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出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年7月4日読了 7 分7 分7 分

商業登記法 第60条(全部取得条項付種類株式の取得と引換えにする株式の交付による変更の登記)

クイックジャンプ

株券発行会社が全部取得条項付種類株式(会社法第百七十一条第一項に規定する全部取得条項付種類株式をいう。第六十八条において同じ。)の取得と引換えにする株式の交付による変更の登記の申請書には、前条第一項第二号に掲げる書面を添付しなければならない。

この条文の基本情報

全部取得条項付種類株式の取得と引換えにする株式の交付による変更の登記とは何ですか?

定義全部取得条項付種類株式の取得と引換えにする株式の交付による変更の登記とは、商業登記法第60条に定められた規定で、「株券発行会社が全部取得条項付種類株式(会社法第百七十一条第一項に規定する全部取得条項付種類株式をいう。」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 商業登記法第60条(全部取得条項付種類株式の取得と引換えにする株式の交付による変更の登記)は、日本の商業登記法に含まれる条文です。
  2. 商業登記法第60条の条文原文は「株券発行会社が全部取得条項付種類株式(会社法第百七十一条第一項に規定する全部取得条項付種類株式をいう。」で始まります。
  3. 商業登記法第60条は第五節 株式会社の登記に置かれています。
  4. 商業登記法の公布日は昭和38年7月9日です。
  5. 商業登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
  6. 商業登記法第60条の前の条は商業登記法第59条です。
  7. 商業登記法第60条の次の条は商業登記法第61条です。
  8. 商業登記法第60条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第60条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000125
  • 本サイト収録商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第60条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/338AC0000000125/60

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点商業登記法60条は、株券発行会社が全部取得条項付種類株式の取得と引換えに株式を交付する変更登記で、株券提出公告をしたことを証する書面の添付を求める規定である。

Q · 会社が全部取得条項付種類株式を取得したとき、登記には何を付ければいいの?

株券提出公告をしたことを証する書面などが必要です

商業登記法60条により、株券発行会社が全部取得条項付種類株式の取得と引換えに株式を交付した場合、その変更登記の申請書には同法59条1項2号の書面を添付します。具体的には、会社法219条1項の株券提出公告をしたことを証する書面、または株式の全部について株券を発行していないことを証する書面です。株券を現実に回収したことの証明までは要求されておらず、公告を出していれば登記は通ります。

解説

会社が少数株主を整理する、いわゆるスクイーズアウトを実行するとき、実務で長年使われてきた手法が「全部取得条項付種類株式」である。株主総会の特別決議で、ある種類の株式を会社がまとめて取得し、その対価として別の株式を交付する。ここで、あなたの手元に紙の株券があるかどうかが手続の重さを分ける。商業登記法60条が要求するのは、株券発行会社である場合に限り、59条1項2号の書面、つまり株券提出公告をしたことを証する書面か、株式の全部について株券を発行していないことを証する書面を、変更登記の申請書に添付せよということだ。裏を返せば、あなたが株券を持ったまま行方をくらませても、会社は「公告はした」という一枚の紙で登記を通せる。株券が手元にあることは、あなたの防御にならない。防御になるのは、公告の日付を把握し、その前に価格決定の申立てを準備することだ。

法的な位置づけ

商業登記法60条は、株券発行会社が会社法171条1項の全部取得条項付種類株式を取得し、その対価として株式を交付した場合の変更登記について添付書面を定める規定である。同法59条1項2号の書面、すなわち株券提出公告をしたことを証する書面または株式の全部について株券を発行していないことを証する書面の添付を要求する。

