商業登記法 第90条(株式移転の登記)
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- 株式移転による設立の登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。
- 一株式移転計画書
- 二定款
- 三第四十七条第二項第六号から第八号まで及び第十号から第十二号までに掲げる書面
- 四前条第四号に掲げる書面
- 五株式移転をする株式会社(以下「株式移転完全子会社」という。)の登記事項証明書。ただし、当該登記所の管轄区域内に株式移転完全子会社の本店がある場合を除く。
- 六株式移転完全子会社において会社法第八百四条第一項及び第三項の規定による株式移転計画の承認その他の手続があつたことを証する書面
- 七株式移転完全子会社において会社法第八百十条第二項の規定による公告及び催告(同条第三項の規定により公告を官報のほか時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙又は電子公告によつてした場合にあつては、これらの方法による公告)をしたこと並びに異議を述べた債権者があるときは、当該債権者に対し弁済し若しくは相当の担保を提供し若しくは当該債権者に弁済を受けさせることを目的として相当の財産を信託したこと又は当該株式移転をしても当該債権者を害するおそれがないことを証する書面
- 八株式移転完全子会社が株券発行会社であるときは、第五十九条第一項第二号に掲げる書面
- 九株式移転完全子会社が新株予約権を発行している場合であつて、会社法第七百七十三条第一項第九号に規定する場合には、第五十九条第二項第二号に掲げる書面
この条文の基本情報
株式移転の登記とは何ですか?
定義株式移転の登記とは、商業登記法第90条に定められた規定で、「株式移転による設立の登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 商業登記法第90条(株式移転の登記)は、日本の商業登記法に含まれる条文です。
- 商業登記法第90条の条文原文は「株式移転による設立の登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。」で始まります。
- 商業登記法第90条は第五節 株式会社の登記に置かれています。
- 商業登記法の公布日は昭和38年7月9日です。
- 商業登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 商業登記法第90条の前の条は商業登記法第89条です。
- 商業登記法第90条の次の条は商業登記法第90条の2です。
- 商業登記法第90条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第90条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000125 - 本サイト収録
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第90条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/338AC0000000125/90
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点商業登記法90条は、株式移転による設立の登記の申請書に添付すべき九つの書面を定める。株主総会の承認、債権者異議手続、株券提出公告を証する書面が必要で、公告期間は一か月を要する。
Q · 持株会社を作る株式移転の登記って、結局どんな書類を出せばいいんですか?
計画書など九種類の書面が必要で、公告だけで一か月かかります
商業登記法90条は、株式移転による設立の登記の申請書に添付すべき書面を九号で列挙します。株式移転計画書、定款、47条2項所定の設立共通書面のほか、完全子会社における株主総会の特別決議(会社法804条1項)と種類株主総会(同3項)の承認、債権者異議手続の公告と催告(同810条2項)、株券発行会社なら株券提出公告、新株予約権を発行していれば新株予約権証券の提出公告を証する書面が必要です。公告期間は最低一か月で短縮できないため、効力発生日から逆算した日程管理が実務の要点になります。
解説
持株会社を作ろうと決めたとき、実務が最初にぶつかる壁は「何を出せば登記が通るのか」である。商業登記法90条は、株式移転で新しく親会社(完全親会社)を設立する登記の申請書に添付すべき書面を、九つのブロックで列挙している。株式移転計画書、定款、資本金の額の計上を証する書面などの設立共通書類、そして子会社側の株主総会の特別決議(会社法804条1項)、種類株主総会(同3項)、債権者保護手続の公告と催告、株券提出公告、新株予約権証券提出公告。ここで見落としやすいのは、この条文が求める書面の大半は「登記の日」ではなく「その前の一か月」に発生するという点だ。債権者異議の公告期間は最低一か月(会社法810条2項)。つまり登記所に行く一か月前に手を打っていなければ、あなたのスケジュールは物理的に成立しない。添付書面の一覧は、逆算されたタイムラインそのものである。
