民事訴訟法 第92条の3(音声の送受信による通話の方法による専門委員の関与)
クイックジャンプ
裁判所は、前条第一項、第三項及び第四項の規定により専門委員を手続に関与させる場合において、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、同条第一項、第三項及び第四項の期日において、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が専門委員との間で音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、専門委員に同条第一項、第三項及び第四項の説明又は発問をさせることができる。
この条文の基本情報
音声の送受信による通話の方法による専門委員の関与とは何ですか?
定義音声の送受信による通話の方法による専門委員の関与とは、民事訴訟法第92条の3に定められた規定で、「裁判所は、前条第一項、第三項及び第四項の規定により専門委員を手続に関与させる場合において、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、同条第一項、第三項及び第四項…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第92条の3(音声の送受信による通話の方法による専門委員の関与)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第92条の3の条文原文は「裁判所は、前条第一項、第三項及び第四項の規定により専門委員を手続に関与させる場合において、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、同条第一項、第三項及び第四項…」で始まります。
- 民事訴訟法第92条の3は第一款 専門委員に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第92条の3の前の条は民事訴訟法第92条の2です。
- 民事訴訟法第92条の3の次の条は民事訴訟法第92条の4です。
- 民事訴訟法第92条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第92条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第92条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/92_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法92条の3は、専門委員が遠隔地に居住するとき等に、裁判所が当事者の意見を聴いて音声の送受信により専門委員を手続に関与させられると定める規定である。
Q · 専門委員が遠方にいるとき、電話やウェブ会議で裁判に参加させていいの?
裁判所は当事者の意見を聴いて音声通話で関与させられます
民事訴訟法92条の3により、専門委員が遠隔地に居住するなど相当と認められる場合、裁判所は当事者の意見を聴いたうえで、電話やウェブ会議の音声送受信によって専門委員に説明や発問をさせることができます。重要なのは「当事者の意見を聴いて」が要件である点です。図面や現物を一緒に検討すべき事件で音声参加が不利なら、当事者は対面での関与を求める意見を述べられます。専門委員の説明はあくまで裁判官の理解を助けるもので、鑑定人の意見と違って証拠にはなりません。
解説
医療ミスを疑って病院を訴えた、建てた家に欠陥が見つかって施工会社と争っている、特許の侵害をめぐって技術論で対立している。こうした技術が勝敗を分ける裁判で、多くの当事者は「専門的なことは裁判官と専門家が決めるもので、素人の自分は黙って待つしかない」と思い込む。それは半分だけ正しい。たしかに裁判官が技術を理解するため、中立の専門家「専門委員」を手続に関与させることがある。医師、建築士、技術者などだ。だが92条の3が定めるのは、その専門委員が遠方に住むなどの事情で電話やウェブ会議の音声で関与する場合、裁判所はあなたの意見を聴かなければならない、という一点だ。誰を専門委員にするか、対面か遠隔か、その関与の形にあなたは口を出せる。利害関係のある専門家なら異議を述べられるし、図面を一緒に見る必要があるなら対面を求められる。黙って待つ当事者と、関与の形を設計する当事者では、技術論の土俵が変わる。
法的な位置づけ
民事訴訟法92条の3は、専門委員の音声送受信による手続関与を定める規定であり、専門委員が遠隔地に居住するなど相当と認められる場合に、裁判所が当事者の意見を聴いたうえで、電話やウェブ会議の音声を通じて専門委員に説明または発問をさせる手続を規律する。専門委員の関与(92条の2)の遠隔的な実施方法を補完する位置づけにある。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.専門委員の打診があったら人選と参加方法を確認 裁判所が専門委員の関与を打診してきたら、まず候補者の氏名・経歴・所属を確認し、音声参加か対面参加かをチェックする。関与決定が出る前のこの段階が、形を変えられる唯一の窓
- 2.中立性を精査し利害関係があれば意見を述べる 候補の専門委員が相手方や相手方業界と取引・利害関係がないか調べる。問題があれば、関与決定の前に中立性への意見を述べ、必要なら92条の7の除斥・忌避を視野に入れる
- 3.物証検討が核心なら対面関与を求める意見を述べる 図面・現物・画像を専門委員と一緒に検討すべき事件では、音声参加だと伝わりにくい。裁判所が意見を聴く局面で、合理的な理由を示して対面での関与を求める
- 4.関与決定後に問題があれば取消しを協議 関与決定が出た後でも、関与の形に重大な問題があれば92条の4の取消しを相手方と協議する。双方の合意が原則必要なため、相手方への働きかけ方を検討する
よくある質問 AI による整理
Q1専門委員とは何ですか?
