民事訴訟法 第147条の3(審理の計画)
クイックジャンプ
- 裁判所は、審理すべき事項が多数であり又は錯そうしているなど事件が複雑であることその他の事情によりその適正かつ迅速な審理を行うため必要があると認められるときは、当事者双方と協議をし、その結果を踏まえて審理の計画を定めなければならない。
- 2.前項の審理の計画においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
- 一争点及び証拠の整理を行う期間
- 二証人及び当事者本人の尋問を行う期間
- 三口頭弁論の終結及び判決の言渡しの予定時期
- 3.第一項の審理の計画においては、前項各号に掲げる事項のほか、特定の事項についての攻撃又は防御の方法を提出すべき期間その他の訴訟手続の計画的な進行上必要な事項を定めることができる。
- 4.裁判所は、審理の現状及び当事者の訴訟追行の状況その他の事情を考慮して必要があると認めるときは、当事者双方と協議をし、その結果を踏まえて第一項の審理の計画を変更することができる。
この条文の基本情報
審理の計画とは何ですか?
定義審理の計画とは、民事訴訟法第147条の3に定められた規定で、「裁判所は、審理すべき事項が多数であり又は錯そうしているなど事件が複雑であることその他の事情によりその適正かつ迅速な審理を行うため必要があると認められるときは、当…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第147条の3(審理の計画)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第147条の3の条文原文は「裁判所は、審理すべき事項が多数であり又は錯そうしているなど事件が複雑であることその他の事情によりその適正かつ迅速な審理を行うため必要があると認められるときは、当…」で始まります。
- 民事訴訟法第147条の3は第二章 計画審理に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第147条の3の前の条は民事訴訟法第147条の2です。
- 民事訴訟法第147条の3の次の条は民事訴訟法第148条です。
- 民事訴訟法第147条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第147条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第147条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/147_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法147条の3は、複雑な事件で裁判所が当事者双方と協議し審理の計画を定める制度を規定する。計画で定めた提出期間を徒過した攻撃防御方法は157条の2により却下されうる。
Q · 複雑な裁判で「審理の計画」が立つと、出すのが遅れた証拠は本当に却下されるの?
計画の提出期間を徒過し故意・重過失があれば却下されうる
民事訴訟法147条の3により、複雑事件では裁判所が当事者双方と協議のうえ審理の計画を定めます。計画には争点整理・尋問・判決言渡しの予定時期に加え、特定事項の攻撃防御方法の提出期間も定められます(3項)。この期間を徒過した主張立証は、156条の2・157条の2により却下されうる点が本条の牙です。ただし却下は時機に後れたうえ故意または重大な過失がある場合などに限られ、やむを得ない事由を説明できれば審理に残る余地があります。
解説
何年経っても終わらない裁判があると聞いたことがあるだろう。争点が山ほどあり、証人も多数、提出書類は段ボール何箱分。そういう複雑事件で、裁判所が当事者双方と協議したうえで「いつまでに何をやるか」のスケジュール表を作る、それが審理の計画である。一見するとただの進行管理に見える。だが本当の牙はここにある。計画で「この争点の主張立証は○月まで」と期間が区切られると、その期間を過ぎて出した攻撃防御方法は、156条の2と157条の2によって裁判所に却下されうる。つまり計画は単なる予定表ではなく、あなたの主張を打ち切る期限装置だ。決定的な証拠を後から見つけても、計画で定めた期間を過ぎていれば、裁判所は「なぜもっと早く出さなかったのか」と問い、説明できなければ門前払いになる。複雑事件で計画が立つということは、あなたの手番にカウントダウンが始まるということである。
法的な位置づけ
民事訴訟法147条の3は計画審理を定める規定であり、審理事項が多数または錯綜するなど複雑な事件において、裁判所が当事者双方と協議し、その結果を踏まえて審理の計画を策定すべき旨を規定する。計画には争点・証拠整理の期間、証人および当事者本人の尋問の期間、口頭弁論終結および判決言渡しの予定時期が含まれる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.協議前に争点ごとの立証必要期間を洗い出す 計画策定の協議に臨む前に、争点ごとに証人尋問・鑑定・文書提出命令など必要な立証手段とそれに要する期間を具体的に書き出す。ここで根拠ある期間案を用意しないと、後から「期間が足りなかった」は通らない
- 2.協議の場で必要な立証期間を根拠とともに主張する 147条の3第1項の協議は儀式ではなく実戦。自分の立証に必要な期間を具体的根拠とともに述べ、議事メモに主張を残させる。安易に短い期間に同意しないことが、後の救済の伏線になる
- 3.時間のかかる立証を計画に組み込ませる 鑑定、専門委員の関与、文書提出命令など時間のかかる立証は早めに申し出て、計画の各期間に明示的に組み込ませる。計画に載らない立証は後出しと評価され却下リスクが高まる
- 4.各期間の末日を自分でもカレンダー管理する 計画は157条の2の却下と直結するため、各事項の提出期間の末日を弁護士任せにせず自分でも管理する。期限が近い立証は前倒しで準備し、徒過を防ぐ
- 5.状況が変われば計画変更を申し立てる 相手が期限直前に大量の主張を投げ込むなど審理の現状が変わったら、4項に基づき計画変更を申し立てる。「審理の現状を踏まえた必要性」を示せれば裁判所は計画を組み直す。期限は一方通行の鎖ではない
よくある質問 AI による整理
Q1審理の計画とは何ですか?