法的な位置づけ
商業登記法90条は、株式移転による設立の登記における添付書面を定める規定である。株式移転計画書、定款、設立登記に共通する書面のほか、株式移転完全子会社における株主総会等の承認手続、債権者異議手続の公告および催告、株券ならびに新株予約権証券の提出公告を証する書面の添付を要求し、登記官による形式的審査の対象範囲を画する機能を有する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.効力発生日から逆算カレンダーを引く 設立登記の申請予定日を起点に、債権者異議手続の公告期間(最低一か月、会社法810条2項)、株券提出公告(効力発生日の一か月前まで、同219条1項)、反対株主への通知(効力発生日の二十日前まで、同806条)を並走させた日程表を作成する。官報は申込みから掲載まで数営業日を要するため、掲載申込みの締切日も明記する
- 2.完全子会社の現況を登記事項証明書で洗い出す 株式移転完全子会社の登記事項証明書を取得し、株券発行会社であるか、新株予約権の登記があるか、種類株式を発行しているかを確認する。株券発行会社なら90条8号、新株予約権があり会社法773条1項9号の定めを置くなら9号の公告書面が追加で発生する
- 3.株式移転計画を作成し株主総会の承認を得る 会社法773条1項の法定記載事項を網羅した株式移転計画を作成し、完全子会社の株主総会で特別決議による承認を得る(同804条1項)。種類株式発行会社で損害を及ぼすおそれがある場合は種類株主総会の決議も要する(同3項)。議事録には定足数、賛成数、特別決議要件の充足が読み取れる記載を必ず入れる
- 4.債権者異議手続と各種提出公告を同一号で並走させる 会社法810条1項に該当する場合、官報公告と個別催告を行う。定款で日刊新聞紙または電子公告を公告方法として定めていれば、官報との併用により個別催告を省略できる(同3項)。株券提出公告・新株予約権証券提出公告を同一の官報号に載せる設計にすれば、二つの一か月を並走させて全体を一か月に圧縮できる
- 5.九つの号ごとの照合表で添付書面を潰し込む 商業登記法90条の1号から9号までを縦軸にした照合表を作り、各号に対応する書面の有無、作成日、公告日の前後関係を確認する。議事録の日付が公告日より後になっているなど、日付の矛盾は補正の典型原因である。証明書類は期限切れを避けるため、他の書面が揃った最後に取得する
- 6.設立の登記を申請し効力発生を確定させる 本店所在地を管轄する法務局に設立の登記を申請する。株式移転の効力は設立の登記により発生するため(会社法774条)、申請日そのものが再編の完了日となる。申請後は完全子会社側の株主名簿の書換え、新株予約権の変更登記など後続手続に移行する
よくある質問 AI による整理
Q1株式移転とは何ですか?
既存の株式会社がその発行済株式の全部を新設する会社に取得させ、完全親会社を設立する組織再編です。持株会社体制への移行手段として用いられ、その設立登記の添付書面を商業登記法90条が定めます。
Q2株式移転の効力はいつ発生しますか?
株式移転設立完全親会社の成立、すなわち設立の登記の時に効力が生じます(会社法774条)。合併等と異なり効力発生日を任意に定めるのではなく、登記日が実質的な効力発生日になる点が実務上の要注意点です。
Q3株式移転計画書には何を記載しますか?
設立する完全親会社の目的・商号・本店・発行可能株式総数、定款で定める事項、設立時取締役の氏名、株主に交付する株式の数と割当て、新株予約権を交付する場合はその内容などを記載します(会社法773条1項)。
Q4株券提出公告はいつまでに必要ですか?
完全子会社が株券発行会社である場合、効力発生日の一か月前までに公告と通知を行う必要があります(会社法219条1項)。この一か月は短縮できず、90条8号の書面がその履行を証明します。
Q5新株予約権がある場合に追加で必要な書面は何ですか?
完全子会社が新株予約権を発行し、かつ株式移転計画で会社法773条1項9号の定めを置いた場合、新株予約権証券の提出公告をしたことを証する書面が必要です(商業登記法90条9号)。
Q6資本金の額の計上を証する書面とは何ですか?
設立する完全親会社の資本金の額が会社法および会社計算規則の定めに従って計上されたことを、代表者が証明する書面です。株式移転では子会社株式の評価を前提に算定するため、会計処理との整合が問われます。
Q7株式移転の無効を争えるのはいつまでですか?
株式移転の効力が生じた日から六か月以内に、株式移転無効の訴えを提起する必要があります(会社法828条1項12号)。登記が完了していても、この出訴期間内であれば手続の瑕疵を争う余地があります。
Q8反対株主の株式買取請求はいつできますか?
