国税徴収法 第37条(共同的な事業者の第二次納税義務)
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- 次の各号に掲げる者が納税者の事業の遂行に欠くことができない重要な財産を有し、かつ、当該財産に関して生ずる所得が納税者の所得となつている場合において、その納税者がその供されている事業に係る国税を滞納し、その国税につき滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められるときは、当該各号に掲げる者は、当該財産(取得財産を含む。)を限度として、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負う。
- 一納税者が個人である場合その者と生計を一にする配偶者その他の親族でその納税者の経営する事業から所得を受けているもの
- 二納税者がその事実のあつた時の現況において同族会社である場合その判定の基礎となつた株主又は社員
この条文の基本情報
共同的な事業者の第二次納税義務とは何ですか?
定義共同的な事業者の第二次納税義務とは、国税徴収法第37条に定められた規定で、「次の各号に掲げる者が納税者の事業の遂行に欠くことができない重要な財産を有し、かつ、当該財産に関して生ずる所得が納税者の所得となつている場合において、その納税者が…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第37条(共同的な事業者の第二次納税義務)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第37条の条文原文は「次の各号に掲げる者が納税者の事業の遂行に欠くことができない重要な財産を有し、かつ、当該財産に関して生ずる所得が納税者の所得となつている場合において、その納税者が…」で始まります。
- 国税徴収法第37条は第三章に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第37条の前の条は国税徴収法第36条です。
- 国税徴収法第37条の次の条は国税徴収法第38条です。
- 国税徴収法第37条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第37条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第37条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/37
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法37条は、納税者の事業に不可欠な重要財産を有し、その所得が納税者に帰属する生計一親族・同族株主に対し、徴収不足があるとき当該財産を限度に第二次納税義務を負わせる。
Q · 夫や父親の会社が国税を滞納したら、自分名義の土地や建物まで差し押さえられるのですか?
保証人でなくても、要件を満たせば納税義務を負います
国税徴収法37条により、あなたが納税者の事業に欠くことができない重要な財産を持ち、その財産から生ずる所得が納税者の所得になっており、かつ納税者本人への滞納処分でも徴収額に不足するときは、第二次納税義務が発生します。対象は生計を一にする親族(事業から所得を受けている者)と、同族会社の判定の基礎となった株主又は社員です。責任の限度は当該財産(取得財産を含む。)そのもので、署名や同意は不要、税務署は納付通知書一枚で滞納処分に進めます。
解説
「名義が違うのだから自分の財産は無関係」という感覚は、税の徴収の場面では通用しない。国税徴収法37条は、滞納者本人ではないあなたに、税務署が納付通知書一枚で納税義務を負わせる仕組みである。成立要件は三つ。あなたが事業の遂行に欠くことができない重要な財産(店舗の土地建物、工場、機械、営業車)を持っていること。その財産に関して生ずる所得が、滞納している事業主側の所得になっていること。そして事業主の財産に滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に足りないこと。個人事業なら、生計を一にする配偶者や親族でその事業から所得を受けている人、たとえば青色事業専従者給与を受け取っている妻が正面から当たる。会社なら、同族会社の判定の基礎となった株主が当たる。責任の上限はその財産そのもの。裏を返せば、財産の持たせ方と所得の流し方次第で、要件から外れる余地が残っている。
