国税徴収法 第14条(担保を徴した国税の優先)
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国税につき徴した担保財産があるときは、前二条の規定にかかわらず、その国税は、その換価代金につき他の国税及び地方税に先だつて徴収する。
この条文の基本情報
担保を徴した国税の優先とは何ですか?
定義担保を徴した国税の優先とは、国税徴収法第14条に定められた規定で、「国税につき徴した担保財産があるときは、前二条の規定にかかわらず、その国税は、その換価代金につき他の国税及び地方税に先だつて徴収する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第14条(担保を徴した国税の優先)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第14条の条文原文は「国税につき徴した担保財産があるときは、前二条の規定にかかわらず、その国税は、その換価代金につき他の国税及び地方税に先だつて徴収する。」で始まります。
- 国税徴収法第14条は第二節に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第14条の前の条は国税徴収法第13条です。
- 国税徴収法第14条の次の条は国税徴収法第15条です。
- 国税徴収法第14条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第14条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第14条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/14
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法14条は、担保を徴した国税が、その担保財産の換価代金について他の国税・地方税に先立って徴収されると定める。差押えの先後は問わない。
Q · 納税の猶予で土地を担保に出したら、その土地を売ったお金は誰が先に取るの?
担保を取った国税が、その売却代金から最優先で回収します
国税徴収法14条により、納税の猶予や延納等で徴した担保財産の換価代金については、担保を徴した国税が他の国税・地方税に先立って徴収されます。差押えや交付要求の先後(12条・13条)は考慮されません。ただし優先が及ぶのは当該担保財産の換価代金に限られ、それ以外の財産では通常の順位に戻ります。また抵当権など私債権との優劣は15条・16条により、法定納期限等と設定登記の先後で決まります。
解説
税金どうしがぶつかったとき、日本の徴収法は原則として早い者勝ちで決着をつける。先に差し押さえた役所が勝ち(12条)、差押えができない場合は先に交付要求した役所が勝つ(13条)。ところが14条は、その順番争いを一箇所だけ丸ごと無効にする。納税の猶予や相続税の延納を受けるとき、あなたが差し出した土地や有価証券。その担保財産を売った代金に限っては、担保を取った国税が、他のどの国税・地方税よりも先に持っていく。あとから住民税や固定資産税の滞納で市役所が差押えに走っても、その代金からは一円も取れないことがある。つまりあなたが担保として差し出した瞬間、その財産は特定の税金のために囲い込まれる。押さえておくべきは、この優先が効くのは税金どうしの間だけで、法定納期限等より前に登記された抵当権など民間の担保権との勝負は15条・16条という別のルールで決まる、という点だ。
法的な位置づけ
国税徴収法14条は、担保を徴した国税の優先を定める規定であり、納税の猶予や延納等に際して徴した担保財産の換価代金については、差押先着手主義および交付要求先着手主義を排除し、当該国税を他の国税及び地方税に先立って徴収する旨を規定する。優先の対象は当該担保財産の換価代金に限定される。
手順
- 1.担保として差し出す財産を先に選定する 納税の猶予・換価の猶予・延納の申請前に、提供可能な財産の種類(国債、有価証券、土地、建物、保証人、金銭)を洗い出す(国税通則法50条)。事業継続に不可欠な中核資産を避け、換価されても事業が回る資産を候補にする
- 2.担保提供後の資金繰りを組み直す 提供した財産の換価代金は担保国税に先取りされる前提(14条)で、他の税目・借入金の返済計画を再構築する。担保余力が消えるため、追加融資の見込みも同時に見直す
- 3.換価に至った場合は配当計算書を即日確認する 配当計算書が届いたら、担保徴取の有無、対象国税の法定納期限等の日付、自己の担保権の設定登記日を突き合わせる。設定登記が法定納期限等より前なら15条・16条により私債権側が優先する
- 4.不服があれば7日以内に異議を申し出る 配当計算書の記載に誤りがあれば、謄本の発送日から7日以内に税務署長へ異議を申し出る(国税徴収法133条)。並行して法定納期限等を証明する資料の取り寄せを税理士・弁護士に依頼する
よくある質問 AI による整理
Q1国税徴収法14条とは何ですか?
担保を徴した国税を、その担保財産の換価代金について他の国税・地方税に優先させる規定です。12条・13条の先着手主義を、この場面に限って正面から排除します。
Q2納税の猶予に担保は必ず必要ですか?
原則として必要ですが、猶予に係る金額が少額である場合や猶予期間が短い場合、その他担保を徴することができない特別の事情があるときは不要とされています(国税通則法46条)。
Q3国税の担保として提供できる財産は何ですか?
国債・地方債、税務署長が確実と認める社債その他の有価証券、土地、保険を付した建物や船舶等、税務署長が確実と認める保証人の保証、金銭が定められています(国税通則法50条)。
Q4相続税の延納でも14条は適用されますか?
