商業登記法 第59条(取得条項付株式等の取得と引換えにする株式の交付による変更の登記)
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- 取得条項付株式(株式の内容として会社法第百八条第二項第六号ロに掲げる事項についての定めがあるものに限る。)の取得と引換えにする株式の交付による変更の登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。
- 一会社法第百七条第二項第三号イの事由の発生を証する書面
- 二株券発行会社にあつては、会社法第二百十九条第一項本文の規定による公告をしたことを証する書面又は当該株式の全部について株券を発行していないことを証する書面
- 2.取得条項付新株予約権(新株予約権の内容として会社法第二百三十六条第一項第七号ニに掲げる事項についての定めがあるものに限る。)の取得と引換えにする株式の交付による変更の登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。
- 一会社法第二百三十六条第一項第七号イの事由の発生を証する書面
- 二会社法第二百九十三条第一項の規定による公告をしたことを証する書面又は同項に規定する新株予約権証券を発行していないことを証する書面
この条文の基本情報
取得条項付株式等の取得と引換えにする株式の交付による変更の登記とは何ですか?
定義取得条項付株式等の取得と引換えにする株式の交付による変更の登記とは、商業登記法第59条に定められた規定で、「取得条項付株式(株式の内容として会社法第百八条第二項第六号ロに掲げる事項についての定めがあるものに限る。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 商業登記法第59条(取得条項付株式等の取得と引換えにする株式の交付による変更の登記)は、日本の商業登記法に含まれる条文です。
- 商業登記法第59条の条文原文は「取得条項付株式(株式の内容として会社法第百八条第二項第六号ロに掲げる事項についての定めがあるものに限る。」で始まります。
- 商業登記法第59条は第五節 株式会社の登記に置かれています。
- 商業登記法の公布日は昭和38年7月9日です。
- 商業登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 商業登記法第59条の前の条は商業登記法第58条です。
- 商業登記法第59条の次の条は商業登記法第60条です。
- 商業登記法第59条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第59条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000125 - 本サイト収録
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第59条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/338AC0000000125/59
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点商業登記法59条は、取得条項付株式・新株予約権の取得による株式交付の変更登記に、事由発生を証する書面と証券提出公告を証する書面の添付を求める。
Q · 会社が取得条項を使って株式を取り上げたとき、登記では何をチェックされるの?
事由発生の証明と公告の証明、二つの書面です
商業登記法59条により、取得条項付株式または取得条項付新株予約権の取得と引換えに株式を交付したことによる変更登記の申請書には、二種類の書面を添付します。第一に、会社法107条2項3号イ(新株予約権は236条1項7号イ)の事由が発生したことを証する書面。第二に、株券発行会社であれば会社法219条1項の株券提出公告をしたことを証する書面、新株予約権については293条1項の公告を証する書面、または当該証券を発行していないことを証する書面です。公告関係の書面が欠ければ登記は受理されません。
解説
会社が発行した株式や新株予約権の中には、あらかじめ決めた事由が起きた瞬間、会社が強制的にそれを取り上げ、代わりに別の株式を渡すという設計のものがある。ベンチャーで優先株を持たされた人、ストックオプションを受け取った従業員、あなたが持っているその紙切れは、実はそういう仕掛け付きかもしれない。商業登記法59条は、その取り上げが実行された後、登記所が何を確認するかを定めている。ポイントは添付書面が二つで一組だという点だ。一つは「決めた事由が本当に発生した」ことの証明、もう一つは「株券や新株予約権証券を持っている人に、ちゃんと知らせた」ことの証明である。後者が抜けていると登記は通らない。つまり、あなたに一言も伝えずに株式を取り上げる会社は、その事実を登記の窓口で自ら露呈することになる。裏を返せば、あなたのもとに届いた見慣れない公告や通知は、権利が入れ替わる直前の最後のサインである。
法的な位置づけ
商業登記法59条は、取得条項付株式および取得条項付新株予約権の取得と引換えにする株式の交付による変更の登記の申請書に添付すべき書面を定める規定である。添付書面は、会社法所定の取得事由の発生を証する書面と、証券提出公告の実施を証する書面または当該証券を発行していないことを証する書面の二種で構成される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.定款と登記簿で取得条項の内容を特定する 定款および登記簿謄本で、取得条項の対象となる株式・新株予約権の種類、会社法107条2項3号イ(新株予約権は236条1項7号イ)の事由、対価として交付する株式の内容を確認する。文言と実際の事由が一対一で対応しない場合は発動を見送る
- 2.事由の発生を証する客観資料を整える 上場申請、役員退任、期限到来など、定款所定の事由が現実に発生したことを示す資料を収集する。取締役会議事録だけでなく、申請受理通知、退任届、株主総会議事録など事由そのものを示す客観資料を添える
- 3.証券提出公告または不発行証明を用意する 株券発行会社は取得日の1か月前までに会社法219条1項の株券提出公告を行い、官報等の掲載紙面を保存する。新株予約権証券は会社法293条1項の公告による。証券を一切発行していない場合は、株主名簿と発行控えで裏付けた不発行証明書を作成する
- 4.効力発生日から2週間以内に変更登記を申請する 発行済株式総数・資本金の額・新株予約権の登記事項の変更について、商業登記法59条所定の添付書面を揃えて本店所在地の法務局に申請する。会社法915条1項の2週間の期間を徒過すると過料の対象になる
- 5.登記完了後に株主へ新株式の交付手続を実施する 登記完了後、株主名簿の書換えと新株式の交付・株券発行(発行会社の場合)を行う。提出のなかった旧株券について照会記録を残し、後日の効力争いに備えて事由発生の根拠資料一式を保管する
よくある質問 AI による整理
Q1取得条項付株式とは?
