民事訴訟法 第376条(仮執行の宣言)
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- 請求を認容する判決については、裁判所は、職権で、担保を立てて、又は立てないで仮執行をすることができることを宣言しなければならない。
- 2.第七十六条、第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。
この条文の基本情報
仮執行の宣言とは何ですか?
定義仮執行の宣言とは、民事訴訟法第376条に定められた規定で、「請求を認容する判決については、裁判所は、職権で、担保を立てて、又は立てないで仮執行をすることができることを宣言しなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第376条(仮執行の宣言)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第376条の条文原文は「請求を認容する判決については、裁判所は、職権で、担保を立てて、又は立てないで仮執行をすることができることを宣言しなければならない。」で始まります。
- 民事訴訟法第376条は第六編 少額訴訟に関する特則に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第376条の前の条は民事訴訟法第375条です。
- 民事訴訟法第376条の次の条は民事訴訟法第377条です。
- 民事訴訟法第376条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第376条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第376条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/376
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法376条は、少額訴訟の請求認容判決について裁判所が職権で仮執行を宣言しなければならないと定める。勝訴者は確定を待たず強制執行でき、相手の異議だけでは執行は止まらない。
Q · 少額訴訟で勝ったら、すぐに相手の財産を差し押さえられる?
はい、判決に仮執行宣言が必ずつくので即時に動けます
民事訴訟法376条により、少額訴訟で請求認容判決が出ると、裁判所は職権で必ず仮執行を宣言します。通常訴訟と違い裁判官の裁量ではなく義務です。そのため勝訴者は判決の確定を待たず、判決正本と送達証明書を揃えれば直ちに相手の銀行口座や給料を差し押さえられます。相手が異議を申し立てても執行は自動では止まらず、止めたい相手の側が別に強制執行停止を申し立てて担保を積む必要があります(民訴403条)。
解説
貸した30万円が返ってこない。退去したのに敷金が戻らない。フリーランスで納品した報酬を踏み倒された。こうした60万円以下の金銭トラブルであなたが少額訴訟を起こし、勝訴すると、その判決には必ず仮執行宣言がつく。376条が「裁判所は職権で宣言しなければならない」と命じているからだ。通常の裁判なら仮執行をつけるかどうかは裁判官の裁量だが、少額訴訟では義務。つまりあなたは、判決の確定を待たずに、勝った瞬間から相手の銀行口座や給料を差し押さえる準備に入れる。相手が異議を申し立てて通常訴訟に移っても、執行は自動では止まらない。止めたい相手の側が、別に執行停止を申し立てて担保を積まねばならない。この一条が、少額訴訟をただの紙の勝訴ではなく、実際に金が取れる制度にしている。
法的な位置づけ
民事訴訟法376条は、少額訴訟における仮執行宣言を定める規定である。請求を認容する判決について、裁判所は職権で、担保を立てて又は立てないで仮執行をすることができる旨を宣言しなければならないとし、通常訴訟(民訴259条)の裁量的付与を少額訴訟では義務に転換する。これにより少額債権の迅速な強制的実現を制度的に担保する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.訴える前に相手の財産を特定 仮執行宣言は判決と同時につくため、執行先がなければ宝の持ち腐れになる。振込履歴・名刺・過去のやり取りから相手の銀行名と支店名、勤務先、売掛先を押さえておく
- 2.簡易裁判所に少額訴訟を提起 60万円以下の金銭請求であることを確認し、訴状を相手方住所地等を管轄する簡易裁判所に提出する。同一裁判所での提起は年10回までの制限がある
- 3.勝訴判決と仮執行宣言を取得 請求認容判決には職権で仮執行宣言が付される(376条)。判決正本と、相手に判決が届いたことを示す送達証明書を裁判所で取得する
- 4.執行裁判所に債権差押命令を申立て 判決正本と送達証明書を債務名義として、執行裁判所に債権差押命令を申し立て、相手の口座や給料を押さえる。相手の異議を待つ必要はない
よくある質問 AI による整理
Q1少額訴訟の仮執行とは何ですか?
