民事再生法 第90条の2(裁判所による代理委員の選任)
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- 裁判所は、共同の利益を有する再生債権者が著しく多数である場合において、これらの者のうちに前条第二項の規定による勧告を受けたにもかかわらず同項の期間内に代理委員を選任しない者があり、かつ、代理委員の選任がなければ再生手続の進行に支障があると認めるときは、その者のために、相当と認める者を代理委員に選任することができる。
- 2.前項の規定により代理委員を選任するには、当該代理委員の同意を得なければならない。
- 3.第一項の規定により代理委員が選任された場合には、当該代理委員は、本人(その者のために同項の規定により代理委員が選任された者をいう。第六項において同じ。)が前条第一項の規定により選任したものとみなす。
- 4.第一項の規定により選任された代理委員は、正当な理由があるときは、裁判所の許可を得て辞任することができる。
- 5.第一項の規定により選任された代理委員は、再生債務者財産から、次に掲げるものの支払を受けることができる。
- 一前条第三項に規定する行為をするために必要な費用について、その前払又は支出額の償還
- 二裁判所が相当と認める額の報酬
- 6.第一項の規定により代理委員が選任された場合における当該代理委員と本人との間の関係については、民法第六百四十四条から第六百四十七条まで及び第六百五十四条の規定を準用する。
この条文の基本情報
裁判所による代理委員の選任とは何ですか?
定義裁判所による代理委員の選任とは、民事再生法第90条の2に定められた規定で、「裁判所は、共同の利益を有する再生債権者が著しく多数である場合において、これらの者のうちに前条第二項の規定による勧告を受けたにもかかわらず同項の期間内に代理委員を…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第90条の2(裁判所による代理委員の選任)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第90条の2の条文原文は「裁判所は、共同の利益を有する再生債権者が著しく多数である場合において、これらの者のうちに前条第二項の規定による勧告を受けたにもかかわらず同項の期間内に代理委員を…」で始まります。
- 民事再生法第90条の2は第一節 再生債権者の権利に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第90条の2の前の条は民事再生法第90条です。
- 民事再生法第90条の2の次の条は民事再生法第91条です。
- 民事再生法第90条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第90条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第90条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/90_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法90条の2は、再生債権者が著しく多数の場合に、勧告に応じず代理委員を選ばない者のため裁判所が職権で代理委員を選任できると定める。費用は再生債務者財産から支払われる。
Q · 投資先が民事再生を申し立て、代理委員選任の通知が来た。放置したらどうなる?
裁判所が職権であなたのため代理委員を選任し、費用は配当原資から出ます
民事再生法90条の2により、共同の利益を有する再生債権者が著しく多数の場合、裁判所の勧告を受けても期間内に代理委員を選任しない債権者のために、裁判所が職権で相当と認める者を代理委員に選任できます。選任には代理委員本人の同意が必要です(2項)。その報酬と費用は再生債務者財産から支払われるため、実質的には全債権者の配当原資が削られます。放置は「中立」ではなく「裁判所に委ねる」という積極的選択と同じ結果を生みます。
解説
投資していた会社が民事再生を申し立てた。あなたは数千人いる社債権者の一人にすぎない。何もしないまま手続は勝手に進むと思っているなら、その思い込みが危うい。民事再生法90条の2は静かに別の動きをする。共同の利益を持つ再生債権者(同じ立場で配当を待つ債権者たち)が著しく多数いて、本来なら自分たちで代理委員(多数の債権者をまとめて手続に参加させる代理人)を選ぶべきなのに、裁判所の勧告を受けても期間内に選ばない者がいる。すると裁判所は、その沈黙した債権者のために職権で代理委員を選んでしまう。しかもその代理委員の費用と報酬は、再生債務者財産、つまりあなたたち債権者に分配されるはずの原資から支払われる。あなたが書類を放置している間に、知らないうちに代理人が立てられ、その人件費があなたの取り分を削っていく。倒産手続の世界では、動かないこと自体が静かにコストへ変わる。
法的な位置づけ
民事再生法90条の2は、代理委員の職権選任を定める規定である。共同の利益を有する再生債権者が著しく多数で、前条の勧告を受けても期間内に代理委員を選任しない者があり、手続進行に支障があると認められる場合に、裁判所がその者のため相当と認める者を代理委員に選任できる旨を規定する。選任には当該代理委員の同意を要する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.裁判所からの通知を必ず開封し期限を確認 投資先や取引先が民事再生を申し立てたら、届いた裁判所の封筒を放置せず必ず開封する。代理委員選任に関する勧告(前条90条2項)と、その回答期間を最優先で確認する
- 2.期間内に自分で代理委員を選任するか判断 期間内に信頼できる弁護士を代理委員に選任するか、あえて委ねるかを判断する。放置は職権選任という結果を選ぶことと同じだと理解し、自分で握るなら早めに選任手続を進める
- 3.大口債権者は先手で代理委員を組織し発言力を確保 自分の債権額が大きいなら、腕利きの倒産弁護士を代理委員に立てて同調する債権者を束ねる。受け身で職権選任を待つより、債権者集会での影響力が跳ね上がる
- 4.報酬・費用の配当への影響を試算 代理委員の報酬・費用が再生債務者財産(配当原資)から支払われる点を踏まえ、自分の配当見込みへの影響を試算しておく。無駄な職権選任を避けることがコスト削減につながる
よくある質問 AI による整理
Q1代理委員とは何ですか?