定款で定めた事由が発生したとき、会社が株主の同意なく株式を取得できる株式です。会社法107条2項3号・108条2項6号に定めがあり、対価として別の株式を交付する設計も可能です。
Q2商業登記法59条の添付書面は何ですか?
事由の発生を証する書面と、株券提出公告(会社法219条1項)をしたことを証する書面、または当該株式について株券を発行していないことを証する書面の二種類です。
Q3取得条項の登記はいつまでに申請しますか?
効力発生日から2週間以内に本店所在地で変更登記を申請します(会社法915条1項)。懈怠すると100万円以下の過料の対象になります(会社法976条1号)。
Q4株券提出公告 いつまで?
会社法219条1項により、取得日の1か月前までに公告し、株主および登録株式質権者に個別通知します。期間満了で株券は無効になります(同条3項)。
Q5株券を発行していない会社はどうしますか?
公告は不要で、当該株式の全部について株券を発行していないことを証する書面を添付します。実務では代表者作成の証明書を用い、株主名簿と発行控えで裏付けます。
Q6新株予約権の取得条項でも同じ登記ですか?
商業登記法59条2項が規律します。会社法236条1項7号イの事由発生を証する書面と、293条1項の公告を証する書面または証券不発行を証する書面を添付します。
Q7取得条項の発動に株主総会決議は必要?
不要です。定款所定の事由が発生すれば会社法170条1項により当然に効力が生じます。ただし別に取締役会等で取得日を定める設計の場合はその決定書面が要ります。
Q8商業登記法58条と59条の違いは?
58条は取得請求権付株式(株主側が請求)、59条は取得条項付株式(会社側が事由発生で取得)に関する登記です。59条だけが公告関係の書面を要求します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1会社が勝手に自分の株を取り上げるって、そんなの許されるんですか?
定款に取得条項が定められ、その事由が発生した以上、法律上は当然に効力が生じる(会社法170条1項)。ただし既存株式に取得条項を後付けする定款変更には、その種類株主全員の同意が必要である(会社法111条1項)。実務のポイント:多くの株主は設立時や増資時の定款に何が書かれたかを確認せずに出資している。取得条項の有無は登記事項なので、登記簿謄本を600円取るだけで他人の会社の分でも確認できる
Q2株券提出公告って見落としたらどうなりますか?
公告期間が満了すると株券は無効になる(会社法219条3項)。ただし株式そのものを失うわけではなく、株主名簿に記載があれば地位は残る。問題は新株式の交付手続や名義書換で手間と証明負担が跳ね上がる点である。実務のポイント:公告は官報または定款所定の方法で行われるが、実際に官報を毎日見ている個人株主はほぼいない。非上場会社の株を持っているなら、官報検索サービスに社名で通知設定をかけておくのが最も安価な防御になる
Q3登記が通ったということは、会社の手続が正しかったという意味ですか?
