収すべき国税の額を限度として、差押後に収入すべき金額にも及ぶ。給付のたびに手続を繰り返す必要がなく、一回の差押処分で将来の給付分まで捕捉される点に特徴がある。
手順
- 1.差押えの根拠を特定する 給与明細の控除欄と経理への確認により、差押えの根拠となっている税目・年度・残額・取立開始月を特定する。債権差押通知書の写しを見せてもらえるかを勤務先に確認し、税務署の担当部門と担当者名も控える
- 2.76条の計算式で天引き額を検算する 源泉所得税・住民税・社会保険料を先に控除したうえで、滞納者本人分、生計を一にする親族の人数分、残額の一定割合という順に差押禁止額を算定し、実際の天引き額と突き合わせる。控除の順序を誤ると過大天引きになる
- 3.生計を一にする親族の届出漏れを是正する 差押禁止額の計算に反映されている親族の人数が、実際に生計を一にする人数より少ない場合、その事実を税務署の徴収担当に申し出る。届出の是正だけで毎月手元に残る額が増えるが、税務署側から案内されることは期待できない
- 4.換価の猶予または納税の猶予を申請する 収支の分かる家計表と、毎月いくらなら確実に払えるかの具体的な数字を用意し、税務署の徴収担当へ申請する。申請による換価の猶予(151条の2)は納期限から6か月以内であれば申請する権利があり、この期限を過ぎると職権による猶予を求める立場に落ちる
- 5.猶予に伴う差押えの解除を求める 猶予が認められた場合、必要がないと認められる財産については差押えの解除がされうる(152条)。生活が成り立たない水準であることを家計表で具体的に示し、給与債権の差押解除を明示的に求める
よくある質問 AI による整理
Q1継続収入の債権とは何ですか?
給料、年金、地代家賃など、同一の法律関係から反復・継続して発生する債権をいいます。国税徴収法66条は、この種の債権を差し押さえた効力が差押後の給付分にも及ぶと定めています。
Q2給料の差押えは会社に知られますか?
知られます。債権差押通知書は第三債務者である勤務先に送達され、経理が毎月の天引きと国への納付を行うことになります(67条)。本人への通知だけで完結する仕組みではありません。
Q3ボーナスも差し押さえられますか?
賞与も給料等として差押えの対象になります。差押禁止額の計算方法は国税徴収法76条が定めており、月々の給料とは別枠の計算がされます。手取り全額が残るわけではありません。
Q4住民税の滞納でも給料を差し押さえられますか?
できます。地方税法は滞納処分について国税徴収法の例によると定めており、住民税や国民健康保険料でも66条と同じ継続的な差押えの効力が働きます。執行するのは市区町村です。
Q5差押えはいつまで続きますか?
徴収すべき国税を完済するか、差押えが解除されるまで続きます。66条は限度を「徴収すべき国税の額」としているため、限度に達すれば効力は尽きます。期間そのものの上限はありません。
Q6差押えの前に予告はありますか?
督促状が送達され、その発した日から10日を経過すると差押えが可能になります(47条1項1号)。裁判所の手続は不要で、10日経過後は個別の事前予告なく執行されることがあります。
Q7給料を差し押さえられると信用情報に載りますか?
税の滞納処分は民間の債務ではないため、信用情報機関の事故情報として登録される仕組みではありません。ただし勤務先に通知が届くため、職場に事実が知られる影響は避けられません。
Q8差し押さえられた分は誰が納付するのですか?
第三債務者である勤務先が、天引きした額を国へ直接納付します(67条)。会社が支払いを拒めば会社自身が取立ての相手方になるため、独断で保留することはできません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1差し押さえられたら、給料は全部持っていかれるんですか?
全部ではない。国税徴収法76条が差押禁止額を定めており、源泉所得税・住民税・社会保険料に加え、滞納者本人分、生計を一にする親族の人数分、さらに残額の一定割合が手元に残る(具体的な金額と割合は最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:親族の人数は税務署が把握している資料をもとに計算される。実際に生計を一にしている親族が届出より多いなら、その事実を申し出るだけで毎月残る額が増える。向こうからは教えてくれない
Q2転職したら差押えは消えますか?
