商業登記法 第87条
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- 吸収分割会社又は新設分割会社がする吸収分割又は新設分割による変更の登記の申請は、当該登記所の管轄区域内に吸収分割承継会社又は新設分割設立会社の本店がないときは、その本店の所在地を管轄する登記所を経由してしなければならない。
- 2.前項の登記の申請と第八十五条又は前条の登記の申請とは、同時にしなければならない。
- 3.第一項の登記の申請書には、第十八条の書面を除き、他の書面の添付を要しない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 商業登記法第87条は、日本の商業登記法に含まれる条文です。
- 商業登記法第87条の条文原文は「吸収分割会社又は新設分割会社がする吸収分割又は新設分割による変更の登記の申請は、当該登記所の管轄区域内に吸収分割承継会社又は新設分割設立会社の本店がないときは、…」で始まります。
- 商業登記法第87条は第五節 株式会社の登記に置かれています。
- 商業登記法の公布日は昭和38年7月9日です。
- 商業登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 商業登記法第87条の前の条は商業登記法第86条です。
- 商業登記法第87条の次の条は商業登記法第88条です。
- 商業登記法第87条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第87条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000125 - 本サイト収録
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第87条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/338AC0000000125/87
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点商業登記法87条は、分割会社の変更登記を承継会社・設立会社の本店所在地の登記所経由で、かつ両登記を同時に申請すべきことを定める。添付書面は18条の書面のみで足りる。
Q · 会社分割のとき、分割会社の変更登記はどこの法務局に出すの?
相手会社の本店を管轄する登記所へ、両方の登記を同時に出します
商業登記法87条1項により、分割会社の変更登記の申請は、承継会社または設立会社の本店が同じ登記所の管轄区域内にないときは、その本店所在地を管轄する登記所を経由して行います。2項は85条・86条の登記申請との同時申請を義務づけ、3項は添付書面を18条の書面(委任状)のみに限定します。同時申請が要件であるため、相手方の申請に却下事由があれば自社の登記も通りません。本店が同一管轄内であれば経由は不要です。
解説
分割の登記で最初につまずくのは、書類の中身ではなく提出先である。あなたの会社(分割会社)の変更登記なのに、申請書はあなたの本店を管轄する法務局には持って行かない。承継会社または新設会社の本店を管轄する登記所へ、相手側の申請と束にして同時に差し出す。これが87条1項の経由申請だ。2項は「同時にしなければならない」と命じ、3項は委任状(18条の書面)以外の添付書面を要らないと言う。添付書面が不要なのは親切だからではない。実質的な審査はすべて承継会社側の申請書で行われ、あなたの登記はその審査結果に丸ごと乗っているからである。裏返せば、相手の書類に不備が出た瞬間、あなたの会社の登記も同じ穴に落ちる。自社の書類をどれだけ完璧に整えても、単独では守れない構造になっている。
法的な位置づけ
商業登記法87条は、会社分割による分割会社側の変更登記の申請手続を定める規定である。承継会社または設立会社の本店が当該登記所の管轄区域内にない場合には、その本店所在地を管轄する登記所を経由して申請することを求め、85条または86条の登記申請との同時申請を要件とし、添付書面を18条の代理権限証書に限定する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.承継会社・設立会社の本店と管轄登記所を特定する 最初に相手方の本店所在地と管轄登記所を確認し、自社の管轄と同一かどうかを判定する。同一管轄なら経由不要、別管轄なら87条1項の経由申請となり、申請書の宛先が変わる
- 2.自社の変更登記申請書と18条の委任状を先に完成させる 87条3項により添付書面は委任状のみで足りるため、自社側の書類は早期に確定できる。完成後は相手方の添付書面(分割契約書、株主総会議事録、株主リスト、債権者保護手続関係書面)の進捗管理に軸足を移す
- 3.同時申請の窓口・時刻と補正時の連絡ルートを合意する 87条2項の同時申請を落とさないため、提出日時、窓口担当者、補正が出た場合の連絡先と取下げ判断の期限を、着手前に両社の司法書士間で書面により確定させる
- 4.期限内に両申請を同時に提出する 会社法923条・924条の2週間の期限内に、85条または86条の申請と自社の変更登記申請を同一の登記所へ束にして提出する。登記懈怠は代表者個人への過料の対象となる(会社法976条1号)
- 5.送付分のタイムラグを見込んで登記事項証明書を手配する 融資実行日、不動産の名義変更、許認可の承継手続で登記事項証明書が必要な日程は、申請日ではなく管轄登記所への送付・記録完了後を基準に逆算して押さえる
よくある質問 AI による整理
Q1経由申請とは何ですか?