勝訴判決の確定を待たずに強制執行できる効力です。民事訴訟法376条により、少額訴訟の認容判決には裁判所が職権で必ず仮執行宣言を付します。
Q2少額訴訟は何円まで使えますか?
60万円以下の金銭の支払いを求める請求に限られます(民訴368条)。それを超える額や金銭以外の請求は通常訴訟になります。
Q3少額訴訟の仮執行は相手の異議で止まりますか?
止まりません。異議申立て(民訴378条)だけでは執行は継続します。止めるには別に強制執行停止の申立てと担保供託が必要です(民訴403条)。
Q4少額訴訟の判決に控訴はできますか?
できません。不服がある場合は送達から2週間以内の異議申立てで通常訴訟へ移行します。その間も仮執行は生きています。
Q5仮執行宣言付き判決で何を差し押さえられますか?
相手の銀行預金、給料債権、売掛金などの債権が中心です。執行裁判所に債権差押命令を申し立てて押さえます。
Q6少額訴訟は年に何回まで起こせますか?
同一の簡易裁判所で年10回までという回数制限があります(民訴368条1項)。濫用防止のための上限です。
Q7少額訴訟の仮執行を止める担保はいくら必要ですか?
裁判所が定めますが、請求額に相当する額を求められることが多いです。60万円の執行を止めるのに数十万円を積む構図になります。
Q8少額訴訟と支払督促はどちらが早いですか?
相手が争わなければ支払督促が早い場合もありますが、争われた場合は少額訴訟が一期日審理で仮執行まで一気に進むため確実です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1少額訴訟で勝ったのに相手が払いません。どうすればいいですか?
判決に仮執行宣言がついているので(376条)、確定を待たずに強制執行できます。相手の口座や給料を差し押さえるには、判決正本と送達証明書を持って執行裁判所に債権差押命令を申し立てます。実務のポイント:回収の成否は『相手の財産を特定できているか』でほぼ決まります。口座は銀行名と支店名まで分からないと差し押さえられない。判決を取る前に、振込履歴や名刺、過去のやり取りから取引銀行と勤務先を押さえておくのが回収率を左右します
Q2少額訴訟で負けて、給料を差し押さえると言われました。止められますか?
止められますが、異議申立て(民事訴訟法378条)だけでは執行は止まりません。これが最大の落とし穴です。執行を止めるには別に強制執行停止の申立て(民事訴訟法403条)を行い、裁判所が定める担保金を供託する必要があります。実務のポイント:この担保は請求額に相当する額を求められることが多く、60万円の差押えを止めるために数十万円を積む構図になります。だから敗訴側は『異議を出せば安心』ではなく、担保を積めないなら先に差し押さえられる前提で動くしかありません
間違えやすい点 AI による整理
- 「裁判で勝てば相手は払う」と思いがちだが、判決はただの紙にすぎない。相手が任意に払わなければ強制執行が必要になる。376条の仮執行宣言は、その強制執行を判決確定前から可能にする入口であって、勝訴と回収は別物だ
- 仮執行宣言がつくこと自体は知っていても、それが「相手の異議では止まらない」ことの重みを知らない人が多い。異議を出した敗訴者は、執行を止めたければ自ら執行停止を申し立て、担保を供託しなければならない。攻守の立場が普通の裁判と逆転している
- 「少額訴訟は金額が小さいから弱い制度」という前提そのものが誤りだ。むしろ仮執行宣言が必須な分、通常訴訟より執行力の立ち上がりが速い。60万円以下なら、回収のスピードでは少額訴訟が通常訴訟を上回ることが多い
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 仮執行宣言の付与 | 民訴376条:少額訴訟の認容判決に職権で必ず付す(義務) | 民訴259条:通常訴訟は裁判官の裁量で付す 民訴368条:少額訴訟の利用要件(60万円以下) |
| 対象と上限 | 少額訴訟の金銭請求(60万円以下) | 金銭・非金銭を問わず通常訴訟全般 60万円以下の金銭請求、年10回まで |
| 執行を止める手段 | 敗訴者は強制執行停止+担保供託が必要(民訴403条) | 控訴+執行停止申立て そもそも要件を欠けば通常訴訟へ |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も小額訴訟で被告敗訴判決に職権で仮執行を宣告する点が日本376条と酷似する。簡易迅速な少額回収を執行力の早期付与で支える設計が共通。
