国税徴収法 第38条(事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務)
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納税者が生計を一にする親族その他納税者と特殊な関係のある個人又は被支配会社(当該納税者を判定の基礎となる株主又は社員として選定した場合に法人税法第六十七条第二項(特定同族会社の特別税率)に規定する会社に該当する会社をいい、これに類する法人を含む。)で政令で定めるものに事業を譲渡し、かつ、その譲受人が同一又は類似の事業を営んでいる場合において、その納税者が当該事業に係る国税を滞納し、その国税につき滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められるときは、その譲受人は、譲受財産の価額の限度において、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負う。ただし、その譲渡が滞納に係る国税の法定納期限より一年以上前にされている場合は、この限りでない。
この条文の基本情報
事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務とは何ですか?
定義事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務とは、国税徴収法第38条に定められた規定で、「納税者が生計を一にする親族その他納税者と特殊な関係のある個人又は被支配会社(当該納税者を判定の基礎となる株主又は社員として選定した場合に法人税法第六十七条第二項…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第38条(事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第38条の条文原文は「納税者が生計を一にする親族その他納税者と特殊な関係のある個人又は被支配会社(当該納税者を判定の基礎となる株主又は社員として選定した場合に法人税法第六十七条第二項…」で始まります。
- 国税徴収法第38条は第三章に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第38条の前の条は国税徴収法第37条です。
- 国税徴収法第38条の次の条は国税徴収法第39条です。
- 国税徴収法第38条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第38条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第38条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/38
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法38条は、滞納者が親族や被支配会社へ事業を譲渡し譲受人が同種の事業を営む場合、譲受財産の価額を限度に第二次納税義務を課す。法定納期限の1年以上前の譲渡は対象外。
Q · 親の店をそのまま継いだら、親が滞納していた税金まで自分が払うことになるんですか?
要件が揃えば、譲り受けた財産の価額を限度に負担します
国税徴収法38条により、生計を一にする親族や被支配会社が事業を譲り受け、同一または類似の事業を営んでいる場合、本来の納税者に滞納処分を執行してもなお徴収不足と認められるときは、譲受人が第二次納税義務を負います。限度は「譲受財産の価額」であり、現物をすでに売却・処分していても、その価額分は譲受人自身の財産から支払うことになります。ただし、その譲渡が滞納国税の法定納期限より1年以上前に行われていれば、本条は適用されません。
解説
税務署は滞納者本人の財産を押さえきったところで諦める、と多くの人は思っている。国税徴収法38条はその前提を崩す条文である。滞納した納税者が、生計を一にする親族や自分が支配する会社に事業を譲り渡し、その譲受人が同じか似た事業を営んでいる。この二つが重なり、本人への滞納処分では足りないと認められた瞬間、税務署はあなた(譲受人)に直接、納付通知書を送れる。背負う額は譲り受けた財産の価額まで。ここが急所で、限度は「財産そのもの」ではなく「価額」であるから、その資産をすでに売却・費消していても、あなた自身の預金や自宅が差押えの射程に入る。ただし逃げ道も条文自身に書いてある。譲渡が滞納国税の法定納期限より1年以上前なら、この条文は届かない。事業承継の実行日を一年ずらすかどうかで、あなたの手元に残る金額が変わる。
法的な位置づけ
国税徴収法38条は事業譲受人の第二次納税義務を定める規定であり、滞納者が特殊関係者または被支配会社へ事業を譲渡し、譲受人が同一または類似の事業を営む場合に、本来の納税者への滞納処分では徴収不足となる範囲で、譲受財産の価額を限度として譲受人に補充的な納税義務を課す。法定納期限より1年以上前の譲渡は対象外である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.譲渡日と法定納期限を並べて1年ルールを判定 事業譲渡の実行日と、滞納国税それぞれの法定納期限をカレンダー上に並べる。譲渡が法定納期限より1年以上前であれば、ただし書により38条は全面的に否定できる。ここが最初に確認すべき一本の線
- 2.譲受財産の目録と評価根拠を作成 責任の限度は譲受財産の価額であるため、譲渡時点の在庫・設備・営業権を項目別に洗い出し、自前の評価根拠を作る。税務署側の評価資料を取り寄せ、過大評価部分を特定して限度額そのものを削る
- 3.徴収不足の認定資料を開示請求で確認 本来の納税者への滞納処分が実際に尽くされたか(補充性の充足)を、行政文書の開示請求等で確認する。本人財産の調査が不十分なまま告知されていれば、それ自体が争点になる
- 4.不服申立てを3か月以内に選択して提起 処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に、再調査の請求か審査請求かを選んで提起する(国税通則法77条)。主たる課税処分を争う道と自分への告知処分を争う道は別々に期限が走るため、同じ日に両方を押さえる
- 5.換価の猶予・徴収猶予を並行申請して差押えを止める 不服申立てをしても納付期限の進行は止まらない。争っている最中に差押えが進むのを防ぐため、換価の猶予または徴収の猶予を並行して申請し、資金繰りの停止を回避する
よくある質問 AI による整理
Q1第二次納税義務とは何ですか?