自社の管轄外にある登記所を窓口として申請書を提出し、そこから管轄登記所へ送付してもらう方式です。商業登記法87条1項が会社分割の変更登記について定めています。
Q2会社分割の登記はいつまでにする必要がありますか?
吸収分割は効力発生日から2週間以内(会社法923条)、新設分割も所定の日から2週間以内(同924条)です。分割会社の変更登記もこの期限内に同時申請します。
Q3同時申請しないとどうなりますか?
商業登記法87条2項の要件を欠くため、申請は却下の対象になります(同24条)。片方だけ先に提出することはできず、双方の書類がそろうまで窓口に出せません。
Q4分割会社の登記に添付書面は必要ですか?
87条3項により、18条の書面(代理権限証書=委任状)を除き、他の書面の添付は不要です。実質審査は承継会社・設立会社側の申請書で行われるためです。
Q5本店が同じ登記所の管轄内なら経由は必要ですか?
不要です。87条1項は「当該登記所の管轄区域内に本店がないとき」に限って経由を求めています。同一管轄なら同じ登記所に両方の申請を同時に出せば足ります。
Q6経由申請だと登記の完了はいつになりますか?
申請日は経由登記所に提出した日で確定しますが、分割会社の登記簿に反映されるのは書類が管轄登記所へ送付されて審査・記録された後です。証明書取得日程は後ろ倒しで押さえます。
Q7合併の経由申請と会社分割の経由申請は違いますか?
構造は同じです。合併は82条、分割は87条が経由申請と同時申請を定めています。分割は分割会社が存続する点で、消滅会社の解散登記となる合併と登記内容が異なります。
Q8新設分割はいつ効力が生じますか?
設立登記により設立会社が成立し、そこで事業の承継の効力が生じます(会社法764条1項)。登記が遅れることは、承継自体がまだ起きていないことを意味します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1うちの会社の登記なのに、なんで相手の法務局に出すんですか?
審査を一つの登記所に集約して、二つの登記の食い違いを防ぐためである。経由はあくまで窓口の話で、分割会社の変更登記を審査し記録するのは自社の本店所在地を管轄する登記所のまま変わらない(本条1項)。実務のポイント:申請日は経由登記所に出した日で確定するが、自社の登記簿に分割が反映されるのは書類が管轄登記所へ回ってからになる。融資実行や不動産の名義変更で登記事項証明書が要る日程は、申請日基準ではなくこの送付分を足して逆算しておく
Q2分割会社と承継会社で、別々の司法書士に頼んでも問題ないですか?
法律上は可能である。ただし本条2項の同時申請が要件で、両社分の委任状(18条の書面)がそろって初めて窓口に出せる。片方の補正が期限内に終わらなければ、双方が期限を落とす。実務のポイント:補正で済むうちに取り下げれば登録免許税の再使用証明を受けて日程を組み直せるが、却下まで行くと最初から積み直しになる。別々の事務所に頼むなら、着手前に「補正が出たら何時間以内に連絡し、何日までに取下げを判断するか」を書面で決めておく
間違えやすい点 AI による整理
- 「経由申請なら管轄も相手の登記所に移るのか」という問い自体が誤っている。経由登記所は申請書を受け付けて送付する窓口にすぎず、分割会社の変更登記を審査し記録するのは、あくまで分割会社の本店所在地を管轄する登記所である。申請日は経由登記所に提出した日で押さえられるが、あなたの登記簿に分割が現れるのは書類が管轄登記所に届いた後になる
- 同時申請が必要だということは実務担当者なら知っている。だがその深刻度まで把握している人は少ない。同時性は形式要件であり、片方の申請に却下事由があれば、もう片方も道連れになる。自社側は完璧でも、相手の添付書面一枚の欠落で、あなたの会社の登記期限が飛ぶ
- 分割する側から見れば、登記は「終わったことの届出」に見える。だが法律から見ると、吸収分割と新設分割ではこの登記の意味がまったく違う。吸収分割は分割契約で定めた効力発生日にすでに効力が生じており、登記は事後の公示にすぎない(会社法923条)。新設分割は設立登記によって初めて設立会社が成立し、そこで承継の効力が生じる(会社法764条1項)。新設分割で登記が遅れるということは、届出が遅れるのではなく、事業承継そのものがまだ起きていないという意味である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる登記 | 87条:分割会社の分割による変更登記 | 85条:吸収分割承継会社の登記 82条:合併における経由申請 |