多数の再生債権者をまとめて手続に参加させる代理人です。民事再生法90条・90条の2が根拠で、債権者集会での発言や債権届出などを代理します。
Q2民事再生法90条の2の代理委員は誰が費用を払いますか?
再生債務者財産から支払われます(5項)。これは本来、再生債権者への配当原資であるため、全債権者が薄く負担する構図になります。
Q3代理委員の選任を拒否できますか?
代理委員に選任される側(弁護士等)は同意しなければ選任されません(2項)。一方、勧告に応じない債権者は職権選任の対象となり、これは拒否できません。
Q4民事再生の通知を放置するとどうなりますか?
代理委員選任の勧告を放置すると、裁判所が職権であなたのため代理委員を選任することがあります。放置は結果を選んだのと同じ扱いになります。
Q5代理委員は途中で辞任できますか?
正当な理由があれば裁判所の許可を得て辞任できます(4項)。無断で放り出すことはできませんが、出口は用意されています。
Q6自分で代理委員を選べば職権選任を避けられますか?
はい。勧告の期間内に自ら信頼できる代理委員を選任すれば(民事再生法90条)、裁判所の職権選任を回避でき、誰に代理させるかを自分で決められます。
Q7代理委員と再生債務者との関係にはどんな義務がありますか?
民法の委任規定(644条〜647条・654条)が準用され、代理委員は善管注意義務を負います(6項)。プロとして当然払うべき注意が求められます。
Q8社債権者や少人数私募債の投資家にも関係しますか?
はい。発行体が倒産すると投資家は「著しく多数の再生債権者」の一人となり、本条の射程に入ります。動かなければ代理委員を立てられる側になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1社債を持っている会社が倒産したら、自分で何かしないといけないんですか?
原則として、放置するとあなたのために裁判所が代理委員を選任することがあります(民事再生法90条の2)。代理委員は多数の債権者をまとめて手続に参加させる代理人で、その費用は再生債務者財産から支払われ、結果的に配当原資を削ります。実務のポイント:大型倒産では、自ら早めに代理委員を選ぶか、信頼できる弁護士に債権届出と手続対応を委ねた債権者の方が、受け身で職権選任を待った債権者より回収戦略で優位に立つことが多い。通知が来たら開封して期限を確認するだけで、選択肢が残る
Q2裁判所が選んだ代理委員の報酬って、結局誰が払うんですか?
