国税徴収法 第18条の2(法定納期限等以前に設定された企業価値担保権の優先等)
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- 納税者が国税の法定納期限等以前にその財産上に企業価値担保権を設定しているときは、その国税は、その換価代金につき、その企業価値担保権により担保される債権に次いで徴収する。
- 2.前項の規定に基づき国税に先立つ企業価値担保権により担保される事業性融資の推進等に関する法律(令和六年法律第五十二号)第六条第四項(定義)に規定する特定被担保債権の元本の金額は、その企業価値担保権者がその国税に係る差押え又は交付要求の通知を受けた時における債権額を限度とする。ただし、その国税に優先する他の債権を有する者の権利を害することとなるときは、この限りでない。
この条文の基本情報
法定納期限等以前に設定された企業価値担保権の優先等とは何ですか?
定義法定納期限等以前に設定された企業価値担保権の優先等とは、国税徴収法第18条の2に定められた規定で、「納税者が国税の法定納期限等以前にその財産上に企業価値担保権を設定しているときは、その国税は、その換価代金につき、その企業価値担保権により担保される債権に次いで徴…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第18条の2(法定納期限等以前に設定された企業価値担保権の優先等)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第18条の2の条文原文は「納税者が国税の法定納期限等以前にその財産上に企業価値担保権を設定しているときは、その国税は、その換価代金につき、その企業価値担保権により担保される債権に次いで徴…」で始まります。
- 国税徴収法第18条の2は第三節に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第18条の2の前の条は国税徴収法第18条です。
- 国税徴収法第18条の2の次の条は国税徴収法第19条です。
- 国税徴収法第18条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第18条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第18条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/18_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法18条の2は、国税の法定納期限等以前に設定された企業価値担保権の担保債権を国税より優先させる。優先する元本は差押え又は交付要求の通知時の債権額が限度となる。
Q · 会社を丸ごと担保に入れたら、滞納している税金より先に銀行が回収できるの?
設定が法定納期限等以前なら担保が先、後なら国税が先です
国税徴収法18条の2第1項により、国税の法定納期限等以前に企業価値担保権が設定されていれば、換価代金は担保債権に配当された後で国税が徴収されます。1日でも後に設定すれば国税が先順位です。さらに第2項で、優先される特定被担保債権の元本は、担保権者が差押え又は交付要求の通知を受けた時点の債権額が限度となるため、通知後に実行した追加融資はその国税に優先しません。日付が二度、順位を決めます。
解説
令和6年に生まれた企業価値担保権は、土地も機械もない会社でも、のれん・顧客基盤・将来のキャッシュフローをまとめて担保に出せる新しい制度である。経営者の個人保証を外す切り札として語られる。だが融資の現場で本当に効くのは、この18条の2の二項だ。第1項は、企業価値担保権が国税の法定納期限等(税金を納めるべき期限として法律が定めた日、国税徴収法15条1項各号に定義)以前に設定されていれば、その担保債権が国税に先んじると定める。裏を返せば、1日でも後に設定すれば、換価代金は国が先に取る。第2項はさらに厳しい。国税の差押え又は交付要求の通知が担保権者に届いた瞬間、優先される元本は、その時点の債権額で凍結される。通知後に追い貸しした分は、その国税に勝てない。あなたが借りる側なら、未納の消費税や源泉所得税を放置したまま企業価値担保権を提案されても、その担保は銀行の目にはほぼ空箱に映っている。融資が通らない本当の理由が、この条文に書いてある。
法的な位置づけ
国税徴収法18条の2は、企業価値担保権と国税との優先劣後を定める規定である。国税の法定納期限等以前に設定された企業価値担保権については、その担保債権が国税に優先し、国税は換価代金からこれに次いで徴収される。優先する特定被担保債権の元本額は、担保権者が差押え又は交付要求の通知を受けた時点の債権額を限度とする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.未納国税と法定納期限等を税目別に一覧化する 納税証明書その3(未納の税額がないことの証明)と申告控えを突き合わせ、消費税・源泉所得税・法人税など税目ごとに未納額と法定納期限等(国税徴収法15条1項各号)を一覧化する。徴収側が示す日付は自分で検算する
- 2.設定日を法定納期限等より後ろに置かない設計にする 到来済みの滞納がある場合、企業価値担保権の設定日をその後に置くと担保債権は国税に劣後する。設定前に滞納を消すか、納税の猶予(国税通則法46条)・換価の猶予(国税徴収法151条の2)で整理してから設定日を組む
- 3.差押え又は交付要求の通知の受領日と当日残高を固定する 通知書を受領印・受信ログ付きで保存し、同日時点の特定被担保債権の元本残高を残高証明で確定させる。第2項の優先枠はこの瞬間で凍結されるため、証明できる側だけが優先額を主張できる
- 4.通知後の追加融資を別枠として稟議・管理する 通知受領後に実行する元本は当該国税に優先しないため、優先枠内貸付と別枠で管理し、稟議書に劣後リスクを明記する。金利・保全条件を分けて設定し、後日の責任判断に耐える記録を残す
- 5.換価手続で第1項の順位と第2項の限度額を主張する 配当段階で、設定日が法定納期限等以前であることを登記事項証明と納税証明書で立証し、優先元本額を通知時残高で示す。ただし書により国税に優先する他の債権者がいる場合は三者以上の順位関係を整理して主張する
よくある質問 AI による整理
Q1法定納期限等とは何ですか?
