民事訴訟法 第80条(担保の変換)
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裁判所は、担保を立てた者の申立てにより、決定で、その担保の変換を命ずることができる。ただし、その担保を契約によって他の担保に変換することを妨げない。
この条文の基本情報
担保の変換とは何ですか?
定義担保の変換とは、民事訴訟法第80条に定められた規定で、「裁判所は、担保を立てた者の申立てにより、決定で、その担保の変換を命ずることができる。ただし、その担保を契約によって他の担保に変換することを妨げない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第80条(担保の変換)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第80条の条文原文は「裁判所は、担保を立てた者の申立てにより、決定で、その担保の変換を命ずることができる。ただし、その担保を契約によって他の担保に変換することを妨げない。」で始まります。
- 民事訴訟法第80条は第二節 訴訟費用の担保に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第80条の前の条は民事訴訟法第79条です。
- 民事訴訟法第80条の次の条は民事訴訟法第81条です。
- 民事訴訟法第80条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第80条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第80条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/80
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法80条は、担保を立てた者の申立てにより、裁判所が決定で担保の変換を命じることができると定める。現金から銀行保証への入れ替えも可能で、但書は契約による変換も認める。
Q · 仮差押えのために供託した現金は、訴訟が終わるまで動かせないの?
できる。裁判所の決定か相手方との契約で別の担保に入れ替えられる
民事訴訟法80条により、担保を立てた者の申立てがあれば、裁判所は決定でその担保の変換を命じることができます。供託した現金を銀行の支払保証委託契約や有価証券に入れ替えれば、担保の目的(相手の損害填補)は維持したまま現金だけを手元に戻せます。さらに但書は、相手方と合意すれば裁判所の決定を経ずに契約だけで担保を入れ替えることも認めています。訴訟係属中でも担保の中身は固定ではなく、79条の担保の取消しとは別の制度です。
解説
仮差押えで相手の財産を凍結するために、あなたは数百万円の現金を供託所に積んだ。訴訟が終わるまでその現金は戻らない。多くの人はそう思い込んでいる。だが民事訴訟法80条は、担保を立てた者の申立てにより、裁判所が決定でその担保の『中身』を入れ替えることを認めている。現金を、銀行が発行する支払保証委託契約(銀行があなたに代わって支払いを保証する契約)に変える。それだけで凍結されていた現金が手元に戻り、運転資金として動かせる。担保の目的(相手の損害の填補)は維持されたまま、あなたの資金繰りだけが解放される。さらに但書は、相手方と合意できれば裁判所の決定すら経ずに、契約だけで担保を入れ替えられると定める。訴訟が長引くほど、この一手の価値は膨らむ。
法的な位置づけ
民事訴訟法80条が定める担保の変換とは、担保を立てた者の申立てに基づき、裁判所が決定でその担保を同等価値の他の担保に入れ替えることを命じる手続をいう。供託物を取り戻す担保の取消し(79条)と異なり、訴訟係属中でも担保の中身のみを入れ替える点に特徴があり、但書により当事者間の契約による変換も認められる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.現在の供託担保を確認する 供託書を手元に用意し、供託している担保の種類(現金・有価証券)と金額、担保を命じた裁判所を確認する。変換の前提となる現状把握
- 2.変換先の担保を準備する 現金から支払保証委託契約への変換が最も多い。銀行に保証料を払い、民訴76条が認める支払保証委託契約に基づく保証書を取得する
- 3.担保変換の申立書を提出する 担保を命じた裁判所に担保変換の申立書を提出し、決定を得る。変換前後の担保価値が同等であることを疎明する
- 4.供託金の取戻請求を行う 変換が認められたら供託所に供託金の取戻請求を行い、拘束されていた現金を回収する。回収後は運転資金等として運用できる
- 5.(任意)但書の契約変換を検討する 相手方との関係が良好なら、裁判所の決定を経ず但書の契約による変換を検討する。決定手続より速く安く済むため、対立が深まる前に打診する
よくある質問 AI による整理
Q1担保の変換とは何ですか?
供託した担保を同等価値の別の担保に入れ替える手続です。民事訴訟法80条が根拠で、現金を銀行の支払保証委託契約などに変える際に使われます。
Q2担保の変換と担保の取消しの違いは何ですか?
変換(80条)は訴訟中でも担保の中身を入れ替えるもの、取消し(79条)は担保事由が消滅した後に担保そのものを取り戻すものです。訴訟係属中なら原則は変換です。
Q3供託した現金はいつ取り戻せますか?
訴訟係属中は原則として取り戻せませんが、80条で銀行保証など別の担保に変換すれば、現金部分を供託所から取戻請求できます。
Q4支払保証委託契約とは何ですか?
銀行が供託者に代わって相手方への支払を保証する契約です。民訴76条が認める担保方法の一つで、現金担保の代替として広く使われます。
Q5仮差押えで積んだ担保も変換できますか?
できます。民事保全法4条が民訴80条を準用しているため、仮差押え・仮処分の担保も同じ手続で入れ替えられます。
Q6担保変換の申立てはどこにしますか?
担保を命じた裁判所(保全裁判所等)に担保変換の申立書を提出します。裁判所が決定で変換を命じれば供託金の取戻しが可能になります。
Q7担保変換に相手方の同意は必要ですか?
裁判所の決定による変換(本文)では相手方の同意は不要ですが、但書の契約による変換では相手方との合意が前提になります。
Q8担保を銀行保証に変えると費用はかかりますか?
銀行に支払う保証料が発生します。相場は年率1% 前後で、現金を長期間寝かせる機会損失と比較して判断するのが一般的です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1現金で供託した担保を、訴訟が終わる前に銀行保証に変えられるって本当ですか?
