災害対策基本法 第78条(指定行政機関の長等の収用等)
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- 災害が発生した場合において、第五十条第一項第四号から第九号までに掲げる事項について応急措置を実施するため特に必要があると認めるときは、指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長は、防災業務計画の定めるところにより、当該応急措置の実施に必要な物資の生産、集荷、販売、配給、保管若しくは輸送を業とする者に対し、その取り扱う物資の保管を命じ、又は当該応急措置の実施に必要な物資を収用することができる。
- 2.指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長は、前項の規定により物資の保管を命じ、又は物資を収用するため必要があると認めるときは、その職員に物資を保管させる場所又は物資の所在する場所に立ち入り検査をさせることができる。
- 3.指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長は、第一項の規定により物資を保管させた者から、必要な報告を取り、又はその職員に当該物資を保管させてある場所に立ち入り検査をさせることができる。
この条文の基本情報
指定行政機関の長等の収用等とは何ですか?
定義指定行政機関の長等の収用等とは、災害対策基本法第78条に定められた規定で、「災害が発生した場合において、第五十条第一項第四号から第九号までに掲げる事項について応急措置を実施するため特に必要があると認めるときは、指定行政機関の長及び指定地…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 災害対策基本法第78条(指定行政機関の長等の収用等)は、日本の災害対策基本法に含まれる条文です。
- 災害対策基本法第78条の条文原文は「災害が発生した場合において、第五十条第一項第四号から第九号までに掲げる事項について応急措置を実施するため特に必要があると認めるときは、指定行政機関の長及び指定地…」で始まります。
- 災害対策基本法第78条は第四節に置かれています。
- 災害対策基本法の公布日は昭和36年11月15日です。
- 災害対策基本法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月22日時点では廃止情報はありません。
- 災害対策基本法第78条の前の条は災害対策基本法第77条です。
- 災害対策基本法第78条の次の条は災害対策基本法第78条の2です。
- 災害対策基本法第78条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第78条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/336AC0000000223 - 本サイト収録
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第78条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月22日)https://lawplayer.com/jp/article/336AC0000000223/78
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点災害対策基本法78条は、災害時の応急措置に特に必要な場合、指定行政機関の長等が物資業者に保管を命じ、又は物資を収用できると定める。損失は82条で補償される。
Q · 災害のとき、国の機関から在庫の出荷を止めろと言われたら従わないといけないの?
正式な保管命令なら従う義務があり、損失は補償される
災害対策基本法78条1項により、指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長は、応急措置(50条1項4号〜9号)に特に必要な場合、物資を扱う事業者に保管を命じ、又は物資を収用できます。処分は公用令書の交付により行われ(81条)、通常生ずべき損失は補償されます(82条)。被災者救助のための物資は災害救助法9条の都道府県知事の権限であり、根拠条文の確認が重要です。
解説
大地震の翌朝、倉庫に積んである水と毛布は誰のものか。答えは「原則としてあなたの会社のもの。ただし国が特に必要と判断した瞬間から話が変わる」である。災害対策基本法78条は、各省庁のトップである指定行政機関の長と、地方整備局長・地方農政局長などの地方出先機関のトップである指定地方行政機関の長に、二つの強い権限を与えている。物資を扱う業者に「その物資を動かさず保管せよ」と命じる保管命令と、物資そのものを強制的に取り上げる収用(公共のために私有財産を強制的に取得すること)である。対象は物資の生産・集荷・販売・配給・保管・輸送を業とする者。つまりメーカー、卸、小売、倉庫業者、運送会社まで広く及ぶ。押さえておくべき点は三つある。第一に、処分は公用令書(役所が交付する正式な命令書)によって行う仕組みになっている(同法81条)。第二に、収用や保管命令で通常生ずべき損失は補償される(同法82条)。第三に、保管命令に従わなければ罰則がある。被災地で物資を抱える企業にとって、これは「善意の寄付」とはまったく別の、法的義務の世界である。
法的な位置づけ
災害対策基本法78条は、指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長による物資の保管命令及び収用を定める規定である。災害発生時、同法50条1項4号から9号に掲げる応急措置の実施に特に必要と認めるとき、防災業務計画に基づき、物資の生産・集荷・販売・配給・保管・輸送を業とする者に保管を命じ、又は物資を収用でき、併せて立入検査と報告徴収の権限を付与する。
手順
- 1.根拠条文と公用令書を確認する 職員の身分証を確認し、命令の根拠が災害対策基本法78条1項か、71条(知事)か、災害救助法9条かを特定する。公用令書(81条)の交付を求め、対象物資・数量・期間が特定されているかを確かめる
- 2.命令時点の在庫を記録する 対象物資の数量・仕入単価・保管場所を写真と在庫台帳で記録し、職員立会いのもとで確認書を残す。82条の損失補償で通常生ずべき損失を立証する土台になる
- 3.取引先へ即日通知する 納期に影響する取引先へ、公用令書の写しを添えて保管命令を受けた旨を通知し、契約の不可抗力条項を確認する
- 4.保管費用を日別に記録し補償を請求する 倉庫賃料・冷蔵電気代・人件費を日別に記録し、3項の報告要求に応じる際に費用明細も添える。命令終了後、82条に基づき通常生ずべき損失の補償を請求する。処分自体に不服があれば審査請求・取消訴訟の期限内に弁護士へ相談する
よくある質問 AI による整理
Q1災害対策基本法78条とは?