裁判官が技術的な事柄を理解するのを助ける中立の専門家です。医師・建築士・技術者などが選ばれ、その説明は証拠ではなく裁判官の理解を補助するものです。
Q2専門委員はどんな事件で関与しますか?
医療過誤、建築瑕疵、特許侵害など技術が争点になる訴訟で多く関与します。専門用語や技術論の理解に裁判官の補助が必要な事件が典型です。
Q3専門委員の関与はいつ決まりますか?
裁判所が関与の決定をする前に当事者の意見を聴く局面で決まります。意見を述べられるのはこの決定前の一瞬で、逃すと関与が既成事実化します。
Q4専門委員の関与に当事者は意見を言えますか?
言えます。92条の3は音声送受信で関与させる前に裁判所が当事者の意見を聴くと明記しています。人選や参加方法に意見を述べられます。
Q5専門委員の音声参加とはどういう仕組みですか?
裁判所・当事者双方が専門委員と音声送受信により同時に通話できる方法で、電話やウェブ会議の音声で専門委員が説明・発問する仕組みです。
Q6専門委員の関与決定は取り消せますか?
92条の4により当事者双方の申立て(合意)があれば関与決定を取り消せます。一方だけでは覆しにくいため、決定前の意見表明が重要です。
Q7専門委員に利害関係がある場合はどうなりますか?
92条の7が専門委員の除斥・忌避を定めており、相手方と取引があるなど中立性に問題があれば除斥・忌避を申し立てられます。
Q8専門委員制度はいつ作られましたか?
平成15年(2003年)の改正で創設されました。92条の3はその際、遠隔地の専門委員を音声送受信で関与させる仕組みとして新設されました。
この条文についての質問 AI による整理
Q1専門委員って、鑑定人とどう違うんですか?
専門委員(92条の2、92条の3)は裁判官が技術的な事柄を理解するのを助ける中立の専門家で、その説明自体は証拠になりません。一方、鑑定人(215条)は専門的判断を「証拠」として提供し、判決の直接の根拠になります。実務のポイント:鑑定は申立てから数か月、費用も数十万から百万円かかることが多い。技術論を専門委員の説明で足りる形に整理できれば、重い鑑定を回避できる場合がある。どちらで攻めるかは訴訟戦略の分かれ目です
Q2専門委員が電話やウェブで参加すると、こちらが不利になりませんか?
なる場合があります。だからこそ92条の3は、音声送受信で関与させる際に裁判所が当事者の意見を聴くと定めています。図面や現物を一緒に検討すべき事件では、対面関与を求める意見を述べられます。実務のポイント:裁判所は遠方の専門家を確保するため音声参加を提案しがちですが、当事者が合理的な理由で対面を求めれば応じられることも多い。「専門委員が遠方だから」は、あなたが黙って受け入れる理由にはならない
間違えやすい点 AI による整理
- 「専門委員も鑑定人も、裁判所が呼ぶ専門家だから同じようなもの」と思われがちだが、役割が根本的に違う。専門委員の説明は裁判官の理解を助けるだけで証拠にならない。鑑定人の意見は判決の直接の根拠になる証拠だ。この違いを知らないと、本来は軽い専門委員で足りる場面で高額な鑑定を抱え込む
- 専門委員が電話やウェブで参加すると聞いて「裁判所が決めたことだから従うしかない」と諦める人が多い。だが92条の3は、音声送受信で関与させる前に裁判所が当事者の意見を聴くと明記している。物証の共同検討が核心の事件で音声参加が不利なら、対面を求める権利が条文に書き込まれている
- 「専門委員の人選に文句を言えば心証を悪くする」と恐れて沈黙する当事者は多い。だが利害関係のある専門家への異議は正当な手続上の権利であり、92条の7は除斥・忌避まで定めている。問題は、異議を述べられる窓が決定前の一瞬しかなく、それを逃すと関与が既成事実になる点だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 92条の3:専門委員を音声送受信で関与させる方法 | 92条の2:専門委員の関与そのものの根拠 215条:鑑定人の意見陳述(証拠方法) |
| 成果物の性質 | 専門委員の説明・発問(証拠ではない) | 専門委員の説明・発問(証拠ではない) 鑑定意見(判決の根拠となる証拠) |