手順・フロー

AI による整理。効力は条文原文が基準です

手順

  1. 1.定款を確認して株券発行会社かどうかを判定する 登記事項証明書に「株券を発行する旨の定め」があるかを確認する。定めがあれば株券発行会社であり、60条の添付書面が必要になる。2006年の会社法施行前から存続する会社は、定款を変更していない限りこの定めが残っている
  2. 2.取得日から逆算して株券提出公告を手配する 会社法219条1項により、取得日の1か月以上前に株券提出公告を行い、株主および登録株式質権者へ個別通知する。官報掲載は申込から掲載まで日数がかかるため、逆算表の最上流タスクとして押さえる。株券を一枚も発行していない場合は、代表者作成の「株式の全部について株券を発行していないことを証する書面」で代替する
  3. 3.事前開示書面を備え置き、株主総会の特別決議を得る 会社法171条の2の事前開示書面を本店に備え置き、定款変更(全部取得条項の付加)と取得の議案について株主総会の特別決議を得る。議事録には対価の内容と算定根拠、取得日を明確に記載する
  4. 4.取得日に効力を発生させ、対価として株式を交付する 取得日の到来により会社が全部取得条項付種類株式を取得し、対価としての株式を交付する。端数が生じる場合は会社法234条の端数処理(競売または裁判所の許可による売却)を並行して準備する
  5. 5.効力発生日から2週間以内に変更登記を申請する 会社法915条1項の期間内に変更登記を申請する。申請書には商業登記法60条により59条1項2号の書面(公告をしたことを証する書面、または株券を発行していないことを証する書面)を必ず添付する。添付漏れは商業登記法24条により補正または却下の対象

よくある質問 AI による整理

Q1全部取得条項付種類株式とは何ですか?

株主総会の特別決議によって、その種類の株式の全部を会社が取得できる旨の定めが付いた種類株式です。会社法171条1項に定義があり、少数株主の整理(スクイーズアウト)の手法として使われてきました。

Q2株券提出公告はいつまでに出す必要がありますか?

会社法219条1項により、取得日の1か月以上前までに公告し、かつ株主および登録株式質権者に個別に通知する必要があります。この1か月がスケジュールの最上流にあり、遅れると全工程が後ろにずれます。

Q3商業登記法60条の添付書面は具体的に何ですか?

同法59条1項2号の書面、つまり株券提出公告をしたことを証する書面(公告を掲載した官報や日刊紙の該当ページ等)、または株式の全部について株券を発行していないことを証する書面です。

Q4全部取得の株主総会決議はどのくらいの賛成が必要ですか?

株主総会の特別決議が必要です。会社法309条2項により、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成で可決されます。3分の2を握られていれば少数株主は決議自体を止められません。

Q5変更登記はいつまでに申請しますか?

会社法915条1項により、効力発生日から2週間以内に本店所在地で変更登記を申請します。期間を過ぎると代表者に過料の制裁が科される可能性があります。

Q6添付書面が足りないと登記は却下されますか?

商業登記法24条の却下事由に該当します。実務上はまず補正を求められますが、補正に応じられなければ却下となり、申請をやり直すことになります。クロージング日程に直接響きます。

Q7少数株主の同意がなくても株式を取得できますか?

できます。全部取得条項付種類株式の取得は特別決議で行われ、個々の株主の同意は不要です。反対株主に用意されているのは会社法172条の価格決定申立てという金銭的救済であって、取得自体を止める権利ではありません。

Q8全部取得条項付種類株式は今でも使われていますか?

平成26年会社法改正で特別支配株主の株式等売渡請求(会社法179条)と株式併合の手続整備が行われて以降、実務の主流はそちらに移りました。ただし過去に実施された案件の登記や事業承継の場面では依然として論点になります。

この条文についての質問 AI による整理

Q1株券をなくしてしまったんですが、この手続だと不利になりますか?

登記手続との関係では不利になりません。60条が求めるのは公告をしたことの証明であって、株券の回収完了の証明ではないためです。ただし対価を受け取る際に会社から株券の提出を求められるので、株券喪失登録(会社法221条以下)の手続が別途必要になる場合があります。実務のポイント:喪失登録には登録から1年という待機期間があるため、取得日までに間に合わないケースがある。対価の受領は遅れても請求権自体は残るので、会社側と受領方法を先に書面で詰めておくと止血できる

Q2そもそも自分の会社が株券発行会社かどうか、どこを見れば分かりますか?

