民事訴訟法 第31条(未成年者及び成年被後見人の訴訟能力)
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未成年者及び成年被後見人は、法定代理人によらなければ、訴訟行為をすることができない。ただし、未成年者が独立して法律行為をすることができる場合は、この限りでない。
この条文の基本情報
未成年者及び成年被後見人の訴訟能力とは何ですか?
定義未成年者及び成年被後見人の訴訟能力とは、民事訴訟法第31条に定められた規定で、「未成年者及び成年被後見人は、法定代理人によらなければ、訴訟行為をすることができない。ただし、未成年者が独立して法律行為をすることができる場合は、この限りでない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第31条(未成年者及び成年被後見人の訴訟能力)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第31条の条文原文は「未成年者及び成年被後見人は、法定代理人によらなければ、訴訟行為をすることができない。ただし、未成年者が独立して法律行為をすることができる場合は、この限りでない。」で始まります。
- 民事訴訟法第31条は第一節 当事者能力及び訴訟能力に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第31条の前の条は民事訴訟法第30条です。
- 民事訴訟法第31条の次の条は民事訴訟法第32条です。
- 民事訴訟法第31条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第31条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第31条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/31
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法31条は、未成年者と成年被後見人は法定代理人によらなければ訴訟行為ができないと定める。本人が単独でした行為は原則無効で、裁判所が職権で補正を命じる。
Q · 未成年の子や認知症の親に代わって、自分が裁判を起こせるの?
本人ではなく法定代理人が訴訟の窓口になります
民事訴訟法31条により、未成年者と成年被後見人は法定代理人(親権者・成年後見人)によらなければ訴訟行為ができません。本人が直接した提訴・和解・上訴は原則無効で、裁判所は補正を命じます(34条)。認知症の親の件ならまず家庭裁判所で後見開始の審判を受けて成年後見人を立て、未成年の子の件なら親権者が法定代理人として訴えます。ただし営業を許可された未成年者など独立して法律行為ができる範囲では本人が単独で訴訟できます。
解説
認知症が進んだ親に代わって、未払いの介護施設利用料を相手取って訴えたい。あるいは、17歳の子どもがネットで高額契約を結ばされ、その取消しを裁判で争いたい。このとき立ちはだかるのが民訴31条だ。未成年者と成年被後見人は、自分自身では訴訟行為ができない。訴状を出すことも、和解することも、上訴することも、すべて法定代理人(親権者や成年後見人)を通さなければ法律上の効力を持たない。本人が直接やった訴訟行為は原則無効で、裁判所は補正を命じる(34条)。逆に言えば、あなたが訴える相手が実は未成年者や被後見人だった場合、本人を被告にしただけでは手続に穴があく。誰を当事者の窓口にするかを最初に間違えると、裁判が始まる前から土俵に乗れない。ただし例外がある。営業を許可された未成年者など、独立して法律行為ができる範囲では、本人が単独で訴訟できる。
法的な位置づけ
民事訴訟法31条にいう訴訟能力とは、当事者として自ら有効に訴訟行為をし、また相手方や裁判所の訴訟行為を受ける能力をいう。未成年者および成年被後見人はこれを欠き、法定代理人によらなければ訴訟行為をすることができない。民法上の行為能力に対応する概念であり、その欠缺は裁判所の職権調査事項とされる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.本人の判断能力と立場を最初に確認する 訴訟の前に、本人が未成年者か、成年被後見人に当たる状態か、あるいは独立して法律行為ができる範囲かを確認する。立場によって誰が訴訟の窓口になるかが変わり、ここを誤ると入口でつまずく
- 2.成年被後見人の件は後見開始の審判を申し立てる 認知症等で判断能力が不十分な本人の件は、本人住所地を管轄する家庭裁判所に後見開始の審判を申し立て、成年後見人を選任してもらう。鑑定を含み数か月かかるため、訴訟の必要が見えた時点で早めに着手する
- 3.未成年の子の件は親権者が法定代理人として進める 未成年の子の返金請求等は、親権者である父母が法定代理人として訴訟を進める。訴状の当事者欄に本人名と法定代理人を正確に併記する。共同親権なら原則として双方が代理人になる
- 4.緊急で代理人が立てられないときは特別代理人を検討する 後見人選任を待つ時間がなく時効や上訴期限が迫る場合は、民訴35条の特別代理人の選任を申し立てるか、保全処分を検討する。並行して弁護士に相談し時間を確保する
- 5.相手側の訴訟能力に疑いがあれば裁判所に指摘する 相手があなたを訴えてきた場合や相手が未成年者・被後見人の可能性がある場合、訴訟能力は職権調査事項なので裁判所に指摘できる。裁判所は能力を調べ補正を命じ、相手の手続は一旦足止めされる
よくある質問 AI による整理
Q1訴訟能力とは何ですか?
