民事訴訟法 第35条(特別代理人)
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- 法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、未成年者又は成年被後見人に対し訴訟行為をしようとする者は、遅滞のため損害を受けるおそれがあることを疎明して、受訴裁判所の裁判長に特別代理人の選任を申し立てることができる。
- 2.裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。
- 3.特別代理人が訴訟行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。
この条文の基本情報
特別代理人とは何ですか?
定義特別代理人とは、民事訴訟法第35条に定められた規定で、「法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、未成年者又は成年被後見人に対し訴訟行為をしようとする者は、遅滞のため損害を受けるおそ…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第35条(特別代理人)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第35条の条文原文は「法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、未成年者又は成年被後見人に対し訴訟行為をしようとする者は、遅滞のため損害を受けるおそ…」で始まります。
- 民事訴訟法第35条は第一節 当事者能力及び訴訟能力に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第35条の前の条は民事訴訟法第34条です。
- 民事訴訟法第35条の次の条は民事訴訟法第36条です。
- 民事訴訟法第35条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第35条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第35条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/35
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法35条は、相手に訴訟能力がなく法定代理人もいないとき、遅滞による損害のおそれを疎明して受訴裁判所の裁判長に特別代理人の選任を申し立てられると定める。
Q · 相手が認知症で後見人もいない。それでも訴えることはできるの?
できる。裁判長に特別代理人の選任を申し立てれば訴訟は進む
民事訴訟法35条により可能です。相手が未成年者や成年被後見人で訴訟能力がなく(民訴31条)、法定代理人がいないか代理権を行使できない場合、訴訟行為をしようとする者が「遅滞のため損害を受けるおそれ」を疎明して、受訴裁判所の裁判長に特別代理人の選任を申し立てられます。疎明は完全な証明より緩いため、後見開始の審判確定を待つより速い。選ばれた特別代理人が相手方の窓口となり、時効が迫っていても訴訟を動かせます。
解説
貸した三百万円を返してほしい。だが相手は認知症が進み、すでに成年被後見人になっている。しかも後見人がまだ選任されていない、あるいは後見人本人があなたと利害が対立していて動けない。この状態だと、あなたは訴状を誰に送ればいいのか分からず、訴訟が一歩も進まない。法は訴訟能力のない者に直接訴訟行為をすることを認めないからだ(民訴31条)。民訴35条は、この袋小路を開ける鍵である。あなたは「待っていると損害を受けるおそれがある」ことを疎明(証明より緩く、一応確からしいと裁判官に思わせる程度の立証)し、その事件を担当する裁判所の裁判長に特別代理人の選任を申し立てられる。選ばれた特別代理人があなたの訴訟相手の窓口になり、訴訟が動き出す。相手に味方がいないから訴えられない、ではない。あなたの側から相手の窓口を作り出せる、という発想の転換がここにある。
法的な位置づけ
民事訴訟法35条は特別代理人の選任を定める規定であり、訴訟能力を欠く未成年者または成年被後見人に法定代理人がいないか、法定代理人が代理権を行使できない場合に、これらの者に対し訴訟行為をしようとする者が、受訴裁判所の裁判長に特別代理人の選任を申し立てる手続を規律する。選任は遅滞による損害のおそれの疎明を要件とする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.相手の訴訟能力と代理体制を確認 訴えたい相手が未成年者か成年被後見人かを確認し、法定代理人がいるか、いても利害対立等で代理権を行使できないかを、戸籍・後見登記事項証明書で裏付ける
- 2.遅滞による損害のおそれを疎明する資料を準備 時効完成が迫る、相手の財産が散逸しそう等、待っていると損害を受けるおそれを示す資料をそろえる。証明ではなく疎明で足りるため、一応確からしいと思わせる程度で良い
- 3.受訴裁判所の裁判長に選任を申し立てる 家庭裁判所ではなく、その訴えを担当する受訴裁判所の裁判長に特別代理人選任の申立書を提出する。申立書には当事者、対象となる訴訟、疎明事実を記載する
- 4.選任後、特別代理人を相手方に訴訟を進める 選ばれた特別代理人を相手方の窓口として訴状を送達し訴訟を進める。和解・取下げ・認諾を狙うなら、特別代理人が民訴32条2項の特別授権を得ているかを最初に書面で確認する
よくある質問 AI による整理
Q1特別代理人とは何ですか?
