国税徴収法 第67条(差し押えた債権の取立)
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- 徴収職員は、差し押えた債権の取立をすることができる。
- 2.徴収職員は、前項の規定により取り立てたものが金銭以外のものであるときは、これを差し押えなければならない。
- 3.徴収職員が第一項の規定により金銭を取り立てたときは、その限度において、滞納者から差押に係る国税を徴収したものとみなす。
- 4.国税通則法第五十五条第一項から第三項まで(納付委託)の規定は、第一項の取立をする場合において、第三債務者が徴収職員に対し、その債権の弁済の委託をしようとするときに準用する。ただし、その証券の取り立てるべき期限が差し押えた債権の弁済期後となるときは、第三債務者は、滞納者の承認を受けなければならない。
この条文の基本情報
差し押えた債権の取立とは何ですか?
定義差し押えた債権の取立とは、国税徴収法第67条に定められた規定で、「徴収職員は、差し押えた債権の取立をすることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第67条(差し押えた債権の取立)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第67条の条文原文は「徴収職員は、差し押えた債権の取立をすることができる。」で始まります。
- 国税徴収法第67条は第三款に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第67条の前の条は国税徴収法第66条です。
- 国税徴収法第67条の次の条は国税徴収法第68条です。
- 国税徴収法第67条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第67条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第67条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/67
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法67条は、徴収職員が差し押えた債権を裁判所を通さず自ら取り立てられると定める。取り立てた金銭の限度で滞納者から国税を徴収したものとみなされる。
Q · 税務署は裁判所を通さずに、売掛金を取引先から直接回収できるんですか?
できます。国税徴収法67条1項の取立権によるものです
国税徴収法67条1項により、徴収職員は差し押えた債権を自ら取り立てることができます。民事の債権回収と違い、債務名義も裁判所の差押命令も必要ありません(発動要件は督促状発送から10日経過、同法47条)。取り立てた金銭は、その限度で滞納者から国税を徴収したものとみなされ(3項)、延滞税の計算もその分だけそこで止まります。取立てが終わってしまうと差押えを解除する対象自体が消えるため、動けるのは取立て実行前の数週間です。
解説
銀行から電話が入り、口座が使えなくなっていると告げられる。その裏で動いているのが国税徴収法67条1項だ。民間の債権者があなたの預金や売掛金を押さえるには、判決などの債務名義を取り、裁判所に差押命令を申し立て、送達を待つ必要がある。税務署は違う。督促状を発した日から10日を過ぎれば(同法47条)、徴収職員が自ら差押えを行い、そのまま第三債務者、つまり銀行や取引先や勤務先から直接取り立てる。裁判所は一度も登場しない。これが自力執行権である。そして3項が効いてくる。取り立てられた金額の分だけ、あなたは国税を納付したものとみなされる。延滞税の計算もその分だけそこで止まる。逆に言えば、取引先が支払いを渋って回収が半年遅れれば、その半年分の延滞税を負担するのはあなただ。誰がいつ払うかは、他人事ではなく自分の財布の話になる。
法的な位置づけ
国税徴収法67条は、滞納処分により差し押えた債権について、徴収職員が第三債務者から直接取り立てる権限を定める規定である。取り立てた金銭は、その限度において滞納者から国税を徴収したものとみなされる。金銭以外の物を取り立てたときは、徴収職員はこれを改めて差し押えなければならない。第三債務者は、一定の要件のもとで証券による納付委託をすることができる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.差押調書と通知の日付を特定する どの債権が、いくら、いつ押さえられたのかを差押調書・差押通知書で確認する。第三債務者(銀行・取引先・勤務先)に通知が発送された日と、差押債権の弁済期がいつ到来するかを押さえる。取立ては弁済期到来後に実行されるため、この2つの日付が残り時間を決める
- 2.取立て実行前に猶予を申請する 納期限から6か月以内であれば申請による換価の猶予(国税徴収法151条の2)、要件が合えば納税の猶予(国税通則法46条)を申請する。認められれば新たな差押えは止まり、既にした差押えの解除も検討対象になる(国税通則法48条)。取立てが終わってからでは対象そのものが存在しない
- 3.事業に致命的でない代替財産を提案する どの財産を差し押えるかには徴収職員の裁量があるため、売掛金ではなく預金・保険・不動産など他の財産を充てる申し出を書面で出す。取引先へ通知が発送される前なら通る余地があるが、届いた後では信用は戻らない
- 4.第三債務者側は支払先を凍結し書面で回答する 差押通知を受けた側は、滞納者への支払いを直ちに停止する。債権の存否や金額に争いがあれば、その旨を書面で回答し、争いのある部分を安易に払わない。現金が用意できない場合は67条4項の納付委託(国税通則法55条)を検討し、証券の取立期限が差押債権の弁済期より後になるなら滞納者の承認を取る
- 5.取立て後の充当関係と延滞税の停止点を記録する 取り立てられた金額は、その限度で国税を徴収したものとみなされる(67条3項)。領収書・充当計算書を保存し、どの税目のいくらがいつ納付扱いになり、延滞税の計算がどこで止まったかを確認する。第三債務者との清算根拠にもなる
よくある質問 AI による整理
Q1差押債権の取立てとは何ですか?