前の勤務先に対する差押えの効力は、その勤務先に支払義務のある給料にしか及ばない。退職すれば以後の分は取られなくなる。ただし滞納自体は残り、税務署が新しい勤務先を把握すれば改めて差押えがされる。実務のポイント:税務署は源泉徴収や社会保険の届出から新勤務先を把握できる。逃げ切りを狙うより、勤務先が変わる空白期間に猶予申請を持ち込む方が現実的で、実務でもその時期の相談は結論が変わりやすい
Q3年金しか収入のない親が差し押さえられました。年金は差押禁止では?
厚生年金保険法41条、国民年金法24条は受給権の差押えを禁じているが、いずれも国税滞納処分の場合を除くと明記している。税の滞納だけが例外である。もっとも国税徴収法77条により76条が準用され、生活に必要な額は差押えの対象外となる。実務のポイント:年金が口座に振り込まれた後の預金差押えについては、原則として可能とされる一方、振込直後で年金由来と特定できる場合に違法とした裁判例もあり、実務上、解釈が分かれている。争う余地のある論点である
Q4一度始まった差押えを止める方法はありますか?
ある。換価の猶予(151条の2)を申請すれば原則1年以内の分割納付に切り替わり、必要がないと認められる財産の差押えは解除されうる(152条)。ほかに納税の猶予(国税通則法46条)もある。実務のポイント:窓口で「払えません」と言うだけでは何も動かない。収支の分かる家計表と、毎月いくらなら確実に払えるかの数字を持参する。担当者が上に上げやすい資料があるかどうかで、同じ収入でも結論が変わる
間違えやすい点 AI による整理
- 給料が差し押さえられることは知っていても、それが「毎月」続くと理解している人は少ない。66条は差押後に発生する給料にまで効力を及ぼす。一度きりの痛みだと思って耐えていると、完済までの数年間、生活設計そのものを組み直す必要に気付くのが遅れる
- 「いくら差し押さえられるのか」と多くの人が問うが、順序が逆である。先に決まるのは「いくら手元に残るか」(76条の差押禁止額)で、それを超える部分が全額持っていかれる。残る額の計算式を知らないまま取られる額を予想しようとしても、答えは出ない
- あなたから見れば給料は生活費だが、法律から見れば「継続収入の債権」という財産である。財産だから差押えの対象になる。この落差を理解しないと、生活が苦しいといくら訴えても差押えが止まらない理由が分からない。止めるための言葉は「苦しい」ではなく、換価の猶予・納税の猶予という制度名である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律している対象 | 66条:差押えの効力が及ぶ範囲(差押後に収入すべき金額まで及ぶ) | 76条:手元にいくら残るか(給料等の差押禁止額) 47条:いつから差し押さえられるか(差押えの要件) |
| 効いてくるタイミング | 差押え後、毎月の給付が発生するたびに自動で作動 | 毎月の取立額を算定する場面 督促状を発した日から10日を経過した時点 |
| 滞納者側の主な争点 | 限度額(徴収すべき国税の額)に達しているか、解除の要件を満たすか | 生計を一にする親族の届出漏れ、控除の順序の誤り 督促手続の適法性、送達の有無 |
| 緩和手段との関係 | 151条の2の換価の猶予・152条の差押解除で取立てが緩和されうる | 計算誤りの是正を申し出れば毎月の残額が増える 10日経過前に猶予を申請すれば差押え自体を回避しうる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も継続的給付債権への扣押の効力が扣押後の給付に及ぶと明文化しており、構造は66条と同型。ただし台湾の公法上金銭給付義務の執行は法務部行政執行署という専門機関が担い、税務機関自身が執行する日本と執行主体が異なる
韓国も租税の自力執行を認め、給与債権の差押えは差押後に支給される給与にも効力が及ぶ扱いとされる。差押禁止額の設定思想も日本と近い
ドイツも租税官庁が債務名義なしに差押えを行える点は日本と同じ。継続的給付への差押えの効力は ZPO § 832が「差押後に弁済期の到来する額にも及ぶ」と定め、差押禁止は ZPO §§ 850以下が適用される