本当です。民事訴訟法80条で、担保を立てた者の申立てにより裁判所が決定で担保を変換できます。供託した現金を、民訴76条が認める担保方法の一つである銀行の支払保証委託契約に入れ替えれば、現金は供託所から取り戻せます。実務のポイント:銀行に払う保証料は年率1% 前後が相場。数百万円の現金を二年寝かせる機会損失と比べれば、変換したほうが得なケースが多い。弁護士は資金繰りに余裕のない依頼者にこそ勧めるが、聞かれないと自分からは言わないことも多い
Q2裁判所を通さずに担保を入れ替える方法があると聞きました。どういうことですか?
80条但書のことです。相手方(担保について権利を持つ者)と合意すれば、契約によって担保を他の担保に変換できます。裁判所の決定手続を経ない分、速く安く済みます。実務のポイント:この契約変換は相手の同意が前提なので、訴訟が泥沼化する前、まだ双方に交渉余地があるうちにしか使えない。関係が壊れてからでは相手は協力しないので、変換を考えるなら早い段階で打診するのが鉄則
間違えやすい点 AI による整理
- 担保として供託した現金は訴訟が終わるまで一切戻らない、と思い込んでいる。実は『変換』(80条) と、担保事由が消えた後に取り戻す『担保の取消し』(79条) は別物。変換なら訴訟が続いている最中でも、担保の中身を入れ替えることで現金部分を解放できる
- 『供託した担保をどうやって取り戻すか』と問う人が多いが、その問いがそもそも間違っている。訴訟が続いている間に担保そのものを取り戻すのは原則できない。正しい問いは『担保の中身をどう入れ替えるか』。取り戻すのではなく、入れ替えるのだ
- 80条但書の存在は、知識としては知っていても深刻度を見落としている。裁判所の決定を待たずとも相手方と合意すれば契約だけで担保を入れ替えられる。これを軽視すると、わざわざ時間のかかる裁判所への申立て手続を選んでしまい、その間ずっと現金が拘束され続ける
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 目的 | 民訴80条:訴訟中に担保の中身を別の担保へ入れ替える | 民訴79条:担保事由消滅後に担保そのものを取り戻す 民訴76条:担保として用いることのできる担保方法を定める |
| 訴訟係属中の可否 | 係属中でも可能(中身のみ入れ替え) | 担保事由が消滅した後に行う(原則係属終了後) 供託時点で選択する担保の種類の規定 |
| 現金の解放 | 変換により現金部分を取戻請求できる | 取消決定後に供託物全部を取り戻す —(担保方法の枠組み規定) |
| 相手方の関与 | 決定による変換は同意不要、但書の契約変換は同意必要 | 相手方の同意または権利行使の催告等が前提 — |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾も供託物・保証書の変換を当事者または供託人の申立てにより裁判所が裁定で許可する点で日本と類似する
韓国も担保提供者の申立てにより法院が決定で供託担保物を変更できると定め、日本80条本文とほぼ同一の構造を持つ
ドイツは担保の種類(供託・保証)を裁判所が定め、当事者間の別段の合意も認める。担保方法の柔軟な変更を許す点で発想を共有する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 中小企業のあなたが取引先の売掛金を保全するため仮差押えを申し立て、担保として500万円を供託した。本案訴訟は一年経っても終わらず、その500万円は運転資金として喉から手が出るほど欲しい。80条で銀行の支払保証委託契約に変換すれば、担保はそのまま、現金だけが手元に戻る
- もし訴訟の途中で資金繰りが逼迫してきたら? 供託した現金担保を銀行保証へ変換して現金を引き出すこともできるし、逆に余剰の有価証券を担保に充てて現金を温存することもできる。担保の中身は最後まで固定ではない
- あなたが仮差押えを受けた債務者側で、相手の積んだ担保が値下がりリスクの高い株式だったとしたら? 相手が担保変換を申し立てたとき、変換先が自分の損害を確実に填補できるか、決定が出る前に意見を述べられる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 現在供託している担保の種類と金額を確認(供託書を手元に) 2. 変換先を決める。現金から支払保証委託契約への変換が最も多い、銀行に保証料を払い保証書を取得3. 担保を命じた裁判所(保全裁判所等)に担保変換の申立書を提出して決定を得る4. 相手方との関係が良ければ但書の契約変換も検討、決定手続より速い5. 変換が認められたら供託所に供託金の取戻請求を行う
訴えられた側:1. 相手の担保変換申立てが届いたら、変換先の担保が自分の損害を十分カバーするか精査2. 変換先が値下がりリスクのある有価証券や評価の不確かな不動産なら、担保価値の不足を理由に意見を述べる3. 信用力ある金融機関の支払保証委託契約への変換なら、争う実益は乏しい4. 但書の契約変換は自分の同意が前提なので、不利なら合意しない選択肢がある
時効(請求できる期限):担保変換に特定の時効はない。担保が存続する限り、訴訟が係属している間はいつでも申立て可能。ただし担保の事由が消滅した場合は、変換ではなく担保の取消し(民事訴訟法79条)の手続に移る。実務上は資金拘束の機会損失が日々発生するため、長期化を見込んだ時点が動くべき時
学説
通説:担保の変換は、変換前後の担保価値の同等性が確保され、担保権者の保全の利益を害しないことを要件とする。裁判所の決定による変換では同等性を審査し、但書の契約による変換では担保権者の同意により不利益を防止する二段構えで均衡を図ると解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法全部改正に伴い、旧法の担保変換規定を現行80条として整理。担保を立てた者の申立てによる決定変換と、但書の契約変換を明定した。
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