適用されます。延納許可の際は原則として担保提供が必要で(相続税法38条)、その担保財産の換価代金からは延納中の相続税が他の国税・地方税に先立って徴収されます。
Q514条の優先は担保財産以外にも及びますか?
及びません。優先するのは当該担保財産の換価代金に限られます。それ以外の財産については、8条の国税優先の原則と12条・13条の先着手主義に戻ります。
Q6国税と地方税ではどちらが先に取れますか?
原則は差押えや交付要求の先後で決まります(12条・13条)。ただし担保を徴した国税があるときは、その担保財産の換価代金についてのみ、14条により当該国税が優先します。
Q7換価代金の配当に納得できないときは?
配当計算書の謄本の発送日から7日以内に、税務署長へ異議を申し出ることができます(国税徴収法133条)。期間が極端に短いため、届いた当日に内容を確認する必要があります。
Q8担保を徴した国税が複数あるときの順位は?
同一財産に複数の納税担保が設定されている場合、担保権相互の順位(設定登記の先後等)に従って配当されるのが実務の考え方です。14条は税目間の先着手主義を排除するにとどまります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1担保に入れたら、その土地はもう税務署のものになるんですか?
所有権は移りません。不動産の場合、税務署が抵当権の設定登記を受ける形が通常です(国税通則法50条、同施行令16条)。使い続けられるし、売ることもできます。ただし換価代金からは、担保を取った国税が他の税金に先立って回収される(14条)。実務のポイント:登記簿の乙区に「抵当権者 国」と公示されるため、次の融資審査でほぼ確実に発見されます。担保提供は税務署との内輪の話ではない
Q2先に差し押さえた市役所より、あとから来た税務署が勝つって本当ですか?
その担保財産の換価代金に限っては本当です。差押先着手(12条)・交付要求先着手(13条)の原則を、14条が正面から外しているためです。市役所が住民税で先に差し押さえていても、担保を取った国税が先に配当を受ける。実務のポイント:徴収の現場では、順番より先に他庁の担保徴取の有無を照会します。着手の早さだけで回収見込みを立てると、配当額の計算が丸ごと狂う
Q3保証人を立てた場合も、14条で守られるんですか?
守られません。14条が優先させるのは担保財産の換価代金についてであり、保証人の一般財産はここでいう担保財産ではないからです。保証人からの徴収は国税通則法52条の手続で、納付通知書による告知を経て行われます。実務のポイント:保証人方式は自社の財産を囲い込まれない代わりに、保証人の全財産が矢面に立つ。どちらが軽いかは資産構成で逆転するので、提示された方式をそのまま受けない
Q4銀行の抵当権と国税の担保、結局どっちが強いんですか?
登記の日付そのものではなく、国税の法定納期限等と抵当権設定登記の先後で決まります(15条、16条)。登記が法定納期限等より前なら銀行が勝ち、後なら国税が勝つ。14条は税金どうしの順番を決める条文で、この勝負には口を出しません。実務のポイント:更正・決定で追徴された国税は、法定納期限等が元の申告期限より後ろにずれる扱いがある(15条1項各号)。税務調査で追徴が出ても、既登記の抵当権が自動的に負けるわけではない
間違えやすい点 AI による整理
- 「担保に取られたら国が何より優先する」と思われがちだが、問いの立て方がずれている。14条が決めているのは国税どうし、国税と地方税の間の順番だけだ。法定納期限等より前に登記された抵当権には、担保を取った国税でも負ける(15条、16条)。国 対 民間の勝負は、まったく別の条文で戦われている
- 担保提供が「猶予をもらうための形式手続」であることは多くの人が知っている。だがその深刻度までは把握されていない。差し出した瞬間、その財産は特定の国税のために囲い込まれ、他の税目の滞納が起きてもその代金からは救済されなくなる。猶予の代償は延滞税の一部免除と引き換えの利息だけではなく、資産一つ分の自由度である
- 滞納者から見れば「担保を出したから当面は安心」だが、他の課税庁や金融機関から見れば「あの財産はもう取り合いの対象から外れた」という意味になる。この落差が牙をむくのは、あなたが追加融資を申し込むときだ。担保余力の計算式が、登記簿の一行で書き換わっている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 順位を決める基準 | 14条:担保徴取の有無(先後を問わない) | 12条:差押えの先着手 13条:交付要求の先着手 |
| 適用される場面 | 担保財産の換価代金の配当に限定 | 同一財産に複数の徴収機関が差押えをした場合 差押えができず交付要求のみを行う場合 |
| 対抗する相手 | 他の国税および地方税(私債権は対象外) | 他の国税・地方税 他の国税・地方税 |
| 私債権との関係 | 14条は関与しない。15条・16条で法定納期限等と設定登記の先後により決定 | 同左(15条・16条による) 同左(15条・16条による) |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾は税捐が普通債権に優先する旨を定めるが、担保を徴した税捐を他の税捐に優先させる明文規定を欠く。税捐相互の競合は参加分配の実務で処理され、日本14条ほど明確な逆転ルールはない