登記事項証明書に「株券を発行する旨の定め」があるかどうかで判断できます。定めの記載があれば株券発行会社です。2006年の会社法施行前から存続する会社は、定款を変えていなければこの定めが残っています。実務のポイント:資本政策を動かす予定があるなら、その前に株券発行の定めを廃止する定款変更と登記を済ませておく。これだけで60条の添付書面も1か月の公告期間も工程から消える。司法書士は聞かれれば答えるが、依頼された手続の範囲外なので自分から提案しないことが多い

間違えやすい点 AI による整理

  • 「株券を握っていれば会社は勝手に手続を進められない」と信じている人がいるが、法律の設計はまったく逆を向いている。60条が要求するのは公告をしたことの証明であり、株券が現実に回収されたことの証明ではない。あなたが株券を金庫にしまい込んでも、公告期間が過ぎればその株券は無効になり、登記は完了する。株券の物理的占有は、この場面では一切のてこにならない
  • 全部取得条項付種類株式の手続を「株主から株を強制的に取り上げる制度」として理解している人は多いが、実は制度の深刻さはそこではない。会社法172条の価格決定申立てという救済ルートが用意されているにもかかわらず、申立期間が取得日の20日前から前日までという極端に短い窓しかない点にこそ、この制度の刃がある。制度を知っていても、日付を知らなければ救済はゼロになる
  • 「うちは株券を刷ったことがないから株券発行会社ではない」と考えている経営者が非常に多い。しかし株券発行会社かどうかは定款の定めで決まるのであって、現実に印刷したかどうかではない。2006年の会社法施行前に設立された会社は、定款を変更していない限り自動的に株券発行会社として扱われている(会社法整備法の経過措置)。この場合、60条の添付書面として「株式の全部について株券を発行していないことを証する書面」を用意することになる
比較の観点この条文ほかの条文
条文の役割商登法60条:全部取得条項付種類株式の取得と引換えの株式交付による変更登記の添付書面商登法59条:新株予約権・株式交付等の登記における添付書面の一般規定(60条が引用する定義元)
商登法24条:添付書面の欠缺等を却下事由と定める規定
適用の前提株券発行会社であること(定款に株券発行の定めがあること)各登記類型ごとに定められた実体要件を満たすこと
申請の形式的要件に不備があること
求められる証明株券提出公告をしたことの証明、または株式の全部について株券を発行していないことの証明各号に列挙された書面(決議・払込み・公告等)
証明ではなく、却下または補正という効果
違反したときの結果添付漏れとして補正または却下、クロージング日程が後ろ倒しになる同上(60条は59条を引用しているため効果は連動)
申請却下、登録免許税の還付手続が別途必要

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
企業併購法第27條・第29條

台湾は現金対価の合併(現金逐出合併)と股份轉換でスクイーズアウトを実現する。日本のような株券提出公告を登記の添付書面として求める構造は取らず、株主の救済は股份收買請求権による

韓国
대한민국 상법 제360조의24

韓国は95% 以上を保有する支配株主の売渡請求権という形で制度化しており、種類株式を経由しない直接的な締出しである点が日本の全部取得条項方式と異なる

ドイツ
AktG §§ 327a ff.