国税徴収法15条1項各号が定める、担保権との優先順位を判定する基準日です。申告や更正など税額が確定する仕組みごとに定めがあり、実際の納付期限とずれることがあります。18条の2の勝敗はこの日付で決まります。
Q2企業価値担保権とはどんな担保ですか?
事業性融資の推進等に関する法律6条に基づき、のれんや将来収益力を含む事業の総財産を一体で担保に取る制度です。不動産を持たない企業でも借入ができる一方、倒産時に他の債権者へ残る財産はほとんどなくなります。
Q3特定被担保債権とは何を指しますか?
事業性融資の推進等に関する法律6条4項が定める、企業価値担保権によって担保される債権です。18条の2第2項は、この債権のうち国税に優先する元本額に通知時点という上限を設けています。
Q4国税優先の原則に例外はありますか?
あります。国税徴収法8条が原則を定める一方、質権(15条)、抵当権(16条)、企業価値担保権(18条の2)は法定納期限等以前に設定されていれば国税に優先します。原則であって絶対ではありません。
Q5交付要求の通知はいつ届きますか?
他の執行機関による強制換価手続が始まったときなどに、徴収職員が交付要求を行い担保権者へ通知します。18条の2第2項の元本確定はこの受領時点なので、受領日と当日の債権残高の記録が決定的です。
Q6企業価値担保権は登記されますか?
登記により公示される仕組みです。取引先や競合が登記を確認できるため、資金調達手段としてだけでなく、対外的な信用への見え方も設定前に想定しておく必要があります。
Q718条の2はいつから施行されますか?
企業価値担保権に関する規定は施行期日が政令で定められる段階にあり、記事作成時点では施行済みか要確認です。実務判断の前に必ず e-Gov 法令検索で現行の施行状況を確認してください。
Q8換価代金の配当順位はどう決まりますか?
強制換価手続の売却代金から、手続費用、優先する担保債権、国税、一般債権の順に配当されます。18条の2が適用されると、企業価値担保権の担保債権が国税より前の順位に入ります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1企業価値担保権って、要は会社を丸ごと質に入れるってことですか?
事業性融資の推進等に関する法律6条に基づき、のれんや将来収益力を含む総財産を一体で担保にする新制度です。個別の抵当権と違い、資産が入れ替わっても担保は事業全体に及びます。国税との順位は国税徴収法18条の2が決めます。実務のポイント:免許を受けた信託会社が受託者となり登記もされる仕組みなので、取引先や競合が登記を見て「事業まるごと担保に出した会社」と認識できる。調達手段として使う前に、対外的な見え方まで想定しておく
Q2うちは消費税を少し滞納してます。それでも企業価値担保権で借りられますか?
借入自体は否定されませんが、その滞納の法定納期限等より後に設定すると、換価代金は国税が先に取り、担保権者は残りしか取れません(国税徴収法18条の2第1項)。銀行の担保評価はそこを引き算します。実務のポイント:金融機関はまず納税証明書その3を求めてくる。逆に、滞納を消してから設定日を組む段取りを自分から提示できる会社は、金利と枠の交渉で主導権を握れる
Q3国税の通知が来た後に追加融資したら、その分は担保で守られないんですか?
