商業登記法 第90条の2(株式交付の登記)
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- 株式交付による変更の登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。
- 一株式交付計画書
- 二株式の譲渡しの申込み又は会社法第七百七十四条の六の契約を証する書面
- 三会社法第八百十六条の四第一項本文に規定する場合には、当該場合に該当することを証する書面(同条第二項の規定により株式交付に反対する旨を通知した株主がある場合にあつては、同項の規定により株主総会の決議による承認を受けなければならない場合に該当しないことを証する書面を含む。)
- 四会社法第八百十六条の八第二項の規定による公告及び催告(同条第三項の規定により公告を官報のほか時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙又は電子公告によつてした場合にあつては、これらの方法による公告)をしたこと並びに異議を述べた債権者があるときは、当該債権者に対し弁済し若しくは相当の担保を提供し若しくは当該債権者に弁済を受けさせることを目的として相当の財産を信託したこと又は当該株式交付をしても当該債権者を害するおそれがないことを証する書面
- 五資本金の額が会社法第四百四十五条第五項の規定に従つて計上されたことを証する書面
この条文の基本情報
株式交付の登記とは何ですか?
定義株式交付の登記とは、商業登記法第90条の2に定められた規定で、「株式交付による変更の登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 商業登記法第90条の2(株式交付の登記)は、日本の商業登記法に含まれる条文です。
- 商業登記法第90条の2の条文原文は「株式交付による変更の登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。」で始まります。
- 商業登記法第90条の2は第五節 株式会社の登記に置かれています。
- 商業登記法の公布日は昭和38年7月9日です。
- 商業登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 商業登記法第90条の2の前の条は商業登記法第90条です。
- 商業登記法第90条の2の次の条は商業登記法第91条です。
- 商業登記法第90条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第90条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000125 - 本サイト収録
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第90条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/338AC0000000125/90_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点商業登記法90条の2は、株式交付による変更登記の申請書に添付すべき書面として、株式交付計画書、譲渡しの申込証明、簡易手続証明、債権者異議手続証明、資本金計上証明の5種を定める。
Q · 株式交付で会社を子会社にしたあと、登記には何を出せばいいんですか?
商業登記法90条の2が定める最大5種類の添付書面です
商業登記法90条の2は、株式交付による変更の登記の申請書に、①株式交付計画書、②株式の譲渡しの申込み又は会社法774条の6の総数譲渡し契約を証する書面、③簡易株式交付の要件に該当すること(反対通知株主がいる場合は総会決議が不要であること)を証する書面、④債権者異議手続を了したことを証する書面、⑤資本金の額が会社法445条5項に従って計上されたことを証する書面の添付を求めます。③④は場面限定なので、実際の添付は3種類で足りることもあります。登記申請は効力発生日から2週間以内です(会社法915条1項)。
解説
株式交付は、自社の株式を対価にして他社を子会社化する制度である。2021年3月1日に施行された比較的新しい仕組みで、手元に現金がないスタートアップや中堅企業にもM&Aの道を開いた。本条が列挙するのは、その最後の関門である登記申請で何を出せば通るかだ。株式交付計画書、株式の譲渡しの申込みを証する書面または会社法774条の6の総数譲渡し契約書、簡易手続で済ませる場合の証明書、債権者保護手続を踏んだことの証明、そして資本金の額が正しく計上されたことの証明。この5点である。見落としてはならないのは、この一覧が単なる事務手続の話ではないという点だ。4号の債権者異議手続は最低1か月の異議申述期間を要求し、3号の簡易手続は反対通知の集計期間を要求する。あなたが買い手側の経営者なら、基本合意の日付を入れる前にこの5点から逆算して見るべきだ。登記の添付書面リストは、実質的にM&A全体のタイムラインを縛る設計図として機能している。
法的な位置づけ
商業登記法90条の2は、株式交付による変更の登記の申請書に添付すべき書面を定める手続規定である。株式交付計画書、株式の譲渡しの申込み又は会社法774条の6の総数譲渡し契約を証する書面、簡易株式交付の要件該当性を証する書面、債権者異議手続を了したことを証する書面、資本金の額が会社法445条5項に従って計上されたことを証する書面の5種が対象となる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.効力発生日から逆算して工程表を作る 登記申請期限(効力発生日から2週間)ではなく、効力発生日そのものを起点に逆算する。対価に金銭等を混ぜるなら債権者異議手続の1か月以上、簡易株式交付なら通知から2週間の反対通知期間を先に確保する
- 2.株式交付計画を作成し取締役会で決議する 会社法774条の3の法定記載事項(譲り受ける株式の下限数、対価の内容、申込期日、効力発生日等)を漏れなく記載する。この計画書がそのまま商業登記法90条の2第1号の添付書面になる
- 3.承認手続を選ぶ(株主総会 or 簡易株式交付) 原則は効力発生日の前日までの株主総会特別決議。簡易株式交付を使う場合は会社法816条の6第3項の通知日を確定し、反対通知の集計方法を決める。総会決議を経た場合は商業登記規則61条の株主リストも準備する
- 4.債権者異議手続を実施する(対価に金銭等が含まれる場合) 官報公告と知れている債権者への各別の催告を行い、1か月以上の異議申述期間を置く。異議を述べた債権者には弁済・担保提供・信託のいずれかを行い、その証明を4号書面として揃える
- 5.申込みと割当て、資本金計上額を検算する 株式の譲渡しの申込みを証する書面(又は会社法774条の6の総数譲渡し契約書)を回収し、会社計算規則39条の2で資本金の増加限度額を検算する。計上証明書と計画書の数字が一致しているか突き合わせる
- 6.効力発生日から2週間以内に変更登記を申請する 本店所在地を管轄する法務局へ、商業登記法90条の2の添付書面を揃えて申請する。添付書面の不足は却下事由になる(商業登記法24条)ため、提出前にチェックリストで最終確認する
よくある質問 AI による整理
Q1株式交付の登記に必要な書類は?
