要点種苗法 30 条は、育成者権等を目的とする質権について、質権者は特約がない限り登録品種を利用できず、質権はライセンス料等の対価にも及ぶが、支払前の差押えが必要と定める。
Q · 育成者権を質に入れたら、貸した側がその品種を使えるの?回収はどうやるの?
質権者は原則使えない。回収は競売か支払前の差押えによる物上代位
種苗法 30 条により、育成者権・専用利用権・通常利用権に質権を設定できます。ただし第 1 項で、特約がない限り質権者(貸した側)は登録品種等を利用できません。栽培や販売の権利まで移るわけではありません。回収手段は二つで、育成者権そのものを競売にかけるか、第 2 項の物上代位でライセンス料等の対価を押さえるかです。物上代位は、その対価が育成者権者に払い渡される前に差押えをしなければ行使できません(30 条 2 項但書)。入金後では担保は空振りに終わります。
いちごの新品種を何年もかけて育成し、品種登録までこぎつけた。その育成者権は立派な財産だが、次の研究資金が尽きかけている。そんなとき、この権利を担保に差し入れて融資を引くことができる。種苗法30条は、育成者権、専用利用権、通常利用権に質権を設定できることを前提に、その担保の効力がどこまで及ぶかを定める条文だ。あなたが押さえるべき急所は二つある。第一に、権利を質に入れても、お金を貸した側、つまり質権者は、契約で特約しない限りその品種を自分で利用することはできない。物を質に取るのとは違い、栽培や販売の権利まで取り上げられるわけではない。第二に、質権はその品種のライセンス料や対価にも及ぶ。ただし、その金銭が育成者権者に支払われる前に差押えをしなければ、効力は空振りに終わる。担保を取ったつもりでも、タイミングを一日逃せば一円も回収できない。
種苗法 30 条は、育成者権・専用利用権・通常利用権を目的とする質権の効力を定める規定である。第 1 項は、契約に別段の定めがない限り質権者が登録品種等を利用できないことを、第 2 項は、質権がライセンス料その他の対価に物上代位として及ぶこと、及びその行使には払渡し又は引渡し前の差押えを要することを規定する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
育成者権・専用利用権・通常利用権を担保として設定する権利質のことです。種苗法 30 条が根拠で、権利そのものを担保に融資を受ける知財金融の一手段です。
できません。種苗法 30 条 1 項により、契約で別段の特約をしない限り、質権者は登録品種等を利用できません。担保に取っても事業まで奪えるわけではありません。
及びます。30 条 2 項の物上代位により、育成者権者が受けるべきライセンス料等の対価が対象です。ただし払渡し前の差押えが効力発動の絶対条件です。
対価が育成者権者に払い渡される前です(30 条 2 項但書)。入金され一般財産に紛れると担保は届かなくなり、回収は空振りになります。
農林水産省の品種登録簿に登録することで第三者への対抗力を得ます。設定契約だけでは対抗できず、登録の有無が優先順位を左右します。
構造はほぼ同じです。特許法 95 条(実施制限)・96 条(物上代位)と種苗法 30 条は並行規定で、質権者の利用制限と支払前差押えの要件が対応します。
できます。同一の育成者権に複数の質権を重ねられますが、優先順位は品種登録簿への登録の先後で決まります。関係が複雑化するため登録簿での管理が必須です。
被担保債権の弁済が滞ると、育成者権そのものを競売にかけるか、ライセンス料等へ物上代位するかを選びます。前者は権利の帰属が移り、後者は対価の流れを押さえます。
法律上は質権の対象になります(30条)。ただ実務では、品種の市場価値の評価が難しく、伝統的な銀行融資の担保としては敬遠されがちでした。業界裏話ヒント:近年は知財を担保にした融資制度や、農林漁業向けの公的金融の枠組みが整いつつあり、育成者権を含む知財を評価して融資につなげる動きが出ている。担保にならないと最初から諦めず、知財評価に強い専門機関に相談する価値はある
売れます。30条1項は、特約がない限り質権者(貸した側)の利用を制限する規定であって、育成者権者であるあなたの利用までは奪いません。栽培もライセンスも続けられます。業界裏話ヒント:担保に取った側がうっかり「自分も使える」と誤解しているケースがある。設定契約に利用に関する特約があるか、その一文を最初に確認するだけで、立場の優劣が一目で分かる
登録された質権者は別除権者として、破産手続の外で優先的に回収できる立場に立ちます。ライセンス料を狙うなら物上代位ですが、これは支払前の差押えが必須です(30条2項但書)。業界裏話ヒント:倒産の兆候が見えた段階で、権利者宛のライセンス料がいつ入金されるかを把握しておくこと。差押えのタイミングを逃すと、別除権はあっても物上代位は空振りになる。倒産情報よりも入金日の方が、現場では重い情報になる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 担保の客体 | 種苗法 30 条:育成者権・専用利用権・通常利用権 | — |
| 質権者の利用可否 | 特約がない限り登録品種等を利用不可(30 条 1 項) | — |
| 物上代位の対象 | ライセンス料等の対価・利用に対し受けるべき金銭(30 条 2 項) | — |
| 物上代位の要件 | 対価の払渡し又は引渡し前の差押えが必要(30 条 2 項但書) | — |
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