ドイツは95% を保有する主要株主による Squeeze-out を株主総会決議で行い、商業登記簿への登記により効力が生じる。登記が効力要件である点が、日本の宣言的な変更登記と対照的

アメリカ
Delaware General Corporation Law § 253, § 262

米国デラウェア州は90% 以上を保有する親会社による short-form merger を認め、株主の救済は appraisal rights に限定される。手続の簡素さと事後的な価格審査という組み合わせは日本と近い

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 創業期に手伝った友人の会社から、ある日「全部取得条項付種類株式に関する定款変更と取得の議案」という株主総会招集通知が届く。あなたの持株比率は2%。この決議が通れば、あなたの株は会社に取得され、対価として交付される新株は1株未満の端数になり、最終的に現金で清算される。招集通知を受け取った時点で、あなたに残された時間はもう総会当日までしかない
  • 経営陣の側に立ったとき。MBO を実行するために全部取得条項を使うが、司法書士から「株券発行会社のままだと60条の添付書面が要ります」と言われる。株券提出公告は公告日から1か月以上前に出す必要があり(会社法219条1項)、スケジュール表を引き直すことになる。ここを見落とすと、クロージング日が丸ごと1か月ずれる
  • 父の遺品から「株券」と書かれた古い証書が出てきた。発行会社に問い合わせると、数年前に全部取得条項付種類株式の取得を実施済みで、公告もしたという。株券は失効しているが、対価としての金銭の請求権自体は消えていない可能性がある。まず公告日と対価の内容を確認する
  • もし、あなたの会社が「株券不発行会社」に定款変更していたとしたら、どうなる? 60条の添付書面はそもそも不要になり、手続は一段軽くなる。多くの中小企業が実際にはただの一枚も株券を刷っていないのに、定款上は株券発行会社のまま放置している。この不一致が、いざ資本政策を動かすときに1か月の遅延として跳ね返る

取るべき行動

被害を受けた側:1. 招集通知を受け取ったら、議案に全部取得条項付種類株式の取得が含まれるか、取得日がいつかを確認する2. 対価の内容と算定根拠の説明を書面で求める(会社法171条の2の事前開示書面の閲覧請求) 3. 対価に不服なら、取得日の20日前から前日までに裁判所へ価格決定の申立てをする(会社法172条1項)。総会での反対の意思表示も併せて行う4. 株券を持っているなら公告に従って提出するが、提出しなくても手続は進むため、期限管理を最優先する

訴えられた側:1. 定款を確認し、株券発行会社かどうかを最初に判定する2. 株券発行会社なら、取得日の1か月以上前に株券提出公告を実施する(会社法219条1項)。現実に株券を一枚も発行していないなら、代表者作成の「株式の全部について株券を発行していないことを証する書面」を準備する3. 事前開示書面の備置き、株主総会特別決議、取得日の到来、という順序を崩さない4. 変更登記の申請書に59条1項2号の書面を添付する。添付漏れは補正または却下の対象

時効(請求できる期限):株券提出公告は取得日の1か月以上前(会社法219条1項)。変更登記の申請は効力発生日から2週間以内(会社法915条1項)。株主側の価格決定申立ては取得日の20日前から取得日の前日まで(会社法172条1項)。いずれも起算点を一日でも読み違えると救済も登記も通らない

学説

登記実務の通説:商業登記法60条が要求するのは株券提出公告を実施したことの証明であり、株券の現実の回収完了は登記の要件ではない。個別株主への到達を要件とすれば手続が完結せず企業再編が停止するため、公告という画一的基準を関門に据えたと理解されている。

会社法学の一般的理解:株主の保護は物理的な株券の保全ではなく、会社法172条の価格決定申立てという事後的な金銭救済に委ねられている。全部取得条項付種類株式は取得の可否を争う制度ではなく、対価の額を争う制度として設計されている。

改正沿革 AI による整理

改正の年表

  1. 1.平成17年(2005年) 改正:会社法の制定に伴う整備法により商業登記法が大幅に改正され、会社法171条の全部取得条項付種類株式に対応する登記の添付書面規定として本条が置かれた
  2. 2.平成26年(2014年) 改正:会社法改正により全部取得条項付種類株式の手続に事前開示・事後開示および差止請求が整備され、あわせて特別支配株主の株式等売渡請求(会社法179条)が新設された。実務上のスクイーズアウト手法の主流が移り、本条の適用場面は相対的に減少した

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出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

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