災害時、国の機関のトップが応急措置に必要な物資について、業者に保管を命じたり物資を収用したりできると定めた規定です。
Q2災害時の物資収用は誰ができる?
78条では指定行政機関の長(各省大臣等)と指定地方行政機関の長(地方整備局長等)です。都道府県知事は71条、救助用物資は災害救助法9条が根拠です。
Q3保管命令 違反したらどうなる?
保管命令に従わない場合は罰則の対象となりえます。法定刑の具体的内容は最新の条文(罰則章)で確認してください。
Q4収用された物資の補償はいくら?
82条により「通常生ずべき損失」が補償されます。基準は通常の取引価格等で、災害時の高騰価格による転売益は含まれにくいとされます。
Q5物資の収用 公用令書なしでもできる?
81条により、保管命令や収用は公用令書の交付によって行う仕組みです。まず公用令書の交付を求めることが基本対応です。
Q6災害時の立入検査 拒否できる?
78条2項・3項に基づく行政上の立入検査で、正当な理由なく拒めば罰則の対象になりえます。職員の身分証の提示は求められます。
Q7保管命令で納期遅れ 損害賠償される?
法令に基づく命令に従った結果の不履行は、債務者の責めに帰することができない事由として免責されうる(民法415条1項ただし書)一方、契約条項も確認が必要です。
Q8保管命令 不服申立て いつまで?
審査請求は処分を知った日の翌日から3か月以内、取消訴訟は知った日から6か月以内が原則です(行審法18条・行訴法14条)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1国に収用された商品って、ちゃんとお金もらえるの?
もらえる。災害対策基本法82条により、78条1項の処分で通常生ずべき損失は補償される。ただし基準は「通常」の損失であり、災害時の高騰価格での転売益までは認められにくい。実務のポイント:補償額は命令時点の記録で決まると言ってよい。仕入伝票、在庫写真、保管費用の日報を揃えた事業者とそうでない事業者では、交渉の出発点がまるで違う
Q2取引先との納期があるのに保管命令が来た。契約違反になっちゃう?
法令に基づく保管命令に従った結果の不履行は、民法上、債務者の責めに帰することができない事由として損害賠償責任を免れうる(民法415条1項ただし書)。ただし契約書の不可抗力条項の書き方次第で扱いは変わる。実務のポイント:命令を受けたら即日、取引先に公用令書の写しを添えて通知する。通知の遅れのほうが、後から責められる材料になりやすい
Q3立入検査って、令状なしで倉庫に入られても断れないの?