商業登記法90条の2が5種類を列挙します。株式交付計画書、譲渡しの申込み又は総数譲渡し契約の証明、簡易株式交付の要件証明、債権者異議手続の証明、資本金計上証明です。③④は場面限定です。
Q2株式交付の登記はいつまでに申請する?
効力発生日から2週間以内に本店所在地で申請します(会社法915条1項)。期間を過ぎても効力は失われませんが、代表者個人に100万円以下の過料が科されうります(会社法976条1号)。
Q3株式交付で債権者保護手続は必要?
対価が株式交付親会社の株式のみなら不要です。金銭等が混ざる場合は公告・催告を行い、1か月以上の異議申述期間が必要になります(会社法816条の8)。4号書面はその証明です。
Q4簡易株式交付とは?
交付する対価の額が親会社の純資産額の5分の1以下の場合に株主総会決議を省略できる制度です(会社法816条の4第1項)。ただし一定数の株主が反対通知をすると総会決議が必要に戻ります。
Q5株式交付計画書には何を記載する?
子会社化する会社の商号住所、譲り受ける株式の下限数、対価の内容と割当てに関する事項、申込期日、効力発生日などを記載します(会社法774条の3第1項)。1号書面の実体的根拠です。
Q6株式交付の登記の登録免許税はいくら?
資本金の増加を伴う変更登記として、一般に増加した資本金の額の1000分の7(3万円に満たないときは3万円)とされます。具体額は事案ごとに司法書士へご確認ください。
Q7株式交付は既存の子会社にも使える?
使えません。株式交付は「株式会社を子会社とするため」に行う制度であり(会社法774条の3)、既に議決権の過半数を持つ会社の株式を買い増す場面では利用できません。
Q8株式交付の効力発生日はいつ?
株式交付計画で定めた効力発生日です。ただし債権者異議手続の1か月以上の期間や簡易手続の反対通知期間が終わっていなければ効力は生じず、日付の変更を要します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1株式交付って、株式交換とどう違うんですか?
株式交換は子会社の株式を100%取得する制度だが、株式交付は議決権の過半数を握って子会社化できれば足り、100%でなくてよい(会社法774条の3)。登記も株式交付親会社の変更登記だけで完結する(商業登記法90条の2)。実務のポイント:すでに子会社になっている会社の株を買い増す場面では株式交付は使えない。「子会社とするため」が入口要件だからだ。ここを外して計画書を作り直す例が実務で最も多い
Q2登記の2週間を過ぎてしまいました。株式交付の効力はなくなりますか?
効力は失われない。株式交付の効力は効力発生日に生じており、本条の変更登記はすでに生じた変更を公示する報告的登記にすぎない(会社法915条1項)。ただし登記懈怠として100万円以下の過料が科されうる(会社法976条1号)。実務のポイント:この過料は会社宛ではなく代表取締役個人宛に、忘れた頃に裁判所から通知が届く。会社の経費で落とす性質の支出ではない
間違えやすい点 AI による整理
- 株式交付に債権者保護手続が要ることは知っていても、その重さを知る人は少ない。異議申述期間は1か月以上(会社法816条の8第2項)で短縮できない。ところが対価が株式交付親会社の株式のみである場合には、そもそも債権者異議手続が不要になる(同条1項、会社法施行規則213条の7)。対価に現金を1割混ぜるという交渉上の小さな譲歩が、スケジュールを1か月以上伸ばす
- 「株式交付子会社の側でも登記が必要か」という問いを立てる人が多いが、問いそのものがずれている。本条が定めるのは株式交付親会社の変更登記の添付書面だけだ。子会社は株主が入れ替わるだけで、登記事項自体は動かない。株主名簿の書換で完結する
- 「簡易株式交付なら株主総会が不要だから楽だ」と考えるのは早い。一定数の株主が反対の通知をすれば、効力発生日の前日までに株主総会の決議による承認が必要になる(会社法816条の4第2項)。そして本条3号は、その「決議が必要な場合に該当しないこと」まで書面で証明せよと言う。簡易を選んだ側が、簡易でよいことの立証責任を背負う構造だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 根拠条文と使う場面 | 商業登記法90条の2:株式交付(議決権の過半数を取得して子会社化する) | 商業登記法90条:株式交換(既存会社を完全親会社とし100%子会社化する) 商業登記法91条:株式移転(完全親会社を新たに設立する) |
| 取得割合の要件 | 議決権の過半数で足りる。100%取得は不要(会社法774条の3) | 対象会社の株式を100%取得する 対象会社の株式を100%新設会社に移転する |
| 相手方との法律関係 | 株主個々の譲渡しの申込み、又は会社法774条の6の総数譲渡し契約 | 会社間の株式交換契約 会社の株式移転計画(単独又は共同) |
