要点雇用保険法 81 条は、厚生労働大臣の権限の一部を省令により都道府県労働局長へ委任し、さらに公共職業安定所長へ再委任できると定める。委任を受けた者が処分庁となる。
Q · 失業給付の不支給を決めたのは、厚生労働大臣なんですか?
大臣ではなく、委任を受けた所長です
雇用保険法 81 条により、厚生労働大臣の権限は厚生労働省令の定めるところにより都道府県労働局長へ委任され、さらに公共職業安定所長へ再委任されます。受給資格の確認や失業の認定、不支給の決定を実際に行っているのは、この委任を受けた公共職業安定所長です。委任により権限は受任機関へ移転するため、審査請求の相手方となる処分庁も所長になります。不服がある場合の争い方は雇用保険審査官への審査請求であり(同法 69 条)、取消訴訟は原則として審査請求の決定を経た後に提起します(同法 71 条)。
「厚生労働大臣の権限」と条文に書いてあるからといって、大臣本人があなたの書類を見ているわけではない。81 条は、雇用保険に関する大臣の権限を厚生労働省令の定めるところにより都道府県労働局長へ委任でき、さらにその権限を公共職業安定所長(ハローワークの所長)へ委任できると定める。二段階の委任である。実務上ここが決定的なのは、委任を受けた者が「処分庁」になるという一点だ。基本手当が不支給になったとき、給付制限がついたとき、受給資格が認められなかったとき、その決定を出しているのは大臣ではなく所長である。つまり、不服を申し立てる相手、取消訴訟で特定すべき処分庁、理由の説明を求める先は、すべて現場のレベルに降りている。届いた通知を「国からの紙」と漠然と眺めている間に、争える期間だけが静かに進む。
雇用保険法 81 条は権限の委任を定める規定であり、同法上の厚生労働大臣の権限の一部を、厚生労働省令の定めるところにより都道府県労働局長へ委任し、さらに公共職業安定所長へ再委任することを認める。委任により権限は受任機関へ移転し、受任機関が処分庁として決定を行う。
行政機関が自らの権限の一部を下級機関などに移し、受任機関の名で行使させる仕組みです。雇用保険法 81 条では、大臣の権限が省令により労働局長・所長へ降ろされます。
雇用保険法 81 条の委任を受けた公共職業安定所長です。通知の発出者欄に所長名が印字されており、これが不服申立ての相手方となる処分庁になります。
審査請求は処分があったことを知った日の翌日から起算して 3 か月とされています(労働保険審査官及び労働保険審査会法 8 条、最新の改正状況をご確認ください)。
違います。国の地方支分部局であり、都道府県の機関ではありません。名称に都道府県が入るため誤解されますが、県庁に苦情を持ち込んでも制度上つながりません。
処分庁が国の機関であるため、被告は国となります(行政事件訴訟法 11 条)。所長個人や都道府県を被告にすると、そもそも訴えの相手を誤ることになります。
失業等給付に関する処分の取消訴訟は、原則として審査請求に対する決定を経た後でなければ提起できません(雇用保険法 71 条)。審査請求前置が原則です。
都道府県労働局に置かれています。身内だから無駄と敬遠されがちですが、離職理由や被保険者資格の事実認定が争点の案件では追加資料で結論が動くことがあります。
雇用保険法 81 条は「厚生労働省令で定めるところにより」と定め、具体的な範囲は施行規則に委ねられています。窓口で根拠規定を尋ねると特定できます。
雇用保険審査官への審査請求です(雇用保険法 69 条)。窓口の職員や所長に直接抗議しても、法律上の期限は止まりません。しかも失業等給付に関する処分の取消訴訟は、原則として審査請求に対する決定を経た後でなければ提起できません(同法 71 条)。業界裏話ヒント:審査官は労働局内に置かれているため「身内だから無駄」と敬遠されがちですが、離職理由や資格の事実認定が争点の案件では、追加資料が一枚加わるだけで結論が動くことがある
関係します。委任を受けた者が処分庁になるため、通知の発出者、不服申立ての相手方、取消訴訟での被告の特定が、そこを基準に決まります(雇用保険法 81 条、行政事件訴訟法 11 条)。業界裏話ヒント:委任の中身は厚生労働省令に書かれているので、疑問があれば「どの規定で誰に委任された権限による処分か」を窓口で尋ねるとよい。この質問が出た時点で、担当者の説明の精度が変わることは実務で珍しくない
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 81 条:大臣の権限を労働局長・所長へ委任する根拠 | — |
| 登場する主体 | 厚生労働大臣・都道府県労働局長・公共職業安定所長 | — |
| 個人にとっての意味 | 誰が決定したか(処分庁)が決まる | — |
| 見落としたときの損失 | 宛先を誤り、期限だけが進む | — |
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