商業登記法 第86条
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- 新設分割による設立の登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。
- 一新設分割計画書
- 二定款
- 三第四十七条第二項第六号から第八号まで及び第十号から第十二号までに掲げる書面
- 四前条第四号に掲げる書面
- 五新設分割会社の登記事項証明書。ただし、当該登記所の管轄区域内に新設分割会社の本店がある場合を除く。
- 六新設分割会社が株式会社であるときは、会社法第八百四条第一項の規定による新設分割計画の承認があつたことを証する書面(同法第八百五条に規定する場合にあつては、当該場合に該当することを証する書面及び取締役の過半数の一致があつたことを証する書面又は取締役会の議事録)
- 七新設分割会社が合同会社であるときは、総社員の同意(定款に別段の定めがある場合にあつては、その定めによる手続)があつたことを証する書面(当該合同会社がその事業に関して有する権利義務の一部を他の会社に承継させる場合にあつては、社員の過半数の一致があつたことを証する書面)
- 八新設分割会社において会社法第八百十条第二項(第三号を除き、同法第八百十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による公告及び催告(同法第八百十条第三項(同法第八百十三条第二項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定により公告を官報のほか時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙又は電子公告によつてした場合にあつては、これらの方法による公告(同法第八百十条第三項の規定により各別の催告をすることを要しない場合以外の場合にあつては、当該公告及び催告))をしたこと並びに異議を述べた債権者があるときは、当該債権者に対し弁済し若しくは相当の担保を提供し若しくは当該債権者に弁済を受けさせることを目的として相当の財産を信託したこと又は当該新設分割をしても当該債権者を害するおそれがないことを証する書面
- 九新設分割会社が新株予約権を発行している場合であつて、会社法第七百六十三条第一項第十号に規定する場合には、第五十九条第二項第二号に掲げる書面
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 商業登記法第86条は、日本の商業登記法に含まれる条文です。
- 商業登記法第86条の条文原文は「新設分割による設立の登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。」で始まります。
- 商業登記法第86条は第五節 株式会社の登記に置かれています。
- 商業登記法の公布日は昭和38年7月9日です。
- 商業登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 商業登記法第86条の前の条は商業登記法第85条です。
- 商業登記法第86条の次の条は商業登記法第87条です。
- 商業登記法第86条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第86条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000125 - 本サイト収録
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第86条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/338AC0000000125/86
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点商業登記法86条は、新設分割による設立の登記に必要な九種類の添付書面を定める。効力は設立登記の日に生じるため、書面が一つ欠ければ事業移転日そのものが後ろへずれる。
Q · 新設分割の登記って、書類が一つ足りないだけで何が起きるんですか?
設立登記の日に効力が生じるので、書面不備は事業移転日をずらす
商業登記法86条は、新設分割による設立の登記の申請書に添付すべき九種類の書面を定めます。添付書面を欠く申請は却下事由となり(商業登記法24条)、補正で受付日が後ろへずれます。新設分割の効力は設立登記の日に生じるため(会社法764条1項)、受付日のずれは事業移転日、契約承継日、給与計算の切替日のずれに直結します。特に8号の債権者保護手続を証する書面は、官報公告から異議申述期間1か月(会社法810条2項)を確保しなければ作成できません。
解説
新設分割で切り出した事業が、いつ新会社のものになるか。答えは分割計画書に書いた日でも、株主総会で決議した日でもない。設立登記の日である(会社法764条1項)。だから商業登記法86条が並べる九種類の添付書面は、事務のチェックリストではない。一つ欠ければ登記が通らず、事業移転日そのものが後ろへずれる。取引先への通知日、許認可の引継ぎ、従業員の所属替え、税務の期首、そのすべてが連鎖して狂う。特に重いのが8号の債権者保護手続を証する書面で、官報公告から異議申述期間として最低1か月を確保しないと、そもそも書面が作れない。逆に言えば、この九項目を「いつまでに何が完成するか」の逆算表へ変換できれば、あなたは分割の効力発生日を自分で設計する側に回れる。
法的な位置づけ
商業登記法86条は、新設分割による設立の登記の申請書に添付すべき書面を法定する規定である。新設分割計画書、定款、設立手続に関する第47条第2項各号の書面、資本金の額の計上を証する書面、新設分割会社の登記事項証明書、分割の承認を証する書面、債権者保護手続を証する書面などを列挙し、登記官による形式的審査の対象範囲を画する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.分割スキームと定款の公告方法を先に確認 新設分割会社の定款上の公告方法を確認する。官報のみなら知れている債権者への各別の催告が必須、日刊新聞紙または電子公告が加わっていれば二重公告により各別の催告を省略できる(会社法810条3項)。ただし不法行為によって生じた債務の債権者への催告は省略できない
- 2.官報公告の掲載申込を締切から逆算して確定 掲載希望日のおおむね2週間前が申込締切。ここが日程全体の起点になるため、決議日より先にカレンダーへ書き込む。公告原稿には新設分割をする旨、設立会社の商号・本店、計算書類に関する事項、異議申述期間を記載する
- 3.各別の催告を発送し、異議申述期間1か月の満了を待つ 各別の催告が必要な場合は公告と同時期に発送し、発送記録を保存する。異議を述べた債権者がいれば、弁済・相当の担保の提供・信託のいずれか、または当該分割をしても害するおそれがないことを証明できる資料を整える。この一体の資料が8号書面になる
- 4.九項目+条文外の書面を最終点検 86条の九項目に加え、株主総会決議を用いる場合は株主リスト(商業登記規則61条3項)、資本金は前条4号の計上を証する書面を確認する。管轄外に分割会社の本店がある場合は、会社法人等番号の記載で登記事項証明書の添付を省略できる(商業登記法19条の3)
- 5.設立登記と分割会社の変更登記を同時申請 会社法924条1項の2週間の期間内に、設立会社の設立登記と新設分割会社の変更登記を同時に申請する。効力は申請期限ではなく実際に設立登記がされた日に生じるため(会社法764条1項)、狙った日に受付されるよう窓口またはオンラインで送信する
よくある質問 AI による整理
Q1新設分割の登記に必要な書類は?
