民事訴訟法 第375条(判決による支払の猶予)
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- 裁判所は、請求を認容する判決をする場合において、被告の資力その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは、判決の言渡しの日から三年を超えない範囲内において、認容する請求に係る金銭の支払について、その時期の定め若しくは分割払の定めをし、又はこれと併せて、その時期の定めに従い支払をしたとき、若しくはその分割払の定めによる期限の利益を次項の規定による定めにより失うことなく支払をしたときは訴え提起後の遅延損害金の支払義務を免除する旨の定めをすることができる。
- 2.前項の分割払の定めをするときは、被告が支払を怠った場合における期限の利益の喪失についての定めをしなければならない。
- 3.前二項の規定による定めに関する裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
この条文の基本情報
判決による支払の猶予とは何ですか?
定義判決による支払の猶予とは、民事訴訟法第375条に定められた規定で、「裁判所は、請求を認容する判決をする場合において、被告の資力その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは、判決の言渡しの日から三年を超えない範囲内において、…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第375条(判決による支払の猶予)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第375条の条文原文は「裁判所は、請求を認容する判決をする場合において、被告の資力その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは、判決の言渡しの日から三年を超えない範囲内において、…」で始まります。
- 民事訴訟法第375条は第六編 少額訴訟に関する特則に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第375条の前の条は民事訴訟法第374条です。
- 民事訴訟法第375条の次の条は民事訴訟法第376条です。
- 民事訴訟法第375条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第375条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第375条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/375
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法375条は、少額訴訟で被告の資力を考慮し、判決言渡しから3年以内の支払猶予や分割払を判決に組み込める制度。分割を守り抜けば訴え提起後の遅延損害金が免除される。
Q · 少額訴訟で負けたら、判決に書いてある金額を一括で払うしかないの?
必ずしも一括ではなく、資力を示せば3年以内の分割払にできます
民事訴訟法375条により、少額訴訟で敗訴しても、裁判官が被告の資力その他の事情を考慮して、判決言渡しの日から3年以内の支払猶予や分割払を判決に組み込めます。さらに分割払を怠らず払い切れば、訴え提起後の遅延損害金が免除されます。ただし自動ではなく、被告が法廷で資力を主張しなければ裁判官は動けず、一括判決になります。分割払の定めには不服を申し立てられません(375条3項)。
解説
60万円以下のお金を巡る争いで、あなたが負けた。判決には「金30万円を支払え」と書いてある。だが今すぐ一括で払える貯金はない。ここで多くの人は「払えなければ給料や口座を差し押さえられる」と覚悟する。しかし少額訴訟には逃げ道が用意されている。民事訴訟法375条は、裁判官が被告の資力その他の事情を見て、判決の言渡しの日から3年以内の範囲で支払時期を遅らせたり、分割払にしたりできると定める。さらに、その分割をきちんと守って払い切れば、訴え提起後に膨らんだ遅延損害金を免除する定めまで付けられる。つまり、あなたが法廷で黙って一括判決を受けるか、それとも自分の懐事情を裁判官に開示して分割を引き出すかで、最終的に背負う総額も毎月のキャッシュフローも変わる。この制度は通常訴訟にはない、少額訴訟だけの仕組みである。
法的な位置づけ
民事訴訟法375条は、少額訴訟における支払の猶予及び分割払の定めを規定する。請求認容判決をする場合に、裁判所が被告の資力その他の事情を考慮し、判決言渡しの日から3年を超えない範囲で支払時期の定め又は分割払の定めをし、これに併せて訴え提起後の遅延損害金の支払義務を免除する定めをすることができる旨を定める。通常訴訟には存在しない少額訴訟固有の制度である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.法廷に必ず出席する 少額訴訟の期日には絶対に出席する。欠席すれば資力を主張する者がいないため一括判決が出て、後から375条3項により分割を求める手段も消える。出席こそが分割払の入口
- 2.資力を示す資料を持参する 給与明細・預金残高・他の借入返済予定など、自分の支払能力を客観的に示す資料を揃える。裁判官は被告の資力その他の事情を考慮して375条を発動するため、資料があるほど分割を認めやすい
- 3.具体的な月額と回数を自分から申し出る 口頭弁論で「月いくらなら3年以内で確実に払える」と、金額と回数をセットで提示する。漠然と『分割でお願いします』より、具体的な数字を出すほうが裁判官は判決に組み込みやすい
- 4.分割払の定めが付いたら期限を厳守する 分割払の定めには375条2項により必ず期限の利益喪失条項が付く。一度でも怠れば残額全部が即時一括請求に変わり、遅延損害金免除も消える。引落口座に毎月の入金を確実にしておく
よくある質問 AI による整理
Q1少額訴訟とは何ですか?
