雇用保険法 第71条(審査請求と訴訟との関係)
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第六十九条第一項に規定する処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する雇用保険審査官の決定を経た後でなければ、提起することができない。
この条文の基本情報
審査請求と訴訟との関係とは何ですか?
定義審査請求と訴訟との関係とは、雇用保険法第71条に定められた規定で、「第六十九条第一項に規定する処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する雇用保険審査官の決定を経た後でなければ、提起することができない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 雇用保険法第71条(審査請求と訴訟との関係)は、日本の雇用保険法に含まれる条文です。
- 雇用保険法第71条の条文原文は「第六十九条第一項に規定する処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する雇用保険審査官の決定を経た後でなければ、提起することができない。」で始まります。
- 雇用保険法第71条は第六章 不服申立て及び訴訟に置かれています。
- 雇用保険法の公布日は昭和49年12月28日です。
- 雇用保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 雇用保険法第71条の前の条は雇用保険法第70条です。
- 雇用保険法第71条の次の条は雇用保険法第72条です。
- 雇用保険法第71条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第71条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116 - 本サイト収録
雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第71条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/349AC0000000116/71
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点雇用保険法71条は、69条1項の処分の取消訴訟を提起する前に、雇用保険審査官の審査請求の決定を経ることを求める審査請求前置の規定である。
Q · 失業給付の不支給決定に納得できないとき、いきなり裁判所に訴えられますか?
まず雇用保険審査官への審査請求が必要。直接の提訴はできない
できません。雇用保険法71条は、同法69条1項の処分(被保険者資格の確認、失業等給付や育児休業給付に関する処分、不正受給の返還命令など)の取消訴訟は、雇用保険審査官の決定を経た後でなければ提起できないと定めています(審査請求前置)。2016年4月施行の改正前は労働保険審査会の裁決まで必要な二重前置でしたが、現在は審査官の決定だけで足ります。また審査請求から3か月を経過しても決定がないときは、棄却されたものとみなして提訴できます(同法69条2項)。
解説
ハローワークから基本手当の不支給決定が届いた。納得できないから裁判所に訴える、その道はいきなりは開かない。雇用保険法71条は、69条1項の処分(被保険者資格の確認、失業等給付や育児休業給付に関する処分、不正受給の返還命令など)を裁判で取り消すには、まず雇用保険審査官への審査請求を通し、その決定を受け取った後でなければ訴えを提起できないと定める。いわゆる審査請求前置である。ここであなたが握っておくべき事実が二つある。第一に、2016年4月施行の改正前は労働保険審査会の裁決まで必要な二重前置だったが、今は審査官の決定だけで足りる。古い解説どおりに再審査請求の裁決を待っていると、必要のない半年以上を溶かす。第二に、審査請求から3か月経っても決定が出なければ、棄却されたものとみなして訴訟へ進める(69条2項)。審査官の沈黙は、あなたを足止めする理由にはならない。
法的な位置づけ
雇用保険法71条は審査請求前置を定める規定であり、同法69条1項の処分(被保険者資格の確認、失業等給付・育児休業給付に関する処分、不正受給の返還命令等)の取消訴訟は、雇用保険審査官の決定を経た後でなければ提起できないとする。行政事件訴訟法8条が原則とする自由選択主義に対する特則にあたる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.通知書の日付と教示欄を保全する 不支給決定通知書が届いたら、封筒の消印・通知書の日付・受領日を写真で記録し、教示欄に書かれた審査請求先(各都道府県労働局の雇用保険審査官)と期限を確認する。起算日は「処分があったことを知った日の翌日」である
- 2.3か月以内に審査請求書を提出する 処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に、雇用保険審査官へ審査請求書を提出する(労働保険審査官及び労働保険審査会法8条)。この段階で主張と証拠を出し惜しみしないこと。決定書に書かれる理由が、そのまま後の取消訴訟の攻撃対象になる
- 3.審査請求日の翌日から3か月をカレンダーに入れる 審査請求をした日の翌日から3か月を経過しても決定がないときは、棄却されたものとみなすことができる(雇用保険法69条2項)。条文は「みなすことができる」であり、待つか進むかの選択権は請求人の側にある。決定を待つ実益がなければ提訴に切り替える
- 4.決定書を受け取ったら6か月以内に取消訴訟 雇用保険審査官の決定書を受け取ったら、決定があったことを知った日から6か月以内に取消訴訟を提起する(行政事件訴訟法14条3項)。2016年4月以降は労働保険審査会の裁決を待つ必要はない
- 5.時効(2年)との位置関係を確認する 失業等給付の請求権は2年で時効消滅する(雇用保険法74条)。審査請求は時効の完成猶予・更新について裁判上の請求とみなされる(同法69条3項)ため、時効が迫っている局面では、訴訟準備よりも先に審査請求で時計を止める判断があり得る
よくある質問 AI による整理
Q1審査請求前置とは?