納税担保物を売却したときは、35条の一般的優先順位にかかわらず、当該国税が売却代金から他の国税・地方税に優先して徴収される。日本14条とほぼ同型の構造をもつ
税収は無担保債権に優先し、欠税が抵当・質権設定より前であれば税収が優先する。ただし税収相互間の優先順位を担保徴取の有無で決する規定は置かれていない
ドイツは1999年の倒産法改正で租税の一般的優先権(Steuervorrecht)を廃止した。担保(Sicherheitsleistung)の実行は一般の担保権法理により、租税相互の優先順位規定は存在しない
連邦税リーエンの優劣は notice of federal tax lien の提出時期を基準とする first in time, first in right 原則で処理され、担保徴取による税目間の逆転という発想は採られていない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたの会社が納税の猶予を受けるために本社の土地を担保に入れた三か月後、別件で消費税の滞納が発生したとしたら? 猶予対象の国税は、その土地の換価代金から真っ先に回収される。あとから差押えに来た消費税分は、残った部分からしか取れない。担保に入れる資産を一つ間違えると、猶予を勝ち取った代わりに資金繰りが二重に締まる
- 銀行の融資担当として、あなたが担保評価をしている。登記簿の乙区に「抵当権者 国」の一行。これは納税の猶予か延納で税務署が担保を取った印だ。この土地の換価代金は、他の税金に先立ってその国税へ流れる。後順位のあなたが実際にいくら回収できるか、税務署への照会をしないまま稟議を上げてはいけない
- 相続した実家を担保に、相続税を延納した。その後、亡父の準確定申告漏れで所得税の追徴が来た。実家を売ったとき、代金から先に満額回収されるのは延納中の相続税のほうだ。
- あと10日で換価の猶予の申請期限。担保として何を差し出すかで、将来その財産が売られた日の配当先が決まる。営業用の機械を出すか、遊休地を出すか。手放しても事業が回る資産を選ばなければ、猶予が通った瞬間に別の首が絞まる
- 税務署に差し出したのが不動産ではなく、社長個人の保証だった場合。14条が守るのは担保財産の換価代金であって、保証人の一般財産はこの優先ルールの外にある。何を担保に選んだかで、条文の射程そのものが変わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 換価代金の配当計算書が届いたら、まず担保徴取の有無と、対象国税の法定納期限等の日付を確認する2. あなたの抵当権設定登記が法定納期限等より前なら、14条の優先は及ばず15条・16条であなたが勝つ3. 配当計算書の記載に誤りがあれば、謄本の発送日から7日以内に税務署長へ異議を申し出る(国税徴収法133条) 4. 期限を過ぎれば配当は確定する。異議と並行して、法定納期限等を証明する資料の取り寄せを税理士・弁護士に依頼する
訴えられた側:1. 担保提供を求められたら、差し出す財産の種類を先に検討する。国債、不動産、保証人で、その後の資金繰りへの影響がまるで違う(国税通則法50条) 2. 事業継続に必須の資産は避け、換価されても事業が回る資産を提案する3. 提供後は、その財産の換価代金が担保国税に先取りされる前提で、他の税目の納付計画を組み直す4. 猶予期間中に新たな滞納を作らない。担保財産の余力は、もう当てにできない
時効(請求できる期限):本条自体に期限はない。ただし周辺の期限は極端に短い。配当計算書への異議は謄本の発送日から7日以内(国税徴収法133条)、申請による換価の猶予は納期限から6か月以内(同151条の2)。国税の徴収権の消滅時効は法定納期限の翌日から5年(国税通則法72条)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:14条は、納税緩和制度の実効性を確保するため、担保財産の換価代金という限定された範囲でのみ12条・13条の先着手主義を排除した特則と理解されている。優先の効果は税目間の配当順位に限られ、私債権との優劣は15条・16条の判定に委ねられる
改正沿革 AI による整理
- 昭和34年(1959年) 現行国税徴収法(昭和34年法律第147号)の全部改正により、国税と他の債権との調整を定める第2章の一部として、担保を徴した国税の優先ルールが体系化された。以降の個別改正の有無および内容は人的検証が必要
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 改正:現行国税徴収法(昭和34年法律第147号)の全部改正により、国税と他の債権との調整を定める規定群の一部として、担保を徴した国税の優先が体系的に明文化された。以降の個別改正の有無および内容は人的検証が必要
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