要点男女雇用機会均等法 11 条の 2 は、性的言動問題について国・事業主・法人の役員・労働者の四者に責務を定める。努力義務だが、訴訟では会社の落ち度を測る水準として参照される。
Q · セクハラの責務規定って努力義務なんですよね。守らなかったら何か起きるんですか?
罰則はないが、賠償額を左右する水準線になります
男女雇用機会均等法 11 条の 2 は、国・事業主・法人の役員・労働者の四者に性的言動問題への責務を課す規定で、いずれも努力義務です。行政罰はなく、勧告不服従時の企業名公表(同法 30 条)の対象にも本条は挙がっていません。ただし訴訟では、本条と厚生労働大臣指針が示す水準が、同法 11 条 1 項の措置義務違反や労働契約法 5 条の安全配慮義務違反、民法 715 条の使用者責任を判断する材料として参照されます。特に第 3 項は法人の役員自身を名指ししており、研修の実施記録や役員の関与の有無が、賠償額と役員個人の責任追及の分かれ目になります。
セクハラ対策は総務と人事の仕事だ、と思われている。だが均等法 11 条の 2 は、責務を負う主体を四つに分けて名指ししている。国、事業主、そして「事業主が法人である場合にあつては、その役員」、さらに労働者本人だ。第 3 項が効く。社長や取締役は、部下に研修を受けさせる側であると同時に、自ら言動に必要な注意を払う当事者として条文に書き込まれている。第 4 項では、あなた自身も、他の労働者への言動に注意を払い、会社の措置に協力する責務を負う。これらはすべて努力義務で、違反しても罰則はない。だがハラスメント訴訟になったとき、研修をしていたか、役員が率先していたか、この条文が描く水準が、会社の落ち度を測る物差しとして持ち出される。罰則のない条文が、賠償額を動かす。
男女雇用機会均等法 11 条の 2 は、職場における性的な言動に起因する問題(性的言動問題)に関する責務規定である。国には広報・啓発活動、事業主には労働者の関心と理解を深めるための研修等の配慮、法人の役員には自らの言動への注意、労働者には他の労働者への言動への注意と事業主の措置への協力を、それぞれ努力義務として定める。
職場のセクハラ(性的言動問題)について、国・事業主・法人の役員・労働者の四者にそれぞれ責務を定めた条文です。令和元年改正で新設され、令和 2 年 6 月 1 日から施行されています。
均等法 11 条 1 項が定める、性的な言動により労働者が不利益を受けたり就業環境が害されたりする問題を指す条文上の用語です。11 条の 2 第 1 項がこの略称を定義しています。
11 条の 2 第 3 項は法人の役員自身に注意義務を課しています。役員が行為者の場合、社内相談窓口が構造的に機能しない事実が、11 条 1 項の措置義務違反や会社の使用者責任を裏付ける材料になります。
指針は他社の労働者や顧客も行為者になり得るとしており、11 条の 2 第 2 項の「必要な配慮」もそこまで及びます。相談があった場合に事実確認と再発防止を行う体制が求められます。
11 条の 2 第 4 項は労働者自身にも言動への注意を払う責務を課しています。会社が研修を実施し受講記録が残っている場合、「知らなかった」という弁解は懲戒手続で通りにくくなります。
できます。均等法 17 条の紛争解決の援助、18 条の調停は、社内手続を尽くさなくても都道府県労働局へ直接申し立てられます。ただし対象は 11 条 1 項の措置義務であり、責務規定単独では土俵に乗りにくい点に注意が必要です。
不法行為構成なら損害および加害者を知った時から 3 年(人の生命または身体を害する場合は 5 年、民法 724 条、724 条の 2)、安全配慮義務違反構成なら権利を行使できる時から 5 年(民法 166 条 1 項 1 号)です。
求職者は「雇用する労働者」ではないため、従来 11 条 1 項の措置義務の射程外とされてきました。本条の啓発責務と指針は採用担当者の言動にも水準を及ぼしますが、最新の改正状況をご確認ください。
行政罰はなく、勧告に従わない場合の企業名公表(均等法 30 条)の対象条文にも本条は挙がっていない。ただし訴訟では、本条と指針が示す水準が会社の安全配慮義務(労働契約法 5 条)を測る基準として使われる。業界裏話ヒント:会社側の代理人が最初に取り寄せる資料は、研修の実施記録と受講率だ。そこが空白の会社は、事実関係を争う前に和解方針へ切り替える
社内窓口が機能しない前提で動くのが実務だ。均等法 17 条の紛争解決援助と 18 条の調停は、社内手続を尽くさなくても都道府県労働局へ直接申し立てられる。ただし対象事項は 11 条 1 項の措置義務であり、責務規定単独では土俵に乗りにくい。業界裏話ヒント:申立書に「役員自身が行為者であり社内窓口が実質機能しない」と一行書くだけで、窓口の実効性そのものが措置義務違反の争点に変わる
本条 2 項の研修は「必要な配慮」の例示であり、実施していないこと単独では違法とまでは言えない。だが 11 条 1 項の措置義務は法的義務で、指針は周知・啓発を講ずべき措置に挙げている。研修ゼロは措置義務違反の有力な証拠になる。業界裏話ヒント:労働局の是正指導が入ると、多くの会社は数か月で研修を導入する。その導入時期が相談時期の直後だと、導入記録自体が「それまで何もしていなかった」証明として残る
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 義務の性質 | 均等法 11 条の 2:責務規定(努力義務、罰則なし) | — |
| 名指しされる主体 | 国・事業主・法人の役員・労働者の四者 | — |
| 行政の是正手段 | 報告徴収・助言指導(29 条)の実務運用にとどまり、30 条の企業名公表の対象外 | — |
| 民事訴訟での使われ方 | 安全配慮義務(労働契約法 5 条)の内容を測る水準線として参照される | — |
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