行政処分を裁判で取り消す前に、法律が行政の不服審査を経ることを義務づける仕組みです。雇用保険では71条がこれを定め、雇用保険審査官の決定を経ないと取消訴訟は不適法になります。
Q2失業保険の不支給決定に納得できないときは?
まず雇用保険審査官へ審査請求します。処分を知った日の翌日から3か月以内が期限で、決定を受けてから取消訴訟に進みます。いきなり裁判所に訴えても却下されます。
Q3雇用保険の審査請求はどこに出すの?
各都道府県労働局に置かれる雇用保険審査官に対して行います。不支給決定通知書の教示欄に提出先と期限が記載されているので、まずそこを確認してください。
Q4雇用保険の審査請求の期限はいつまで?
処分があったことを知った日の翌日から3か月以内です(労働保険審査官及び労働保険審査会法8条)。この期間を過ぎると、処分の違法性が明白でも取消訴訟の入口が閉じます。
Q5審査請求にお金はかかる?
審査請求自体に手数料はかかりません。弁護士や社会保険労務士に依頼すれば報酬が発生しますが、本人での申立ても可能です。訴訟に比べ費用面のハードルは低い制度です。
Q6再審査請求はしないと訴訟できない?
現在は不要です。2016年4月施行の改正で労働保険審査会の裁決を要する二重前置は廃止され、雇用保険審査官の決定だけで取消訴訟に進めます。古い解説に注意してください。
Q7離職理由を自己都合にされたら争える?
争えます。給付制限を伴う処分も69条1項の対象で、雇用保険審査官への審査請求を経てから取消訴訟に進みます。出勤簿やメールなど、退職経緯の証拠を早期に確保してください。
Q8育児休業給付の不支給も審査請求が必要?
必要です。育児休業給付に関する処分も69条1項に含まれるため、71条の前置が働きます。社内で人事と押し問答している間に3か月の期限が過ぎる例が少なくありません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1審査請求をしないで、いきなり裁判を起こしたらどうなるんですか?
訴訟要件を欠く不適法な訴えとして却下されます(雇用保険法71条の審査請求前置)。ただし審査請求から3か月経っても決定がない場合は、棄却されたものとみなして提訴できます(同法69条2項)。実務のポイント:前置を欠いたまま出した訴えでも、事実審の口頭弁論終結時までに審査官の決定が出れば適法として扱うのが実務の一般的な理解です。慌てて取り下げる前に、審査請求を並行して進める手が残っている
Q2審査官がなかなか決定を出してくれません。いつまで待てばいいんですか?
審査請求をした日の翌日から3か月を経過しても決定がないときは、棄却されたものとみなすことができます(雇用保険法69条2項)。そのまま取消訴訟へ進めます。実務のポイント:条文は「みなす」ではなく「みなすことができる」と書いてある。つまり選択権はあなた側にある。審査官の心証が良さそうなら決定を待ち、放置されているなら3か月で切り上げる、その使い分けができる
間違えやすい点 AI による整理
- 「労働保険審査会の裁決まで行かないと訴訟に進めない」と書いた解説は今も流通している。2016年4月施行の改正で二重前置は廃止され、雇用保険審査官の決定だけで訴訟の入口に立てる。古い記述に従うと、法律上不要な再審査請求のために半年以上を失う
- 審査請求という制度があること自体は知っていても、期限の短さまで知っている人は少ない。処分があったことを知った日の翌日から3か月(労働保険審査官及び労働保険審査会法8条)。この3か月を落とせば、処分の違法性がどれほど明白でも取消訴訟の入口は閉じる。制度の存在ではなく、カレンダーが勝敗を決める
- 「審査請求で済ませるか、それとも裁判にするか」で悩む人がいるが、問いの立て方そのものが誤っている。71条の下では訴訟は審査請求の後ろにしか置けない。二択ではなく順番であり、本当に悩むべきは、審査請求の段階でどこまで主張と証拠を出し切るかである
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文が定めること | 雇用保険法71条:取消訴訟の前に審査官の決定を経る義務(訴訟要件) | 雇用保険法69条:審査請求・再審査請求ができるという根拠と、みなし棄却・時効との接続 行政事件訴訟法8条:不服申立てと訴訟は自由に選べるという原則(自由選択主義) |
| 違反・不備の効果 | 前置を欠く訴えは訴訟要件を欠き却下される | 3か月無応答なら棄却とみなして提訴可(69条2項) 個別法に前置の定めがあるときは8条の原則が後退する |
| 2016年4月施行改正の影響 | 労働保険審査会の裁決を要する二重前置を廃止し、審査官の決定のみで足りる一段階前置に緩和 | 再審査請求は残るが、訴訟に進むための必須ステップではなくなった 改正の影響は受けない(原則規定のまま) |
| 実務での使いどころ | 提訴前に「決定を経たか」を必ずチェックする関門 | 審査官が沈黙しているときの離脱スイッチとして使う 個別法に前置規定がない分野との違いを説明するときの対照軸 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も撤銷訴訟の前に行政不服手続を要する点で日本と同型。就業保険の給付争いは爭議審議を経て訴願、その後に行政訴訟へ進む運用が一般的で、日本より段数が多くなり得る