商業登記法86条が九項目を列挙します。新設分割計画書、定款、第47条第2項各号の書面、資本金の額の計上を証する書面、分割会社の登記事項証明書、承認決議書面、債権者保護手続を証する書面などです。
Q2新設分割の登記はいつまでに申請する?
会社法924条1項により、承認決議の日、債権者保護手続が終了した日、会社が定めた日のうち最も遅い日から2週間以内に、設立登記と分割会社の変更登記を申請します。
Q3新設分割の登記でも株主リストは必要?
株主総会決議で新設分割計画を承認した場合は必要です。商業登記規則61条3項が根拠で、商業登記法86条には書かれていないため見落としやすい書面です。
Q4新設分割会社が合同会社の場合の添付書面は?
株主総会議事録ではなく、総社員の同意を証する書面(定款に別段の定めがあればその手続による書面)です。事業の一部承継なら社員の過半数の一致を証する書面で足ります。
Q5新設分割の登記の登録免許税はいくら?
設立会社側は資本金の額に税率を乗じた額(最低額の定めあり)、分割会社側の変更登記も別途必要です。正確な税率と最低額は登録免許税法別表第一で必ず確認してください。
Q6登記事項証明書の添付を省略するには?
申請書に新設分割会社の会社法人等番号を記載すれば添付を省略できます(商業登記法19条の3)。管轄区域内に分割会社の本店がある場合はそもそも不要です。
Q7新設分割の登記が却下されるのはどんなとき?
添付書面の欠缺は却下事由です(商業登記法24条)。書面相互の記載が食い違う場合も同様で、登記官は実体審査ではなく形式面の整合性を審査します。
Q8債権者保護手続の異議申述期間は何か月?
1か月を下ることができません(会社法810条2項)。官報の掲載申込締切が掲載希望日のおおむね2週間前のため、実務では1か月半前後を見込む必要があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1効力発生日って、こっちで日付を指定できないんですか?
新設分割では指定できない。設立登記により会社が成立し、その日に事業が移る(会社法764条1項)。日付を握りたいなら、効力発生日を契約で定められる吸収分割を選ぶ設計になる。実務のポイント:成立日は登記完了通知が届いた日ではなく、申請が受け付けられた日である。狙った日に窓口へ出すかオンライン送信すればよいが、補正で取下げになれば日付ごと動く。
Q2官報公告って本当に要るんですか。誰も読んでませんよね
分割後に新設分割会社へ債務の履行を請求できなくなる債権者がいるなら必要で、8号書面はその履行を証明するものだ(会社法810条)。公告方法に日刊新聞紙か電子公告を定めていれば各別の催告は省略できるが、不法行為債権者への催告は省略できない(同条3項ただし書)。実務のポイント:承継債務を分割会社が連帯保証するなど、債権者が分割会社にも請求できる形にすれば保護手続自体が不要になる。1か月を消せるかはスキーム設計の段階で決まる。
間違えやすい点 AI による整理
- 書面が足りなければ補正すればよい、と知っている人は多い。深刻なのはその先だ。新設分割は設立登記の日に効力が生じるため(会社法764条1項)、補正で受付が1週間ずれれば、事業移転日、契約の承継日、給与計算の切替日がまとめて1週間ずれる。吸収分割のように効力発生日を当事者が決めておく逃げ道がない
- 86条の九項目を全部揃えれば申請できる、という前提そのものが誤っている。株主総会決議で新設分割計画を承認した場合、86条のどこにも書かれていない株主リスト(商業登記規則61条3項)が別途必要になる。条文だけを読んで準備した申請書は、条文どおりに完璧でも受理されない
- あなたから見れば債権者保護手続は「官報に出すだけの形式作業」である。だが登記官から見れば、8号書面は公告と各別の催告を適法に行ったこと、異議を述べた債権者がいればその者へ弁済・担保提供・信託のいずれかをしたこと、または害するおそれがないことまでを一体で示す審査対象だ。この落差に気付くのが公告後だと、日程を丸ごと組み直すことになる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる組織再編 | 商業登記法86条:新設分割による設立 | 商業登記法85条:新設合併による設立 商業登記法47条:通常の株式会社設立 |
| 中核となる添付書面 | 新設分割計画書+分割会社の承認決議書面+債権者保護手続を証する書面 | 新設合併契約書+各消滅会社の承認決議書面+債権者保護手続を証する書面 定款+出資の履行を証する書面+設立時役員の就任承諾書等 |
| 既存会社の存続 | 分割会社は存続し、変更登記を同時申請する | 消滅会社は解散し、解散の登記を同時申請する 前身となる会社が存在しない |