60万円以下の金銭の支払を求める紛争を、原則1回の審理で簡易迅速に解決する特別な手続です(民訴368条)。多くは本人で起こせます。
Q2少額訴訟の分割払は最長何年ですか?
判決言渡しの日から3年を超えない範囲です(375条1項)。これを超える長期分割を判決で定めることはできません。
Q3分割払を守れば遅延損害金は本当に消えますか?
はい。分割払の定めを期限の利益を失わずに払い切れば、訴え提起後の遅延損害金の支払義務が免除されます(375条1項後段)。
Q4被告が欠席したら分割払になりますか?
なりません。資力を主張する被告がいないため、裁判官は一括払いの判決を出します。分割を望むなら法廷への出席が必須です。
Q5分割払の定めに不服があるときはどうすればいいですか?
分割払・支払猶予の定め自体には不服を申し立てられません(375条3項)。争えるのは判決全体への異議のみです。
Q6通常訴訟でも分割払にできますか?
できません。375条の支払猶予・分割払は少額訴訟に限った制度で、通常訴訟では一括払いの判決が原則です。
Q7少額訴訟の判決に異議を出す期限はいつまでですか?
判決書の送達を受けた日から2週間以内に、判決をした簡易裁判所へ異議を申し立てます(民訴378条)。
Q8原告でも相手の分割払を覚悟すべきですか?
はい。被告が資力を示し分割払の定めが付くと、原告は満額を即時回収できず、最長3年かけて受け取る立場になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1少額訴訟で負けたら、その場で一括で払わないとダメなんですか?
必ずしも一括ではありません。375条により、裁判官があなたの資力を考慮して3年以内の支払猶予や分割払を判決に組み込めます。ただし自動ではなく、あなたが法廷で資力を主張しないと裁判官は動けません。実務のポイント:被告が出席して『分割でなら払える』と具体的な月額を提示すると、裁判官は実務上かなり柔軟に分割払を認めます。逆に欠席や沈黙だと一括判決になり、後から3項によって分割を求める手段は残りません。出席して語るかどうかが分水嶺です
Q2分割払にしてもらったあと、一回くらい払い忘れても大丈夫ですよね?
危険です。375条2項により、分割払の定めには必ず『支払を怠ったら期限の利益を喪失する』条項が付きます。一度でも振込を怠ると、残額全部が即座に一括請求に変わり、せっかくの遅延損害金免除も失われます(同条1項後段)。実務のポイント:期限の利益喪失条項は『○回分以上滞ったとき』のように猶予幅を持たせる定め方もありますが、判決でどう設計されるかは裁判官次第。判決言渡しの場で、喪失条件が一回の遅滞なのか複数回なのかを必ず確認しておくべきです
間違えやすい点 AI による整理
- 「判決で負けたら、書いてある金額を一括で払うしかない」と思い込んでいる人が多い。だが少額訴訟では、裁判官が職権で分割払や支払猶予を判決に組み込める。あなたが知っているべきは、この調整が自動では起きないという深刻な事実だ。被告が資力を主張しなければ裁判官は動けず、黙っていた者だけが一括判決を背負う
- 「分割払にしてもらえれば、あとは遅れても少しずつ払えばいい」と軽く考える人がいる。実は375条2項で、分割払を定めるときは必ず『一度でも怠ったら期限の利益を失う』条項を付けることが義務づけられている。一回でも振込を忘れれば、残額全部が即座に一括請求に変わり、遅延損害金免除の特典も吹き飛ぶ
- 「分割払の条件が気に入らなければ、その部分だけ争えばいい」と考えるのは、問いの立て方が間違っている。375条3項は、分割払や支払猶予の定めそのものには一切不服を申し立てられないと定める。争えるのは判決全体に対する異議(2週間以内)だけ。条件だけをピンポイントで覆す手続は存在しない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 375条:支払の猶予・分割払・遅延損害金免除の定め | 368条:少額訴訟の要件(60万円以下の金銭請求) 376条:認容判決への仮執行宣言 |
| 誰が動くか | 裁判所が職権で判決に組み込む(被告の資力主張が前提) | 原告が少額訴訟を選択して提起 裁判所が職権で仮執行を宣言 |