複雑事件で裁判所が当事者双方と協議し、争点整理・尋問・判決言渡しの予定時期などを定める進行計画です。民事訴訟法147条の3が根拠です。
Q2計画審理はどんな事件で行われますか?
審理事項が多数または錯綜するなど事件が複雑で、適正かつ迅速な審理に必要と認められる場合です。特許訴訟やシステム開発紛争などで多く用いられます。
Q3審理の計画には何を定めますか?
争点・証拠整理の期間、証人と当事者本人の尋問の期間、口頭弁論終結と判決言渡しの予定時期が必須項目です。攻撃防御方法の提出期間も定められます。
Q4審理の計画は変更できますか?
できます。147条の3第4項により、審理の現状や当事者の訴訟追行の状況を考慮して必要があるとき、裁判所が当事者双方と協議して変更できます。
Q5計画の提出期間を過ぎた証拠はどうなりますか?
156条の2・157条の2により却下されうります。ただし時機に後れたうえ故意・重過失がある場合などに限られ、やむを得ない事由を説明できれば残る余地があります。
Q6審理の計画は当事者の同意が必要ですか?
同意までは要件ではありません。147条の3は「当事者双方と協議をし」と定めるため協議は必須ですが、最終的には協議を踏まえて裁判所が定めます。
Q7裁判の迅速化に関する法律との関係は?
同法は第一審を二年以内に終局させる理念を定めます。147条の3はこの迅速化を複雑事件で具体化する手続的な道具と位置づけられます。
Q8審理の計画はいつ作られますか?
事件の複雑性が判明し迅速な審理に必要と認められた段階で、訴訟の比較的早期に当事者と協議して策定されます。協議の場が立証戦略の最初の勝負どころになります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1審理の計画って、裁判所に勝手に決められて従わされるんですか?
完全に一方的ではありません。147条の3第1項は「当事者双方と協議をし」と明記しており、協議が前提です。ただし当事者の合意までは要件でなく、協議を踏まえて裁判所が定めます。実務のポイント: 協議は儀式ではなく実戦です。ここで自分の立証に必要な期間を具体的に主張しておかないと、後から「期間が足りなかった」は通りません。協議の議事メモに自分の主張を残させることが、後の救済の伏線になります
Q2計画で決めた期限を過ぎて証拠を出したら、絶対にダメなんですか?