| 日程を支配する要素 | 異議申述期間1か月+官報掲載申込締切(会社法810条2項) | 異議申述期間1か月+消滅会社ごとの手続完了 出資の払込みと定款認証のタイミング |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も分割に際して債権者への通知・公告と異議手続を要求し、その履行を登記段階で確認する構造は日本と共通。分割制度自体は2001年前後の改正で導入された比較的新しい制度である
韓国は1998年商法改正で会社分割を導入。債権者保護手続を合併の規定の準用により組み立てる立法技術も日本と類似する
日本の会社分割の直接の母法。分割の類型(Aufspaltung / Abspaltung / Ausgliederung)を明文で区別し、商業登記簿への登記により効力が生じる点も日本と同じ構造
米国は大陸法系のような包括的な会社分割制度を持たず、州法ごとの division 制度や資産譲渡(asset purchase)で代替する。債権者保護は制定法上の手続ではなく詐害譲渡法理(fraudulent transfer)で処理される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 4月1日付で新会社へ事業を移すと取引先に通知済み。しかし官報公告の掲載申込は掲載希望日のおおむね2週間前が締切で、異議申述期間1か月を逆算すると公告日は遅くとも2月末。あと数日で公告原稿を確定できなければ、4月1日の登記は物理的に間に合わない。日付だけが先に外部へ出ている状態は、法務ではなく信用の問題に変わる
- もし、新設分割会社が合同会社だったらどうなる? 株主総会議事録はそもそも存在しない。7号として必要なのは総社員の同意を証する書面(定款に別段の定めがあればその手続による書面)であり、事業の一部承継なら社員の過半数の一致を証する書面で足りる。株式会社用の雛形をそのまま流用した申請書は、この一点で窓口に止められる
- 新設分割会社の本店が別の法務局の管内にある。5号の登記事項証明書を取りに走る前に、申請書へ会社法人等番号を記載すれば添付は不要になる(商業登記法19条の3)。半日と手数料が浮く
取るべき行動
被害を受けた側:取引先や勤務先が新設分割をしたと聞いたら、まず登記情報で設立会社の成立日、目的、資本金を確認する。自分に各別の催告が届いていなければ、公告方法に日刊新聞紙や電子公告が加わっていないかを定款と登記で確認し、二重公告もないなら異議申述の機会を奪われたと主張できる。優良事業だけ抜かれた形なら会社法764条4項で設立会社へ直接請求。労働者なら5条協議の記録の有無を先に押さえる。
訴えられた側:九項目を「書面ごとの完成期限」に並べ替えた逆算表へ変換する。起点は官報の掲載申込締切、次に異議申述期間1か月の満了日、その翌営業日以降に申請日を置く。株主総会決議を使うなら株主リスト(商業登記規則61条3項)、資本金は前条4号の計上証明を忘れない。管轄外の分割会社は会社法人等番号の記載で証明書を省略(19条の3)。分割会社側の変更登記との同時申請も外さない。
時効(請求できる期限):会社法924条1項により、新設分割計画の承認決議をした日、債権者保護手続が終了した日、会社が定めた日などのうち最も遅い日から2週間以内に、設立の登記と分割会社の変更登記を申請しなければならない。前提となる異議申述期間は1か月を下ることができない(会社法810条2項)。効力は申請期限ではなく、実際に設立登記がされた日に生じる(会社法764条1項)。
学説
通説(形式的審査主義):登記官は添付書面の記載の整合性のみを審査し、新設分割計画の実体的当否には立ち入らない。86条が九種類を細かく列挙するのは、形式審査を通じて実体的適法性を間接的に担保する立法技術と理解されている
債権者保護の実質化論:8号書面は公告・催告の実施だけでなく、異議債権者への弁済・担保提供・信託、または害するおそれがないことまでを一体で示す審査対象とされ、書面主義という形式が実質的保護の唯一の関門として機能しているとされる
改正沿革 AI による整理
- 平成17年(2005年)会社法制定に伴う商業登記法改正 会社法の制定により会社分割の実体規定が再編され、これに対応して新設分割による設立登記の添付書面が現行の構成へ整理された。個別の改正年次と条番号の移動は人的検証を要する
改正の年表
- 1.平成12年(2000年) 新設:商法改正により会社分割制度が創設され、これに対応して分割による設立登記の添付書面に関する規定が商業登記法に整備された
- 2.平成17年(2005年) 改正:会社法の制定に伴い分割の実体規定が再編され、商業登記法の添付書面規定も現行の構成へ整理された。個別の条番号の移動は人的検証を要する
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