要点雇用保険法 60 条の 5 は、偽りその他不正の行為で教育訓練給付を受け、又は受けようとした者に、その日以後の給付を行わないと定める。やむを得ない理由があれば一部支給も可能。
Q · 教育訓練給付の不正受給って、お金を返せばそれで終わりですか?
返還だけでは終わらず、以後の教育訓練給付も止まります
雇用保険法 60 条の 5 により、偽りその他不正の行為で教育訓練給付を受け、又は受けようとした者は、その日以後、教育訓練給付を支給されません。返還命令(同法 10 条の 4)とは別のレールで走る制裁です。ただし 1 項ただし書の「やむを得ない理由」があれば全部又は一部が支給され、2 項により新たに受給資格を得たときは再び支給されます。3 項・4 項は、支給されなかった給付を 60 条の 2 第 2 項や 14 条 2 項等の適用上「支給があったものとみなす」と定めています。
リスキリングブームでオンライン講座に申し込み、ハローワークに教育訓練給付の支給申請をする。そのとき「実際は通っていないのに修了扱いにしてもらった」「受講費用の領収書を水増しした」という一線を越えると、雇用保険法 60 条の 5 が起動する。この条文が怖いのは、返還を求めるだけの規定ではないという点にある。不正をした日以後、あなたは教育訓練給付そのものを受け取る資格を失う。しかも 1 項は「受けようとした者」も含む。つまり金を一円も受け取っていなくても、申請書を出した時点で制裁は成立しうる。ただし逃げ道は条文の中に書いてある。1 項ただし書の「やむを得ない理由」と、2 項の復活規定である。2 項は、制限を受けた者が新たに受給資格を得た場合には支給すると定める。一生の永久追放ではない、そこが分かれ目だ。さらに 3 項・4 項は、支給されなくなった給付を「支給があったものとみなす」と定める。制裁を受けた側にとってこれは追い打ちである。もらっていないのに、もらったことにされる回数制限が走る。
雇用保険法 60 条の 5 は、教育訓練給付に係る不正受給者に対する給付制限を定める規定である。偽りその他不正の行為により支給を受け、又は受けようとした日以後、教育訓練給付は支給されない。やむを得ない理由がある場合の例外、新たな受給資格取得による支給の復活、及び支給されなかった給付を支給があったものとみなす擬制を併せて規定する。
雇用保険法 60 条の 5 により、その日以後の教育訓練給付が支給されなくなります。10 条の 4 の返還命令とは別に走る制裁で、返還しても給付資格は自動的には戻りません。
雇用保険法 10 条の 4 により、受給した額の返還に加え、その額の 2 倍以下の納付を命じられることがあります。合計で受給額の最大 3 倍相当の負担となる場合があります。
期間の定めはありません。2 項により、新たに教育訓練給付の支給を受けることができる者となった時点で解除されます。再就職して被保険者期間を積み直すことが実質的な条件です。
申請名義人として給付制限を受ける立場になります。ただし施設が偽りの届出・証明をした場合、10 条の 4 第 2 項により施設が連帯して返還義務を負う構造です。指示の記録を保存してください。
雇用保険法 74 条により返還請求権の消滅時効は 2 年とされています。ただし起算点や時効の完成猶予・更新の扱いは事案により異なるため、個別に確認が必要です。
1 項は「教育訓練給付」全体を対象とします。3 項は教育訓練給付金について 60 条の 2 第 2 項、4 項は教育訓練休暇給付金について 14 条 2 項・22 条 3 項の適用上のみなし規定を置いています。
雇用保険審査官への審査請求ができます。期限は処分を知った日の翌日から 3 か月以内(雇用保険法 69 条、行政不服審査法 18 条)。処分通知末尾の教示欄を最初に確認してください。
60 条の 5 自体は行政上の給付制限規定ですが、態様によっては刑法の詐欺罪に問われる可能性があります。行政処分・返還命令・刑事責任は別の枠組みで並行します。
1 項の要件は「偽りその他不正の行為」であり、単純な誤記や事実誤認は原則として含まれない。問題は、行政側が調査でどう評価するかである。業界裏話ヒント:故意を否定したいなら、指摘を受けてから訂正するのではなく、気付いた時点で自分から申し出た記録を残すこと。自主的な申出の有無は、故意の評価でも 1 項ただし書の「やむを得ない理由」の評価でも効いてくる
使える場合がある。2 項は、制限を受けた者が新たに教育訓練給付の支給を受けることができる者となったときは、1 項にかかわらず支給すると定める。永久追放ではない。業界裏話ヒント:この 2 項の存在を知らずに「もう終わりだ」と諦める人は少なくない。再就職して被保険者期間を積み直せば再び資格が立ち上がる設計であり、諦める前にハローワークで受給資格の再取得要件を確認する価値がある
3 項は教育訓練給付金について 60 条の 2 2 項の適用上、4 項は教育訓練休暇給付金について 14 条 2 項・22 条 3 項の適用上、支給があったものとみなす。次回申請までの間隔や被保険者期間の算定で、受け取っていない給付が受け取った扱いになる。業界裏話ヒント:返還額の交渉に気を取られていると、この条項の影響は処分通知の文面から読み取りにくい。次にいつ申請できるのかを、処分の段階でハローワークに具体的に確認しておく
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 制裁の内容 | 60 条の 5:以後の教育訓練給付を支給しない(給付制限) | — |
| 対象となる給付 | 教育訓練給付(教育訓練給付金・教育訓練休暇給付金) | — |
| 解除・回復の道 | 2 項:新たに受給資格を得たときに支給が復活 | — |
| 受けなかった給付の扱い | 3 項・4 項:支給があったものとみなす(回数・期間の算定に影響) | — |
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