再生債務者財産から支払われます(本条5項)。費用は前払または償還、報酬は裁判所が相当と認める額です。再生債務者財産は本来あなたたち再生債権者への配当原資なので、実質的には全債権者が薄く負担する構図になります。実務のポイント:この「みんなで薄く負担」という構造は、個別の債権者にとっては痛みが見えにくい。だからこそ、自分で代理委員を選んで無駄な職権選任を避ける動機が働きにくく、結果として手続コストが膨らみやすい盲点になっている
間違えやすい点 AI による整理
- 「自分は何もしていないのだから、不利な扱いは受けないはず」と思いがちだが、本条はその前提を裏返す。何もしないことが要件を満たし、裁判所が職権で動く引き金になる。沈黙は中立ではなく、結果を選んだことになる
- 代理委員が選任されること自体は知っていても、その報酬と費用が再生債務者財産から出る、つまり全債権者の配当原資を直接削る点までは見落とされやすい。痛みは抽象的な手続費用ではなく、自分の取り分の目減りという具体的な数字で返ってくる
- 「裁判所が選ぶなら強制的に押し付けられる」と誤解されがちだが、選任には当該代理委員本人の同意が要る(2項)。強制されるのは沈黙した債権者の側であって、代理委員になる者の側ではない。誰が縛られ誰が縛られないのか、その非対称を取り違えると構造を読み違える
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 選任の主体 | 民事再生法90条の2:裁判所が職権で選任(本人が選ばない場合) | 民事再生法90条:再生債権者自身が代理委員を選任 民事再生法119条:共益債権の範囲(費用の位置づけ・要確認) |
| 発動の前提 | 著しく多数 + 勧告後の期間徒過 + 手続進行への支障 | 債権者の任意の意思による選任 再生手続開始後の債権の性質による分類 |
| 本人の関与 | 沈黙した債権者は職権選任を拒否できない(代理委員本人は同意必須) | 債権者が自ら誰を代理させるか決定できる 個別の請求権ごとに共益債権該当性を判断 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は破産手続で債権者会議が監査人を選任する仕組みを持つが、日本のような裁判所の職権による代理委員選任の明文規定は民事再生に相当する消費者債務清理条例で個別に扱われる
韓国は統合倒産法である채무자회생법で代理委員(대리위원)制度を持ち、多数債権者の集団的代表という発想は日本と共通する
ドイツは債権者委員会(Gläubigerausschuss)を裁判所が設置でき、多数債権者の利益を集団的に代表させる点で機能的に類似する
米連邦倒産法では管財官(U.S. Trustee)が債権者委員会を任命し、多数の無担保債権者の利益を代表させる。裁判所主導という点で本条と発想を共有する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 投資先が民事再生を申し立て、裁判所から代理委員選任を促す通知が届いた。期間は区切られている。あなたが何もしなければ、あなたのために裁判所が代理委員を選ぶ。あと数週間で、手続上であなたの声を誰が代弁するかが、他人の手で決まってしまう
- あなたが弁護士で、裁判所から代理委員に選任されようとしている。勝手に押し付けられるわけではない、あなたの同意は必須だ(本条2項)。だが引き受けた後は民法の委任規定が準用され、善管注意義務(プロとして当然払うべき注意のレベル)を負う。報酬は再生債務者財産から受け取れるが、その額は裁判所が相当と認める範囲に縛られる
- 大型倒産で社債権者が一万人。全員が個別に代理委員を選ぶのは現実的に不可能だ。裁判所がまとめて選任し、あなたの一票はその代理委員が束ねる
- もし、あなたが選任された代理委員を続けられなくなったら? 正当な理由があれば、裁判所の許可を得て辞任できる(本条4項)。勝手に放り出すことはできないが、出口は用意されている
取るべき行動
被害を受けた側:1. 投資先や取引先が民事再生を申し立てたら、まず裁判所からの通知を必ず開封し、代理委員選任に関する勧告と期間を確認する2. 期間内に自ら信頼できる弁護士を代理委員に選任するか、あえて委ねるかを判断、放置は職権選任という結果を選ぶことと同じだと理解する3. 自分の債権額が大きいなら、先手で代理委員を立てて同調する債権者を束ね、債権者集会で影響力を確保する4. 代理委員の報酬・費用が再生債務者財産から出る点を踏まえ、配当見込みへの影響を試算しておく
訴えられた側:1. 裁判所から代理委員選任の打診を受けた専門家は、引き受ければ民法の委任規定(644条から647条、654条)が準用され善管注意義務を負うことを前提に同意の可否を判断する2. 報酬は裁判所が相当と認める額に限られるため、想定される業務量と見合うか事前に見積もる3. 受任後に続けられない事情が生じたら、正当な理由を示して裁判所の許可を得て辞任する(4項)、無断離脱は不可4. 費用は前払または支出額の償還を再生債務者財産から受けられるので、立替えの管理と記録を徹底する
時効(請求できる期限):本条自体に消滅時効はない。発動要件は、前条(90条)2項の勧告で定められた期間内に対象者が代理委員を選任しないこと。この期間は裁判所が定めるため、通知到達後はその期限を最優先で管理する必要がある。辞任は正当な理由がある場合に裁判所の許可を得て随時可能
学説
通説:本条の職権選任は手続の効率的進行と債権者の自己決定権の緊張を、複数の安全弁で調整する規定と解される。発動は前条2項の勧告と期間徒過を経た後に限られ、選任には代理委員本人の同意(2項)、正当理由による辞任(4項)、裁判所が相当と認める額への報酬制限(5項)が課される。
- 民事再生法 第90条債権者自身による代理委員選任、本条の前提となる原則
- 民事再生法 第119条共益債権となる請求権、代理委員費用の位置づけ(現行効力を要確認)
- 民法 第644条受任者の善管注意義務の準用(6項)
- 民法 第654条委任終了後の処分義務の準用(6項)
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