国税徴収法 第86条(参加差押えの手続)
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- 税務署長は、第四十七条(差押えの要件)の規定により差押えをすることができる場合において、滞納者の財産で次に掲げるものにつき既に滞納処分による差押えがされているときは、当該財産についての交付要求は、第八十二条第一項(交付要求の手続)の交付要求書に代えて参加差押書を滞納処分をした行政機関等に交付してすることができる。
- 一動産及び有価証券
- 二不動産、船舶、航空機、自動車、建設機械及び小型船舶
- 三電話加入権
- 2.税務署長は、前項の交付要求(以下「参加差押え」という。)をしたときは、参加差押通知書により滞納者に通知しなければならない。この場合において、参加差押えをした財産が電話加入権であるときは、あわせて第三債務者にその旨を通知しなければならない。
- 3.税務署長は、第一項第二号に掲げる財産につき参加差押えをしたときは、参加差押えの登記を関係機関に嘱託しなければならない。
- 4.第五十五条(質権者等に対する差押えの通知)の規定は、参加差押えをした場合について準用する。
この条文の基本情報
参加差押えの手続とは何ですか?
定義参加差押えの手続とは、国税徴収法第86条に定められた規定で、「税務署長は、第四十七条(差押えの要件)の規定により差押えをすることができる場合において、滞納者の財産で次に掲げるものにつき既に滞納処分による差押えがされていると…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第86条(参加差押えの手続)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第86条の条文原文は「税務署長は、第四十七条(差押えの要件)の規定により差押えをすることができる場合において、滞納者の財産で次に掲げるものにつき既に滞納処分による差押えがされていると…」で始まります。
- 国税徴収法第86条は第二節に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第86条の前の条は国税徴収法第85条です。
- 国税徴収法第86条の次の条は国税徴収法第87条です。
- 国税徴収法第86条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第86条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第86条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/86
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法86条は、他機関が既に差し押さえた財産について、税務署長が交付要求書に代えて参加差押書を交付する手続を定める。先行差押えが解除されると差押えの効力を生じる。
Q · 国税の滞納で、すでに市役所が差し押さえている家に税務署も手を出せるんですか?
先行の差押えが外れると差押えに変わる、予約のような手続です
国税徴収法86条により、滞納者の動産・有価証券、不動産・船舶・航空機・自動車・建設機械・小型船舶、電話加入権について既に滞納処分による差押えがされているときは、税務署長は交付要求書に代えて参加差押書を先行機関に交付できます。これが参加差押えです。同じ財産に二重に差押えはできませんが、参加差押えをしておくと、先行差押えが解除された瞬間にさかのぼって差押えの効力が生じます(87条)。不動産等では参加差押えの登記が嘱託され(3項)、質権者等にも通知が飛びます(4項・55条準用)。
解説
住民税の滞納で市役所に自宅を差し押さえられている人がいるとする。そこへ国税の滞納が重なったとき、税務署が打てる手は二つある。一つは交付要求、売れたら分け前をくださいと手を挙げるだけの手続。もう一つが本条の参加差押えだ。差は決定的で、先行する市役所の差押えが解除された瞬間、参加差押えはさかのぼって差押えの効力を持つ(87条)。交付要求のままなら、先行差押えが消えた時点で手ぶらに戻る。しかも不動産や自動車では、税務署は参加差押えの登記を関係機関に嘱託しなければならない(3項)。あなたの登記簿に「参加差押」の四文字が刻まれ、それは誰でも取得できる登記事項証明書に載る。銀行も、買主も、次の入居審査も、それを見る。
法的な位置づけ
国税徴収法86条にいう参加差押えとは、滞納者の一定の財産について既に滞納処分による差押えがされている場合に、税務署長が交付要求書に代えて参加差押書を先行の行政機関等へ交付して行う交付要求の特則をいう。対象は動産・有価証券、不動産、船舶、航空機、自動車、建設機械、小型船舶および電話加入権に限られる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.通知書の種類を見分ける 届いた封書が交付要求書の写しなのか、参加差押通知書なのかを最初に確認する。参加差押通知書であれば、先行差押えが解除された瞬間に差押えへ転化する地位を相手が持っていることを意味する(86条2項、87条)
- 2.関与機関と債権額を全部洗い出す 先行して差し押さえた機関(市役所・県税事務所・年金機構など)と参加差押えをした税務署を並べ、税目・年度・本税・延滞税を機関ごとに確定させる。一つ払えば終わる前提を捨て、総額と優先順位で資金計画を組み直す
- 3.登記事項証明書で受付順を確認する 対象が不動産・船舶・自動車等なら登記事項証明書または登録事項証明書を取得し、甲区に並ぶ差押え・参加差押えの受付年月日と受付番号を書き写す。この順序が配当順位と交渉順序を決める
- 4.換価が始まる前に猶予制度を相談する 公売公告が出る前に、申請による換価の猶予(国税徴収法151条の2)や納税の猶予(国税通則法46条)の可否を徴収担当へ相談する。猶予が認められれば差押え・参加差押えの解除に至る道が開く
- 5.任意売却を狙うなら全機関の同意を同時進行で取る 公売より任意売却の方が手取りが大きくなる見込みなら、先行差押機関と参加差押機関の全部に対し、同時並行で解除同意の交渉を始める。順番に回ると先に同意した機関の条件が期限切れになる
よくある質問 AI による整理
Q1参加差押えとは何ですか?