訴訟能力のない相手に法定代理人がいないとき、その訴訟限りで相手方の窓口となるよう裁判所が選任する代理人です。民事訴訟法35条が根拠で、訴訟が終われば任務も終わります。
Q2特別代理人の選任は誰に申し立てますか?
その事件を担当する受訴裁判所の裁判長に申し立てます。家庭裁判所ではなく、訴えを起こす(起こした)裁判所が窓口です。
Q3疎明とは何ですか?
証明より緩く、一応確からしいと裁判官に思わせる程度の立証です。特別代理人の選任は疎明で足りるため、後見開始審判の確定を待つより速く動けます。
Q4特別代理人と後見人の違いは何ですか?
後見人は本人の生活全般を代理する実体法上の制度、特別代理人は目の前の訴訟だけの窓口です。土俵が違い、後見人選任を待たずに特別代理人を立てられます。
Q5特別代理人の報酬は誰が払いますか?
通常は選任を申し立てた側が予納し、最終的に訴訟費用の一部として負担関係が決まります。中立の弁護士が選ばれることが多く、費用の見積りを事前に確認すべきです。
Q6成年被後見人を訴える方法は?
本人に直接は訴訟行為できません(民訴31条)。後見人がいればその人を、いないか動けないなら35条で特別代理人を選任してもらい、その人を相手に訴訟を進めます。
Q7特別代理人は後から変えられますか?
変えられます。民訴35条2項により裁判所はいつでも改任できます。不適切、利害対立の判明、職務怠慢などが改任を求める理由になります。
Q8民法826条の特別代理人とどう違いますか?
民法826条は親権者と子の利益相反のための実体法上の特別代理人、民訴35条は相手の訴訟無能力を補う手続上の特別代理人です。同じ家庭で交差することもあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1相手がボケてしまって話も通じないんですが、訴えること自体できるんですか?
できます。相手に訴訟能力がなくても(民訴31条)、法定代理人がいないか動けないなら、あなたが裁判所に特別代理人の選任を申し立てられます(35条)。証明ではなく疎明で足りるので、後見開始の審判確定を待つより速い。実務のポイント:特別代理人には中立の弁護士が選ばれることが多く、家族より冷静に損得で判断するため、かえって和解がまとまりやすい。相手に窓口がいないことは、必ずしも不利ではない
Q2選ばれた特別代理人と和解したのに、あとで「無効だ」と言われました。なぜ?
特別代理人が訴えの取下げ、和解、請求の放棄や認諾をするには、後見人と同じ特別の授権が必要だからです(35条3項、32条2項)。授権のないまま結んだ和解は効力を否定されることがある。実務のポイント:和解の前に、特別代理人がその和解について特別授権を得ているかを必ず書面で確認する。ここを飛ばすと、和解調書が後で覆り、訴訟が振り出しに戻る。弁護士でも見落とすことがある勘所
間違えやすい点 AI による整理
- 「相手に後見人がいないなら、後見開始の審判が確定するまで待つしかない」と問いを立てがちだが、その問いそのものがずれている。あなたは相手の後見人選任を待つ必要はなく、訴訟限りの特別代理人を自分で申し立てられる。後見は相手の生活全般の問題、35条は目の前の訴訟だけの問題、土俵が違う
- 特別代理人が立てば普通の代理人と同じように何でもできる、と軽く考えている人がいる。だが3項は重い。特別代理人が訴えの取下げ、和解、請求の放棄や認諾といった本人に決定的な行為をするには、後見人と同じ特別の授権が要る(民訴32条2項)。授権なしの和解は効力を否定されかねず、この落とし穴を知らないと、せっかくまとめた和解が後で覆る
- 「特別代理人は一度選ばれたら最後まで動かせない」と思われているが、2項により裁判所はいつでも改任できる。選ばれた人が不適切、利害対立が判明、職務怠慢、いずれも改任を求める理由になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 根拠と性質 | 民訴35条:相手の訴訟無能力を補う手続上の特別代理人 | 民訴31条:未成年者・成年被後見人は法定代理人によらねば訴訟行為不可(原則) 民法826条:親権者と子の利益相反のための実体法上の特別代理人 |