絶対ではありません。157条の2により却下されうるのは、その提出が時機に後れ、かつ当事者に故意または重大な過失がある場合などです。やむを得ない事由を説明できれば審理されることもあります。実務のポイント: 却下されるかどうかは「なぜ早く出せなかったか」の説明の説得力で決まります。証拠が後から見つかった経緯、相手の対応が遅かった事情などを記録しておくと、期限後でも生き残る確率が上がります
間違えやすい点 AI による整理
- 審理の計画は単なる予定表だと知っている人でも、その予定表が「期限を過ぎた主張立証は却下」という制裁(157条の2)と直結していることまでは知らない。予定表ではなく、踏み外せば落ちる足場だと気付いていないことが、複雑訴訟で取り返しのつかない遅れを生む
- 多くの当事者は「定められた計画を守れるか」を心配する。だが本当に効いてくる問いは別にある。1項が「当事者双方と協議をし」と定める以上、勝負は計画が決まる前の協議の段階にある。そこで自分に必要な立証期間を勝ち取れるかどうかが、守れるかどうかより先に決まっている
- あなたから見れば審理の迅速化は歓迎すべきことに映る。だが立証準備が物理的に間に合わない側から見れば、同じ計画が「反論する前に口を塞がれる装置」になる。この立場による落差を読み違えると、迅速化に賛成したつもりが自分の首を絞めることになる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 147条の3:複雑事件で審理の計画を策定する根拠 | 156条の2:審理計画がある場合の提出期間の設定 157条の2:計画違反の攻撃防御方法の却下 |
| 性質 | 計画の策定・変更(枠組み) | 期間の指定(タイマー) 制裁(却下というペナルティ) |
| 当事者の関与 | 当事者双方との協議が必須(同意は不要) | 計画に基づき裁判所が期間を定める 故意・重過失等を要件に裁判所が却下を判断 |
| 147条の2との違い | 複雑事件で具体的な計画策定を義務づける特則 | — 147条の2は計画的進行という一般義務(理念的前提) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も争点整理を整理併簡化の手続として運用し、裁判所と当事者が審理計画的に協議する点で日本と発想が近い。
韓国は弁論準備手続で争点・証拠を集中整理し、その後の弁論を計画的に進める。期日前の準備集中という点で計画審理と機能が重なる。
ドイツは裁判所が手続の進め方を定め、集中審理(früher erster Termin / Stuttgarter Modell)で一回的解決を志向する。計画審理の比較法的源流の一つ。
米国はプリトライアル会議とスケジューリングオーダーで裁判所が積極的にケースを管理する。期限を徒過した主張立証の排除という制裁構造が日本の157条の2と機能的に近い。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、欠陥住宅をめぐって施工会社と何十項目もの争点で争う訴訟になったら? 裁判所は審理の計画を立て、各争点の立証期間を区切る。あなたが「あの追加資料を出しておけば」と思いついたときには、もう提出期間を過ぎている、ということが現実に起こる
- 大企業を相手に少人数で訴える側についたとき、相手は弁護団で計画期限に余裕を持って間に合わせてくる。あなた側は期限に追われ、準備不足のまま立証を打ち切られる。計画策定の協議の場こそが、実は最初の主戦場だ
- 計画変更は4項で可能だ。だが「考えが変わった」では通らない。審理の現状を踏まえた必要性が要る。
- 特許侵害で訴えられ、計画で技術論点の反論期間が三か月と定められた。あと三週間。鑑定人の意見書がまだ届かない。この期間内に出せなければ、せっかくの反証は court の机に載らないまま審理が閉じる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 複雑事件で審理の計画が議題に上がったら、争点ごとに自分の立証に必要な期間を洗い出し、協議前に具体案を用意する2. 証人尋問、鑑定、文書提出命令など時間のかかる立証は早めに申し出て計画に組み込ませる3. 相手の引き延ばしには2条の誠実訴訟追行義務と計画の趣旨を盾に迅速化を求める4. 計画は157条の2の却下と直結すると意識し、各期間の末日を弁護士任せにせず自分でもカレンダー管理する
訴えられた側:1. 計画で定められる立証期間が自分の準備に足りないなら、協議の段階で根拠を示して延長を求め、黙って同意しない2. やむを得ない事情で期限後に提出する場合は、なぜ早く出せなかったかの説明を準備し157条の2の却下を避ける3. 審理の現状が変われば4項に基づき計画変更を申し立てる4. 相手が期限を盾に却下を求めてきても、故意や重大な過失がなかったことを主張すれば審理の対象に残る余地がある
時効(請求できる期限):審理の計画自体に消滅時効の概念はない。ただし計画で定められた攻撃防御方法の提出期間が実質的な期限として機能し、これを徒過すると156条の2、157条の2により却下されうる。起算点は計画で各事項ごとに定められた期間の末日(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:147条の3の審理の計画は、迅速化(裁判の迅速化に関する法律2条)の理念を複雑事件で具体化する手続的枠組みと理解される。当事者の手続保障を害さないよう、策定・変更とも当事者双方との協議を経るものとされ、計画違反の却下(157条の2)も故意・重過失等の要件で限定的に運用すべきとされる。
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年)公布、平成16年(2004年)施行 平成15年民事訴訟法改正(法律第108号)により新設。計画審理の制度を導入し、複雑事件で裁判所が当事者双方と協議のうえ審理の計画を定める枠組みを創設した。156条の2、157条の2もこの改正で併せて整備された
改正の年表
- 1.平成15年(2003年)公布、平成16年(2004年)施行 新設:平成15年民事訴訟法改正(法律第108号)により新設。計画審理の制度を導入し、複雑事件で裁判所が当事者双方と協議のうえ審理の計画を定める枠組みを創設した。156条の2・157条の2も同改正で併せて整備された。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める