既に他の機関が滞納処分で差し押さえた財産について、税務署長が交付要求書に代えて参加差押書を交付して行う交付要求の特則です。国税徴収法86条1項が根拠で、対象財産は同項で限定列挙されています。
Q2参加差押通知書が届いたらどうすればいい?
まず先行して差し押さえた機関と、参加した税務署の税目・金額を書き出して全体像を確定させます。次に登記事項証明書を取得し、甲区の受付順を確認します。換価が始まる前に徴収担当へ猶予制度を相談するのが順序です。
Q3参加差押えができる財産は何ですか?
動産および有価証券、不動産・船舶・航空機・自動車・建設機械・小型船舶、電話加入権の三分類に限られます(86条1項各号)。これ以外の財産、たとえば預金債権などは通常の交付要求(82条)で対応します。
Q4参加差押えは複数の機関からされることがありますか?
あります。市役所が先行差押え、県税事務所と税務署がそれぞれ参加差押え、という重なり方は実務で珍しくありません。登記簿の甲区に参加差押えの登記が二重三重に並ぶ状態になります。
Q5参加差押えがあると住宅ローン審査に影響しますか?
強く影響します。不動産の参加差押えは登記の嘱託が義務づけられており(86条3項)、誰でも取得できる登記事項証明書に載ります。借換えや新規融資の担保評価は事実上そこで止まります。
Q6参加差押えされた不動産は売れますか?
任意売却は理論上可能ですが、先行差押機関と参加した全機関から解除の同意を得る必要があります。一機関でも応じなければ決済できません。参加機関が増えるほど交渉難度は上がります。
Q7参加差押えに納得できないときはいつまでに争えますか?
処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に審査請求または再調査の請求を行います(国税通則法77条1項)。取消訴訟は裁決の送達を受けた日から6か月以内(行政事件訴訟法14条1項)です。
Q8参加差押えをされると銀行に知られますか?
知られます。86条4項が55条を準用するため、抵当権者・質権者にも通知が送られます。住宅ローンの銀行は滞納者からの申告を待たずに事実を把握し、期限の利益喪失の検討に入ることがあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1交付要求と参加差押えって、結局なにがどう違うんですか?
交付要求は、先に差し押さえた機関の売却代金から分けてくださいと手を挙げる手続です(82条)。参加差押えも交付要求の一種ですが(86条1項)、先行差押えが解除されるとさかのぼって差押えの効力を生じます(87条)。実務のポイント:先行機関が分納を認めて差押えを解除するのは実務では日常茶飯事で、そのとき交付要求だけの機関は空振りし、参加差押えを打っていた機関だけが財産を掴む
Q2参加差押えの登記って、あとから消してもらえるんですか?
滞納国税を完納するか、換価の猶予や滞納処分の停止などで参加差押えが解除されれば、抹消の登記も嘱託されます。3項が定めるのは嘱託の義務なので、税務署の判断で登記を省くことはできません。実務のポイント:完納しても抹消が登記簿に反映されるまで時間差があり、その間に審査へ出すと差押え中と読まれる。完納の領収証書と抹消後の登記事項証明書を自分の手元で揃えてから審査に出す
間違えやすい点 AI による整理
- 参加差押えは交付要求の一種だから効果も同じ、と思われている。条文上たしかに交付要求の特則という位置づけだが(1項)、先行差押えが解除されたときにさかのぼって差押えの効力を生じる力(87条)は、通常の交付要求にはない。名前が似ているだけで、回収の実力はまったく別物である
- 登記簿に差押えの登記が付くことは知られていても、その深刻度が理解されていない。参加差押えの登記は3項で嘱託が義務づけられており、税務署の裁量で見送られることはない。しかも誰でも取得できる登記事項証明書に載るため、取引先の与信調査、金融機関の担保評価、賃貸の入居審査で必ず露出する。滞納の事実が、あなたの知らないところで第三者に伝わり続ける
- 「どの役所に払えば差押えが外れるのか」という問いの立て方自体がずれている。参加差押えがされている財産では、先行差押機関の手続が終わっても、財産は次の機関の手続の下に残る。外すべき相手は一つではなく、参加している全機関である。一つ払えば片付くという前提が、資金計画をまるごと狂わせる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続の性質 | 86条:参加差押え(交付要求の特則、参加差押書を交付) | 82条:交付要求(交付要求書を交付、配当を求めるのみ) 47条:差押え(自ら財産を掴む本来の滞納処分) |
| 先行差押えが解除されたとき | さかのぼって差押えの効力を生じる(87条) | 効力は消え、あらためて差押えをやり直す そもそも自らの差押えなので影響を受けない |
