要点雇用保険法 68 条は、政府が徴収する保険料を、失業等給付・就職支援法事業、育児休業給付、雇用二事業の三つに区分して充てると定める。二事業分は事業主のみが負担する。
Q · 給料から引かれている雇用保険料は、結局どこに使われているの?
失業給付だけでなく、育休給付と企業向け助成金にも分かれて使われます
雇用保険法 68 条 2 項は、政府が徴収した保険料の使途を三つに区分しています。第一に、一般保険料徴収額から育児休業給付率分と二事業率分を控除した額と印紙保険料相当額が失業等給付および就職支援法事業へ。第二に、育児休業給付率を乗じた額が育児休業給付へ。第三に、二事業率を乗じた額が雇用安定事業および能力開発事業(63 条に規定するものに限る)へ充てられます。労働者が給与から控除されるのは前二者に対応する部分であり、雇用調整助成金などの原資となる二事業率分は事業主のみが負担します(負担区分は労働保険の保険料の徴収等に関する法律 31 条)。
給与明細の控除欄にある「雇用保険」の数百円から数千円。その金が何に使われるかを決めているのが、この条文の第2項である。政府が集めた保険料は、入った瞬間に三つの財布へ機械的に振り分けられる。失業等給付と就職支援法事業(求職者支援制度)、育児休業給付、そして雇用安定事業・能力開発事業(いわゆる二事業)。ここで多くの人が知らない事実がある。あなたの給与から天引きされているのは、原則として前二者に対応する分だけだ。二事業率に対応する分、つまり雇用調整助成金やキャリアアップ助成金といった事業主向け助成金の原資は、事業主だけが払っている(負担区分の根拠は労働保険の保険料の徴収等に関する法律 31条、料率は同 12条)。この三分割を知っているかどうかで、助成金の話が出たときも、労使協議の場でも、あなたが立てる問いが変わる。
雇用保険法 68 条は、雇用保険事業の費用に充てるため政府が徴収する保険料の徴収根拠を徴収法に委ね、その使途を三区分する規定である。一般保険料徴収額から育児休業給付率分と二事業率分を控除した額と印紙保険料相当額は失業等給付および就職支援法事業に、育児休業給付率分は育児休業給付に、二事業率分は雇用安定事業および能力開発事業に充てられる。
雇用保険率のうち、雇用安定事業と能力開発事業に充てる部分の率です。この分の保険料は事業主のみが負担し、労働者の給与からは控除されません。
折半されるのは失業等給付・育児休業給付に対応する部分だけです。二事業率分は全額事業主負担のため、総額では事業主の負担が労働者より重くなります。
原則として年度単位で見直されます。基本の率は徴収法 12 条が定めますが、積立金の水準に応じた弾力条項により、法改正なしに告示で改定されることがあります。
原則として毎年 6 月 1 日から 7 月 10 日までです。この期間に前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を申告・納付します。徒過すると認定決定と追徴金の対象になります。
日雇労働被保険者について、手帳に雇用保険印紙を貼付して納める保険料です。68 条 2 項により、失業等給付および就職支援法事業の財源に組み込まれています。
就職支援法事業として、雇用保険料の失業等給付側の区分と国庫負担から支出されます。雇用保険の被保険者でない特定求職者への給付を、被保険者の保険料が支える構造です。
還付を受ける権利は 2 年で時効消滅します(徴収法 41 条)。年度更新時の確定精算で調整するのが実務上の基本で、放置すると請求できなくなります。
保険料とは別に、雇用保険法 66 条が国庫負担を定めています。負担割合は暫定措置による引下げや復元が繰り返されているため、当該年度の規定を確認する必要があります。
使われています。68 条 2 項は保険料を三つの使途に振り分けており、失業等給付と就職支援法事業、育児休業給付、雇用安定事業・能力開発事業がそれぞれ別の財源として扱われます。教育訓練給付や育児休業給付も同じ保険料が原資です。業界裏話ヒント:労働者が天引きされているのは前二者に対応する分だけで、企業向け助成金の原資である二事業分は事業主のみの負担です。この区別を知らずに「自分の保険料が助成金に消えている」と主張すると、交渉の場で一気に説得力を失います
原則として出ていません。雇用調整助成金は雇用安定事業(雇用保険法 62 条)に属し、その財源は二事業率に対応する保険料、つまり事業主のみが負担する部分です。業界裏話ヒント:ただしコロナ禍で二事業の積立金が枯渇し、失業等給付側の積立金から借り入れる特例が法附則で設けられました。68 条の三分割は平時の建前で、危機時には融通される。だからこそ労働政策審議会では、労働者側委員が二事業の支出を厳しく監視しています
令和 2 年(2020 年)の改正で育児休業給付が失業等給付から独立し、68 条 2 項に育児休業給付率が明記されました。財源が別勘定になったため、育休取得の増加が失業手当の財政を直接圧迫しなくなっています。業界裏話ヒント:分離は給付を守る仕組みであると同時に、育休給付だけを狙って料率を上げやすくする仕組みでもあります。将来の育休給付拡充の議論では、原資がどの率から出るかを見れば、誰の負担で拡充されるのかが読めます
基本の率は徴収法 12 条が定めますが、積立金の水準に応じて厚生労働大臣が一定幅で変更できる弾力条項があり、実際の改定は告示で行われます。だから毎年度の料率は法改正なしに動くことがあります。業界裏話ヒント:保険料は租税ではありませんが、賦課の基準が法律で定まっているべきだという憲法 84 条の趣旨は及ぶ、というのが最高裁の考え方です(最大判平成 18.3.1、国民健康保険料に関する判断)。料率の決め方が争える論点であることを知っている実務家は多くありません
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 財源の性質 | 68 条:保険料(一般保険料・印紙保険料)を三つの使途に区分 | — |
| 負担者 | 労働者と事業主(ただし二事業率分は事業主のみ) | — |
| 決まり方 | 使途の区分は法律が固定、率は徴収法 12 条と弾力条項による告示 | — |
| 受益者 | 失業者・育休取得者・事業主に分かれる | — |
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