| 当事者の関与の足場 | 音声関与の前に当事者の意見を聴く | 除斥・忌避は92条の7、取消しは92条の4 鑑定人の指定・尋問・忌避手続 |
| 遠隔手続の比較対象 | 専門委員の音声送受信による関与 | 92条の4:関与決定の取消し(合意要件) 204条:証人尋問の映像等送受信(テレビ会議) |
他国ではどう定めているか 2 か国
韓国も専門審理委員制度を有し、技術的事項について裁判所を補助する中立の専門家を関与させる点で日本と類似する。
中国は当事者が申立て、人民法院が専門知識を有する者の出廷を通知する制度で、当事者申立て型である点が裁判所主導の日本の専門委員と異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが訴えられた建築会社で、裁判所が建築士の専門委員を電話で関与させると言った。だがその建築士があなたの競合と取引があると分かったら、関与決定の前に中立性への意見を述べられる。沈黙すれば、その専門家の説明が審理の前提になってしまう
- もし医療過誤の裁判で、裁判所が遠方の医師を専門委員としてウェブ会議の音声で関与させると打診してきたら? あなたは対面での関与を求める意見を述べられる。カルテや画像を一緒に見るべき事件なら、音声だけの関与は不利に働きかねない
- 専門委員関与の決定通知が届いた。意見を述べられるのは決定前の今だけ。明日の進行協議までに、人選と参加方法への態度を固める必要がある。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 技術が争点なら、早い段階で裁判所に専門委員の関与を打診できないか相談する。重く高額な鑑定の前に争点を整理できることがある2. 裁判所が専門委員候補を示したら、その経歴・所属を確認し、相手方との利害関係がないか調べる3. 図面・現物・画像の共同検討が必要な事件では、音声参加でなく対面関与を求める意見を述べる4. 関与決定が出た後でも、双方の合意があれば取消しを申し立てられる(92条の4)
訴えられた側:1. 裁判所が専門委員の関与を打診してきたら、まずその人選の中立性を精査し、相手方業界と近い専門家なら即座に意見を述べる2. 音声送受信での関与が自分に不利(物証を見せられない等)なら対面参加を求める3. 専門委員の説明はあくまで裁判官の理解を助けるもので証拠ではない、と理解し、その説明に過度に引きずられない4. 関与の形に重大な問題があれば、92条の4の取消しを相手方と協議する
時効(請求できる期限):専門委員の人選や音声送受信による関与について意見を述べられるのは、裁判所が意見を聴く局面(関与決定の前)に限られる。この機会を逃すと関与が既成事実化する。決定後の取消しは当事者双方の申立て(合意)が原則必要(92条の4)で、一方だけでは覆しにくい
学説
通説:専門委員の説明は裁判官の理解を補助するものにとどまり、それ自体は証拠資料とならない、というのが通説的理解である。証拠として用いる場合は鑑定(215条以下)等の証拠方法によるべきとされ、専門委員制度はその手前で審理を充実させる仕組みと位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年)新設 専門委員制度の創設に伴い新設された条文。遠隔地に居住する専門委員を音声送受信の方法で手続に関与させる仕組みを定めた。なお令和4年(2022年)の民事訴訟手続のデジタル化改正が本条の文言・現行効力に与えた影響は人的検証を要する
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:専門委員制度の創設に伴い新設。遠隔地に居住する専門委員を音声送受信の方法で期日に関与させる仕組みを定めた。
- 2.令和4年(2022年) 改正:民事訴訟手続のデジタル化改正が成立。本条の文言・現行効力に与えた影響の細部は人的検証を要する。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める