本来の納税者から徴収しきれない場合に、一定の関係者へ補充的に納税義務を及ぼす制度です。手続は国税徴収法32条以下が、事業譲受人の類型は38条が定めます。
Q2国税徴収法38条の要件は?
①特殊関係者または被支配会社への事業譲渡、②譲受人が同一または類似の事業を営むこと、③本人への滞納処分でなお徴収不足、の3つです。有償か無償かは要件ではありません。
Q31年ルールの起算日はいつですか?
起算点は譲渡日ではなく滞納国税の法定納期限です。法定納期限から1年以上さかのぼった時点で譲渡が済んでいれば、ただし書により38条は適用されません。
Q4被支配会社の判定基準は?
納税者を判定の基礎となる株主・社員として選定した場合に法人税法67条2項の会社に該当するかで判断し、具体的範囲は国税徴収法施行令13条が定めます。
Q5営業権も譲受財産に含まれますか?
含まれ得ます。限度額は譲受時点の価額であるため、営業権や在庫・設備の評価額がそのまま負担の上限を押し上げます。評価根拠の確認が実務上の要点です。
Q6納付通知書が届いたらどうすればいい?
納付期限(通知書を発する日の翌日から1か月を経過する日)と不服申立期限(処分を知った日の翌日から3か月)を同時に確認し、換価の猶予申請と並行して進めます。
Q7相続放棄すれば38条の責任は消えますか?
消えません。生前の事業譲渡によって譲受人自身に生じた固有の義務であり、被相続人の債務を承継したものではないため、放棄という出口が存在しません。
Q8第二次納税義務に時効はありますか?
本体の国税の徴収権は法定納期限の翌日から5年で時効消滅します(国税通則法72条)。第二次納税義務は本体に付従するため、本体が消滅すれば存立しません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1親父の店をタダで継いだだけなんですけど、なんで自分が払うことになるんですか?
無償か有償かは38条の要件ではありません。特殊関係者への事業譲渡、同一または類似の事業の継続、本人への滞納処分でなお徴収不足、この三つが揃えば成立し、限度は譲受財産の価額です。実務のポイント:実務で最も削れるのはこの「価額」です。譲受時点の時価であり、営業権や old な設備を高く見積もった評価は珍しくない。まず税務署側の評価根拠を取り寄せ、自前の評価をぶつけるところから始まります。
Q2別会社にしてあるから大丈夫、と税理士以外の人に言われました。本当ですか?
被支配会社に当たるかは、法人税法67条2項の会社に該当するかという株主構成の判定で機械的に決まり、その具体的範囲は国税徴収法施行令13条が定めます。看板が別でも判定に乗れば法人格は盾になりません。実務のポイント:親族名義や名義株は、税務署が同族判定で真っ先に確認する箇所です。分散させたつもりの持株ほど、判定の基礎となる株主として拾われます。
Q31年以上前に事業を譲渡していれば、もう絶対に安全ですか?
