要点労働施策総合推進法 6 条は、労働時間短縮などの労働条件改善と就業環境整備、離職者への再就職援助を事業主の努力義務と定める。罰則はないが整理解雇の解雇回避努力の評価基準となる。
Q · 努力義務って書いてある条文は、守らなくても本当に何も起きないんですか?
罰則はないが、整理解雇の有効性を争うときの重要な判断材料になる
労働施策総合推進法 6 条は、1 項で労働時間の短縮などの労働条件改善と生活との調和を保った就業環境の整備、2 項で事業規模の縮小等に伴う離職者への求職活動援助・再就職援助を、事業主の努力義務と定めます。違反しても直接の罰則はありません。ただし整理解雇の有効性は労働契約法 16 条の解雇権濫用法理で判断され、その要素である解雇回避努力の水準を評価する際に、本条 2 項が示す再就職援助の実施状況が参照されます。罰則がないことと、法的リスクがないことは別です。
「努めなければならない」で終わる条文を、法律家以外はほぼ読み飛ばす。罰則がないからだ。だがこの第6条は、あなたが会社と揉めたときに効く「静かな尺度」になる。1項は、労働時間短縮や労働条件改善、そして仕事と生活の調和を保ちながら働ける環境の整備を、すべての事業主の責務と定める。2項はさらに具体的で、事業縮小で辞めざるを得なくなる労働者に対し、求職活動の援助や再就職支援を行う責務を課す。ここが鍵だ。会社が「業績が悪いから」と整理解雇を進めるとき、裁判所は解雇権濫用(労働契約法16条)の判断で「解雇回避努力」を必ず見る。その努力の中身を測る物差しの一つが、この6条2項が示す再就職援助の水準である。罰則がないから無意味なのではない。罰則がないぶん、裁判の場で「事業主が守るべき水準」として引用される条文になっている。
労働施策総合推進法第 6 条は、事業主の責務を定める規定である。第 1 項は労働時間の短縮その他の労働条件の改善および生活との調和を保った就業環境の整備を、第 2 項は事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者に対する求職活動の援助その他の再就職の援助を、いずれも努力義務として事業主に課している。
事業主の責務を定める条文です。1 項が労働時間短縮その他の労働条件改善と就業環境の整備、2 項が事業縮小で離職する労働者への求職活動援助・再就職援助を、努力義務として課しています。
本条違反そのものに罰則や過料はありません。ただし労働局による助言・指導の根拠となり、整理解雇や退職勧奨の有効性を民事訴訟で争う際の判断材料として実質的な効力を持ちます。
人員削減の必要性、解雇回避努力、人選の合理性、手続の妥当性の 4 つです。裁判例が労働契約法 16 条の解雇権濫用の判断枠組みとして用い、本条 2 項は解雇回避努力の中身を測る材料になります。
再就職支援会社への委託、求人情報の提供、求職活動のための有給の時間付与、推薦状の交付などです。実施日と内容を文書で残すことで、後の訴訟で解雇回避努力の証拠になります。
都道府県労働局の総合労働相談コーナー(無料)と雇用環境・均等部門が窓口です。あっせん手続の利用も検討できます。求人紹介はハローワークが担当します。
本法 30 条の 2 です。6 条の就業環境整備の責務を、相談窓口設置や事後対応などの具体的措置義務として発展させた規定と位置づけられます。
求職活動支援書です。高年齢者等の雇用の安定等に関する法律 15 条により、45 歳以上 65 歳未満の労働者が解雇等で離職する場合、本人が希望すれば事業主に作成義務が生じます。
両方あります。本法 6 条 1 項は短縮に努める責務(罰則なし)、労働基準法 32 条・36 条の上限規制は罰則付きの義務です。物差しが二つ重なっていると理解してください。
行政が直接罰することはできないが、法的リスクがないわけではない。整理解雇の有効性は労働契約法16条の解雇権濫用法理で判断され、その中で解雇回避努力が問われる。6条2項が求める再就職援助を何もしていない事実は、努力不足の証拠になる。業界裏話ヒント:会社側の弁護士は、人員削減の相談を受けると真っ先に「再就職支援は入れましたか」と聞く。入れていない会社には、訴訟前に慌てて入れさせる。それだけ裁判での重みが違う
断れる。ただし断る前に、支援内容が実質的かを確認したい。形だけの登録で終わる契約もあれば、履歴書添削から面接同行まで含む契約もある。会社が費用を負担している間は使い倒すのが合理的である。業界裏話ヒント:再就職支援サービスの利用実績は、後で解雇の有効性を争うとき「会社は努力した」という会社側の証拠にもなる。争う予定があるなら、利用する場合でも「解雇に同意したわけではない」と書面で明示しておく
本条単独での損害賠償請求は難しい。ただし長時間労働で健康を害した場合、会社の安全配慮義務違反(労働契約法5条)に基づく損害賠償請求が可能で、その注意義務の水準を論じる際に6条1項の趣旨が援用される。業界裏話ヒント:労働基準監督署は労働基準法違反しか是正指導できないが、都道府県労働局の雇用環境・均等部門は本法に基づく助言・指導ができる。相談先を使い分けると、監督署では動かない案件が動くことがある
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|---|---|---|
| 義務の強度 | 6 条:努力義務(罰則なし、民事・行政指導で作用) | — |
| 発動する場面 | 平時の労働条件改善+事業縮小に伴う離職の場面 | — |
| 守らなかったときの効果 | 整理解雇の有効性判断で解雇回避努力の不足として不利に働く | — |
| 実務での使いどころ | 退職勧奨・整理解雇の交渉と訴訟における証拠設計 | — |
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