| 不服申立て | 定め自体には不服申立て不可(375条3項) | 要件を欠けば通常訴訟へ移行 判決全体への異議(378条)で争う |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は少額訴訟に限らず、裁判所が職権で分期給付(分割給付)・緩期清償(支払猶予)を宣告できる点で、日本375条と機能が近い。
韓国は少額事件審判法で簡易迅速な少額紛争解決を図る。日本のような分割払の明文の調整弁は同法に直接は置かれていない。
フランスは少額手続に限らず、裁判官が債務者の状況に応じ最長2年の支払猶予・繰延べを命じられる一般規定を持つ。
米国は州ごとに少額裁判所が設けられ、判決後の分割払命令の可否や上限は州法により大きく異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、敷金を返してくれない大家を少額訴訟で訴えたら、相手が逆に「未払い家賃がある」と反論して、あなたが一部敗訴したらどうなる? そのとき大家側が375条で分割払を申し出れば、あなたは満額を一度に回収できず、3年がかりで少しずつ受け取ることになる。原告でも、相手の分割払を覚悟しておく必要がある
- 副業の報酬を踏み倒され、相手を少額訴訟で訴えた。勝訴したが、被告が法廷で「失業中で月2万円ずつしか払えない」と資力を示した。裁判官は375条を発動し、分割払の判決を出す。あなたは即金回収を期待していたのに、毎月2万円の振込を3年間待つ立場になる
- あと2週間。少額訴訟の判決書が届き、分割払の定めが付いた。この定めには不服を申し立てられない(375条3項)。判決全体に異議があるなら、判決書を受け取った日から2週間以内に異議を出さなければ、分割払の条件がそのまま確定する
- 被告として法廷に立つあなたが、何も主張せず黙っていたとする。裁判官はあなたの資力を知る手がかりがないまま、一括払いの判決を出す。その瞬間、分割払を引き出すチャンスは消える。発言したかしなかったか、その一点で結果が分かれる
取るべき行動
被害を受けた側:あなたが債権者(原告)で勝訴を狙う場合。1. 相手の資力をある程度調べておく、無資力なら判決を取っても分割払にされ即時回収できない可能性を計算に入れる2. 口頭弁論で、相手が分割払を求めてきたら、分割期間が長すぎないか、頭金を取れないかを主張する3. 分割払の定めが付いても、相手が一度でも怠れば375条2項により期限の利益を失い、残額全部に強制執行できる4. 判決確定後、相手が払わなければ民事執行法に基づく差押えを準備する
訴えられた側:あなたが被告(債務者)で支払能力に不安がある場合。1. 法廷に出席し、絶対に黙らない、欠席すれば一括判決が出て分割の道が消える2. 給与明細・預金残高など資力を示す資料を持参し、裁判官に「月いくらなら3年以内で払える」と具体的に申し出る3. 分割払の定めが付いたら、必ず期限を守る、一度の遅滞で375条2項により残額一括請求と遅延損害金が復活する4. 1項後段の遅延損害金免除を受けられるか、判決内容をその場で確認する
時効(請求できる期限):375条1項・2項の定めに対しては3項により不服申立て不可。判決全体に異議があるなら、判決書の送達を受けた日から2週間以内に少額訴訟をした簡易裁判所へ異議を申し立てる(民事訴訟法378条)。支払猶予・分割払の範囲は判決言渡しの日から3年を超えられない。具体的な期間・条件は最新の改正状況をご確認ください
学説
通説:375条の支払猶予・分割払は裁判所の裁量に委ねられ、被告の資力その他の事情が要件となる。2項の期限の利益喪失条項は義務的であり、3項により当該定めには独立の不服申立てができず、判決全体への異議(378条)でのみ争えると解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 少額訴訟制度の創設に伴い375条を新設(平成10年〔1998年〕施行)。簡易迅速な少額紛争解決のため、裁判官が被告の資力を考慮して支払猶予・分割払・遅延損害金免除を判決に組み込む権限を定めた。新設規定であり、それ以前に対応条文は存在しない
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 新設:民事訴訟法全部改正により少額訴訟制度を創設し、375条を新設(平成10年〔1998年〕施行)。被告の資力を考慮した支払猶予・分割払・遅延損害金免除の権限を裁判所に与えた。それ以前に対応条文は存在しない。
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