要点男女雇用機会均等法 11 条の 4 は、マタハラについて国・事業主・法人の役員・労働者の四者に責務を定める規定。事業主には研修実施の努力義務が課され、罰則はないが民事責任の判断材料となる。
Q · マタハラって、結局は会社が対応すべき問題ですよね? 個人にも責任があるんですか?
会社だけでなく、法人の役員個人と労働者一人ひとりにも責務がある
男女雇用機会均等法 11 条の 4 は、責務を四層に分けています。第 1 項が国の広報・啓発、第 2 項が事業主の研修実施その他の必要な配慮、第 3 項が法人である場合の役員自身の注意、第 4 項が労働者個人の注意です。いずれも努力義務であり本条に罰則はありません。ただし事業主には 11 条の 3 で措置義務(罰則ではないが労働局の助言・指導・勧告および企業名公表の対象)が別途課され、本条の責務は民事裁判で安全配慮義務(労働契約法 5 条)や不法行為(民法 709 条)の注意義務の内容を埋める材料として機能します。
「前条第一項に規定する言動を行つてはならない」。この一文が条文上どこに向けられているか、確認したことはあるだろうか。均等法 11 条の 4 は、マタハラを会社の管理問題から引きずり出し、責務を四方向に割り振っている。国は広報と啓発、事業主は研修の実施、そして第 3 項は法人の役員本人に、第 4 項は労働者一人ひとりに、自分の言動へ注意を払う責務を課す。「うちの人事の仕事でしょ」で終わる話ではなく、隣の席のあなたも名指しされている。ここが実務で効く。加害者とされた側が「そんなつもりはなかった」と言っても、法律は全労働者に注意義務の存在をすでに宣言している。逆に被害を受けた側は、会社が研修を一度もしていない事実を突けば、措置義務違反(11 条の 3)と合わせて交渉材料が二本になる。努力義務だから罰則はない。だが罰則がないことと、裁判で証拠として使えないことは、まったく別の話である。
男女雇用機会均等法 11 条の 4 は、妊娠・出産等関係言動問題に関する責務規定である。国には広報活動・啓発活動その他の措置、事業主には労働者への研修の実施その他の必要な配慮、法人の役員自身および労働者個人には他の労働者に対する言動への注意を、それぞれ努力義務として定める。本条に罰則は置かれていない。
妊娠・出産等関係言動問題について、国の啓発、事業主の研修実施、法人役員自身の注意、労働者個人の注意という四層の責務を定める規定です。2019 年改正で新設され、2020 年 6 月 1 日に施行されました。
本条は努力義務のため単独では違法認定の基準になりません。就業環境が害される程度に至れば 11 条の 3 の措置義務の対象となり、不利益な配置転換や降格に及べば 9 条の不利益取扱い禁止違反となります。
発言の日時・内容・同席者を当日中にメモし、可能なら社内チャットやメールで文字に残します。あわせて会社のハラスメント研修の実施記録の有無を書面で照会すると、11 条の 4 第 2 項の配慮不足を示す材料になります。
本条自体に時効はありません。不法行為による賠償請求は損害と加害者を知った時から 3 年(生命・身体の侵害は 5 年)、行為時から 20 年。会社への安全配慮義務違反は権利行使できると知った時から 5 年です。
都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へ相談します。相談は均等法 29 条の報告徴収や紛争解決援助につながり、窓口不設置そのものが 11 条の 3 の措置義務違反を示す事情になります。
派遣先も労働者派遣法により均等法のハラスメント関係規定の適用を受け、派遣先の社員は 11 条の 4 第 4 項の「労働者」に含まれます。派遣元・派遣先の双方に対応を求められる構造です。
あります。育児・介護休業法 25 条の 2 が均等法 11 条の 4 とほぼ同一構造の責務規定を置いており、育休を申し出た男性社員への言動も同じ設計図の上で評価されます。
本条違反を単独の請求根拠にするのは困難です。実務では民法 709 条の不法行為または労働契約法 5 条の安全配慮義務違反を根拠とし、本条の責務を注意義務の内容を具体化する材料として援用します。
本条自体に罰則はない。ただし 11 条の 3 の措置義務は別で、違反すれば都道府県労働局から助言・指導・勧告を受け、勧告に従わなければ企業名公表もありうる(均等法 29 条、30 条)。業界裏話ヒント:労働局はいきなり措置義務違反を突いてこない。まず「研修は何回やりましたか」と本条第 2 項の話から入る。ここで答えられない会社は、その後の調査でほぼ確実に崩れる
一言だけで直ちに違法とは限らない。ただし就業環境が害される程度に至れば 11 条の 3 の措置義務の対象となり、繰り返されれば民法 709 条の不法行為も成立しうる。業界裏話ヒント:判断の分かれ目は回数より、あなたが不快だと伝えた後に止まったかどうかである。伝えた日時をメモに残しておくだけで、その後の同じ一言の法的な意味が変わる
第 3 項が法人の役員自身を名指ししている点が効く。社内窓口が機能しないなら都道府県労働局雇用環境・均等部(室)への相談で、均等法 29 条の報告徴収につながりうる。業界裏話ヒント:労働局への相談は情報として蓄積される。同じ会社に複数件たまると調査の優先度が上がるので、一人で抱えて諦めるより一件でも記録を残す方が効く
回数の法定はない。第 2 項は「研修の実施その他の必要な配慮」を努力義務としているだけで、指針も具体的な頻度を定めていない。業界裏話ヒント:紛争になったとき労働局や裁判所が見るのは回数ではなく、管理職層まで届いているかと、実施記録が残っているかである。年 1 回でも受講者名簿と資料が保存されている会社は強く、年 4 回でも記録のない会社は弱い
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 義務の性質 | 11 条の 4:努力義務(責務規定) | — |
| 名宛人 | 国、事業主、法人の役員本人、労働者個人の四者 | — |
| 行政のサンクション | なし(本条自体には制裁が用意されていない) | — |
| 民事裁判での使われ方 | 安全配慮義務・注意義務の内容を埋める補強材料 | — |
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