要点所得税法 180 条の 2 は、外国信託会社の投資信託の信託財産に属する公社債等の国内源泉所得について、帳簿登載を条件に外国法人課税を適用せず、二重課税を排除する規定である。
Q · 外国のファンドを買うと、日本の税金で二重取りされるって本当?
帳簿登載があれば信託段階の外国法人課税は外れます
所得税法 180 条の 2 により、外国信託会社が引き受けた証券投資信託の信託財産に属する公社債等の国内源泉所得は、支払者の帳簿に「信託財産に属する旨」の登載を受けている期間について、外国法人課税(178 条・179 条)が適用されません。これにより信託の中継段階での課税と投資家段階での課税が二重にならないよう調整されます。さらに集団投資信託が外国で納めた所得税は、分配金にかかる所得税から控除されます(同条 3 項)。ただし帳簿登載は利子の支払日より前に完了している必要があり、遡及登載は認められません。
証券会社のアプリで外国籍の債券ファンドを一本買う。その裏側で、ファンドの信託財産に組み入れられた日本国内の公社債の利子には、二重課税の落とし穴が口を開けている。ファンドを運用する外国の信託会社は、日本の税法上は「外国法人」だ。放っておけば、その信託会社が受け取る国内源泉所得(利子等)に外国法人としての課税がかかり、さらに投資家であるあなたが分配金を受け取る段階でもう一度課税される。所得税法 180 条の 2 は、この二重取りを止める配電盤である。信託会社が「この公社債は信託財産に属する」旨を支払者の帳簿に登載を受けていれば、その期間の国内源泉所得には外国法人課税(178 条、179 条)を適用しない。さらに集団投資信託が外国で納めた所得税は、分配金にかかる所得税から控除される。あなたが目論見書で見た利回りが絵に描いた餅にならないのは、この一条が信託の中継点で静かに働いているからだ。
所得税法 180 条の 2 は、外国法人である信託会社が引き受けた証券投資信託等の信託財産に属する公社債等の国内源泉所得に対する外国法人課税の非適用と、集団投資信託が納付した外国所得税の控除を定める規定である。帳簿への登載を要件とし、信託の中継段階と投資家段階での二重課税を調整する機能を持つ。
外国法人でありながら信託業務を営む会社で、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律上の信託兼営金融機関も含みます。所得税法 180 条の 2 は、この外国信託会社が引き受けた投資信託の課税を規律します。
所得税法 176 条 3 項に定める信託で、証券投資信託や特定受益証券発行信託などを含みます。投資家から集めた資金をまとめて運用し収益を分配する仕組みで、外国所得税の控除が認められます。
信託財産に含まれる国内公社債の利子に外国法人としての課税がかかり、さらに投資家が分配金を受け取る段階でも課税されるためです。所得税法 180 条の 2 は帳簿登載を条件にこの二重課税を調整します。
国内源泉所得(利子等)が支払われる前に、支払者の帳簿へ登載を受けている必要があります。支払後の遡及登載は認められず、登載を受けている期間内に支払われる所得のみが非適用の対象です。
178 条は外国法人に係る所得税の課税標準を、179 条はその税率を定めます。180 条の 2 は一定の要件のもとでこれらの規定を適用しないとする特例です。
1 項は証券投資信託、2 項は退職年金等信託の信託財産に属する公社債等の国内源泉所得を対象とします。3 項以下は集団投資信託の外国所得税控除を規律します。
認められません。帳簿登載は国内源泉所得の支払日より前に完了している必要があり、支払後に気づいて遡って登載しても効力は生じません。ファンド組成初期での事務完了が重要です。
非課税ではなく、二重課税の調整規定です。帳簿登載により信託段階の外国法人課税は適用されませんが、最終的に投資家段階で分配金として課税されます。日本の課税権自体は及びます。
外国法人は原則として国内源泉所得に 178 条・179 条の課税を受けます。しかし投資信託の信託財産段階でそれをかけると、投資家が分配金を受け取る段階の課税と二重になり、日本のファンドの国際競争力が落ちます。そこで帳簿登載(180 条の 2 第 1 項)で信託財産だと明示された公社債等の国内源泉所得は外国法人課税から外すのです。業界裏話ヒント:この登載は利子の支払日「前」に済んでいることが絶対条件で、後追いの遡及登載は一切効きません。組成時に事務を詰め切れるかどうかで初回分配の数字が変わります
直接の適用対象は外国信託会社ですが、集団投資信託が外国で納めた所得税は分配金にかかる所得税から控除され(同条 3 項)、その税額はいったん分配額に加算されます(同条 4 項)。結果としてあなたの手取りに反映されるので、無縁ではありません。業界裏話ヒント:運用報告書の税務注記まで読み込む個人投資家はほとんどいません。ここを読めるだけで、同じファンドでも実質利回りの見え方が変わります
終わりではありません。控除は確定申告(120 条)で源泉徴収税額として反映させますが、書き漏らしても法定申告期限から 5 年以内なら更正の請求(国税通則法 23 条 1 項)で是正できます。業界裏話ヒント:かつて更正の請求は 1 年でしたが平成 23 年改正で 5 年に延びました。古い解説だけを見て「もう手遅れ」と諦めるケースがあるので、期限は必ず現行法で確認します
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象となる信託 | 180 条の 2 第 1 項:外国信託会社の証券投資信託 | — |
| 規律する場面 | 信託財産の国内源泉所得への外国法人課税の非適用 | — |
| 非適用の要件 | 公社債等が信託財産に属する旨等の帳簿登載(支払日前完了) | — |
| 外国所得税の扱い | 集団投資信託分は加算(gross-up)後に所得税から控除(3・4 項) | — |
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