民事訴訟法 第2条(裁判所及び当事者の責務)
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裁判所は、民事訴訟が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に民事訴訟を追行しなければならない。
この条文の基本情報
裁判所及び当事者の責務とは何ですか?
定義裁判所及び当事者の責務とは、民事訴訟法第2条に定められた規定で、「裁判所は、民事訴訟が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に民事訴訟を追行しなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第2条(裁判所及び当事者の責務)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第2条の条文原文は「裁判所は、民事訴訟が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に民事訴訟を追行しなければならない。」で始まります。
- 民事訴訟法第2条は第一章 通則に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第2条の前の条は民事訴訟法第1条です。
- 民事訴訟法第2条の次の条は民事訴訟法第3条です。
- 民事訴訟法第2条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第2条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第2条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法2条は、裁判所に公正かつ迅速な進行を、当事者に信義に従った誠実な訴訟追行を義務づける。禁反言や権利失効など個別法理の根拠となる。
Q · 民事訴訟法2条の信義則って、訓示規定で実際には使えないんですよね?
いいえ。相手の不誠実な主張を裁判所が排斥する実効的な武器です。
民事訴訟法2条は、裁判所に公正かつ迅速な進行を、当事者に信義に従った誠実な訴訟追行を義務づける信義誠実の原則を定めます。一見訓示に見えますが、禁反言(矛盾挙動の禁止)、権利失効、訴権の濫用、クリーンハンズといった個別法理の根拠として機能します。実務では、相手の主張が法律的に正しくても、その振る舞いが信義に反すると示せれば、主張や証拠が排斥され、訴え自体が却下されることもあります。技術的な正否とは別の戦線を開ける条文です。
解説
訴訟は証拠と法律論だけで勝負が決まると思っているなら、その認識には穴がある。民事訴訟法2条は、裁判所に「公正かつ迅速な進行」を、当事者に「信義に従い誠実な訴訟追行」を義務づける。一見、誰も反対しない当たり前の訓示に見える。だが実務では、この一条が「技術的には正しいが、ずるい主張」を裁判所が切り捨てる根拠になる。前の裁判で『契約は無効だ』と主張して勝った人が、別の裁判で同じ契約を『有効だ』と言い出す。矛盾した態度(禁反言)は、この条文を背景に封じられる。長年権利を行使せず相手を安心させておいて、突然蒸し返す。権利の失効として退けられることもある。あなたが当事者なら、相手の主張が法律的に成立していても、その振る舞いが信義則に反すると示せれば、戦況をひっくり返せる。
法的な位置づけ
民事訴訟法2条は信義誠実の原則を定める規定であり、裁判所には公正かつ迅速な訴訟進行の責務を、当事者には信義に従った誠実な訴訟追行義務を課す。禁反言・権利失効・訴権の濫用の禁止など、個別法理の一般的根拠として機能する一般条項である。
手順
- 1.相手の過去の言動を時系列で並べる 前の裁判の主張、内容証明、メール、LINE、議事録など、相手の過去の言動を日付順に整理する。現在の主張と並べて矛盾が一目で分かる時系列表を作る
- 2.矛盾点を法理に当てはめて分類する 現在の主張との矛盾点を特定し、禁反言(矛盾挙動の禁止)・権利失効・訴権の濫用のどれに当たるかを整理する。複数該当する場合は並列で主張できるようにまとめる
- 3.準備書面で信義則違反を独立の争点にする 準備書面の早い段階で『信義則違反』を独立した争点として主張し、民事訴訟法2条を明示する。裁判官が一度『この当事者は信義に反している』との心証を持てば、以後の判断全体に影響する
- 4.遅れて出された証拠は却下申立てと併用する 相手が決定的証拠を遅れて出してきたら、時機に後れた攻撃防御方法の却下申立て(民訴157条)と信義則違反を束ねて主張し、内容を争う前に却下へ持ち込む圧力をかける
よくある質問 AI による整理
Q1信義誠実の原則とは何ですか?
当事者が信義に従い誠実に訴訟を追行すべきとする原則です。民事訴訟法2条が根拠で、禁反言・権利失効・訴権の濫用など個別法理の一般的根拠として機能します。
Q2禁反言とは何ですか?
