要点所得税法58条は、一年以上所有した同種の固定資産を交換し同一用途に供する場合、時価差が高い方の20%以内なら譲渡がなかったものとみなし課税を繰り延べる特例である。
Q · 土地と土地を交換したら、現金が動いていなくても税金がかかるの?
非課税ではなく課税の繰延べで、要件と申告記載が必須
所得税法58条により、一年以上所有した同種の固定資産を交換し、取得資産を譲渡直前と同一の用途に供し、時価差が高い方の20%以内であれば、譲渡はなかったものとみなされます。ただし効果は非課税ではなく課税の繰延べで、取得費は引き継がれます。さらに3項により確定申告書への所定の記載が適用の絶対条件であり、記載を落とせば全要件を満たしても適用されません。
父から継いだ田んぼを、隣の農家の田んぼと交換した。金は一円も動いていない。それでも税務署から見れば、あなたは時価で土地を売って、同額で買い直したことになる。含み益が数千万あれば、そこに譲渡所得税がかかる。所得税法 58 条は、その理不尽を止める非常ブレーキだ。土地は土地と、建物は建物と、機械は機械と。互いに一年以上持っていた同じ種類の固定資産を交換し、手に入れた資産を今までと同じ用途に使い続ける。この三条件が揃い、時価の差が高い方の二割以内に収まれば、譲渡はなかったものとみなされる。ただし、条文の三項が牙を隠している。確定申告書にこの特例を使う旨と両資産の価額を書かなければ、要件を全部満たしていても適用されない。書き忘れという事務ミスひとつで、数千万円の課税が現実になる。
所得税法58条は固定資産の交換の特例を定める規定であり、一年以上所有した同種の固定資産を交換し、取得資産を譲渡直前と同一の用途に供した場合において、時価差が高い方の20%以内であれば、譲渡所得(33条)の適用上その譲渡がなかったものとみなす。効果は非課税ではなく課税の繰延べであり、取得資産には譲渡資産の取得費が引き継がれる。
所得税法58条の規定で、一年以上所有した同種の固定資産を交換し同一用途に供する場合、時価差20%以内なら譲渡益への課税を繰り延べる制度です。非課税ではありません。
交換した二つの資産の時価差が、高い方の価額の20%を超えると特例は全面的に不適用になります。差金部分だけでなく全体が通常の譲渡所得課税に戻ります(58条2項)。
使えません。58条は資産の種類ごとに判定します。土地は土地と、建物は建物と交換した場合のみ対象で、土地と建物の交換は特例の枠外です。
所得税基本通達58-6の区分表に照らして判定します。「気持ちの上で同じ使い方」ではなく、宅地・田・畑・鉱泉地などの通達所定の区分で判断されます。
登記簿ではなく実際の取得日から起算し、双方が一年以上所有している必要があります。交換のために取得したと認められる資産は対象外です(58条1項)。
特例の適用を受ける旨、取得資産と譲渡資産の価額、財務省令所定の事項を確定申告書に記載します。記載がなければ要件を満たしても適用されません(58条3項)。
違います。個人は所得税法58条、法人は法人税法50条の交換に伴う圧縮記帳です。適用主体・要件・計算方法が異なるため、法人成りのタイミングで扱いが変わります。
取得資産は譲渡資産の取得費を引き継ぐため、交換前から積み上がった含み益が次の売却時に一括で課税されます。特例は非課税ではなく繰延べだからです。
所得税法 33 条の譲渡所得は、資産を手放したときの値上がり益に課税する仕組みで、対価が現金か物かを問わないためである。交換は「時価で売って時価で買った」と構成される。58 条はその原則に穴を開ける特例だ。業界裏話ヒント:税理士が交換案件で最初に確認するのは時価ではなく、相手方の所有期間と取得経緯である。ここが崩れると他の要件を全部満たしても特例は使えず、案件設計そのものをやり直すことになる。
課税される。一項カッコ書きが「金銭の額及び金銭以外の資産の価額に相当する部分を除く」と明記しており、差金部分には譲渡がなかったとみなす効果は及ばない。さらに二項により、差額が高い方の価額の 20% を超えれば特例自体が全面的に不適用となる。業界裏話ヒント:差金を「別途の精算金」「立退料」などの名目に書き換えても、実質判断で交換差金と認定される。名前ではなく金の流れを見られている。
四項に救済の余地がある。税務署長は、申告書の提出がなかった場合や記載がなかった場合でも、やむを得ない事情があると認めるときは一項を適用できる。ただし「忘れていた」「知らなかった」は通例やむを得ない事情に当たらない。業界裏話ヒント:この宥恕規定は税務署長の裁量であり、争っても勝率は高くない。だから実務家は交換の契約書を作る段階で、申告書の記載までを一つのチェックリストに載せる。契約と申告を別工程だと思っている人が、この条文で落ちる。
五項が政令に委任し、取得資産の取得価額は譲渡資産の取得費を引き継ぐ。つまり交換前から積み上がっていた含み益が、そのまま次の売却時に一括で顕在化する。減価償却資産なら 49 条の償却費計算も引継ぎ後の価額を基礎にする。業界裏話ヒント:交換の翌年に売却する予定があるなら、58 条を使う意味はほとんどない。特例は「持ち続ける人」のための装置であって、出口が近い人には手続コストだけが残る。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 課税の扱い | 58条:一定要件で譲渡がなかったものとみなし課税繰延べ | — |
| 適用の前提 | 同種の固定資産・双方一年以上所有・同一用途・時価差20%以内 | — |
| 取得費の扱い | 譲渡資産の取得費を取得資産に引き継ぐ(38条・施行令168条) | — |
| 手続要件 | 確定申告書への所定記載が必須、欠くと不適用(58条3項) | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。