米国 IRS の給与に対する levy は、最初に行われた時点から解除されるまで継続的(continuous)に効力を持つと明文で規定されており、66条ときわめて近い設計。他方、預金に対する levy は原則として一回限りで、継続効を持たない点も日本と同型の対比構造をなす
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 督促状が届いてから10日、何もしないでいたらどうなる? 11日目から税務署は裁判所を通さずに給料を差し押さえられる(47条1項1号)。そして一度差し押さえれば、66条の効力で翌月分からも自動的に取られ続ける。自分の意思で動ける時間は、その10日間だけだと思った方がいい
- 経理担当のあなたのもとに、税務署から債権差押通知書が届く。対象は同僚の給料である。断る権限はなく、毎月の天引きと国への納付があなたの実務になる
- 手取り月60万円で滞納した場合、民事執行なら原則4分の3が守られる(民事執行法152条)。だが国税徴収法76条の計算方式は違い、本人分と親族分を控除した残額の一定割合しか残らない。「税務署の差押えは民間より緩い」という感覚は、収入が高いほど逆になる
- 差押えを受けた後に転職した。前の勤務先に対する効力はそこで途切れる。ただし滞納は消えず、税務署が新しい勤務先を把握すれば改めて差押えがされる。その空白の数週間が、換価の猶予(151条の2)を持ち込む現実的な最後の機会になることが多い
- 年金だけで暮らす親のところに差押えの通知が届いた。本人は「年金は差し押さえられないはずだ」と言う。厚生年金保険法41条は確かに差押えを禁じているが、国税滞納処分の場合は明文で除外されている。66条と77条の組み合わせで、支給のたびに取られ続ける
取るべき行動
被害を受けた側:1. 給与明細の控除欄と経理への確認で、差押えの根拠となる税目・年度・残額を特定する2. 税務署の徴収担当へ自分から連絡し、収支資料を示して換価の猶予(151条の2)または納税の猶予(国税通則法46条)を申請する。納期限から6か月以内なら申請する権利がある3. 76条の計算式に自分の数字を当てはめ、天引き額が正しいか検算する。生計を一にする親族の届出漏れがあると手元に残る額が減る4. 生活が成り立たない水準なら家計表で示し、猶予に伴う差押えの解除(152条)を求める
訴えられた側:勤務先として債権差押通知書を受け取った側の手順である。1. 通知書記載の税目・金額・取立開始月を確認する2. 76条に従い、源泉所得税・住民税・社会保険料を先に控除してから天引き額を算定する。順序を誤ると過大天引きになる3. 支払いを拒めば会社自身が取立ての相手方になる(67条)ため、独断で保留しない4. 本人には通知の事実と税務署徴収部門の相談窓口を伝え、他の従業員へ滞納の事実を漏らさない
時効(請求できる期限):国税の徴収権は法定納期限から5年で時効消滅する(国税通則法72条)が、差押えにより時効は更新され、そこから改めて進行する。66条による継続的な取立てが続く限り、時効での消滅は事実上期待できない。逆にこちらから動く期限は、申請による換価の猶予が納期限から6か月以内(151条の2)。督促状を発した日から10日を経過すれば、いつ差押えがされてもおかしくない(47条1項1号)
学説
通説:66条の「継続収入の債権」には、給料・年金のほか、地代家賃など同一の基本的法律関係から反復継続して発生する債権が含まれると解される。効力は「徴収すべき国税の額」という条文自身の上限と、76条・77条の差押禁止額の双方によって画される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:現行国税徴収法の全部改正により制定。継続収入の債権に対する差押えの効力が差押後の収入分にも及ぶことを明文化し、給付のたびに差押手続を繰り返す必要をなくした
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