民事訴訟法 第92条の4(専門委員の関与の決定の取消し)
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裁判所は、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、専門委員を手続に関与させる決定を取り消すことができる。ただし、当事者双方の申立てがあるときは、これを取り消さなければならない。
この条文の基本情報
専門委員の関与の決定の取消しとは何ですか?
定義専門委員の関与の決定の取消しとは、民事訴訟法第92条の4に定められた規定で、「裁判所は、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、専門委員を手続に関与させる決定を取り消すことができる。ただし、当事者双方の申立てがあるときは、これを取り消…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第92条の4(専門委員の関与の決定の取消し)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第92条の4の条文原文は「裁判所は、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、専門委員を手続に関与させる決定を取り消すことができる。ただし、当事者双方の申立てがあるときは、これを取り消…」で始まります。
- 民事訴訟法第92条の4は第一款 専門委員に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第92条の4の前の条は民事訴訟法第92条の3です。
- 民事訴訟法第92条の4の次の条は民事訴訟法第92条の5です。
- 民事訴訟法第92条の4には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第92条の4 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第92条の4(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/92_4
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法92条の4は、専門委員の関与決定の取消しを定める。裁判所は相当と認めれば職権でも取り消せるが、当事者双方が申し立てれば必ず取り消さなければならない。
Q · 裁判所がつけた専門委員を、訴訟の途中で外すことはできるの?
できる。特に当事者双方で申し立てれば必ず外せる
民事訴訟法92条の4により、裁判所は相当と認めるとき、申立てまたは職権で専門委員の関与決定を取り消すことができます。一人で申し立てた場合は「相当と認めるとき」という裁判所の裁量判断となり、却下される余地があります。しかし当事者双方が取消しを申し立てたときは、裁判所はこれを取り消さなければならず(ただし書)、裁量の余地はゼロになります。専門委員の説明が一方に偏っていると感じたら、相手方と組んで双方申立てに持ち込むのが最も確実な手段です。
解説
医療過誤や建築瑕疵、特許侵害。こうした専門的な訴訟では、裁判所が「専門委員」という中立の技術者を手続に関与させることがある。証人でも鑑定人でもない。裁判官が技術的背景を理解するための「説明役」だ。問題は、この専門委員が反対尋問を受けないまま、裁判官の心証にじわじわ影響しうる点にある。もしその説明が相手方寄りに偏っていたら、あなたは防御の機会がないまま不利になっていく。ここで効くのが92条の4だ。あなたは関与の取消しを申し立てられる。ただし一人で求めても、「相当と認めるとき」という裁判所の裁量次第。本当の切り札はただし書にある。当事者双方が取消しを申し立てれば、裁判所は取り消さなければならない。裁量の余地はゼロになる。敵対する相手方と、専門委員を外す一点でだけ手を組む。その発想を持っているかどうかで、専門訴訟の盤面は変わる。
法的な位置づけ
民事訴訟法92条の4は、専門委員の関与決定の取消しを定める規定である。裁判所は相当と認めるとき、申立てまたは職権で関与決定を取り消すことができ、当事者双方の申立てがある場合には必ず取り消さなければならない。専門委員制度(92条の2)に対する手続的な安全装置として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.専門委員の氏名・所属・経歴を確認する 関与決定が出たら、まず専門委員の氏名・所属・専門分野・経歴を確認する。次の期日で具体的な技術説明が始まる前に、人物像を把握しておくことが後の判断の前提になる
- 2.相手方との利害関係を調査し、取消しか忌避かを選別する 専門委員と相手方の利害関係(同門・顧問歴・取引関係)を調べる。利害関係があれば92条の6の除斥・忌避、単に説明が偏るだけなら92条の4の取消しを選ぶ
- 3.偏りの兆候を記録に残す 取消しは「相当と認めるとき」の裁量判断なので、説明の偏りを示す客観的記録が要る。期日調書、専門委員の説明内容のメモ、不利な前提に立った発言を時系列で保存する
- 4.相手方代理人と双方申立てを調整する 相手方代理人と水面下で「この専門委員はお互いやりにくい」という共通の不満を確認できれば、双方申立てに持ち込む。双方がそろえば裁判所は必ず取り消さなければならない
- 5.取消申立書を提出する 偏りの具体的記録を添えて取消申立書を提出する。双方申立ての場合は両当事者の申立書をそろえる。専門委員の技術説明が裁判官の心証に組み込まれる前、できるだけ早期に動く
よくある質問 AI による整理
Q1専門委員とは何ですか?