法的な位置づけ
国税徴収法37条は、共同的な事業者の第二次納税義務を定める規定である。納税者の事業に不可欠な重要財産を有し、その財産から生ずる所得が納税者に帰属する者は、滞納処分を執行してもなお徴収不足が認められる場合に、当該財産(取得財産を含む。)を限度として補充的に納税義務を負う。対象は生計を一にする親族と、同族会社の判定の基礎となった株主又は社員に限られる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.納付通知書の日付と納付期限を最初に確定する 通知書を発する日の翌日から1月が納付期限(国税徴収法32条1項)。同時に、処分を知った日の翌日から3月という不服申立期限(国税通則法77条)も同じ紙からカウントを始める。この二つの期限を紙に書き出すことが最初の作業になる
- 2.三要件を一つずつ分解して潰す ①その財産は本当に事業の遂行に欠くことができない重要な財産か(代替可能なら要件は弱い)、②その財産に関して生ずる所得は誰の所得として申告されていたか、③主たる納税者の財産調査と滞納処分は尽くされ徴収不足が認定できるか。三つのうち一つでも崩れれば義務は生じない
- 3.国税徴収法32条4項の換価順序を主張して時間を作る 第二次納税義務者の財産の換価は、原則として主たる納税者の財産を換価に付した後でなければできない。この順序を書面で主張し、自分の財産の換価が先行しないことを確認する。慌てて自ら売却して現金化すると、この防御線を自分で消すことになる
- 4.換価の猶予・納税の猶予を申請して差押えの進行を止める 要件を争うのと並行して、猶予制度の申請を出す。猶予が認められれば分割納付と差押えの解除・停止の余地が生まれる。争いと猶予は二者択一ではなく、期限内に両方走らせるのが実務の初手
- 5.自分への告知と、大元の課税処分の両方について争う道を確保する 第二次納税義務者は、主たる納税義務者に対する課税処分の取消訴訟についても争う余地がある(最判平成18年1月19日)。自分への納付告知の期限表と、大元の課税処分の期限表を別々に作り、どちらを本丸にするか専門家と決める
よくある質問 AI による整理
Q1第二次納税義務とは何ですか?
本来の納税者から徴収しきれない国税について、一定の関係にある第三者が補充的に納付義務を負う制度です。主たる納税義務に附従し、その消滅とともに消えます。
Q2国税徴収法37条の要件は?
①事業の遂行に欠くことができない重要な財産の保有、②その財産に関して生ずる所得が納税者の所得となっていること、③滞納処分を執行してもなお徴収額に不足すること、の三つです。
Q3生計を一にするとはどういう意味ですか?
同一の家計で日常生活の資を共にしている状態を指します。同居が絶対条件ではなく、単身赴任や就学で別居していても生活費の送金があれば該当し得ます。
Q4青色事業専従者給与をもらっていると危ないですか?
37条1号の「その事業から所得を受けているもの」に正面から当たります。ただしそれだけで義務が生じるのではなく、重要財産の保有と所得帰属の要件が別途必要です。
Q5同族会社の判定の基礎となった株主とは?
法人税法2条の同族会社判定で、上位株主グループとして数えられた株主又は社員です。名義だけの少数株主でも、判定基礎に入っていれば対象になり得ます。
Q6第二次納税義務に時効はありますか?
固有の時効はなく、主たる国税の徴収権の消滅時効(法定納期限の翌日から5年)に従属します。納付通知書による告知で時効は更新されます。
Q7納付通知書が届いたら納付期限はいつまで?
国税徴収法32条1項により、通知書を発する日の翌日から起算して1月以内です。この1か月が要件を争うか猶予制度を組むかの判断期間になります。
Q8納付通知書に不服がある場合はどうしますか?