| 誰が・どこに申し立てる | 訴訟行為をしようとする者が、受訴裁判所の裁判長に申立て | 申立て不要(法定代理人が当然に代理) 親権者が家庭裁判所に請求 |
| 重要行為の制限 | 和解・取下げ・放棄・認諾には後見人同様の特別授権が必要(35条3項、32条2項) | 法定代理人の権限は民法その他の法令による(民訴28条) 選任された特別代理人が当該行為につき代理 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も訴訟無能力者に法定代理人がない等の場合、損害のおそれを理由に裁判長へ特別代理人選任を申し立てられる点で日本と酷似
韓国も訴訟能力を欠く者に法定代理人がいない等の場合の特別代理人選任を定め、日本法と同系統
ドイツは訴訟係属中、代理人を欠く当事者のために裁判所が臨時の訴訟代理人(Prozesspfleger)を選任。本条の淵源にあたる
米国は無能力者・未成年者の保護のため guardian ad litem を選任。手続限りの代理という点で機能的に対応
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが連帯保証人として肩代わりした債務の求償を主債務者本人に請求したい。だがその人は事故で意識が戻らず、成年後見の審判はまだ係属中。時効完成まであと二か月。後見人選任を待っていたら間に合わない。35条で特別代理人を立て、時効が完成する前に訴えを起こす
- もし、あなたが交通事故の加害者を訴えようとしたら、相手が事故で重度の障害を負い、その後見人が保険金を巡ってあなたと利害対立していたら? 後見人は相手の代理ができない。あなたは特別代理人の選任を申し立てて、訴訟の入口を自分で開く
- あなたの認知症の親に、見知らぬ業者が訴訟を起こした。ある日、裁判所から特別代理人選任の通知が届く。これは親の側の防御役が立てられた合図だ。誰が選ばれたか、その人が適切かを今すぐ確認する
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手が未成年者か成年被後見人か、法定代理人がいるか、いても利害対立で動けないかを戸籍や後見登記事項証明書で確認2.「遅滞のため損害を受けるおそれ」を疎明する資料を準備(時効が迫る、相手の財産が散逸しそう等) 3. その事件を扱う受訴裁判所の裁判長に特別代理人選任を申し立てる4. 選任後、特別代理人を相手方として訴状を送達し訴訟を進める。和解を狙うなら32条2項の特別授権の有無を最初に確認する
訴えられた側:1. 裁判所から特別代理人選任の通知が来たら、誰が選ばれたか、本人と利害対立がないかを確認2. 不適切なら2項に基づき改任を申し立てる3. 特別代理人が和解や請求の認諾など本人に不利な行為をしようとする場合、32条2項の特別授権が要ることを盾に、安易な処分を牽制4. 並行して正式な後見人の選任を急ぎ、本人本来の代理体制に戻す
時効(請求できる期限):特別代理人の選任申立てそれ自体に固有の期限はない。ただし背後にある請求権の消滅時効(民法166条、債権は権利行使できると知った時から5年、行使できる時から10年)は進行しており、相手に訴訟能力がなくても時効は止まらない。疎明できる損害のおそれが生じた時点が、申立てを急ぐ実質的な起算点(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:民訴35条の特別代理人は、相手方の訴訟無能力という訴訟障害を補い手続を進行させるための制度であり、その権限は当該訴訟の範囲に限られる。和解・取下げ・放棄・認諾など本人に決定的な処分行為には32条2項の特別授権を要し、これを欠く処分は効力を否定されうると解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法全部改正により旧法の規定を整理し、現行35条として特別代理人の選任・改任・特別授権を体系化
- 2.令和4年(2022年) 改正:民事訴訟手続のIT化に伴う改正。電磁的記録・オンライン手続に関する整備が行われた
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