| 対象財産の限定 | 動産・有価証券、不動産等、電話加入権に限定(1項各号) | 限定なし(差押済み財産全般) 限定なし(差押可能な財産全般) |
| 登記・通知の義務 | 不動産等は登記の嘱託が義務(3項)、質権者等へ通知(4項) | 登記の嘱託はされない 差押えの登記が嘱託され、質権者等へ通知(55条) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では公法上の金銭給付義務の執行が行政執行署に一元化され、租税債権は参与分配で先行手続に加わる。日本のように後行機関が独自に予備的地位を得る仕組みとは構成が異なる
韓国も同名の制度を持ち、先行押留の解除により押留の効力へ転化する点で日本法と近い構造をとる。条番号は改正で変動しているため要確認
ドイツ租税基本法は先行差押えのある動産への後続差押えを認め、先行差押えが消滅した場合に順位が繰り上がる。機能は日本の参加差押えに近い
米国は差押えへの参加という構成をとらず、連邦租税リーエンの成立時期と登録による優先順位で処理する。順位の可視化を登記で行う点は日本と共通する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 先行して差し押さえた市役所が、滞納者の分納誓約を受けて差押えを解除したら、税務署の立場はどうなる? 単なる交付要求なら効力はそこで消え、税務署はゼロからやり直しになる。参加差押えなら、その瞬間に差押えへ転化し、順位もさかのぼる。市役所が解除の決裁を回すまで残り数日、この一手を打っているかどうかで結末が真逆になる
- 自宅の登記簿を取り寄せたら、市役所の差押えの下に「参加差押 税務署」の一行が増えていた。住宅ローンの借換え審査は、その一行で即座に止まる。差押えは一つで打ち止めではなく、積み重なる
- 知人から「差押えが入っている家を安く買えると聞いたが大丈夫か」と相談された。登記簿に参加差押えが二重三重に付いていれば、それは公売の順番待ちが並んでいる証拠であり、任意売却の交渉相手は売主一人ではなく参加した全機関になる。誰か一つでも解除に応じなければ、決済は一歩も進まない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 参加差押通知書が届いたら、先行差押機関(市役所・県税事務所など)と参加した税務署を書き出し、それぞれの税目と金額を確定させる2. 登記事項証明書を取得し、甲区に並ぶ差押・参加差押の登記の受付順を確認、この順序が回収順を決める3. 換価が始まる前に、申請による換価の猶予(国税徴収法151条の2)や納税の猶予(国税通則法46条)の可否を徴収担当に相談する4. 任意売却を狙うなら全機関の解除同意が要るため、動き出しは早いほど有利
訴えられた側:1. 先行して差し押さえた側なら、参加差押書が届いた時点で、自分が差押えを解除すると相手の参加差押えが差押えへ転化する(87条)ことを織り込んで方針を決める2. 抵当権者など担保権者は、参加差押えの登記との前後で配当順位が決まるため、受付年月日と受付番号を必ず押さえる3. 買主や共有者の立場なら、決済当日に登記事項証明書を取り直す。契約から決済までの間に参加差押えが割り込む例は珍しくない
時効(請求できる期限):参加差押えという処分自体に期間の定めはない。争う側の時間制限は明確で、不服がある場合の審査請求(または再調査の請求)は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(国税通則法77条1項)。裁決を経た取消訴訟は、裁決の送達を受けた日から6か月以内(行政事件訴訟法14条1項)。国税の処分は原則として不服申立前置(国税通則法115条)で、いきなり訴訟には進めない(最新の改正状況をご確認ください)
学説
条文構造からの通説的理解:86条の参加差押えは、条文上は交付要求の特則として位置づけられるが、87条により先行差押えの解除で差押えへ転化する効力を持つため、回収力の面では通常の交付要求と本質的に異なる予備的差押えと理解される
改正沿革 AI による整理
- 昭和34年(1959年)現行国税徴収法制定 旧国税徴収法の全部改正により、交付要求の特則としての参加差押えが現行の形で置かれた。その後、1項2号の列挙財産に小型船舶が加えられるなどの改正があったとされるが、改正年次と回数は人的検証を要する
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:旧国税徴収法の全部改正により現行国税徴収法が制定され、交付要求の特則としての参加差押えが本条に置かれた。その後の対象財産の追加等の改正経緯は人的検証を要する
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