処分があったことを知った日の翌日から3月以内に不服申立てが必要です(国税通則法77条)。自分への告知とは別に、主たる納税者への課税処分を争う余地もあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1夫の税金なのに、どうして私名義の土地が差し押さえられるんですか。裁判もしていないのに
37条の第二次納税義務は契約ではなく法律が直接発生させるため、あなたの同意も判決も不要です。税務署は納付通知書(国税徴収法32条1項)という行政処分を出すだけで滞納処分に進めます。実務のポイント:ただし換価には順序があり、あなたの財産の換価は原則として主たる納税者の財産を換価した後でなければできません(同条4項)。この順序を知らずに、自分から慌てて売却して現金化する人が毎年います
Q2会社に無償で貸している社長個人の土地、いまから地代を取れば要件を外せますか
理屈の上では、当該財産に関して生ずる所得が会社の所得になっているという要件を崩せる可能性があります。ただし滞納が表面化した後の形だけの契約は否認され、徴収法39条の無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務にも触れます。実務のポイント:税務署が見るのは契約書ではなく通帳の入金と申告書です。契約書だけ作って地代が実際に動いていないケースは、その場で崩されます
Q3父の会社の滞納で私に通知が来ました。そもそも父の会社への課税自体がおかしいと思うのですが、私が文句を言えますか
言えます。最判平成18.1.19は、第二次納税義務者に主たる納税義務者への課税処分の取消訴訟の原告適格を認めました。自分への納付告知だけでなく、大元の課税処分も争える余地があります。実務のポイント:争点が二階建てになるため、期間制限の起算点が勝敗を分けます。通知書を受け取った日に、自分への告知と大元の処分の両方について期限表を作るのが実務の初手です
Q4限度はその土地だけと聞きました。先に売って現金にしてしまえば逃げられますか
逃げられません。条文は「当該財産(取得財産を含む。)を限度として」と書いており、売却代金や交換で得た財産も追及の対象になります。実務のポイント:さらに国税通則法42条により国は民法の詐害行為取消権を使えますし、譲受人側が徴収法39条で第二次納税義務を負う場合もあります。逃がすつもりの処分が、家族をもう一人巻き込む結果になりやすい
間違えやすい点 AI による整理
- 「保証人になっていないのだから大丈夫か」という問いの立て方自体がずれている。37条の責任は契約から生まれるものではなく、法律が要件充足だけで直接に発生させる納税義務である。署名も同意も承諾も要らない。問うべきは保証したかどうかではなく、財産と所得の帰属関係がどうなっているかだ
- 税務署が家族名義の財産を取るには裁判が必要だと思われているが、必要ない。納付通知書という行政処分(役所があなたに直接下す具体的な決定)を出せば、そのまま滞納処分、つまり差押えと換価へ進める。民間の債権者が判決を取るまでに費やす数か月の工程を、国は自力で飛ばせる
- 限度がその財産だけであることは知っていても、条文が「当該財産(取得財産を含む。)」とわざわざ書いている意味まで踏み込んでいる人は少ない。売って現金化すればその代金が、交換すれば交換で得た財産が、そのまま追いかけられる。形を変えて逃げる道は条文の段階で塞がれている
- あなたから見れば「身内だから地代は取らない」という親切、法律から見れば「その財産に関して生ずる所得を滞納者に帰属させている状態」。この落差が要件そのものを完成させる。善意でやってきた無償貸与が、そのまま要件充足の証拠として使われる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 責任の限度 | 37条:当該財産(取得財産を含む。)そのものを限度 | 38条:譲受財産の価額を限度(価額基準) 39条:受けた利益が現に存する限度 |
| 対象者 | 37条:生計を一にする親族で事業から所得を受ける者/同族会社の判定の基礎となった株主又は社員 | 38条:納税者と特殊関係のある事業の譲受人 39条:無償又は著しく低い額で財産の譲渡等を受けた者 |
| 成立の中核要件 | 37条:重要財産の保有+その財産に関して生ずる所得の納税者への帰属 | 38条:事業の譲受けという行為 39条:滞納国税の法定納期限の1年前以降の無償・低額の処分 |
| 共通の前提と手続 | 37条:滞納処分を執行してもなお徴収不足(補充性)+納付通知書による告知(32条) | 38条:同じく徴収不足+納付通知書による告知(32条) 39条:同じく徴収不足+納付通知書による告知(32条) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には日本37条に相当する類型化された第二次納税義務制度がなく、欠税者本人の財産に対する禁止処分等の保全と、詐害行為取消による財産の取戻しで機能を代替している。家族名義の事業用財産に直接責任を及ぼす明文は存在しない。
