要点商業登記法 86 条は、新設分割による設立の登記に必要な九種類の添付書面を定める。効力は設立登記の日に生じるため、書面が一つ欠ければ事業移転日そのものが後ろへずれる。
Q · 新設分割の登記って、書類が一つ足りないだけで何が起きるんですか?
設立登記の日に効力が生じるので、書面不備は事業移転日をずらす
商業登記法 86 条は、新設分割による設立の登記の申請書に添付すべき九種類の書面を定めます。添付書面を欠く申請は却下事由となり(商業登記法 24 条)、補正で受付日が後ろへずれます。新設分割の効力は設立登記の日に生じるため(会社法 764 条 1 項)、受付日のずれは事業移転日、契約承継日、給与計算の切替日のずれに直結します。特に 8 号の債権者保護手続を証する書面は、官報公告から異議申述期間 1 か月(会社法 810 条 2 項)を確保しなければ作成できません。
新設分割で切り出した事業が、いつ新会社のものになるか。答えは分割計画書に書いた日でも、株主総会で決議した日でもない。設立登記の日である(会社法764条1項)。だから商業登記法86条が並べる九種類の添付書面は、事務のチェックリストではない。一つ欠ければ登記が通らず、事業移転日そのものが後ろへずれる。取引先への通知日、許認可の引継ぎ、従業員の所属替え、税務の期首、そのすべてが連鎖して狂う。特に重いのが8号の債権者保護手続を証する書面で、官報公告から異議申述期間として最低1か月を確保しないと、そもそも書面が作れない。逆に言えば、この九項目を「いつまでに何が完成するか」の逆算表へ変換できれば、あなたは分割の効力発生日を自分で設計する側に回れる。
商業登記法 86 条は、新設分割による設立の登記の申請書に添付すべき書面を法定する規定である。新設分割計画書、定款、設立手続に関する第 47 条第 2 項各号の書面、資本金の額の計上を証する書面、新設分割会社の登記事項証明書、分割の承認を証する書面、債権者保護手続を証する書面などを列挙し、登記官による形式的審査の対象範囲を画する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
商業登記法 86 条が九項目を列挙します。新設分割計画書、定款、第 47 条第 2 項各号の書面、資本金の額の計上を証する書面、分割会社の登記事項証明書、承認決議書面、債権者保護手続を証する書面などです。
会社法 924 条 1 項により、承認決議の日、債権者保護手続が終了した日、会社が定めた日のうち最も遅い日から 2 週間以内に、設立登記と分割会社の変更登記を申請します。
株主総会決議で新設分割計画を承認した場合は必要です。商業登記規則 61 条 3 項が根拠で、商業登記法 86 条には書かれていないため見落としやすい書面です。
株主総会議事録ではなく、総社員の同意を証する書面(定款に別段の定めがあればその手続による書面)です。事業の一部承継なら社員の過半数の一致を証する書面で足ります。
設立会社側は資本金の額に税率を乗じた額(最低額の定めあり)、分割会社側の変更登記も別途必要です。正確な税率と最低額は登録免許税法別表第一で必ず確認してください。
申請書に新設分割会社の会社法人等番号を記載すれば添付を省略できます(商業登記法 19 条の 3)。管轄区域内に分割会社の本店がある場合はそもそも不要です。
添付書面の欠缺は却下事由です(商業登記法 24 条)。書面相互の記載が食い違う場合も同様で、登記官は実体審査ではなく形式面の整合性を審査します。
1 か月を下ることができません(会社法 810 条 2 項)。官報の掲載申込締切が掲載希望日のおおむね 2 週間前のため、実務では 1 か月半前後を見込む必要があります。
新設分割では指定できない。設立登記により会社が成立し、その日に事業が移る(会社法764条1項)。日付を握りたいなら、効力発生日を契約で定められる吸収分割を選ぶ設計になる。業界裏話ヒント:成立日は登記完了通知が届いた日ではなく、申請が受け付けられた日である。狙った日に窓口へ出すかオンライン送信すればよいが、補正で取下げになれば日付ごと動く。
分割後に新設分割会社へ債務の履行を請求できなくなる債権者がいるなら必要で、8号書面はその履行を証明するものだ(会社法810条)。公告方法に日刊新聞紙か電子公告を定めていれば各別の催告は省略できるが、不法行為債権者への催告は省略できない(同条3項ただし書)。業界裏話ヒント:承継債務を分割会社が連帯保証するなど、債権者が分割会社にも請求できる形にすれば保護手続自体が不要になる。1か月を消せるかはスキーム設計の段階で決まる。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象となる組織再編 | 商業登記法 86 条:新設分割による設立 | — |
| 中核となる添付書面 | 新設分割計画書+分割会社の承認決議書面+債権者保護手続を証する書面 | — |
| 既存会社の存続 | 分割会社は存続し、変更登記を同時申請する | — |
| 日程を支配する要素 | 異議申述期間 1 か月+官報掲載申込締切(会社法 810 条 2 項) | — |
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