医療・建築・知財などの専門訴訟で、裁判官が技術的背景を理解するために手続に関与する中立の専門家です(民訴92条の2)。証拠を出す鑑定人とは別で、その説明自体は証拠になりません。
Q2専門委員の関与を取り消すにはどうすればいいですか?
民訴92条の4により、申立てまたは職権で取消しが可能です。一人で求める場合は裁判所の裁量判断ですが、当事者双方が申し立てれば裁判所は必ず取り消さなければなりません。
Q3専門委員の除斥・忌避と取消しの違いは?
取消し(92条の4)は関与そのものをやめさせる手段、除斥・忌避(92条の6)は利害関係のある特定の専門委員だけを外す手段です。状況に応じて使い分けます。
Q4専門委員の報酬は誰が払うのですか?
専門委員には旅費・日当・報酬が支払われ、最終的には訴訟費用の一部として敗訴当事者が負担するのが原則です。鑑定よりも費用負担が軽い点が利点とされます。
Q5専門委員はいつ手続に関与しますか?
裁判所が当事者の意見を聴いた上で関与決定をした時点から関与します。争点整理、証拠調べ、和解のいずれの段階でも関与が可能です(民訴92条の2)。
Q6専門委員の関与は職権でも取り消せますか?
取り消せます。民訴92条の4は「申立てにより又は職権で」と定めており、当事者の申立てがなくても裁判所が自ら相当と認めれば関与決定を取り消せます。
Q7専門訴訟とはどんな訴訟ですか?
医療過誤、建築瑕疵、特許侵害など、専門的・技術的な知識がなければ事実認定が難しい類型の訴訟を指します。専門委員制度はこうした訴訟を念頭に設けられています。
Q8専門委員の説明は判決の証拠になりますか?
なりません。専門委員の説明は裁判所が技術的背景を理解するための補助にすぎず、証拠資料ではありません。証拠としたい場合は別途鑑定や書証の手続が必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1専門委員って、鑑定人とどう違うんですか?
鑑定人は専門的知識に基づく判断(鑑定意見)を証拠として提供し、反対尋問の対象になります。専門委員は証拠を出すのではなく、裁判所が事案の技術的背景を理解するための説明をする立場で、その説明自体は証拠になりません(92条の2)。実務のポイント:証拠にならないからこそ厄介で、反対尋問で崩せないまま裁判官の心証に入り込む。だから不満があれば92条の4の取消しで関与そのものを断つしかない
Q2一人で取消しを求めても無視されたら、もう打つ手はないんですか?
片方だけの申立ては「相当と認めるとき」という裁判所の裁量判断なので、却下されることもあります。ですが相手方も同じ専門委員に不満なら、双方で申し立てれば裁判所は必ず取り消さなければなりません(92条の4ただし書)。実務のポイント:敵対する相手方と専門委員を外す一点だけで利害が一致する場面は意外に多い。代理人同士が水面下で合意して双方申立てに持ち込むのは、実務で使われる現実的な一手だ
間違えやすい点 AI による整理
- あなたから見れば専門委員は「中立の技術アドバイザー」だが、訴訟戦略から見れば「反対尋問できないまま裁判官の心証に入り込む声」。この落差を知らないと、不利な技術説明をされても口を挟む発想すら浮かばず、黙って受け入れてしまう
- 専門委員に異議を出せること自体は知っていても、「一人で申し立てても裁判所の裁量次第」という重さを甘く見ている人が多い。本当の切り札は双方申立てにある。両当事者がそろえば裁判所に裁量はなく、必ず取り消される(92条の4ただし書)。一人で動くか、二人で動くかで、結果の確実性が天と地ほど違う
- 「専門委員の意見は証拠になるから怖い」という問いの立て方そのものが誤っている。専門委員の説明は証拠資料ではなく、裁判所の理解を助ける説明にすぎない(鑑定人とは別物)。怖いのは証拠価値ではなく、記録に残らない形で裁判官の心証に影響する点だ。怖がる場所を間違えると、対抗手段も間違える
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 92条の4:専門委員の関与決定の取消し | 92条の2:専門委員を手続に関与させる決定 92条の6:専門委員の除斥及び忌避 |
| 排除の対象 | 専門委員の関与そのもの(制度の利用を停止) | (関与を開始させる権限) 利害関係のある特定の専門委員(人を交代) |
| 裁判所の裁量 | 片方申立ては裁量、双方申立ては必要的取消し(裁量ゼロ) | 当事者の意見を聴いた上で裁判所が決定 除斥事由は当然、忌避は理由を疎明して判断 |