38条は届きません。ただし出口は一つではなく、39条(無償または著しく低い額の譲受人等の第二次納税義務)や民法424条の詐害行為取消権という別の入口が残ります。実務のポイント:実務では38条が時期で外れた瞬間、担当者の検討は39条へ切り替わります。1年ルールは38条という一枚の扉にしか効かない鍵だと理解しておくべきです。
Q4納付通知書が来たら、元の税額そのものはもう争えないんですか?
自分への告知処分を争えるのは当然として、最高裁は第二次納税義務者が主たる課税処分を争う立場も認めています(最判平成18.1.19)。本体の税額が崩れれば、あなたの義務も崩れます。実務のポイント:この二正面での争い方は、通知を受けた側から相談されない限り誰も説明しません。期間制限は処分ごとに走るので、告知を受けた日にどちらの期限も同時に押さえるのが実務です(最新の判例状況をご確認ください)。
間違えやすい点 AI による整理
- 第二次納税義務という制度名は知っていても、その限度が「譲り受けた財産」ではなく「譲受財産の価額」であることの重さを知らない人が多い。現物を返せば清算できるという話ではなく、すでに在庫を売り切り設備を処分していても、譲受時点の価額分をあなた自身の財産から払う。返還では出口にならない。
- 「きちんと対価を払って買ったのだから、これは譲渡ではなく取引だ」という問いの立て方自体が的を外している。38条が見ているのは対価の有無ではなく、(1)特殊関係者への事業譲渡か、(2)同一または類似の事業を営んでいるか、(3)本人への滞納処分でなお不足か、の三点である。適正価格での売買でも要件は消えない。
- あなたから見れば新会社は別人格の他人である。法律から見れば、株主構成が要件を満たした時点でそれは「被支配会社」であり、法人格は盾にならない。この落差に気付かないまま資産を移した人が、移転先の会社ごと徴収の対象に組み込まれる。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 責任が生じる原因 | 38条:特殊関係者・被支配会社への事業譲渡+同一類似事業の継続 | 39条:無償または著しく低い額での財産の譲受け等 37条:納税者と共同で事業を営む者(共同的な事業者) |
| 対価の有無 | 有償・無償を問わない(適正価格の売買でも成立) | 無償または著しい低額であることが要件 対価は要件ではない |
| 責任の限度 | 譲受財産の価額 | 受けた利益の限度 供された事業用資産の限度 |
| 時期による除外 | 法定納期限より1年以上前の譲渡は適用外(ただし書) | 1年ルールの除外がなく、38条が外れた事案の受け皿になり得る 時期による一律の除外規定はない |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には事業譲受人一般に第二次納税義務を課す租税法上の規定がなく、営業の概括承受として私法上の債務引受で処理される。合併の場合のみ税捐稽徵法15条が納税義務の承継を定める。日本の38条のような「価額限度+1年ルール」の設計は存在しない
韓国は日本法の影響下で事業譲受人の第二次納税義務を明文化し、譲受財産の価額を限度とする構造も共通する。特殊関係者要件の設計に差がある
ドイツは事業の全部譲受人に対し、譲渡前の一定期間に生じた事業税等の責任を負わせる。責任範囲を譲受財産に限定する点は日本と共通するが、特殊関係者要件を置かない点が異なる
米国は transferee liability を手続規定として置き、実体的な責任は州の詐害譲渡法(fraudulent transfer law)に依存する。日本のように実体要件を租税法本体に書き切る構造とは対照的
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 父の焼鳥屋を屋号も従業員もそのまま引き継いだ。半年後、自分宛に税務署の封筒が届く。中身は父の消費税滞納分の納付通知書だった。
- もし、一円も対価を払わずに事業を譲り受けていたら責任は軽くなるのか。答えは逆で、38条は有償か無償かを要件にしていない。責任の限度は「譲受財産の価額」なので、タダで受け取った資産ほど、評価額がそのまま自分の債務の上限になる。