徴収職員が、差し押えた売掛金や預金などの債権を、第三債務者(取引先・銀行)から直接支払わせることです。国税徴収法67条1項が根拠で、裁判所の関与は不要です。
Q2税金の滞納で差し押さえられるのはいつからですか?
督促状を発した日から10日を経過した時点で差押えが可能になります(国税徴収法47条)。交渉中かどうかは要件と関係なく、法律上はいつでも実行できる状態に入ります。
Q3差し押さえられた売掛金の取立てを止める方法は?
取立て実行前に、換価の猶予(151条の2)や納税の猶予(国税通則法46条)を申請し、代替財産を提案します。取立てが終わると67条3項で納付済みとみなされ、止める対象が消えます。
Q4換価の猶予はいつまでに申請すればいいですか?
申請による換価の猶予は、納期限から6か月以内が期限です(国税徴収法151条の2)。認められれば新たな差押えは止まり、既にした差押えの解除も検討対象になります。
Q5税務署の差押えに不服がある場合はどうする?
処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に審査請求ができます(国税通則法77条)。ただし申立てをしても手続は原則止まらず、争っている間に取立てが完了することがあります。
Q6生命保険は差し押さえられますか?
解約返戻金請求権という債権として差押えの対象になります。実務では徴収職員が解約して取り立てる扱いがされており、現金より先に保障が失われることがあります。
Q7国税の徴収権に時効はありますか?
法定納期限から5年で時効消滅します(国税通則法72条)。ただし差押えは時効の更新事由となり、そこから再び進行するため、放置しても消えることは期待できません。
Q8差押通知の後に滞納者へ支払ってしまったらどうなる?
その弁済は徴収職員に対抗できず、第三債務者はもう一度国に支払う二重払いのリスクを負います。通知を受けたら滞納者への支払いを直ちに停止してください。
この条文についての質問 AI による整理
Q1預金を差し押さえられました。給料が振り込まれた直後の口座なんですが、これも全部持っていかれるんですか?
給与そのものには差押禁止額があるが(国税徴収法76条)、いったん口座に入ると預金債権に変わり、原則としてその制限は及ばない。ただし児童手当の振込直後の預金差押えを、実質は差押禁止財産の差押えだとして違法とした裁判例がある(広島高裁松江支部 平成25.11.27)。実務上、解釈が分かれている領域だ。実務のポイント:争うなら、通帳明細でその金銭が何の給付か識別できると示せるかが分岐点になる
Q2取引先に差押えの通知が行くと聞きました。取引を切られませんか?
売掛金を押さえる場合、第三債務者である取引先に差押通知が届き(62条)、取立て(67条1項)はその後になる。信用への影響は現実に起きる。実務のポイント:どの財産を差し押さえるかは徴収職員の裁量なので、通知が発送される前なら、預金や他の財産を代わりに充てる申し出が通ることがある。動くなら発送前、届いた後で交渉しても信用は戻らない
Q3税務署が取引先から回収したお金って、いつ納めたことになるんですか?
