要点国税徴収法 36 条は、実質所得者課税等で課された国税が滞納処分でも徴収不足のとき、名義上の帰属者が収益を生じた財産等を限度に第二次納税義務を負うと定める。
Q · 名義を貸しただけなのに、他人の滞納税を払わされることはあるの?
本人が払えなければ名義人に請求が来る。ただし責任は特定財産に限定される
あります。国税徴収法 36 条は、実質所得者課税(所得税法 12 条、法人税法 11 条)や消費税法 13 条の実質判定、行為計算否認(法人税法 132 条等)により課された国税について、主たる納税義務者に滞納処分を執行してもなお徴収不足が生じるとき、収益が法律上帰属するとみられる者などに第二次納税義務を負わせます。ただし無限責任ではなく、1 号は収益が生じた財産と取得財産、2 号は貸付けに係る財産、3 号は受けた利益の額が限度です。争う場合は納付通知書に対する不服申立てを、知った日の翌日から 3 か月以内に行う必要があります。
税務署の手元には、二段構えの仕掛けがある。一段目は課税の場面。名義が誰であろうと、実際に収益を得ている者に課税する(所得税法 12 条、法人税法 11 条、消費税法 13 条)。ここまでは知っている人も多い。問題は二段目、徴収の場面だ。実質所得者と認定された本人から取り立てても足りないとき、国税徴収法 36 条は矛先を反転させる。「収益が法律上帰属するとみられる者」、つまり名義を貸したあなたに、第二次納税義務(他人の税を代わりに負担させられる立場)を負わせる。ただし無限責任ではない。1 号なら責任の範囲はその収益を生んだ財産と、それが姿を変えた「取得財産」に限られ、3 号(同族会社等の行為計算否認)なら受けた利益の額が上限になる。課税の局面で「私は名義だけです」と主張して逃げ切ったつもりでも、徴収の局面では、その名義がそのまま差押えの標的に変わる。
国税徴収法 36 条は第二次納税義務の一類型を定める規定であり、実質所得者課税の原則または行為計算否認の規定により課された国税について、主たる納税義務者に対する滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められるときに、収益の法律上の帰属者等が一定の財産または利益の額を限度として補充的に納税義務を負う旨を規定する。
本来の納税義務者から税を徴収しきれないとき、一定の関係にある第三者が補充的に納付責任を負う制度です。国税徴収法 32 条から 39 条に類型があり、36 条はそのうち実質所得者課税・行為計算否認に対応する類型です。
不服申立て(再調査の請求または審査請求)は、処分があったことを知った日の翌日から 3 か月以内です(国税通則法 77 条 1 項)。納付自体の指定期限は通知書に記載されるため、両方を別々にカレンダーへ記録してください。
36 条は実質所得者課税や行為計算否認に対応し、収益の法律上の帰属者等が対象です。39 条は滞納者から無償または著しく低い対価で財産を譲り受けた者が対象で、受けた利益の額が限度になります。根拠条文が違えば要件も限度額も変わります。
条文上、収益が生じた財産の異動により取得した財産と、それらの財産に基因して取得した財産を指します。元の財産を売って買い替えた資産も追及されうる一方、原資の紐づけが切れた財産は射程外になり得ます。
第二次納税義務そのものに固有の時効期間はありません。前提となる主たる国税の徴収権が法定納期限から 5 年で時効消滅します(国税通則法 72 条)が、差押え等により時効は更新されます。
主たる納税義務者の財産を調査・換価してもなお徴収すべき額に足りないと認められる状態を指します。未換価・未調査の財産が残っていれば、この補充性要件そのものを争う余地があります。
生じます。36 条 2 号は消費税法 13 条の実質判定により課された国税のうち貸付けに係る部分を対象とし、その貸付けを法律上行つたとみられる者が、貸付けに係る財産を限度に責任を負います。
納税の猶予・換価の猶予は納税者の資力等に応じた制度であり、第二次納税義務者にも適用の余地があります。ただし要件審査は個別判断となるため、指定期限前に所轄税務署の徴収担当と協議することが実務的です。
課税と徴収が別の仕組みだからである。課税では実質の稼ぎ手に課すが(所得税法 12 条)、その者から徴収しきれないとき、国税徴収法 36 条 1 号は名義上の帰属者に補充的な責任を負わせる。業界裏話ヒント:責任は「収益が生じた財産」とその取得財産に限定される物的な有限責任であり、給与や無関係な預金まで自動的に取られる建て付けではない。ここを最初に切り分けられるかで、実際の負担額が桁で変わる
自分に来た納付通知書は不服申立てで争える(国税通則法 75 条以下)。主たる課税処分そのものを争えるかについては、最高裁が第二次納税義務者に取消訴訟の原告適格を認めた判断を示しているが(最判平成 18.1.19)、その射程は実務上も解釈が分かれている。業界裏話ヒント:本案で課税の当否に踏み込む前に、「滞納処分を執行してもなお不足する」という要件を突く方が早い。これは義務成立の前提であり、崩れれば義務自体が立たない
全財産ではない。国税徴収法 36 条は号ごとに限度を定めており、1 号は収益が生じた財産と取得財産、2 号は貸付けに係る財産、3 号は受けた利益の額が上限である。業界裏話ヒント:「取得財産」は、元の財産を売って別の物に買い替えても追及が及ぶという趣旨の概念である。逆に言えば、資金の紐づけが切れている財産は射程外になりうる。原資の追跡ができるかどうかが、実務上の攻防点になる
必ずではない。36 条 3 号が対象とするのは、行為計算否認の規定(法人税法 132 条、所得税法 157 条、相続税法 64 条など)により否認された行為につき利益を受けたとされる者に限られる。単に役員という地位だけでは該当しない。業界裏話ヒント:国税徴収法には 33 条から 39 条まで複数の第二次納税義務があり、どの条文で来ているかで要件も限度額も全く違う。納付通知書に書かれた根拠条文を最初に確認すること
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象となる国税 | 36 条:実質所得者課税・消費税実質判定・行為計算否認により課された国税 | — |
| 責任を負う者 | 36 条:収益が法律上帰属するとみられる者/貸付けを法律上行つたとみられる者/否認により利益を受けたとされる者 | — |
| 責任の限度 | 36 条:収益が生じた財産(取得財産を含む)/貸付けに係る財産/受けた利益の額 | — |
| 補充性要件 | 36 条:滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められるとき | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。