効力発生日の二十日前の日から効力発生日の前日までの間に請求します(会社法806条5項)。会社側は効力発生日の二十日前までに株主へ通知または公告をする必要があり、日程設計に組み込まれます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1株式移転って、要は子会社の株を親会社に集めるだけですよね。なんでこんなに書類が要るんですか
株主の持ち株が丸ごと新会社の株に置き換わるため、株主・新株予約権者・株券所持人、場合により債権者まで、利害関係者全員の手続が必要になるからである。90条の各号はその一つ一つに対応している。実務のポイント:登記官は実体を調査しないが、書面の形式的整合性は徹底的に見る。議事録の日付と公告日の前後関係が矛盾しているだけで補正が出るので、日付の一覧表を先に作る
Q2債権者への公告、うちは債権者が少ないから省略できませんか
株式移転で債権者異議手続が必要になるのは会社法810条1項の定める場合に限られるため、まず自社が該当するかの判定が先である。該当する場合、公告期間一か月は短縮できず、個別催告も原則必要になる。実務のポイント:定款で日刊新聞紙または電子公告を公告方法に定めていれば、官報と併用することで個別催告を省略できる(同条3項)。定款変更を先に済ませておくと、後の再編がすべて速くなる
Q3子会社の登記事項証明書、いつ取ったものでもいいんですか
実務上は作成後三か月以内のものが求められるのが通例である。ただし同一登記所の管轄区域内に子会社の本店があれば本号ただし書で不要であり、会社法人等番号を申請書に記載することで添付を省略できる運用も広く用いられている。実務のポイント:先に証明書を取ってから他の書類作成に時間をかけると、申請時点で期限切れになる。証明書の取得は書類が揃った最後に回す
間違えやすい点 AI による整理
- 「株主総会で承認さえ取れば登記は通る」と考えられがちだが、この条文が要求するのは決議の存在ではなく、決議があったことを『証する書面』である。実体法上有効な決議でも、議事録に定足数・賛成数の記載が欠けていれば登記官は補正を求める。登記は実体の写しではなく、書面による審査だという前提が抜けている
- 債権者保護手続の存在自体は多くの担当者が知っている。だが深刻なのは、その公告期間が「最低一か月」であり短縮不能だという点である。効力発生日を先に決めてから逆算すると、公告の申込みは一か月半前に済んでいなければならない。手続の存在を知っていることと、それがスケジュールの制約条件になると認識していることは、別の話だ
- 「株式移転は子会社の株主が全員同意すれば簡単だろう」という問いの立て方自体がずれている。株式移転で保護されるのは株主だけではない。子会社に新株予約権があれば新株予約権者、一定の場合には債権者、株券発行会社なら株券所持人。それぞれに別の手続と別の公告期間があり、どれか一つを落とせば登記は止まる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 商業登記法90条:株式移転による設立の登記の添付書面(九号列挙) | 商業登記法47条2項:株式会社の設立の登記一般の添付書面 商業登記法59条:株券・新株予約権証券の提出公告に関する書面 |
| 本条との関係 | 組織再編型の設立登記の特則として、共通書面に子会社側の手続証明を上乗せする | 90条3号が47条2項6号〜8号・10号〜12号を引用し、設立共通書面として取り込む 90条8号・9号が59条1項2号・2項2号を引用し、提出公告の証明書面を取り込む |
| 時間的制約 | 債権者異議公告と株券提出公告により、申請の最低一か月前から準備が必要 | 発起設立なら公告期間の制約はなく、出資履行後すみやかに申請可能 提出公告は効力発生日の一か月前までが原則で、短縮できない |
| 適用される場面 | 既存会社を完全子会社化して持株会社を新設する再編 | 新たに事業を始めるための通常の会社設立 株券・新株予約権証券が現に発行されている会社が当事者となる再編一般 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も株主総会の特別決議と債権者保護手続を要する点で日本と共通するが、株式移転に相当する股份轉換は会社法本体ではなく企業併購法という特別法に置かれている。登記手続も公司登記の枠組みで処理される
韓国は2001年商法改正で日本の株式移転制度を参照して導入した。主主総会の特別決議、債権者保護手続、株券提出公告の構造は日本と極めて近く、商業登記法上の添付書面の考え方も類似する
ドイツには株式移転と同一構造の制度はなく、持株会社化は事業の分離(Ausgliederung)や持分交換により実現される。債権者保護は事後的な担保請求権として構成され、事前公告期間による制約という日本型の設計とは異なる