- 節税の相談で「個人事業を法人成りしましょう」と勧められ、自分が100%出資する新会社へ事業を移した側の視点。その新会社は法人税法67条2項の判定に乗る被支配会社そのものであり、38条の直撃コースに自分から入っていく。個人時代の未納源泉所得税や消費税が残っていれば、会社が引き継ぐのは事業だけではない。
- 納付通知書に書かれた納付期限まで残り3週間。不服申立ての期限は処分を知った日の翌日から3か月。この二つは別々に走っており、納付期限を過ぎれば争っている最中でも差押えの手続は進む。どちらの時計から先に手を付けるかで、資金繰りが止まるかどうかが決まる。
- 友人が「親の会社を来月継ぐことになった」と相談してきた。あなたが最初に聞くべきは事業の中身でも株価でもなく、親側に未納の国税があるか、あるならその法定納期限がいつかである。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 事業譲渡の日と、滞納国税の法定納期限を並べる。譲渡が法定納期限より1年以上前ならただし書で全面的に否定できる2. 譲受財産の目録と評価根拠を作る。限度は価額なので、営業権や在庫の過大評価は減額の主戦場3. 本人への滞納処分が尽くされたか(徴収不足の認定資料)を開示請求で確認4. 不服申立ては処分を知った日の翌日から3か月以内(国税通則法77条)。再調査の請求か審査請求かを最初に選ぶ5. 争いながら差押えを止めるため、換価の猶予・徴収猶予の申請を並行させる
訴えられた側:1. 事業を移す前に、自分および自社の未納国税とその法定納期限を全件洗う。1年ルールは実質的に日付の問題であり、設計段階でしか動かせない2. 譲受先が生計を一にする親族や被支配会社(範囲は国税徴収法施行令13条)に当たるか、事業の同一性・類似性が残るかを確認3. 適正な対価を払っても要件は外れない。責任は価額限度で譲受人に残る4. 滞納がある状態での事業移管は、39条(無償・著しい低額の譲受人等)や民法424条の詐害行為取消とセットで狙われる。移す前に納税の猶予・分割納付の交渉を先に置く
時効(請求できる期限):第二次納税義務は納付通知書の送達で具体化し、その納付期限は原則として通知書を発する日の翌日から1か月を経過する日(国税徴収法32条1項)。不服申立ては処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(国税通則法77条)。本体の国税の徴収権は法定納期限の翌日から5年で時効消滅(同72条)。そして38条の入口そのものは、事業譲渡が法定納期限より1年以上前かどうかで開閉する(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説(補充性・付従性):第二次納税義務は主たる納税義務に付従する従たる義務であり、本来の納税者への滞納処分を尽くしてなお不足する場合にのみ成立する。本体の課税処分が取り消されれば第二次納税義務も基礎を失う。
通説(価額限度の物的責任):38条の責任は譲受財産そのものへの物的責任ではなく、譲受財産の価額を上限とする金銭債務である。したがって現物の返還では免責されず、譲受人の一般財産が引当てとなる。
改正沿革 AI による整理
- 昭和34年(1959年)国税徴収法全部改正(要検証) 現行国税徴収法の制定時に、第二次納税義務の一類型として事業譲受人の責任が置かれたとされる。新設か旧法からの承継かを含め、立法沿革の人的検証が必要
- 令和元年度(2019年)税制改正(要検証) 第二次納税義務制度の見直しの一環として本条が改正され、責任の限度が譲受財産の価額とされ、あわせて対象となる譲渡の時期が法定納期限との関係で限定されたとされる。改正年・施行日・改正前後の文言差は官報および改正法附則での確認が必要
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 制定:国税徴収法(昭和34年法律第147号)の全部改正により現行法が成立し、第二次納税義務の一類型として事業譲受人の責任が置かれた。個別条文の新設か旧法からの承継かは立法資料での確認が必要
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