訴訟能力とは、当事者として自ら有効に訴訟行為をし、相手方や裁判所の行為を受ける能力です。民法上の行為能力に対応し、未成年者・成年被後見人はこれを欠きます(民訴31条)。
Q2当事者能力と訴訟能力の違いは何ですか?
当事者能力は訴訟の当事者になれる資格(権利能力に対応)、訴訟能力は自ら有効に訴訟行為をできる資格(行為能力に対応)です。両者は別個の訴訟要件として区別されます。
Q3成年被後見人は自分で訴訟できますか?
原則できません。成年後見人が法定代理人として訴訟行為をします(民訴31条)。本人が単独でした行為は無効で、裁判所は補正を命じます(34条)。
Q4被保佐人や被補助人の訴訟能力はどうなりますか?
被保佐人・被補助人は原則として訴訟能力があり自ら訴訟できますが、訴えの取下げ・和解・請求の放棄等には保佐人等の同意を要します(民訴32条)。31条の成年被後見人とは扱いが異なります。
Q5訴訟能力がない人がした訴訟行為はどうなりますか?
原則として無効ですが、直ちに却下されるわけではなく、裁判所は補正を命じます。法定代理人が追認すれば行為の時に遡って有効になります(民訴34条)。
Q6特別代理人とはどんなときに選任されますか?
法定代理人がいない、または代理権を行使できない場合に、申立てにより裁判所が選任する代理人です(民訴35条)。後見人選任を待てない緊急時の受け皿になります。
Q7訴訟能力は裁判のどの段階で問題になりますか?
訴訟能力は訴訟要件であり、審級を問わず裁判所が職権で調査します。提訴時だけでなく控訴・上告のいずれの段階でも、欠缺があれば補正が求められます。
Q8訴訟能力を欠いたまま出た判決は有効ですか?
確定すれば一応有効ですが、訴訟能力や法定代理権の欠缺は再審事由になります(民訴338条1項3号)。後から判決が覆される余地が残ります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1子どもが勝手にゲームに課金した、親が取り戻せますか?
取り戻せる余地があります。未成年者が親権者の同意なくした契約は取り消せます(民法5条2項)。ただし返金を裁判で求める場合、訴訟能力のない子ども本人ではなく、親権者が法定代理人として訴えます(民訴31条)。実務のポイント:プラットフォーム側は「保護者の管理下にあった」として返金を渋ることが多い。子のアカウントと支払い手段が分離されていたか、課金時の操作状況の証拠を最初に押さえておくと、交渉が一気に有利になる。
Q2認知症の親に代わって、未払い分を相手に訴えたいのですが?
親に判断能力がなければ、まず家庭裁判所に後見開始の審判を申し立て、成年後見人を選任してもらう必要があります。後見人でなければ本人に代わって訴訟行為はできません(民訴31条)。実務のポイント:後見開始の審判は鑑定を含め数か月かかる。緊急に手を打つ必要があれば、特別代理人の選任(民訴35条)や保全処分という別ルートもある。時効が迫っているなら、申立てと並行して弁護士に保全策を相談するのが定石。
Q318歳の子は、もう一人で裁判を起こせますか?
起こせます。2022年4月1日から成年年齢が18歳になり、18歳・19歳は未成年者ではなくなりました(民法4条)。訴訟能力もあり、法定代理人なしで訴訟行為ができます。実務のポイント:境目に注意。2022年4月1日時点で既に18歳・19歳だった人は、その日に一斉に成年となった。子の契約トラブルで「未成年だから取り消せる」と思い込んでいると、実はもう成年で取消しが効かないことがある。
Q4相手が未成年だと知らずに訴えてしまったら、どうなりますか?