韓国は少額事件審判法で独立の簡易手続を設け、判決に仮執行宣言を付す運用。回収の迅速性を重視する点で日本と方向性が一致。
ドイツは少額事件(§ 495a)で簡易な手続裁量を認め、§ 708で一定の判決に担保なしの仮執行可能性を法定。職権的色彩は日本ほど強くない。
米国の少額裁判所は州ごとに制度が異なるが、簡易迅速な少額紛争解決と早期の執行を志向する点で機能的に共通する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 敷金20万円を返さない大家を相手に少額訴訟で勝った。判決と同時に仮執行宣言がつくから、相手が異議を出せる2週間を待たず、その足で口座差押えの準備に入れる。動きが遅れて残高を抜かれる前に、判決正本と送達証明を揃えられるかが勝負
- あなたが少額訴訟で訴えられ、欠席したまま敗訴した。判決が出た瞬間、相手はあなたの給料の一部を差し押さえられる。「異議を出せば差押えは止まる」と思っていたら誤解、異議だけでは執行は止まらず、別に執行停止の申立てと担保が要る
- 相手が「控訴する」と言えば取り立ては止まるのか。いや、少額訴訟に控訴はない。異議で通常訴訟に移るだけで、その間も仮執行は生きている
- 業務委託で納品した50万円が未払い。少額訴訟で勝てば即仮執行で、相手企業の取引口座を差し押さえられる。回収を諦めかけていた報酬が、勝訴の瞬間に現実の現金へ近づく
取るべき行動
被害を受けた側:1. 訴える前に相手の財産を特定:銀行名・支店・勤務先・差押可能な債権。仮執行宣言は判決と同時につくので、執行先がなければ宝の持ち腐れ2. 簡易裁判所に少額訴訟を提起(60万円以下の金銭請求のみ、同一裁判所で年10回まで) 3. 勝訴判決には自動で仮執行宣言。判決正本と送達証明書を取得4. 直ちに執行裁判所に債権差押命令を申し立て、相手の口座や給料を押さえる。相手の異議を待つ必要はない
訴えられた側:1. 訴状が届いたら無視は厳禁、欠席すると相手の主張どおりの判決に仮執行宣言までつく2. 判決に納得できなければ送達日から2週間以内に異議申立て(民事訴訟法378条)、通常訴訟へ移行3. ただし異議だけでは執行は止まらない。差押えを止めたいなら強制執行停止の申立て(民事訴訟法403条)を行い、裁判所が命じる担保を供託する4. 担保を積めないなら先に差し押さえられる前提で、本案で争いつつ早期和解も検討
時効(請求できる期限):仮執行宣言は勝訴判決と同時に職権で付され、執行開始までの待機期間はない。敗訴者が争うには判決書送達日から2週間以内に異議申立て(民事訴訟法378条)、執行を止めるには別途、強制執行停止の申立て(民事訴訟法403条)と担保供託が必要
学説
通説:民訴376条の職権仮執行は、少額訴訟が60万円以下かつ一期日審理の簡易手続であることから、迅速な権利実現を執行力の早期付与で担保する趣旨と解される。誤った執行のリスクは少額ゆえの原状回復の容易さと、敗訴者の執行停止+担保供託(民訴403条)で吸収される。
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 少額訴訟制度の新設に伴い本条を新設(平成10年・1998年施行)。少額訴訟の請求認容判決には職権で仮執行を宣言しなければならないと定め、簡易迅速な回収を制度化した。新設後の本条文言の実質的変更について、近年のIT化関連改正の影響は最新の改正状況をご確認ください
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 新設:民事訴訟法全部改正により少額訴訟制度を創設、本条を新設(平成10年・1998年施行)。請求認容判決には職権で仮執行を宣言しなければならないと定め、簡易迅速な回収を制度化した。
- 2.令和4年(2022年) 改正:民事訴訟手続の IT 化に関する改正。少額訴訟を含む手続の電子化が進められた。本条の実質的内容への影響は最新の改正状況をご確認ください。
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