78条2項・3項は行政上の立入検査であり、刑事捜索のような裁判官の令状は要求されていない。正当な理由なく拒めば罰則の対象になりうる(最新の改正状況をご確認ください)。ただし職員の身分証提示を求めることはできる。実務のポイント:検査に立ち会い、職員が確認した物資・数量をその場でメモし、職員に確認を求めておく。後の補償算定で「国自身が確認した数量」は強い証拠になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「緊急時なら国は口頭で何でも持っていける」と考えがちだが、実際はそうではない。78条の対象は50条1項4号から9号の応急措置(応急教育、施設の応急復旧、防疫・衛生、社会秩序の維持、緊急輸送など)に必要な物資に限られ、防災業務計画の定めによる必要もある。処分は公用令書の交付によって行う建前で、補償も法定されている。権限は強いが、白紙委任ではない
- 被災者の救助(50条1項3号)が78条の対象から外れている理由を、多くの人は考えたことがない。救助のための物資の保管命令・収用は災害救助法9条が都道府県知事に別途与えている。「どの法律の、誰の権限か」を取り違えると、処分の適法性も補償の請求先も見誤る
- 事業者の目には「せっかく確保した在庫を国に奪われた損害」と映る。法律の目には「公共のための特別の犠牲に対し、通常生ずべき損失を補償する」という構造に映る。転売で得られたはずの高値は「通常生ずべき損失」に含まれにくい。この落差を知らずに補償を当てにすると、資金繰りが崩れる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 権限者 | 78条:指定行政機関の長・指定地方行政機関の長 | 71条:都道府県知事(市町村長への委任あり) 災害救助法9条:都道府県知事 |
| 対象となる応急措置 | 50条1項4号〜9号の応急措置 | 都道府県の区域内での応急措置 被災者の救助 |
| 処分の手続 | 防災業務計画に基づき、公用令書の交付(81条) | 公用令書の交付(81条) 災害救助法上の公用令書 |
| 損失補償 | 82条:通常生ずべき損失を補償 | 82条:通常生ずべき損失を補償 災害救助法上の補償規定 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾では各級政府が災害応変措置として民間の物資・設備等を徴用できる。中央と地方の権限分担は日本と構造が異なるため、権限主体の確認が重要。
韓国では市長等が応急措置のため土地・建物・物件の一時使用や処分を行える「応急負担」の制度があり、損失補償も規定される。
米国は連邦政府に物資の優先発注・配分権限を与える。COVID-19では医療物資の調達に発動された。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 広域停電の三日目、あなたの物流センターに飲料水2万ケースが滞留している。地方整備局の職員が来て「この在庫は出荷せず保管するように」と告げた。取引先への納期はあと48時間。口頭の指示だけで出荷を止めるべきか、まず公用令書の交付を求めるべきか、その判断が今夜中に要る
- 高値で売れる被災地向けの発電機を自社倉庫に確保していたら、出荷停止の保管命令が届いた。命令を無視して別ルートで売却すれば、利益どころか刑事罰の対象になる。「自分の商品だから自由に売れる」という感覚が、ここでは通用しない
- もし国が収用した医薬品の代金が、通常の卸価格より低く見積もられていたらどうなる? 補償の対象は「通常生ずべき損失」(82条)であり、その算定根拠を記録で示せるかどうかが勝負になる。仕入伝票と在庫台帳が交渉材料のすべてになる
- 取引先の運送会社の社長から「国の職員がトラックの積荷を検査させろと言ってきた、断っていいのか」と電話が来た。2項の立入検査は収用・保管命令の準備として認められた権限であり、正当な理由なく拒めば罰則の対象になりうる。ただし職員の身分と根拠条文の確認は当然の権利である
- 保管命令を受けて一か月、倉庫の賃料と冷蔵の電気代が膨らみ続けている。いつまで保管すればいいのか、費用は誰が持つのか。3項に基づく報告要求に応じる際、その費用明細を同時に添えておくことが、後の補償請求の土台になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 職員の身分証と根拠条文(78条1項か、災害救助法9条か、自治体の権限か)を確認し、公用令書の交付を求める2. 命令時点の在庫数量・仕入単価・保管状況を写真と台帳で記録し、職員の確認を得る3. 保管費用(倉庫賃料・冷蔵電気代・人件費)を日別に記録する4. 82条に基づき通常生ずべき損失の補償を請求する。処分自体の違法を争うなら審査請求や取消訴訟も検討する
訴えられた側:1. 保管命令違反や立入検査拒否を指摘されたら、命令が公用令書で正式に交付されていたか、対象物資・期間が特定されていたかを確認する2. 取引先への出荷が命令前に確定していたなら、その時系列を契約書・出荷記録で示す3. 刑事罰の可能性があるため、取調べ前に弁護士へ相談する4. 今後の命令には応じつつ、補償請求の記録づくりを並行して進める
時効(請求できる期限):78条自体に特定の期限はない。処分に不服があれば、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に審査請求(行政不服審査法18条)、知った日から6か月以内に取消訴訟(行政事件訴訟法14条)を提起できる。国に対する補償金請求権は会計法30条により5年で時効消滅しうる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:78条の保管命令・収用は、憲法29条3項の公共のための財産権制約の一類型であり、権限者・対象物資・手続(公用令書)・補償(82条)の法定によって比例性が担保されていると理解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和36年(1961年) 新設:伊勢湾台風を契機に災害対策基本法が制定され、指定行政機関の長等による物資の保管命令・収用の規定が置かれた。
- 災害対策基本法 第50条対象となる応急措置事項の列挙
- 災害対策基本法 第71条都道府県知事の従事命令・保管命令・収用
- 災害対策基本法 第81条公用令書の交付による処分
- 災害対策基本法 第82条収用・保管命令に対する損失補償
- 災害救助法 第9条救助のための物資保管命令・収用の特則
- 新型インフルエンザ等対策特別措置法 第55条感染症時の特定物資の収用・保管命令
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