第2項により、国税に優先する特定被担保債権の元本は、担保権者が差押え又は交付要求の通知を受けた時の債権額が限度です。通知後に増えた元本は、その国税に対して優先しません。実務のポイント:ただし書で、国税に優先する他の債権者の権利を害する場合はこの限度が働かない。順位争いは国税と担保権者の一対一ではなく三者以上の並べ替えになる。ここは実務上、解釈が固まっていない新しい論点だ
Q4事業が行き詰まったとき、税務署と銀行、どっちと先に話すべきですか?
順位の確定が先です。企業価値担保権が法定納期限等以前に設定されていれば担保債権が先順位(国税徴収法18条の2第1項)、後なら国税が先で、この一点で交渉のカードが逆転します。実務のポイント:徴収の現場には換価の猶予(国税徴収法151条の2)や納税の猶予(国税通則法46条)で時間を作る手がある。担保権者も事業継続の方が回収額が大きいと見れば猶予に協力する。両者を同じテーブルに乗せる順番を設計するのが再生の腕だ
間違えやすい点 AI による整理
- 「国税優先の原則があるから、どんな担保も税金には勝てない」と語られるが、実際は逆の場面がある。18条の2第1項は、法定納期限等以前に設定された企業価値担保権が担保する債権を国税より先に置く。国税優先は原則であって絶対ではない
- 設定日が勝負だという話は知られてきた。だが第2項の重さまで知る人は少ない。通知が届いた時点で優先される元本額が凍結される、つまり設定日をクリアしても、通知後に増やした貸付は保護されない。日付の勝負は一度ではなく二度ある
- 「企業価値担保権を設定すれば、滞納税金を後回しにできる」という問いの立て方そのものが誤っている。この制度は担保権者を守るもので、納税者の滞納を守るものではない。滞納が残れば担保権者はそのリスクを金利と融資枠に転嫁する。負担は結局、借りる側に戻ってくる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 担保の対象 | 18条の2:事業の総財産を一体とする企業価値担保権(のれん・将来収益力を含む) | 15条:特定の財産上の質権 16条:特定の不動産等の上の抵当権 |
| 国税に優先する要件 | 法定納期限等以前の設定(換価代金から担保債権に次いで国税を徴収) | 法定納期限等以前の設定(証明手続あり) 法定納期限等以前の設定(登記で公示) |
| 優先元本の上限 | 差押え又は交付要求の通知を受けた時の債権額が限度(第2項) | 質権の被担保債権額(本条に相当する通知時凍結の明文なし) 登記された債権額の枠内 |
| 倒産・再生時の位置づけ | 事業全体が担保に入るため、国税・一般債権に残る財産がほぼ消える構造 | 担保目的物以外の財産は国税・一般債権の引当てに残る 担保不動産以外の財産は国税・一般債権の引当てに残る |
他国ではどう定めているか 6 か国
台湾も税捐の優先権を明文化するが、事業の総財産を一体で把握する包括担保制度は未整備で、動産担保交易法による個別担保が中心。日本の18条の2に相当する調整規定は存在しない
韓国も『법정기일』(法定期日)と担保物権の設定時期の前後で優先順位を判定する。判定基準日を軸にする構造は日本と同型だが、包括担保に対応する明文の調整規定はない
欠税の発生時期が抵当権・質権・留置権の設定より前であれば税収が優先するという構造で、判定基準を日付に置く点は日本と共通
ドイツは倒産手続における財政特権(Fiskusvorrecht)を廃止しており、租税債権は原則として一般債権と同順位。包括担保機能は Sicherungsübereignung や Globalzession が担い、優先順位は担保法一般のルールで処理される
フランスは国庫の一般先取特権を維持しつつ、nantissement de fonds de commerce(営業財産の質)が事業一体の担保として機能する。両者の順位は公示の有無と登録時期で調整される
米国は連邦税リーエンと security interest の優劣を『first in time, first in right』で決し、§ 6323(d) はリーエンの通知後45日を超える将来貸付の保護を切る。本条第2項の通知時元本確定と機能的に同型の設計