取り立てた限度で、その時点で滞納者から徴収したものとみなされる(67条3項)。延滞税の計算もその額の分だけそこで止まる。実務のポイント:取引先が支払いを渋って回収が遅れれば、その間の延滞税を負担し続けるのは滞納者本人だ。取引先に早く払うよう頼むのは税務署のためではなく、自分の負担額を止めるためである
Q4うちが取引先の滞納で第三債務者になりました。手形で払ってもいいんですか?
67条4項が国税通則法55条(納付委託)を準用しており、証券による弁済の委託ができる。ただし証券の取立てるべき期限が差し押さえられた債権の弁済期より後になる場合は、滞納者本人の承認が要る(同項ただし書)。実務のポイント:この承認は滞納者側に残された数少ない交渉材料になる。承認の有無で自分の延滞税も動くので、感情ではなく日数で判断する
間違えやすい点 AI による整理
- あなたから見れば「まだ税務署と話し合っている最中」でも、法律から見れば督促状発送から10日が過ぎた時点で差押えができる状態に入っている(47条)。この落差が致命的で、交渉しているつもりの相手が、いつでも引き金を引ける側に立っていることを見落とす
- 差押えという制度自体は多くの人が知っている。知られていないのはその深刻度だ。67条では徴収職員が取立てまで自分で完結させ、司法審査は事後にしか来ない。不服申立てや訴訟を起こしても手続は原則止まらないので、争っている間に取立ては終わる
- 「どうやって差押えを止めるか」という問いの立て方そのものがずれている。取り立てられた金銭は3項で納付済みとみなされ、止める対象が消えるからだ。正しい問いは「取立てが実行されるまでの数週間に、どの申請と、どの代替財産の提案を出すか」である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する場面 | 67条:差し押えた債権を徴収職員が取り立てる段階 | 62条:債権を差し押え、第三債務者に通知して弁済を禁じる段階 79条:差押えを解除して手続を出口に向ける段階 |
| 主な名宛人 | 第三債務者(銀行・取引先・勤務先)と徴収職員 | 第三債務者(弁済禁止の名宛人)と滞納者 徴収職員(解除義務・裁量の主体) |
| 生じる効果 | 取立額の限度で国税を徴収したものとみなす(3項)/延滞税の計算が止まる | 滞納者への弁済が徴収職員に対抗できなくなる(二重払いリスク) 差押えの効力が将来に向かって消滅し、財産の処分が可能になる |
| 滞納者が動ける余地 | 取立て実行前のみ。実行後は納付済みとみなされ止める対象が消える | 通知発送前なら代替財産の提案で対象財産を変えられる余地 完納・猶予・無益な差押えなどの解除要件を主張して申し立てる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では滞納税捐は法務部行政執行署に移送され、強制執行法の扣押命令・收取命令の枠組みで第三債務者から取り立てる。徴収機関自身ではなく専門の執行機関が担う点で日本と分業構造が異なる
韓国も税務署長が債権を差し押え、滞納者に代位して第三債務者から直接取り立てる構造を採る。日本法の影響を受けた滞納処分体系であり、猶予制度と差押禁止財産の設計も類似する
ドイツは差押処分(Pfändungsverfügung)と取立命令(Einziehungsverfügung)を明確に2段階に分け、いずれも行政処分として財務官庁が発する。67条1項が差押えの効力から取立権を導くのに対し、独立の処分として構成する点が異なる
米国 IRS も裁判所の関与なしに levy を行い、第三者は財産の引渡義務を負う。引渡しを拒めば個人責任と50% のペナルティを負う点で、日本の二重払いリスクより制裁が明示的である
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 元請けの経理から電話が入る。御社宛ての支払いは税務署から差押通知が来ているので出せません、と。62条で差押えの通知が第三債務者に届き、67条1項で徴収職員が直接取り立てる。あなたと元請けの間に裁判所は一度も入らない。次の現場の発注が続くかどうかは、この電話の後の一週間で決まる
