民事訴訟法 第368条(少額訴訟の要件等)
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- 簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。ただし、同一の簡易裁判所において同一の年に最高裁判所規則で定める回数を超えてこれを求めることができない。
- 2.少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない。
- 3.前項の申述をするには、当該訴えを提起する簡易裁判所においてその年に少額訴訟による審理及び裁判を求めた回数を届け出なければならない。
この条文の基本情報
少額訴訟の要件等とは何ですか?
定義少額訴訟の要件等とは、民事訴訟法第368条に定められた規定で、「簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。ただし、同一の簡…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第368条(少額訴訟の要件等)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第368条の条文原文は「簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。ただし、同一の簡…」で始まります。
- 民事訴訟法第368条は第六編 少額訴訟に関する特則に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第368条の前の条は民事訴訟法第367条です。
- 民事訴訟法第368条の次の条は民事訴訟法第369条です。
- 民事訴訟法第368条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第368条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第368条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/368
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法368条は、60万円以下の金銭の支払請求について簡易裁判所での少額訴訟を認める。申述は訴え提起の際に必要で、同一簡裁・同一年に年10回までの利用制限がある。
Q · 貸したお金や戻らない敷金、弁護士を雇うと赤字になる金額でも裁判で取り返せる?
60万円以下の金銭請求なら簡易裁判所の少額訴訟が使えます
民事訴訟法368条により、60万円以下の金銭の支払請求であれば、簡易裁判所で少額訴訟による審理及び裁判を求めることができます。原則1回の期日で即日判決が出て、勝訴判決には仮執行宣言が付きます。ただし二つの制限があります。一つは同一簡裁・同一年に最高裁判所規則で定める回数(年10回)まで。もう一つは申述を訴え提起の際にしなければならず、後出しはできません。被告が通常訴訟への移行を申述すれば(民訴373条)通常手続へ移ります。
解説
友人に貸した50万円が返ってこない。退去したのに敷金が戻らない。フリーランスで納品したのに報酬が未払いのまま。こうした「金額はそこそこ、でも弁護士を雇うと赤字」という宙ぶらりんの請求に、日本の司法はちゃんと専用の裏口を用意している。それが民事訴訟法368条の少額訴訟だ。60万円以下の金銭の支払いを求める訴えなら、簡易裁判所で原則1回の期日、その日のうちに判決が出る。通常訴訟のように何か月も通う必要はない。手数料も数千円、本人でも十分戦える設計になっている。ただし条文は同時に二つの制限を刻んでいる。一つは「同一の簡易裁判所で同一の年に」最高裁判所規則の定める回数(現在は年10回)を超えて使えないこと。もう一つは、申述は訴え提起のその時にしなければならず、後から「やっぱり少額訴訟で」とは言えないこと。あなたが知るべきは、この制度が存在することそのものではなく、入口で一度きりの選択を迫られるという事実だ。
法的な位置づけ
民事訴訟法368条は少額訴訟の要件を定める規定であり、訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払請求について、簡易裁判所での簡易迅速な審理及び裁判を求めうる旨を規定する。その申述は訴え提起の際に行う必要があり、同一の簡易裁判所において同一の年に利用しうる回数は最高裁判所規則の定める回数に制限される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.請求が60万円以下の金銭請求か確認 請求の目的が「金銭の支払」で、訴額が60万円以下かを確認する。超える場合は一部請求に絞って少額訴訟を使うか、通常訴訟にするかを天秤にかける。一部に絞ると放棄した残額が取り戻せなくなる恐れがある点に注意
- 2.証拠を固める 借用書、契約書、振込記録、LINE 等のやりとり、督促の履歴を集める。少額訴訟は原則1回の期日で即時に取り調べできる証拠で勝負するため(民訴370条)、書面と即時提出できる証拠を中心に準備する
- 3.管轄の簡易裁判所へ訴え提起と同時に少額訴訟を申述 被告の住所地または義務履行地を管轄する簡易裁判所の窓口で、定型の訴状用紙を受け取り記入する。訴え提起の際に少額訴訟による審理・裁判を求める旨を申述し、その年に同一簡裁で少額訴訟を求めた回数を届け出る(民訴368条2項・3項)
- 4.期日に出頭し、即日判決を得る 原則1回の期日で審理が行われ、その日のうちに判決が言い渡される。被告が通常訴訟への移行を申述した場合は通常手続へ移る(民訴373条)ため、その可能性も想定しておく
- 5.勝訴判決の仮執行宣言で強制執行に進む 勝訴判決には仮執行宣言が必要的に付される(民訴376条)ため、確定を待たずに相手の預金・給与の差押え準備に入れる。相手の取引銀行と支店名を事前に把握しておくと判決直後に動ける
よくある質問 AI による整理
Q1少額訴訟とは?