韓国は行政訴訟法上、行政審判前置は原則として任意的だが、個別法が前置を定める場合がある。雇用保険分野では심사청구・재심사청구の二段構造が置かれている点で日本の旧制度に近い
ドイツも社会裁判所への取消訴訟の前に Widerspruchsverfahren(異議手続)を経ることを要求する。行政機関に自己是正の機会を与えるという趣旨は日本の前置主義と共通する
米国の失業保険は州法主体で、州の審判官・審査委員会を経てから司法審査に進むのが通例。制定法の明文よりも行政救済尽くしの法理と州法の手続規定が根拠になる点が日本と異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 審査請求を出したのに、審査官から3か月なんの音沙汰もなかったらどうなる? 待ち続ける義務はない。69条2項でみなし棄却として扱い、そのまま取消訴訟に進める。待つか進むかを決める権限は審査官ではなくあなたの側にあり、この一点を知らずに一年待つ人がいる
- 会社が離職票に「自己都合」と書いた。給付制限がつき、支給開始が後ろにずれる。この処分を裁判で覆したければ、訴状より先に審査官への審査請求という関門を通る(給付制限期間は近年の改正で変動しているため、最新の運用をご確認ください)
- 総務で労働保険の手続を任されている立場から見た景色も同じである。従業員の被保険者資格の確認処分に会社側が納得できない場合も、行政訴訟に直行はできず71条の前置を通る。顧問の社会保険労務士が「まず審査請求です」と言うのは、好みの問題ではなく、この条文が訴訟要件を縛っているからだ。しかも審査請求手続では労働局から事業主照会が来て、その回答がそのまま決定理由になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 通知が届いたら通知書の日付と受領日を記録し、教示欄で審査請求先(各都道府県労働局に置かれる雇用保険審査官)を確認する2. 処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に審査請求書を提出(労働保険審査官及び労働保険審査会法8条) 3. 決定書を受け取ったら6か月以内に取消訴訟(行政事件訴訟法14条) 4. 3か月経っても決定が出なければ69条2項のみなし棄却で提訴に切り替える
訴えられた側:事業主側の本番は、争われる場面より処分の前提が作られる場面にある。1. 離職理由・賃金額・出勤簿の記載根拠を書面で残す2. 審査請求手続で労働局や審査官から事業主照会が来たら、回答がそのまま決定理由に転記される前提で作成する3. 会社側が確認処分に不服なら、同じく71条の前置を通ってからでなければ訴訟には進めない
時効(請求できる期限):審査請求は処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(労働保険審査官及び労働保険審査会法8条1項、2016年施行の改正で従来の60日から延長)。取消訴訟は審査官の決定があったことを知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条3項)。審査請求から3か月無応答ならみなし棄却で提訴可(雇用保険法69条2項)
学説
通説(前置主義の趣旨):雇用保険の給付判断は被保険者期間・離職理由・賃金日額など専門的で大量画一的な事務の産物であるため、無償で利用できる専門機関にまず一巡させ、誤りの多くを訴訟前に是正させる設計として説明される。同時に、生活費を絶たれた者の司法アクセスを遅らせる副作用が指摘されてきた。
改正評価(二重前置廃止):行政不服審査法の全部改正に伴う整備は、前置主義そのものを維持しつつ段数を減らす方向で調整したものと理解される。71条の一段階化と69条2項のみなし棄却が、前置の負担を吸収する二つの緩衝弁として機能している。
改正沿革 AI による整理
- 平成26年(2014年)公布、平成28年(2016年)4月1日施行 行政不服審査法の全部改正に伴う整備法により改正。従来は労働保険審査会の再審査請求に対する裁決を経ることが必要な二重前置だったが、雇用保険審査官の決定を経れば足りる一段階前置に緩和された
改正の年表
- 1.昭和49年(1974年) 新設:雇用保険法の制定に伴い、審査請求前置を定める規定として置かれた。当時は労働保険審査会の裁決まで経ることを要する二段階の前置であった
- 2.平成26年(2014年)公布・平成28年(2016年)4月1日施行 改正:行政不服審査法の全部改正に伴う整備法により改正。労働保険審査会の再審査請求に対する裁決を要する二重前置が廃止され、雇用保険審査官の決定を経れば足りる一段階前置に緩和された
- 雇用保険法 第69条審査請求・再審査請求の根拠、本条の前提
- 雇用保険法 第9条被保険者資格の確認、争訟の対象処分
- 雇用保険法 第10条の4不正受給の返還命令、争訟の対象処分
- 雇用保険法 第74条給付請求権の2年時効、審査請求と接続
- 行政事件訴訟法 第8条自由選択主義の原則と前置の例外根拠
- 行政事件訴訟法 第14条出訴期間、決定を知った日から6か月
- 労働保険審査官及び労働保険審査会法 第8条審査請求期間3か月と手続の定め
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