前の言動と矛盾する主張を後から持ち出すことを封じる法理です。前訴で『無効』と主張した者が別訴で『有効』と言い出す場合などに、民訴2条の信義則を背景に制限されます。
Q3権利失効の原則とは何ですか?
長年権利を行使せず相手を安心させた後に突然行使すると、信義則違反として制限される法理です。眠っていた権利が起こし方を誤ると行使できなくなる場面で問題になります。
Q4訓示規定でも訴えが却下されることはありますか?
あります。信義に反する訴訟追行は、主張や証拠が排斥されたり、訴え自体が信義則違反で却下されることがあります。罰則はなくても効果は実質的です。
Q5信義則違反はいつ主張すべきですか?
できるだけ早い段階です。攻撃防御方法は適時に提出する義務があり(民訴156条)、時機に後れると却下されうるため(民訴157条)、準備書面の早い段階で並べて示すのが定石です。
Q6矛盾した主張をすると裁判で不利になりますか?
合理的理由なく態度を変えると『信義に反する訴訟追行』と見られ、心証を悪くします。個々の主張が正しくても、一貫性のなさで全体を疑われることがあります。
Q7民事訴訟法2条と民法1条の信義則は違いますか?
民法1条は実体法上の一般原則、民訴2条は訴訟手続上の誠実義務です。両者は連動し、訴訟態度の評価では民訴2条が、権利内容の評価では民法1条が働きます。
Q8訴権の濫用とは何ですか?
正当な権利保護ではなく相手の困惑や引き延ばしを目的に訴訟を利用する行為です。信義則(民訴2条)に反するものとして、訴えが不適法却下されることがあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1訓示規定って、結局守らなくても罰則ないんですよね?
罰則という形ではありませんが、効果は実質的です。信義に反する訴訟追行をすると、その主張や証拠が排斥されたり、訴え自体が信義則違反で却下されることがあります(民訴2条)。実務のポイント:弁護士は相手の『信義則違反』を、本筋の法律論が苦しいときの第二の戦線として温存します。正面から勝てなくても、相手のずるさを裁判官に印象づけて心証を動かし、全体の判断を有利に傾けるのが定石です
Q2前に言ってたことと違う主張をしたら、それだけで負けますか?
それだけで即負けにはなりません。主張を変えるにも合理的理由(新事実の判明、事情変更)があれば許されます。問題は、相手を信頼させておいて裏切るような矛盾挙動です(禁反言、民訴2条の信義則の一適用)。実務のポイント:裁判で過去の自分の主張は『自白』や『弁論の全趣旨』として後々まで効いてきます。経験ある代理人ほど、最初の準備書面を将来の展開まで読んで慎重に組み立てます。出だしの一文が、最後まで足かせになる
Q3相手がわざと裁判を引き延ばしているんですが、止められますか?
止める手段があります。裁判所には公正かつ迅速な進行に努める責務があり(民訴2条)、当事者の引き延ばしは信義則違反です。時機に後れた攻撃防御方法は却下を申し立てられます(民訴157条)。実務のポイント:引き延ばし戦術には、裁判所に『審理の計画』(民訴147条の3)を促す上申書が効きます。裁判官も訴訟指揮の責任を問われたくないので、明確に問題提起すると進行が一気に引き締まることが多い
間違えやすい点 AI による整理
- 「訓示規定だから、書いてあるだけで実際には使えない」と思われがちだが、裁判所は信義則違反を理由に訴えを却下したり、主張を排斥したりする。判例上、生きた武器として機能している
- 信義則という言葉は知っていても、その射程の広さを知らない人が多い。禁反言、矛盾挙動の禁止、権利失効、訴権の濫用、クリーンハンズ、これらすべてが2条の信義則から枝分かれする。一本の条文が、訴訟戦術の地下水脈になっている
- 「相手の主張は法律的に間違っている」という争点ばかり立てる人が多いが、問いの立て方そのものがずれていることがある。相手の主張が法律的に正しくても、『その主張を今このタイミングで持ち出すのは信義に反する』という別の戦線を開けば、勝ち筋が増える
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の性格 | 民訴2条:信義誠実の原則(一般条項・理念) | 民訴156条:適時提出主義(提出時期の一般義務) 民訴157条:時機に後れた攻撃防御方法の却下(具体的制裁) |