そうとは限らない。登記官の審査は原則として形式的審査で、添付書面が揃い記載が整合していれば受理される(商業登記法24条各号の却下事由に該当しない限り)。事由が実際に発生したかの実質判断までは踏み込まない。実務のポイント:登記が完了していても、株式取得の効力自体は別途訴訟で争える。逆に言えば「登記済み」を根拠に諦めさせようとする説明は、法的には正確ではない
間違えやすい点 AI による整理
- 「取得条項付株式なんて上場企業の話で自分には縁がない」と考える人が多いが、問いの立て方が逆である。取得条項が最も多用されるのは未上場のベンチャーとオーナー企業で、従業員持株や役員向け新株予約権に組み込まれている。上場企業の一般株主より、スタートアップの社員のほうがこの条項に直面する確率は高い
- 取得条項の発動には株主総会の決議が要ると思われがちだが、会社法107条2項3号イの事由が発生すれば、その時点で法律上当然に効力が生じる(会社法170条1項)。決議は不要である。あなたが「そんな話は聞いていない」と言っても、定款に書いてある事由が起きた事実だけで権利は移転している
- 株券提出公告は形式的な儀式だと軽く見られているが、深刻度が理解されていない。公告期間の経過で株券は無効になり(会社法219条3項)、株券を握りしめていても紙以上の意味を持たなくなる。公告を見落とすことのコストは、通知を見落とすことのコストとは桁が違う
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 取得の主導権 | 商業登記法59条:会社側(定款所定の事由の発生で当然に取得) | 商業登記法58条:株主側(取得請求権の行使) 商業登記法66条:新株予約権者側(行使による株式発行) |
| 中核となる添付書面 | 事由の発生を証する書面+公告を証する書面または証券不発行証明 | 取得の請求があったことを証する書面 行使があったことを証する書面および払込みを証する書面 |
| 公告の要否 | 株券発行会社は会社法219条1項、新株予約権は293条1項の公告が必要 | 原則として提出公告は不要 提出公告は不要 |
| 証券保有者へのリスク | 公告期間の経過で株券・新株予約権証券が無効になる | 自ら請求するため不意打ちは生じない 自ら行使するため不意打ちは生じない |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は特別股の収回を定款事項とし、変更登記の際に議事録等の添付を求めるが、日本の株券提出公告に相当する画一的な公告証明の要求はない
韓国も償還株式の制度を持ち、日本と同様に会社側の取得を認めるが、登記添付書面の構成は商業登記法および規則に分散している
ドイツは株式の消却(Einziehung)を定款の授権に基づき行い、取締役会が商業登記所へ Anmeldung する。債権者保護手続が前面に出る点が日本と対照的
米国は redeemable stock を認めるが、登記所への添付書面審査という制度自体がなく、証券法上の開示と取締役の信認義務が統制手段となる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 勤務先のスタートアップが上場準備に入り、「種類株式を普通株式に一本化する」と説明された。あなたが持つ優先株には取得条項が付いており、上場申請という事由の発生で自動的に普通株へ変わる。この変更登記の申請書には、上場申請の事実を証する書面が必要になる。会社がどの事由を根拠にしたのか、登記簿と定款を突き合わせれば追跡できる
- 株券発行会社の株主として、ある日「株券提出公告」を新聞で見つけた。提出期日は公告日から1か月後。この日を過ぎると株券は無効になる。手元の株券を金庫にしまったまま忘れていたら、新株式の交付手続で不利益を受ける。あと数週間しかない
- もし会社が「株券は全部発行していません」という証明書を作って登記を通したが、実はあなたの手元に古い株券が残っていたとしたら? 会社側の証明が事実と食い違う。登記自体は通ってしまうが、その証明を作った取締役は後で責任を問われる余地がある
- 新株予約権を割り当てられた役員が退任することになった。新株予約権の内容に「退任した場合、会社が取得して株式を交付する」との取得条項があった。会社は退任日の事実を証する書面と、証券不発行の証明を添えて登記を申請する。あなたが交渉すべきタイミングは、退任日が確定する前である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 定款と登記簿謄本を取得し、自分の株式または新株予約権に取得条項が付いているか、発動事由は何かを特定する2. 会社が主張する事由の発生日を書面で照会し、根拠資料の開示を求める(株主なら会社法433条の会計帳簿閲覧請求も検討) 3. 株券提出公告が出ていれば期間内に必ず提出、放置すると株券は無効になる4. 事由が実際には発生していないのに登記された疑いがあれば、変更登記の抹消ではなく、株式取得の効力自体を争う訴訟構成を弁護士と検討する
訴えられた側:1. 取得条項の発動を計画する段階で、定款の文言と実際の事由が一対一で対応しているか確認、曖昧なら発動を見送る2. 株券発行会社なら会社法219条1項の公告を1か月前までに実施、株主への個別通知も併せて行う3. 証券不発行証明書を作る場合、本当に一枚も発行していないか株主名簿と発行控えで裏付ける4. 事由の発生を証する書面は、後に効力を争われる前提で作る。取締役会議事録だけでなく、事由そのものを示す客観資料を添える
時効(請求できる期限):変更登記の申請は効力発生日から2週間以内(会社法915条1項)。株券提出公告は取得日の1か月前までに実施(会社法219条1項)。登記懈怠には100万円以下の過料の制裁がある(会社法976条1号)
学説
通説:商業登記法59条の添付書面要求は、取得条項の発動という株主の関与を伴わない権利変動について、事由発生と証券保有者への公示という二点を登記手続上で外形的に担保する趣旨と解される。実体的な有効性審査は登記官の権限外であり、事後の訴訟に委ねられる。
実務説(登記実務):証券不発行を証する書面は代表者作成の証明書で足りるとされるが、株主名簿および株券発行控えとの整合が前提である。事実に反する証明を作成した取締役は、後に取得の効力が争われた場面で任務懈怠責任を問われうる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和38年(1963年) 新設:商法の登記規定から商業登記の手続を切り出し、商業登記法として制定。会社の変更登記における添付書面の通則的な枠組みが整備された
- 2.平成17年(2005年) 改正:会社法の制定に伴う整備により、取得条項付株式・取得条項付新株予約権という新たな類型に対応する添付書面規定として現行59条の内容が整えられた
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