訴え自体が直ちに無効になるわけではありません。裁判所は訴訟能力の欠缺を職権で調べ、法定代理人による追認や補正を促します(民訴34条)。補正されれば手続は有効に進みます。実務のポイント:相手が未成年・被後見人だと後で判明すると、それまでの期日が無駄になり時間を大きく失う。提訴前に相手の年齢や後見登記(後見登記制度で確認できる)を当たっておくと、こうした足止めを避けられる。
間違えやすい点 AI による整理
- 「自分の権利のことなら、未成年でも自分で訴えられる」と思われがちだが、訴訟行為には民法上の行為能力とは別枠の訴訟能力が要る。子ども本人が単独でした提訴・和解・上訴は、原則として効力を持たない。法定代理人を通さない限り、裁判所の土俵には乗れない
- 「後見人をつければすぐ訴えられる」と考えて動き出す人がいるが、この問いの立て方がそもそも危うい。後見開始の審判は鑑定を含めて数か月かかることがあり、訴訟が必要になってから慌てて申し立てると、時効や上訴期限に間に合わない。順序が逆だと救済そのものを失う
- 訴訟能力の欠缺は「最初に補正すれば済む小さな手続ミス」と軽く見られがちだが、その深刻さは判決後にこそ表れる。能力を欠いたまま進んだ手続は、確定後でも再審事由になりうる(民訴338条1項3号)。入口の窓口設定を誤ると、勝った判決すら後から覆される余地が残る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象者 | 31条:未成年者・成年被後見人(訴訟無能力者) | 32条:被保佐人・被補助人 34条:訴訟能力を欠く者一般 |
| 自ら訴訟できるか | 原則不可、常に法定代理人を要する | 原則可、重要行為(和解・取下げ等)に同意を要する 欠缺があれば補正を要する |
| 効果 | 本人単独の行為は原則無効 | 同意を欠く重要行為のみ効力に問題 補正・追認で行為時に遡って有効(34条2項) |
| 例外・救済 | 独立して法律行為できる範囲は本人単独可(ただし書) | 同意があれば有効に行為できる 法定代理人不在なら特別代理人選任(35条) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も「独立して法律行為をもって義務を負える者は訴訟能力を有する」とし、無能力者は法定代理人によるとする点で日本と共通の構造
韓国も制限能力者の訴訟能力を制限し法定代理人によるとする。日本法を母体とする継受国として規律が近い
ドイツは訴訟能力(Prozessfähigkeit)を民法上の行為能力(Geschäftsfähigkeit)に連動させる。日本の訴訟能力制度の母法
米国は未成年者・無能力者について general guardian や next friend・guardian ad litem を通じた訴訟代理を定め、機能的に対応
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、判断能力の落ちた親に代わって相手を訴える必要が出てきたら、あなたはそのまま訴状を出せるだろうか。答えは否。まず家庭裁判所で後見開始の審判を受け、成年後見人を立てなければ、あなたの起こした訴訟は法律上の効力を持たない。窓口の整備が、提訴の前提になる
- 子どもがオンラインゲームで親のクレジットカードを使い、数十万円を課金した。返金を求めて事業者を訴えるとき、原告になるのは子ども本人ではない。親権者であるあなたが法定代理人として立つ。当事者欄の書き方を誤れば、補正命令で期日が一回飛ぶ
- あなたが貸金の回収で相手を訴えたところ、その相手が実は成年被後見人だったと審理の途中で判明した。本人を被告にしただけでは手続に穴があり、裁判所は職権で訴訟能力を調べ、成年後見人による追認や補正を促す。気付くのが遅いほど、無駄になる期日が増える
- 上訴期限はあと数日。だが本人に判断能力がなく、後見人もまだ選任されていない。本人が慌てて控訴状を出しても、それは原則無効。特別代理人の選任や保全の手当てを、残された時間で同時に走らせなければ間に合わない
- 親が営業の許可を与えた未成年者が、自分の事業の取引先と代金トラブルになった。この範囲では本人が独立して法律行為をできるため、ただし書が効いて、本人単独で訴訟を起こせる。例外の射程に入るかどうかで、立てるべき窓口が変わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 本人の判断能力の状態を確認する。認知症等で不十分なら、家庭裁判所に後見開始の審判を申し立て、成年後見人を選任する2. 未成年の子の件なら、親権者であるあなた自身が法定代理人として訴訟を進められる3. 後見人選任を待つ時間がなく緊急なら、特別代理人の選任(民訴35条)や保全処分を検討する4. 訴状の当事者欄は本人名+法定代理人を正確に記載、ここを誤ると補正で期日を失う
訴えられた側:1. あなた自身が被後見人・未成年なら、応訴も和解も法定代理人を通じて行う。本人だけで動いても効力が生じない2. 相手があなたを訴えてきた際、相手側の当事者に訴訟能力の欠缺があれば、職権調査事項として裁判所に指摘できる3. 本人がした不利な訴訟行為は、法定代理人が追認しない選択もできる(民訴34条) 4. 後見登記の有無を早期に確認し、手続の窓口を一本化する
時効(請求できる期限):訴訟能力の有無は審級を問わず裁判所が職権で調べる事項であり、特定の時効はない。ただし能力を欠いたまま進んだ手続は、判決確定後でも再審事由になりうる(民訴338条1項3号)。後見開始の審判は申立てから選任まで数か月かかるため、訴訟の必要が見えた時点で早めに着手すること
学説
通説:訴訟能力は訴訟要件であり裁判所の職権調査事項。未成年者・成年被後見人はこれを欠き法定代理人を要するが、その欠缺は補正・追認により遡及的に治癒されうる。被保佐人・被補助人は原則として訴訟能力を有し、一定の重要行為のみ同意を要すると解する。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法の全部改正により現行法が制定。訴訟無能力者と法定代理に関する規律を整理し、訴訟能力の原則を現行31条として配置(施行 平成10年/1998年)
- 2.平成11年(1999年) 改正:成年後見制度の導入に伴う関係法律の整備により、従来の「禁治産者」を「成年被後見人」に改める(施行 平成12年/2000年)。判断能力の段階に応じた保護類型へ移行
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