| 使う場面 | 説明が偏る・関与自体が不要と判断したとき | 専門的事項の理解補助が必要なとき 専門委員に相手方との利害関係があるとき |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾は知的財産事件に限り技術審査官を置くが、当事者の双方申立てによる必要的取消しのような排除手続は明文化されていない
韓国は2007年に日本の専門委員制度を参考に専門審理委員制度を導入した。関与の取消し・忌避に関する規律も概ね対応する
米国の Technical Advisor / Special Master は非証拠的な技術補助の機能で専門委員に近いが、当事者双方の申立てによる必要的取消しという仕組みは持たない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが医療過誤で病院を訴えている。第二回期日に裁判所が「専門委員として大学病院の教授に関与してもらう」と言い出した。その教授が、被告病院と同じ医学界の重鎮だったら? 専門委員は証人と違って反対尋問で崩せない。だが92条の4を使えば、あなたは関与の取消しを申し立てられる。氏名と所属を聞いた瞬間、相手方との接点を調べ始めるかどうかが分かれ目になる
- 建築瑕疵訴訟で施工会社側についたあなた。裁判所が選んだ専門委員が、原告寄りの前提で技術説明を続けている。一人で取消しを求めても裁判所の裁量次第。だが相手方も同じ専門委員に不満なら、双方で申し立てれば裁判所は取り消さなければならない
- 特許侵害訴訟で、専門委員が技術説明をした次回期日まであと10日。その説明が自社に不利な前提で進んでいると気づいた。取消しは「相当と認めるとき」に裁判所が判断するので、説明の偏りを示す期日調書やメモを次回までに準備しないと、裁量取消しの主張は形だけで終わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 関与決定が出たら、専門委員の氏名・所属・経歴を確認し、相手方との利害関係(同門、顧問歴、取引)を調べる2. 利害関係があれば92条の6の除斥・忌避、なく単に説明が偏るだけなら92条の4の取消しを使い分ける3. 取消しは「相当と認めるとき」の裁量判断なので、偏りの具体的記録(期日調書、説明内容のメモ)を添えて申し立てる4. 最強手は相手方代理人と双方申立てに持ち込むこと。そろえば裁判所は取り消さなければならない
訴えられた側:1. 相手方が単独で取消しを申し立てても、片方だけなら裁判所は「相当と認めるとき」しか取り消せない。関与の有用性を主張して維持を求める2. 専門委員の説明が公正であることを記録上明確にしておく3. ただし双方申立てになれば取消しは確定するので、自分も内心不満なら逆に双方申立てを選ぶ戦略もある4. 専門委員の関与は証拠ではなく裁判所の理解の補助にすぎない点を踏まえ、それに依存しない立証計画を別途用意する
時効(請求できる期限):取消しの申立てに法律上の特定の期間制限はないが、専門委員の技術説明が裁判官の心証に組み込まれる前に動くことが実質的な期限となる。関与決定後できるだけ早期に申し立てるのが鉄則。なお当事者双方の申立てによる必要的取消しは当事者の権利であり、時期を問わず行使できる
学説
通説:専門委員の説明は証拠資料ではなく、裁判所が専門的事項を理解するための補助にすぎないと解されている。92条の4ただし書の当事者双方の申立てによる取消しは必要的であり、手続の公正性を担保するための当事者の権利として位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年)民事訴訟法改正(平成16年施行) 専門委員制度の新設に伴い92条の2から92条の7が新設され、本条(92条の4)も関与決定の取消しを定める規定として新設された。当事者双方の申立てによる必要的取消しは、制度導入時の手続的公正性への懸念に応えた安全装置である
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:専門委員制度の創設に伴い92条の2から92条の7が新設され、本条(92条の4)も関与決定の取消し規定として設けられた(平成16年施行)。当事者双方の申立てによる必要的取消しは、制度導入時の手続的公正性への懸念に応えた安全装置である。
- 2.令和4年(2022年) 改正:民事訴訟の IT 化に伴う改正で、専門委員の関与方法(音声送受信等)に関する周辺規定が整備された。
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