デラウェア州法は一定要件下で株主総会決議を経ずに持株会社体制へ移行することを認めており、日本の株式移転が要求する事前公告と株主総会承認の重さと対照的である。日本の1999年改正はこうした米国実務を背景に立法された
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 上場準備で持株会社体制に移行することが取締役会で決まり、あなたが実務担当に指名された。効力発生日は四月一日と決め打ちされている。だが債権者異議の公告は最低一か月、株券発行会社なら株券提出公告も一か月。逆算すると、二月中旬には官報の掲載申込みを終えていなければならない。添付書面リストを最初に読むかどうかで、間に合うかどうかが決まる
- もし株主総会の議事録に、特別決議の要件(議決権の三分の二以上)を満たしたことが読み取れる記載がなかったら? 登記官はその一点で補正を出す。決議は有効に成立していても、書面上の立証ができなければ登記は通らない。実体と手続の乖離が、ここで初めて可視化される
- 子会社が新株予約権を発行していることを、担当者が把握していなかった。株式移転計画で新株予約権者に親会社の新株予約権を交付する定め(会社法773条1項9号)を置いた場合、新株予約権証券の提出公告を証する書面が要る。登記申請の直前に発覚すれば、公告期間一か月のやり直し
- 子会社の本店が別の法務局の管轄にある。この場合、子会社の登記事項証明書を添付しなければならない(本号ただし書の反対解釈)。ただし現在は会社法人等番号の提供で代替できる運用がある。地方の子会社を巻き込む再編で、証明書の取得日が古すぎて再取得になるのは、実務でよくある足止めだ
- 残り三日で登記申請。債権者から異議が出ていたことが判明した。弁済・担保提供・信託のいずれか、または「害するおそれがない」ことを証する書面が必要になる。この最後の選択肢が実務上どこまで通るかは、登記官の判断と個別事情に依存する
取るべき行動
被害を受けた側:登記を通す側として動く場合。1. 効力発生日から逆算し、債権者異議公告(会社法810条2項、最低一か月)と株券提出公告(同219条)を並走で設計する2. 子会社の新株予約権の有無を登記事項証明書で確認、あれば9号の書面が発生する3. 株主総会議事録は定足数・賛成数・特別決議要件の充足が読み取れる記載にする4. 子会社本店が管轄外なら登記事項証明書または会社法人等番号を準備5. 申請前に司法書士と号ごとの照合表で潰し込む
訴えられた側:手続に異議を述べる側、または不備を突く側として動く場合。1. 債権者であれば、公告と個別催告が適法にされたかを官報と受領書面で確認、催告漏れは手続の瑕疵につながる2. 株主であれば、株主総会の招集手続・決議要件を検証し、株式移転無効の訴え(会社法828条1項12号、効力発生日から六か月以内)を検討3. 反対株主であれば株式買取請求(同806条)の期間を優先的に確保4. 登記が完了していても無効の訴えの出訴期間内であれば争える
時効(請求できる期限):債権者異議の公告期間は一か月を下回れない(会社法810条2項)。株券提出公告も一か月前まで(同219条1項)。株式移転無効の訴えは効力発生日から六か月以内(同828条1項12号)。反対株主の株式買取請求は効力発生日の二十日前の日から効力発生日の前日まで(同806条5項)。設立の登記自体には申請期限の定めがないが、株式移転の効力は設立登記により発生する(同774条)
学説
通説(形式的審査主義):登記官の審査権は申請書および添付書面の形式的整合性に限られ、決議の実体的有効性を独自に調査することはできないとされる。本条が各号で「証する書面」を求めるのは、実体審査を行わない代わりに手続の履行を書面で担保する立法技術である
実務通説(添付書面の逆算的性格):本条各号の書面は、その大半が登記申請日ではなく、その一か月以上前に発生する手続の産物である。したがって添付書面リストは事務要件ではなく、組織再編の工程表として機能するというのが登記実務の共通理解である
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和38年(1963年) 新設:商業登記法が制定され、商法上の登記手続が独立の法律として整備された
- 2.平成11年(1999年) 改正:商法改正により株式交換・株式移転の制度が創設され、これに対応する登記手続の規定が商業登記法に置かれた。持株会社設立の法的な受け皿がここで整った
- 3.平成17年(2005年) 改正:会社法の制定に伴う整備により、参照先が商法から会社法の各条へ改められ、株式移転計画・債権者異議手続・提出公告の引用関係が現行の形に整理された
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