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、企業価値担保権の設定を来週に予定していて、その直前の税務調査で消費税の未納が確定したら? その国税の法定納期限等はすでに過ぎているから、あなたの担保はその国税に劣後する。設定を急いでも順番は戻らない。残り数日で選べるのは、納税して滞納を消すか、劣後を前提に融資枠を下げるかの二択だ
- あなたが融資担当で、企業価値担保権を設定した先の会社から追加運転資金を求められた。だがその1か月前、国税の交付要求の通知が届いていた。第2項で、優先される元本は通知時点の残高で止まっている。追い貸しはその国税に対しては無担保に近い判断になる。稟議書にこの一文を書けるかどうかで、後日のあなたの責任の重さが変わる
- 取引先が企業価値担保権で資金調達したと聞いた。事業の総財産が一体で担保に入っている以上、倒れたときに何が残るかは設定日と滞納税額の前後で決まる。与信枠を見直す理由はそこにある
- 税務署から差押えの予告を受けたが、会社の資産はすでに企業価値担保権で押さえられている。担保が法定納期限等以前に設定されていれば、換価代金は先に担保債権へ回り、国税は次順位。実際には国の取り分がほとんど残らないこともある。だから徴収官は設定日と法定納期限等の日付を執念深く突き合わせてくる
- 特許と開発チームしか資産のないスタートアップで、企業価値担保権を使って初めての銀行借入をする。源泉所得税を一度だけ納付遅延した記録があると、その分の法定納期限等が設定より前に来て、優先順位に穴が開く。過去数年の納付履歴が、そのまま担保価値の査定表に化ける
取るべき行動
被害を受けた側:1. 設定前に納税証明書(その3、未納税額がないことの証明)で未納国税と法定納期限等を確認し、設定日を必ずその後ろに置かない2. 設定後は差押え又は交付要求の通知の受領日と当日の債権残高を記録して固定する3. 通知後の追加貸付は優先枠の外と想定し、別枠で管理する4. 換価手続では第1項の順位を主張し、特定被担保債権の元本額を通知時残高で立証する。証明の起点は納税証明書と通知書の2点だ
訴えられた側:1. 未納国税を税目別に洗い、それぞれの法定納期限等を一覧化する2. 企業価値担保権による調達を考えるなら、到来済みの滞納は先に消すか、納税の猶予(国税通則法46条)・換価の猶予(国税徴収法151条の2)で整理する3. 徴収側が示す法定納期限等の日付は自分で検算する、1日違えば順位が動く4. 事業再生を視野に入れるなら、担保権者と国税の順位関係を確定させてから交渉のテーブルを組む
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。勝敗を決める日付が二つある。(1)国税の法定納期限等(国税徴収法15条1項各号)と企業価値担保権の設定の前後、(2)差押え又は交付要求の通知の受領日(第2項の元本確定時点)。なお国税の徴収権は法定納期限の翌日から5年で時効消滅し(国税通則法72条)、差押え等により時効は更新される。企業価値担保権関係の規定は施行日が政令で定められる段階にあるため、最新の施行状況をご確認ください
改正沿革 AI による整理
- 令和6年(2024年)法律第52号 事業性融資の推進等に関する法律の制定に伴い新設。企業価値担保権という包括担保が国税と競合する場面の優先劣後を、法定納期限等との前後という基準で定めた。第2項は国税に優先する特定被担保債権の元本額を、差押え又は交付要求の通知を受けた時の債権額に固定する。企業価値担保権関係の規定は施行日が政令で定められる段階にあるため、最新の施行状況をご確認ください
改正の年表
- 1.令和6年(2024年) 新設:事業性融資の推進等に関する法律(令和6年法律第52号)の制定に伴い新設。企業価値担保権という包括担保が国税と競合する場面の優先劣後を、法定納期限等との前後という既存の判定枠組み(15条・16条と同構造)で定めた。第2項は国税に優先する特定被担保債権の元本額を、差押え又は交付要求の通知を受けた時の債権額に固定する。企業価値担保権関係の規定は施行期日が政令で定められる段階にあるため、最新の施行状況を要確認。
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