要点均等法 11 条の 3 は、妊娠・出産等に関する言動による就業環境の悪化を防ぐため、事業主に相談体制の整備等の措置義務を課す。相談した労働者への不利益取扱いも 2 項で禁止される。
Q · マタハラを受けたら、均等法 11 条の 3 で会社を訴えられますか?
訴訟の根拠ではなく、会社に体制整備を課す規定です
均等法 11 条の 3 は損害賠償請求権の根拠ではなく、事業主に相談体制の整備等の措置義務を課す行政取締規定です。金銭賠償を求める場合は民法 709 条・715 条や労働契約法 5 条に接続させ、11 条の 3 違反は「会社が義務を怠っていた」土台として用います。会社が動かない場合は都道府県労働局の雇用環境・均等部へ、17 条の助言・指導または 18 条の調停を申し立てられます。相談を理由とする不利益取扱いは 2 項で禁止されています。
「おめでとう。でも人手が足りないから、いつまで働けるか早めに決めておいてね」。この一言が法的にセーフかアウトかを分ける線が、均等法 11 条の 3 にある。多くの人は「マタハラは訴えるもの」と考えるが、この条文が命じているのは損害賠償ではない。事業主に対し、方針を周知し、相談窓口を置き、実際に事実確認まで走れる体制を整えろという「措置義務」である。ここが決定的だ。あなたが会社に「11 条の 3 の措置義務が果たされていない」と伝えれば、それは個人の主観的な不快感の訴えから、法令上の義務不履行の指摘へと性質が変わる。しかも 2020 年 6 月から、相談したこと自体を理由に配置や評価を下げることまで法律本文で禁じられた(2 項、11 条 2 項の準用)。相談した瞬間、あなたの手には盾が二枚ある。
男女雇用機会均等法 11 条の 3 は、妊娠したこと、出産したこと、労働基準法 65 条の産前産後休業を請求し又は取得したことその他厚生労働省令で定める事由に関する言動により、女性労働者の就業環境が害されることのないよう、事業主に対し相談対応体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講ずる義務を課す規定である。私法上の請求権ではなく、行政上の措置義務を定める。
AI 輔助整理,以條文原文為準
妊娠・出産・産前産後休業の取得等に関する言動により、女性労働者の就業環境が害されることをいいます。均等法 11 条の 3 が事業主に防止措置義務を課しています。
指針(平成 28 年厚生労働省告示 312 号)が、方針の明確化と周知啓発、相談体制の整備、事後の迅速かつ適切な対応、原因・背景要因の解消の 4 本柱に、プライバシー保護等の付随措置を求めています。
労働局長の助言・指導・勧告(29 条・17 条)の対象となり、勧告に従わない場合は 30 条により企業名が公表されます。報告徴収の拒否や虚偽報告は 33 条の過料 20 万円以下です。
守られません。11 条の 3 の対象は女性労働者の妊娠・出産等に関する言動です。育児休業等のハラスメントは育児介護休業法 25 条が別途措置義務を定め、男性労働者も対象になります。
派遣元と派遣先の双方です。労働者派遣法 47 条の 2 により、派遣先も 11 条の 3 の措置義務を自ら負う当事者とみなされます。「先方のこと」という説明は通用しません。
業務上の必要性に基づく言動は原則として該当しません。ただし分岐点は本人の意向を確認したかどうかであり、意向確認を欠いた一方的な業務外しは必要性を主張しても該当しうります。
あります。パワハラ防止措置には中小企業の猶予期間がありましたが、均等法 11 条の 3 の措置義務に企業規模による例外は当初から存在しません。従業員数にかかわらず対象です。
本条自体に期限はありませんが、在職中が最も効きます。退職後は 17 条の助言・指導で会社を動かす実効性が落ち、事実上は損害賠償訴訟の一本道になります。有期契約なら次の更新日が実質のリミットです。
11 条の 3 は事業主に対する措置義務なので、この条文で上司個人を直接追及することはできません。上司個人には民法 709 条、会社には 715 条の使用者責任と職場環境配慮義務違反を組み合わせます。業界裏話ヒント:実務では上司個人と会社を共同被告にするのが定石です。会社だけを相手にすると「個人の逸脱行為」と切り離す反論を受け、個人だけだと資力が足りない。両方に請求してはじめて、和解の席に決裁権者が出てくる
都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。均等法 17 条の紛争解決援助(局長の助言・指導・勧告)と 18 条の調停(機会均等調停会議)が使え、どちらも無料・非公開です。業界裏話ヒント:申し出るときに「11 条の 3 の措置義務が履行されていない」と条番号で伝えると担当者の初動が変わります。個人的なもめごと相談ではなく、企業の法令違反案件として記録に乗るからです
降格や不利益な配置転換は 11 条の 3 ではなく均等法 9 条 3 項(妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止)の問題です。最判平成 26.10.23(広島中央保健生協事件)は、妊娠を契機とする降格を原則違法とし、例外は本人の自由な意思による承諾など極めて限定的だと示しました。業界裏話ヒント:会社は必ず「本人が同意した」と主張してきます。同意書を差し出されたらその場でサインせず持ち帰る。最高裁が求める「自由な意思」の水準は、口頭説明だけでは満たされません
相談したことを理由とする不利益取扱いは 2 項(11 条 2 項の準用)で禁止されており、雇止めもそこに含まれます。有期契約かどうかで均等法の適用に差はありません。業界裏話ヒント:更新拒否の理由は後から作られます。だから相談した日と会社の反応を時系列でメールに残す。相談から雇止めまでの期間が短いほど、労働局も裁判所も因果関係を推認しやすくなる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規制の対象 | 均等法 11 条の 3:職場に流れる言動・空気(措置義務) | — |
| 保護される人 | 妊娠・出産等をした女性労働者(正規・非正規を問わない) | — |
| 違反の効果 | 行政指導・勧告、従わなければ 30 条の企業名公表。請求権にはならない | — |
| 射程外の受け皿 | 男性の育休関連は育介法 25 条、不妊治療関連はパワハラ防止(労働施策総合推進法 30 条の 2) | — |
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