| 経由の要否 | 承継会社・設立会社の本店が管轄区域内にないときのみ経由 | 経由の対象ではなく、審査の中心となる申請 存続会社・設立会社の本店所在地の登記所を経由 |
| 添付書面 | 18条の書面(委任状)のみ(3項) | 分割契約書・議事録・債権者保護手続関係書面等が必要 消滅会社側は委任状のみ、存続会社側が実質審査 |
| 同時申請の要否 | 85条・86条の申請と同時申請が必須(2項) | 分割会社の変更登記と同時に受け付けられる 合併の各申請と同時申請が必須 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は会社の登記が経済部(商業発展署)に一元化されているため、管轄登記所を経由するという発想自体が存在しない。分割の効力と登記の関係も日本と設計が異なる
韓国も分割制度を商法に置き、分割会社と新設会社の登記が連動する構造をとる。経由申請に相当する手続の有無は登記実務レベルの確認が必要
ドイツは分割(Spaltung)を組織再編法に一括して規定し、登記は関係当事者それぞれの登記所で行われる。日本の会社分割制度はこの立法を参照して導入された
米国は分割制度の有無が州法により分かれ、デラウェア州では LLC について certificate of division を州務長官に提出する方式をとる。日本のような登記所間の経由という概念はない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 効力発生日から2週間の登記期限まであと3日。承継会社側の司法書士から「株主リストの押印がそろわないので明日に持ち越す」と連絡が来た。分割会社側であるあなたの書類は完成しているのに、単独で先に出すことは87条2項が許さない。あなたにできるのは、相手の押印を取りに行く手配だけである
- 承継会社の登記担当としてあなたが窓口に立つ場合、手元にあるのは自社の申請書だけではない。分割会社の変更登記申請書も一緒に受け取り、同じ窓口に出す。相手方の登記の生死も、あなたの書類の完成度に握られている
- もし分割会社の本店と承継会社の本店が同じ登記所の管轄内にあったら、経由申請は必要なのか。答えは不要である。1項は「当該登記所の管轄区域内に本店がないとき」に限って経由を命じているにすぎず、同一管轄なら同じ登記所に両方の申請を同時に出すだけで足りる。この場合分けを取り違えると、申請書の宛先ごと書き直しになる
取るべき行動
被害を受けた側:分割会社側の担当なら、1. 承継会社または新設会社の本店所在地と管轄登記所を最初に特定し、自社と同一管轄かどうかを確認する(同一なら経由不要) 2. 自社の変更登記申請書と18条の委任状を先に完成させ、以後は相手側の添付書面の進捗管理に集中する3. 承継会社側の司法書士と補正時の連絡ルートと最終締切を事前に合意する4. 登記事項証明書が必要な日程は、送付分のタイムラグを見込んで後ろ倒しで押さえる
訴えられた側:承継会社または新設会社側の担当なら、1. 自社の申請書の不備が相手の登記まで巻き込むことを前提に、添付書面(分割契約書、株主総会議事録、株主リスト、債権者保護手続関係書面)を早期に確定させる2. 分割会社の変更登記申請書と委任状を受領済みか、提出直前に現物で確認する3. 補正が生じたら、却下まで進める前に取下げと再申請の選択肢を司法書士と即断する4. 許認可の承継や労務通知など、登記の外側の期限を並行して点検する
時効(請求できる期限):吸収分割は効力発生日から2週間以内に本店所在地で変更の登記(会社法923条)。新設分割は所定の日から2週間以内で、設立登記により設立会社が成立し効力が生じる(会社法924条、764条1項)。登記懈怠は代表者個人に100万円以下の過料(会社法976条1号)。分割会社の変更登記申請は、この期限内に承継会社側の申請と同時に行う必要がある(本条2項)
学説
登記実務上の通説:87条の経由登記所は申請書を受け付けて管轄登記所へ送付する窓口にすぎず、分割会社の変更登記を審査し記録する権限は本店所在地を管轄する登記所に残る。同時申請は形式的要件であり、これを欠く申請は却下事由(24条)に当たると解されている。
改正沿革 AI による整理
- 会社分割制度の創設に伴う整備(人的検証が必要) 会社分割制度が商法に導入された際、分割の登記に関する規定が商業登記法に置かれたものと解されるが、新設時期と当時の条番号は要検証
- 平成17年(2005年)会社法制定に伴う改正(人的検証が必要) 「吸収分割会社」「新設分割設立会社」等の会社法上の用語への整理が行われたと解されるが、条番号の移動の有無を含め要検証
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