| 必要となる登記 | 株式交付親会社の変更登記のみ。子会社側は株主名簿の書換で完結 | 完全親会社の変更登記(資本金の額の変更等) 設立完全親会社の設立登記が必要 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は企業併購法で株式対価の組織再編を用意し、変更登記は経済部の公司登記で処理する。日本のように登記申請書の添付書面を法律本体で列挙する方式ではなく、下位規則に委ねる点が異なる
韓国は包括的株式交換を用意するが、日本の株式交付のように過半数取得で足りる部分取得型の制度設計は採っていない
ドイツは他社株式を現物出資として受け入れる資本増加の枠組みで処理し、検査人(Prüfer)による現物出資検査報告書の添付が要求される。日本の株式交付は検査役調査を要しない点で機動性が高い
米国は州法の share exchange 制度で株式対価取得を行い、Articles of Share Exchange を州務長官へ提出する。添付書面主義ではなく届出書面主義であり、審査密度が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 効力発生日を4月1日に設定して契約書を作った。だが債権者への公告を官報に載せたのが3月10日だとしたら、どうなる? 異議申述期間は1か月以上必要(会社法816条の8第2項)で、短縮する方法はない。この時点で4月1日の効力発生は成り立たず、計画書も契約書も日付を全部書き直すことになる。相手方の株主に頭を下げて回るのはあなただ
- あなたは経理部長として5号の資本金計上証明書を作る。会社計算規則39条の2の計算を一段間違えれば、資本金の額が実際と食い違う。登記官が最初に突き合わせるのは、まさにそこだ
- 取引先の社長から「うちの会社を株式交付で買いたいと言われた、現金じゃなく株をもらうだけで大丈夫か」と相談された。あなたが確認すべきは三点。買い手の株に流動性があるか、対価に現金が混ざっていないか、そして課税繰延の要件を満たすか。答えられれば、その場であなたは相談される側の人間になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. あなたが株式を譲渡する側なら、対価が親会社株式のみか現金が混ざるかを申込み前に確認する。株式の割合が8割を切ると課税繰延の要件から外れうる2. 交付される株式に譲渡制限や不利な種類株式の設計が付いていないか、株式交付計画書の記載で確認する3. あなたが株式交付親会社の債権者なら、公告を見た時点で異議申述期間内に書面で異議を述べる。期間内に述べなければ承認したものとみなされる(会社法816条の8第4項)
訴えられた側:1. 効力発生日から逆算して工程表を作る。債権者異議手続が必要なら、官報掲載の申込みリードタイムを含め最低1か月半を確保する2. 簡易株式交付を使うなら会社法816条の6第3項の通知日を先に確定し、反対通知の集計方法を決めておく3. 資本金の計上額は会社計算規則39条の2で検算し、計上証明書と計画書の数字を突き合わせる4. 効力発生日から2週間以内に本店所在地で変更登記を申請する
時効(請求できる期限):変更登記は効力発生日から2週間以内に本店所在地で申請(会社法915条1項)。懈怠は代表者個人に100万円以下の過料(会社法976条1号)。逆算すると、債権者異議手続が必要な場合は公告から1か月以上の異議申述期間(会社法816条の8第2項)、簡易株式交付の反対通知は会社法816条の6第3項の通知の日から2週間が必要になる
学説
通説:株式交付の効力は計画で定めた効力発生日に生じ、商業登記法90条の2に基づく変更登記は既に生じた変更を公示する報告的登記と解される。したがって登記の遅延は効力を左右せず、過料の問題にとどまる
通説:本条3号は簡易株式交付を選択する側に「株主総会決議を要する場合に該当しないこと」の立証を課す構造であり、手続の重さを対象会社の規模と株主への影響の大きさに比例させる設計と理解されている
改正沿革 AI による整理
- 令和元年(2019年)会社法改正の整備法により新設、令和3年(2021年)3月1日施行 会社法に株式交付制度が創設されたことに伴い、株式交付による変更の登記の添付書面を定める規定として新設された。株式対価M&Aを一般法で可能にする制度の登記面を支える
改正の年表
- 1.令和元年(2019年) 新設:会社法改正に伴う整備法により、会社法に創設された株式交付制度の登記面を支える規定として新設された。株式交付による変更の登記の添付書面を5号にわたり列挙する
- 2.令和3年(2021年) 新設:3月1日に会社法の株式交付規定とともに施行。株式対価M&Aが一般法上の制度として利用可能となり、本条が登記実務の入口要件を確定させた
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