60万円以下の金銭の支払請求について、簡易裁判所で原則1回の期日・即日判決を受けられる簡易迅速な手続です(民訴368条)。本人訴訟が前提に設計されています。
Q2少額訴訟の費用はいくら?
訴額に応じた印紙代(数百〜数千円)と郵便切手代が中心で、数千円程度に収まることが多いです。弁護士を立てなくても申立てできる設計です。
Q3少額訴訟は年に何回まで使える?
同一の簡易裁判所において同一の年に、最高裁判所規則で定める回数(現在は年10回)までです(民訴368条1項ただし書、民訴規則223条)。
Q4少額訴訟はどこの裁判所に申し立てる?
原則として被告の住所地または義務履行地を管轄する簡易裁判所です。地方裁判所ではなく簡易裁判所に申し立てます。
Q5少額訴訟の申述はいつまでにする?
訴えの提起の際にしなければなりません(民訴368条2項)。提訴後に「やはり少額訴訟で」と後出しすることはできません。
Q6少額訴訟で60万円を超える請求はできる?
できません。訴額60万円以下が要件です。一部に絞れば使えますが、放棄した残額は後で取り戻せなくなる恐れがあります。
Q7少額訴訟の判決に控訴できる?
控訴はできません(民訴377条)。できるのは同じ簡易裁判所への異議申立てで、異議後は通常手続で審理し直されます。
Q8少額訴訟の判決が確定したらどうなる?
確定判決は債務名義となり、相手の預金や給与に対する強制執行が可能です。勝訴判決には仮執行宣言が付くため、確定を待たず差押え準備に入れます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1弁護士なしで本当に一人で少額訴訟なんてできるんですか?
できる前提で設計された制度です。簡易裁判所の窓口には定型の訴状用紙があり、書記官が記入を案内してくれます。期日も原則1回、複雑な法律論より事実と証拠で勝負します(民訴370条)。実務のポイント:弁護士に頼むと費用倒れになる金額帯だからこそ、本人訴訟が前提なのです。むしろ少額訴訟に弁護士を立てると、回収できる額より報酬の方が高くつくことが多い。司法書士なら簡裁代理権の範囲内で安く頼める選択肢もある
Q2相手が裁判所に来なかったら、自動的に勝てますか?
被告が答弁書も出さず期日に欠席すれば、原則としてあなたの主張を認めたものとして扱われ、勝訴判決が出ます。判決には仮執行宣言が付くので、すぐ差押えの準備に入れます。実務のポイント:問題は勝訴判決を取った後です。判決は「払え」と命じるだけで、裁判所が代わりに取り立ててはくれない。相手の預金口座や勤務先を自分で特定して強制執行をかける必要があるので、訴える前に相手の財産の在りかを掴んでおくのが勝負どころです
間違えやすい点 AI による整理
- 「少額訴訟を選べば、必ず一日で終わって即日判決が出る」と思っている人が多い。これは制度の半分しか見ていない。被告が最初の期日で通常訴訟への移行を申し出れば、あなたの意思に関係なく通常手続へ移る(民訴373条)。相手が時間稼ぎをしたい場合、この移行カードを切られると一日決着の前提が消える。少額訴訟の速さは、相手の同意の上に成り立っている
- 「金額が60万円を少し超えるだけだから、端数を諦めれば少額訴訟が使えるはず」と考える人がいるが、ここは盲点だ。請求を一部に絞って60万円以下に収めること自体は可能だが、いったん放棄した残りの請求権は、原則として後から別訴で取り戻せなくなる恐れがある。目先の手軽さのために、放棄した数万円が永久に消える
- 「少額訴訟の判決に不満なら、地裁に控訴できる」と思い込んでいる人は要注意。少額訴訟の判決に対して控訴はできない(民訴377条)。できるのは同じ簡易裁判所への異議申立てだけで、異議後は通常手続で審理し直される。控訴審という上のステージは、この制度では最初から閉じている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用要件 | 民訴368条:訴額60万円以下の金銭支払請求・簡易裁判所・年10回まで | 民訴373条:被告の申述による通常手続への移行 民訴370条:一期日審理の原則 |
| 審理の進行 | 原則1回の期日で即日判決 | 通常訴訟として複数期日で審理 特別の事情がない限り最初の期日で審理完結 |
| 不服申立て | 控訴不可、同一簡裁への異議申立てのみ(民訴377条・378条) | 通常手続の判決として控訴可能 — |
| 判決の特則 | 仮執行宣言の必要的付与(民訴376条)・支払猶予分割判決(民訴375条) | 通常の仮執行宣言ルール — |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は訴額10万元以下を小額訴訟の対象とし、簡易な手続と上訴制限を置く点で日本の少額訴訟と機能的に類似する
