要点国税徴収法 86 条は、他機関が既に差し押さえた財産について、税務署長が交付要求書に代えて参加差押書を交付する手続を定める。先行差押えが解除されると差押えの効力を生じる。
Q · 国税の滞納で、すでに市役所が差し押さえている家に税務署も手を出せるんですか?
先行の差押えが外れると差押えに変わる、予約のような手続です
国税徴収法 86 条により、滞納者の動産・有価証券、不動産・船舶・航空機・自動車・建設機械・小型船舶、電話加入権について既に滞納処分による差押えがされているときは、税務署長は交付要求書に代えて参加差押書を先行機関に交付できます。これが参加差押えです。同じ財産に二重に差押えはできませんが、参加差押えをしておくと、先行差押えが解除された瞬間にさかのぼって差押えの効力が生じます(87 条)。不動産等では参加差押えの登記が嘱託され(3 項)、質権者等にも通知が飛びます(4 項・55 条準用)。
住民税の滞納で市役所に自宅を差し押さえられている人がいるとする。そこへ国税の滞納が重なったとき、税務署が打てる手は二つある。一つは交付要求、売れたら分け前をくださいと手を挙げるだけの手続。もう一つが本条の参加差押えだ。差は決定的で、先行する市役所の差押えが解除された瞬間、参加差押えはさかのぼって差押えの効力を持つ(87 条)。交付要求のままなら、先行差押えが消えた時点で手ぶらに戻る。しかも不動産や自動車では、税務署は参加差押えの登記を関係機関に嘱託しなければならない(3 項)。あなたの登記簿に「参加差押」の四文字が刻まれ、それは誰でも取得できる登記事項証明書に載る。銀行も、買主も、次の入居審査も、それを見る。
国税徴収法 86 条にいう参加差押えとは、滞納者の一定の財産について既に滞納処分による差押えがされている場合に、税務署長が交付要求書に代えて参加差押書を先行の行政機関等へ交付して行う交付要求の特則をいう。対象は動産・有価証券、不動産、船舶、航空機、自動車、建設機械、小型船舶および電話加入権に限られる。
AI 輔助整理,以條文原文為準
既に他の機関が滞納処分で差し押さえた財産について、税務署長が交付要求書に代えて参加差押書を交付して行う交付要求の特則です。国税徴収法 86 条 1 項が根拠で、対象財産は同項で限定列挙されています。
まず先行して差し押さえた機関と、参加した税務署の税目・金額を書き出して全体像を確定させます。次に登記事項証明書を取得し、甲区の受付順を確認します。換価が始まる前に徴収担当へ猶予制度を相談するのが順序です。
動産および有価証券、不動産・船舶・航空機・自動車・建設機械・小型船舶、電話加入権の三分類に限られます(86 条 1 項各号)。これ以外の財産、たとえば預金債権などは通常の交付要求(82 条)で対応します。
あります。市役所が先行差押え、県税事務所と税務署がそれぞれ参加差押え、という重なり方は実務で珍しくありません。登記簿の甲区に参加差押えの登記が二重三重に並ぶ状態になります。
強く影響します。不動産の参加差押えは登記の嘱託が義務づけられており(86 条 3 項)、誰でも取得できる登記事項証明書に載ります。借換えや新規融資の担保評価は事実上そこで止まります。
任意売却は理論上可能ですが、先行差押機関と参加した全機関から解除の同意を得る必要があります。一機関でも応じなければ決済できません。参加機関が増えるほど交渉難度は上がります。
処分があったことを知った日の翌日から 3 か月以内に審査請求または再調査の請求を行います(国税通則法 77 条 1 項)。取消訴訟は裁決の送達を受けた日から 6 か月以内(行政事件訴訟法 14 条 1 項)です。
知られます。86 条 4 項が 55 条を準用するため、抵当権者・質権者にも通知が送られます。住宅ローンの銀行は滞納者からの申告を待たずに事実を把握し、期限の利益喪失の検討に入ることがあります。
交付要求は、先に差し押さえた機関の売却代金から分けてくださいと手を挙げる手続です(82 条)。参加差押えも交付要求の一種ですが(86 条 1 項)、先行差押えが解除されるとさかのぼって差押えの効力を生じます(87 条)。業界裏話ヒント:先行機関が分納を認めて差押えを解除するのは実務では日常茶飯事で、そのとき交付要求だけの機関は空振りし、参加差押えを打っていた機関だけが財産を掴む
滞納国税を完納するか、換価の猶予や滞納処分の停止などで参加差押えが解除されれば、抹消の登記も嘱託されます。3 項が定めるのは嘱託の義務なので、税務署の判断で登記を省くことはできません。業界裏話ヒント:完納しても抹消が登記簿に反映されるまで時間差があり、その間に審査へ出すと差押え中と読まれる。完納の領収証書と抹消後の登記事項証明書を自分の手元で揃えてから審査に出す
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 手続の性質 | 86 条:参加差押え(交付要求の特則、参加差押書を交付) | — |
| 先行差押えが解除されたとき | さかのぼって差押えの効力を生じる(87 条) | — |
| 対象財産の限定 | 動産・有価証券、不動産等、電話加入権に限定(1 項各号) | — |
| 登記・通知の義務 | 不動産等は登記の嘱託が義務(3 項)、質権者等へ通知(4 項) | — |
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