韓国は清算人、出資者、法人、事業譲受人の四類型で第二次納税義務を規定する。日本法の体系を経由した構成であるが、日本37条のような「事業に不可欠な重要財産の所有者」という財産着眼型の独立類型は置かれていない。
事業に供される物の所有者が、当該事業に著しく関与している場合に、その物を限度として事業の租税債務について責任を負う。財産そのものを責任の限度とする点、関与関係を要件とする点で日本37条と最も近い対応関係にある。
米国は transferee liability として財産の移転を受けた者に責任を及ぼすほか、名義人(nominee)や実質同一体(alter ego)と認定すれば連邦租税リーエンを第三者名義の財産に及ぼす。制定法の要件ではなく判例法理による認定である点が日本と大きく異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 夫の飲食店が消費税を滞納した。店舗の土地建物はあなた名義で、あなたは青色事業専従者給与を受け取っている。ある朝、税務署からあなた宛ての納付通知書が届く。納付期限は通知書を発する日の翌日から1月。この1か月で要件を崩す材料を集めるか、猶予制度を組むかを決めなければならない
- 父の会社に、自分名義の倉庫を無償で使わせているだけ。それでも巻き込まれるのか? あなたが同族会社の判定の基礎となった株主であれば、答えは巻き込まれうる、である。地代を取っていない状態は、その倉庫から生ずる所得を会社の所得にしている状態と評価されるからだ
- 相続で受け継いだ農地を、兄が代表を務める農業法人にただで貸している。その法人が国税を滞納した。あなたの農地が、あなたの意思と無関係に徴収の引当てになる。
- 創業のとき、会社に地代を払うのがもったいないと考え、自分名義の土地を無償で使わせることにした。十年後、会社が資金繰りに詰まって国税を滞納しているいま、その判断が37条2号の要件を静かに完成させている。節税の選択が、そのまま徴収の入口になった
- 友人から「妻名義の家に税務署の人が来た」と相談された。あなたが最初に確認すべきは三点だけだ。その家は事業に不可欠か、家賃は実際に妻へ支払われて申告されているか、そして夫本人の財産の滞納処分は尽くされたのか
取るべき行動
被害を受けた側:1. 納付通知書の日付と納付期限(発する日の翌日から1月、国税徴収法32条1項)を最初に確認2. 三要件を個別に潰す。その財産は本当に事業の遂行に欠くことができないのか、所得は誰に帰属していたか、主たる滞納者の財産調査と滞納処分は尽くされたか3. 徴収法32条4項の換価順序を主張して時間を作る4. 不服申立ては処分を知った日の翌日から3月以内(国税通則法77条)。自分への納付告知だけでなく、主たる納税者への課税処分そのものを争う余地もある(最判平成18.1.19)
訴えられた側:1. 滞納が生じた段階で、家族名義・株主名義の事業用財産を洗い出し、誰が37条の射程に入るかを把握する2. 平時であれば適正賃料の賃貸借契約、実際の入金、申告での所得計上をそろえ、所得帰属を事業主から切り離す3. 滞納表面化後の名義変更や低額譲渡は徴収法39条と詐害行為取消(国税通則法42条)の標的になるので手を出さない4. 換価の猶予・納税の猶予を先に申請し、そもそも徴収不足の認定に至らせないことが最も確実な防御
時効(請求できる期限):第二次納税義務そのものに固有の時効はない。主たる国税の徴収権の消滅時効(法定納期限の翌日から5年、国税通則法72条)に従属し、納付通知書による告知で時効は更新される。納付期限は通知書を発する日の翌日から起算して1月(国税徴収法32条1項)。不服申立ては処分があったことを知った日の翌日から3月(国税通則法77条)、取消訴訟は裁決があったことを知った日から6月(行政事件訴訟法14条)
学説
通説:第二次納税義務は主たる納税義務に附従し、かつ補充的である。主たる納税義務が消滅すれば第二次納税義務も消滅し、成立には主たる納税者への滞納処分によってなお徴収不足であることを要する。責任範囲を当該財産そのものに限定した37条は、無関係な第三者を巻き込む危険への抑制と理解される。
37条と38条の書き分けに関する理解:38条が「譲受財産の価額の限度において」と価額基準で規定するのに対し、37条は財産そのものを限度とする。これは37条が対象者の行為ではなく財産と所得の帰属という状態に基づいて義務を課すことに対応した、責任範囲の抑制的な設計であると説明される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 改正:国税徴収法の全部改正(昭和34年法律第147号)。租税徴収制度の全面的見直しの中で第二次納税義務が体系的に整理され、共同的な事業者に関する類型が37条として置かれた。
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