韓国は少額事件を別個の法律で規律し、訴額3000万ウォン以下を対象とする。簡易迅速な審理を志向する点で日本と共通
ドイツは少額訴訟という独立制度ではなく、600ユーロ以下の事件で裁判所が裁量により手続を簡略化できる簡易手続を置く
米国は州ごとに少額裁判所を設け、弁護士関与を制限し本人訴訟を前提とする。訴額上限は州により異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- アパートを退去したのに、大家が「クリーニング代」を口実に敷金20万円を返さない。原状回復のガイドライン上、通常損耗は借主負担ではない。あなたはこの20万円を、弁護士を雇わず、簡易裁判所の少額訴訟で取り返せる。訴状の書き方は裁判所の窓口で定型用紙をもらえる
- 副業で受けた業務委託の報酬15万円が、納品から3か月経っても振り込まれない。相手は中小企業で、催促してものらりくらり。少額訴訟なら一期日で決着がつき、勝訴判決には仮執行宣言が付くので、確定を待たずに相手の預金を差し押さえる準備に入れる
- もし、相手があなたの少額訴訟に対して「通常訴訟に移してくれ」と申し出たら、どうなる? 答えは、あなたに拒否権はない。被告が最初の期日で通常移行を申述すれば、事件は自動的に通常訴訟へ移る(民訴373条)。一日決着の目論見はそこで崩れる
- あなたが同じ簡易裁判所で今年すでに10回少額訴訟を使っていたら、11回目は受け付けてもらえない。家賃滞納を繰り返す借主を多数抱える小規模オーナーが、この年10回の壁にぶつかる。回数を使い切ったら通常訴訟に回すしかない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 請求額が60万円以下の金銭支払いか確認、超える場合は一部請求で収めるか通常訴訟かを天秤にかける2. 証拠を固める:借用書、契約書、振込記録、LINE等のやりとり、督促の履歴3. 相手の住所地または義務履行地を管轄する簡易裁判所へ、訴え提起と同時に少額訴訟の申述をする(後出し不可、民訴368条2項)。その年の利用回数も届け出る4. 勝訴判決に付く仮執行宣言を使い、相手の預金・給与の差押えへ進む。相手の取引銀行を事前に把握しておく
訴えられた側:1. 訴状が届いたら、まず請求の根拠と金額に争いがあるか精査する2. 争点が複雑で一期日では尽くせない、証人を多数呼びたい等の場合は、最初の期日で通常訴訟への移行を申述する(民訴373条)。これはあなたの権利で、相手は拒めない3. 反訴を立てたい事情があるなら、少額訴訟では反訴禁止(民訴369条)のため、通常移行が必要4. 支払い自体は認めるが一括が苦しい場合、判決での分割・猶予(民訴375条)を求める余地がある
時効(請求できる期限):少額訴訟自体に固有の出訴期限はないが、請求権そのものに消滅時効がある。貸金や売掛金などの債権は、原則として権利を行使できると知った時から5年(民法166条1項)。時効が完成すると請求の中身が正しくても回収できない。判決に不服の場合の異議申立ては判決書送達から2週間以内(民訴378条)
学説
通説:民訴368条の少額訴訟は、少額の請求に通常訴訟の重い手続を強いることが事実上の権利救済の閉鎖となる問題意識から新設された制度であり、簡易迅速な審理(一期日審理・即日判決)と被告の通常移行権(373条)による手続保障の調整によって、司法アクセスと防御権の両立を図るものと解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 少額訴訟制度を新設(平成10年・1998年施行)。当初の訴額上限は30万円以下とされた
- 平成15年(2003年)改正 訴額上限を30万円以下から60万円以下に引き上げ(平成16年・2004年施行)、より幅広い少額請求を制度の対象に取り込んだ
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 新設:民事訴訟法全部改正により少額訴訟制度を新設(平成10年・1998年施行)。当初の訴額上限は30万円以下とされた
- 2.平成15年(2003年) 改正:訴額上限を30万円以下から60万円以下に引き上げ(平成16年・2004年施行)、より幅広い少額請求を制度の対象に取り込んだ
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