- もし取引先が差押通知を見落として、いつも通りあなたの口座に振り込んでしまったら? その弁済は徴収職員に対抗できず、取引先はもう一度国に払う羽目になる。穴を掘ったのはあなたではないが、取引が切れるのはあなたの側だ
- 給与が差し押さえられた。手取り全額ではなく、法定の差押禁止額を超えた部分だけだ(76条)。勤務先が毎月その分を税務署に払い続ける
- 経理担当のあなたの机に、税務署からの差押通知が置かれる。支払先はいつもの下請けだ。ここで下請けに払えば自社が二重払いを負い、徴収職員に払えば下請けとの関係に説明が要る。どちらを選ぶかを、自分の意思では決められない立場に立たされる
- 納期限から6か月。申請による換価の猶予(151条の2)の窓口はそこで閉まる。あと3週間しかない。猶予が認められれば新たな差押えは止まり、既にした差押えの解除も検討対象になる(国税通則法48条)。取立てが終わってしまえば、止める対象そのものが消えている
取るべき行動
被害を受けた側:差押えを受けた滞納者側の一手。1. 差押調書と通知の日付を確認し、どの債権がいくら押さえられたかを特定する2. 取立て実行前が勝負なので、資金繰り表を持って換価の猶予(151条の2、納期限から6か月以内)または納税の猶予(国税通則法46条)を申請する3. 事業に致命的な売掛金より預金や他の財産へ、と具体的な代替案を徴収職員に出す4. 処分自体を争うなら知った日の翌日から3か月以内に審査請求(国税通則法77条)。ただし申立てをしても手続は止まらない
訴えられた側:取立てを求められた第三債務者側の一手。1. 差押通知を受けたら滞納者への支払いを直ちに停止する。通知後に滞納者へ払っても徴収職員に対抗できず、二重払いのリスクを負う2. 債権の存否や金額に争いがあれば、その旨を書面で回答し、争いのある部分を安易に払わない3. 現金が用意できないなら67条4項の納付委託(国税通則法55条)を検討し、証券の取立期限が差押債権の弁済期より後になるなら滞納者の承認を取る4. 支払後は領収書と充当関係を保存し、滞納者との清算根拠にする
時効(請求できる期限):国税の徴収権は法定納期限から5年で時効消滅する(国税通則法72条)。ただし差押えは時効の更新事由となり、そこから再び進行する。差押処分に不服がある場合の申立期限は、処分があったことを知った日の翌日から3か月(国税通則法77条)。申請による換価の猶予は納期限から6か月以内(国税徴収法151条の2)。取立てそのものに期限はなく、徴収職員は差押債権の弁済期が到来しだい取り立てられる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:租税債権は公益性と大量反復性を持ち、個別に司法手続を経ていては財政の基礎が維持できないため、行政庁による自力執行が正当化される。67条1項の取立権も、この自力執行権の一内容として差押えの効力から当然に導かれるものと理解されている。
手続保障を重視する見解:差押えから取立て、納付とみなす処理までが同一の行政機関内で完結し、司法審査が事後にしか及ばない構造は、適正手続の要請との緊張をはらむ。差押禁止範囲・猶予制度・不服申立てという緩衝材はいずれも滞納者の申立てを起点とするため、実質的な保障として十分かが問われる。
改正沿革 AI による整理
- 昭和34年(1959年)現行国税徴収法制定 旧国税徴収法の全部改正により現行法が成立し、差し押さえた債権について徴収職員が自ら取り立てる権限と、取立額の限度で徴収したものとみなす効果が整理された。第4項の納付委託準用は国税通則法の制定に対応するものだが、各項の改正沿革は要検証
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 改正:旧国税徴収法の全部改正により現行法が成立。差し押えた債権について徴収職員が自ら取り立てる権限(1項)、金銭以外を取り立てた場合の再差押え(2項)、取立額の限度で徴収したものとみなす効果(3項)が現行の形に整理された。各項のその後の改正沿革は要検証
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