| 効果 | 主張・証拠の排斥、訴えの却下まで及びうる | 適切な時期での提出を求める行為規範 遅れた主張・証拠を却下できる手続効果 |
| 使いどころ | 相手の矛盾挙動・引き延ばし全般への一般的根拠 | 争点整理段階での提出促し 遅れた決定的証拠を内容に入る前に潰す |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は訴訟上の信義則を実体法の誠信原則から導く構成が中心で、訴訟手続での権利濫用禁止と結びつけて運用される
韓国は民事訴訟法1条2項に信義誠実の原則を明文で置き、日本と同様に禁反言・権利失効を派生原理として扱う
ドイツは ZPO §138の真実・完全陳述義務と BGB §242の Treu und Glauben を訴訟へ応用し、Prozessverschleppung(訴訟引き延ばし)規制と結合する
米国は署名による誠実保証(Rule 11)と矛盾主張を封じる judicial estoppel 法理で、信義則に近い機能を分担して担う
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 前の訴訟で「この借金は私のものではない」と主張して勝った相手が、別の訴訟では「あの借金はあなたが保証した」と言い出したら、どうなる? 矛盾挙動の禁止(禁反言)を2条の信義則で主張すれば、相手の後の主張を封じられる可能性がある。法律論が互角でも、ここで一歩抜け出せる
- あなたが被告として、原告の出方を見ながら主張をころころ変えていると、裁判所から「信義に反する訴訟追行」と見られ、心証を一気に悪くする。個々の主張は正しくても、態度の一貫性のなさで全体を疑われる
- 和解協議を口実に手続を引き延ばし、時効完成を狙う。裁判所はこれを信義則違反と評価しうる。あと数週間で時効、その駆け引き自体が裁判官の目に映っている
- 長年放置していた貸金を、相手が「もう請求されない」と信じて生活を立て直した頃に突然全額請求。権利失効(信義則の一適用)として請求が制限された裁判例がある。眠っていた権利は、起こし方を誤ると消える
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手の過去の言動を時系列で並べる:前の裁判の主張、内容証明、メール、LINE、議事録2. 現在の主張との矛盾点を特定し、禁反言・矛盾挙動・権利失効のどれに当たるか整理3. 準備書面で『信義則違反』を独立の争点として主張し、民訴2条を明示4. 相手が遅れて証拠を出してきたら、民訴157条(時機に後れた攻撃防御方法)の却下申立てと併せて圧力をかける
訴えられた側:1. 『信義則違反』と攻撃されたら、自分の言動の変化に合理的理由(事情変更、新事実の判明)があったことを具体的に説明2. 矛盾に見える主張も、前提となる事実関係が異なれば矛盾ではないと反論3. 信義則は最後の調整弁で安易には認められないという法律論で押し返す4. 自分の訴訟追行が一貫していることを、初期からの書面と証拠で裏づける
時効(請求できる期限):信義則違反の主張それ自体に固有の時効はないが、攻撃防御方法は適切な時期に提出する義務があり(民訴156条)、時機に後れると却下されうる(民訴157条)。主張するなら、できるだけ早い段階で出すこと
学説
通説:民訴2条の信義誠実の原則は、明文化以前から判例・学説で認められてきた一般原理であり、禁反言・矛盾挙動の禁止・権利失効・訴権の濫用・クリーンハンズといった個別法理を包摂する一般条項として理解される。ただし最後の調整弁であり、安易な適用は手続の予測可能性を損なうとして慎重な運用が求められる。
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 信義誠実の原則を新設。旧民事訴訟法には訴訟上の信義則を定める明文規定がなく、判例・学説で認められてきた原理を初めて条文化した。裁判所の公正・迅速への責務と当事者の誠実義務を対の形で明示
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 新設:民事訴訟法全部改正により信義誠実の原則を新設。旧民事訴訟法には訴訟上の信義則を定める明文がなく、判例・学説で認められてきた原理を初めて条文化した。裁判所の公正・迅速への責務と当事者の誠実義務を対の形で明示した。
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