雇用安定事業及び能力開発事業は、被保険者等の職業の安定を図るため、労働生産性の向上に資するものとなるよう留意しつつ、行われるものとする。
要点雇用保険法 64 条の 2 は、雇用安定事業と能力開発事業を、被保険者等の職業の安定を図るため労働生産性の向上に資するよう留意しつつ行うと定める。平成 29 年改正で新設された留意規定。
Q · 毎月の給与から引かれている雇用保険料は、会社がもらう助成金に使われているの?
使われていません。二事業の財源は事業主だけが払う保険料です
雇用安定事業と能力開発事業(雇用保険二事業)の財源は、事業主のみが上乗せで負担する二事業分の保険料であり、労働者が給与から引かれる分は失業等給付などに充てられます。雇用保険法 64 条の 2 は、その事業主拠出を原資とする二事業について、被保険者等の職業の安定を図るため、労働生産性の向上に資するものとなるよう留意しつつ行うことを国に求める規定です。平成 29 年(2017 年)改正で新設され、以後の雇用関係助成金に生産性を評価する仕組みが広がる政策的な起点となりました。
毎月の給与明細から引かれている雇用保険料。あの中の一円も、企業が受け取る助成金には回っていない。雇用安定事業と能力開発事業、いわゆる雇用保険二事業の財源は、事業主だけが上乗せで負担する保険料(一般の事業で 0.35% 前後。最新の料率はご確認いただきたい)で賄われている。64 条の 2 は、その事業主の金の使い道に一本の線を引いた条文である。被保険者等の職業の安定という本来目的はそのままに、「労働生産性の向上に資するものとなるよう留意しつつ」行えと国に命じている。抽象的なお題目に見えるだろうか。実際には、この一文が助成金の設計思想そのものを動かしてきた。ただ雇用を維持した企業と、生産性を上げた企業とで支給額に差をつける仕組み。あなたが支給要領で見かける割増の要件は、ここから降りてきている。
雇用保険法 64 条の 2 は、雇用安定事業及び能力開発事業(同法 62 条、63 条)の実施方針を定める規定である。両事業は被保険者等の職業の安定を図ることを目的とするが、その遂行にあたり労働生産性の向上に資するものとなるよう留意すべきことを国に求める。名宛人は国であり、事業主に直接の義務を課すものではない。
雇用安定事業(雇用保険法 62 条)と能力開発事業(同 63 条)の総称です。失業した人に給付する失業等給付とは別枠で、雇用の維持・創出や職業訓練を支える事業群を指します。
事業主のみが負担する二事業分の保険料です。労働者が給与から引かれる保険料は失業等給付等に充てられ、二事業には原則として国庫負担も入りません。
失業等給付等の分は労使が分担しますが、二事業の分は事業主だけが上乗せで負担します。この二層構造が、助成金の財源が事業主拠出である理由です。料率は年度ごとに改定されます。
一定期間の労働生産性の伸びを評価し、支給額を割り増す仕組みです。64 条の 2 の留意規定が政策的な起点とされます。ただし要件の設計は近年見直されており、最新の支給要領での確認が必要です。
平成 29 年(2017 年)の雇用保険法等改正で新設されました。それ以前の二事業には「労働生産性の向上に資するよう留意する」という明文の方針規定はありませんでした。
困難です。本条は国を名宛人とする方針規定で、事業主や労働者に具体的な請求権を与えるものではありません。効き目は法廷ではなく、省令・支給要領・予算査定の場面に現れます。
法律上の根拠は雇用保険法 62 条の雇用安定事業で、具体的な支給要件は雇用保険法施行規則に委任されています。64 条の 2 は、その設計時に国が留意すべき方針を示す上流の規定です。
公共職業訓練の実施や、事業主が行う職業訓練への助成、職業能力検定の推進などが含まれます(雇用保険法 63 条)。人材開発支援助成金はこの事業を財源とする代表例です。
雇用安定事業・能力開発事業(雇用保険法 62 条、63 条)は完全な申請主義で、国から声がかかる制度ではありません。財源は事業主負担分の保険料ですが、配り方は各助成金の支給要領で決まります。業界裏話ヒント:厚生労働省は年度替わりに雇用関係助成金の要件と予算枠を組み替えます。年度初めに要領を自分で確認する会社と、同業の噂で動く会社とで、受給率には目に見える差が出ます
名宛人は国であり、事業主に義務を課す規定ではないので、裁判で直接争う場面はほぼありません。ただしこの一文が入って以降、多くの雇用関係助成金に生産性を見る割増要件が組み込まれてきました(割増要件の設計は近年見直されており、最新の改正状況をご確認ください)。業界裏話ヒント:制度変更の前触れはまず法律の留意規定に現れ、一、二年遅れて省令と支給要領に降りてきます
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 雇用保険法 64 条の 2:二事業の実施方針(生産性向上への留意)を定める上流規定 | — |
| 名宛人 | 国(政府)。事業主に義務を課さない | — |
| 典型的な助成金 | 個別の助成金はない。各助成金の設計思想として作用 | — |
| 実務上の使いどころ | 要件が改正されたとき「なぜ変わったか」を読み解く座標軸 | — |
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