民事再生法 第119条(共益債権となる請求権)
クイックジャンプ
- 次に掲げる請求権は、共益債権とする。
- 一再生債権者の共同の利益のためにする裁判上の費用の請求権
- 二再生手続開始後の再生債務者の業務、生活並びに財産の管理及び処分に関する費用の請求権
- 三再生計画の遂行に関する費用の請求権(再生手続終了後に生じたものを除く。)
- 四第六十一条第一項(第六十三条、第七十八条及び第八十三条第一項において準用する場合を含む。)、第九十条の二第五項、第九十一条第一項、第百十二条、第百十七条第四項及び第二百二十三条第九項(第二百四十四条において準用する場合を含む。)の規定により支払うべき費用、報酬及び報償金の請求権
- 五再生債務者財産に関し再生債務者等が再生手続開始後にした資金の借入れその他の行為によって生じた請求権
- 六事務管理又は不当利得により再生手続開始後に再生債務者に対して生じた請求権
- 七再生債務者のために支出すべきやむを得ない費用の請求権で、再生手続開始後に生じたもの(前各号に掲げるものを除く。)
この条文の基本情報
共益債権となる請求権とは何ですか?
定義共益債権となる請求権とは、民事再生法第119条に定められた規定で、「次に掲げる請求権は、共益債権とする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第119条(共益債権となる請求権)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第119条の条文原文は「次に掲げる請求権は、共益債権とする。」で始まります。
- 民事再生法第119条は第五章 共益債権、一般優先債権及び開始後債権に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第119条の前の条は民事再生法第118条の3です。
- 民事再生法第119条の次の条は民事再生法第120条です。
- 民事再生法第119条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第119条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第119条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/119
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法119条は、再生手続開始後に生じた費用や借入れによる請求権など七種類を共益債権と定める。共益債権は手続によらず随時、再生債権に優先して弁済される。
Q · 倒産した取引先への売掛金、開始決定の後に納品した分は優先して回収できるの?
開始決定後の取引で生じた分は共益債権として随時・優先弁済されます
民事再生法119条は、再生債権者の共同の利益のために再生手続開始後に生じた費用や、再生債務者が開始後にした借入れその他の行為による請求権など七種類を共益債権と定めます。共益債権は再生手続によらず随時、かつ再生債権に優先して弁済されます(121条)。したがって取引先の開始決定後に納品した代金や貸付金は共益債権として満額・優先回収でき、開始決定前に生じた売掛金は再生債権として大幅にカットされます。
解説
取引先が民事再生を申し立てた。あなたの会社はそこへ毎月部品を納めている。ここで運命を分けるのが、この条文だ。119条は「共益債権」、つまり再生手続を通さず随時、しかも他の債権に優先して全額払ってもらえる請求権のリストである。鍵は時間軸にある。再生手続開始の決定が下りた後にあなたが新たに納品した代金、貸し付けた資金、立て替えたやむを得ない費用は共益債権になる。だが開始決定の前に生じた売掛金は「再生債権」、再生計画で大幅にカットされ、数年分割で一部しか戻らない。同じ取引先への同じ性質の債権が、開始決定という一本の線の前後で、満額回収か二束三文かに振り分けられる。倒産しかけた相手と取引を続けるべきか迷ったとき、その損得を計算する物差しは、この七つの号の中にある。
法的な位置づけ
民事再生法119条は共益債権の範囲を定める規定である。再生債権者の共同の利益のためにする裁判上の費用、再生手続開始後の業務・財産の管理に関する費用、開始後の借入れその他の行為による請求権など七号を列挙し、これらを共益債権とする。共益債権は再生手続を通さず随時弁済され、再生債権に優先する。
よくある質問 AI による整理
Q1共益債権とは何ですか?
再生手続によらず随時・優先して弁済される請求権です。民事再生法119条が七つの号を列挙し、開始後の費用や借入れによる請求権などがこれにあたります。
Q2共益債権と再生債権の違いは?
共益債権は随時・満額弁済されるのに対し、再生債権は再生計画で削減され数年分割で一部だけ戻ります。原則、開始決定前の債権が再生債権、開始後が共益債権です。
Q3共益債権はいつ支払われますか?
再生計画の認可を待たず、随時弁済されます(民事再生法121条)。期日が来れば通常の取引債務と同様に支払われるのが原則です。
Q4共益債権と一般優先債権の違いは?
共益債権は再生手続を通さず随時弁済されるのに対し、租税や労働債権などの一般優先債権は再生債権に優先するものの別枠で扱われます(122条)。
Q5民事再生の開始決定後に取引を続けたらどうなりますか?
開始決定後の納品代金や借入れは共益債権(119条5号)となり、随時・優先弁済されます。過去債権と切り離して満額回収できる別物として扱われます。
Q6共益債権は再生計画で削減されますか?
削減されません。共益債権は再生計画による権利変更の対象外で、満額弁済されます。削減されるのは再生債権です。
Q7破産手続の財団債権と共益債権は同じですか?
対応する並行概念です。破産では財団債権(破産法148条)、再生では共益債権と呼ばれ、いずれも手続によらず優先弁済される点で機能が似ています。
Q8開始決定前の借入れを共益債権にできますか?
できる場合があります。裁判所の許可を得れば開始前の借入れ等を共益債権とする特則(民事再生法120条)が適用され、満額回収の地位を確保できます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1取引先が民事再生を申し立てました。今ある売掛金は回収できますか?
開始決定前に発生した売掛金は「再生債権」になり、再生計画で大幅にカットされたうえ数年分割で一部だけ戻るのが一般的です。一方、開始決定後の取引で生じた代金は「共益債権」(119条5号)として随時・満額弁済されます。実務のポイント:申立てから開始決定までの保全処分期間中は原則として旧債務の弁済が禁止されますが、中小の継続的取引先には裁判所の許可で少額弁済が認められることがあります。取引停止をちらつかせる前に、弁済許可の有無を監督委員に確認すると交渉材料になります
Q2弁護士や監督委員の報酬は、私たち債権者より先に支払われるんですか?
はい。裁判上の費用や監督委員等の報酬・費用(119条1号・4号)は共益債権として、再生債権に優先し随時支払われます(121条)。手続を回すための費用を最優先する設計です。実務のポイント:再生債務者の財産が乏しいと、共益債権を払い終えると再生債権者への配当がほとんど残らないこともあります。自分が何%返ってくるか早く知りたければ、監督委員の財産評定や再生計画案の弁済率を債権者集会や開示資料で確認するのが実務の勘どころです
間違えやすい点 AI による整理
- 「倒産した取引先からは、どうせ何も取れない」と諦める人が多いが、開始決定後の取引で生じた債権は共益債権として満額・随時弁済される。取れないのは過去の債権だけで、これからの取引はまったく別物として扱われる
- 共益債権が「優先弁済される」ことは知っていても、その優先度の高さを甘く見ている人が多い。共益債権は再生債権はもちろん、租税や労働債権といった一般優先債権とも別枠で、再生手続を通さず随時支払われる。資金繰りが厳しい再生債務者でも、共益債権は真っ先に支払い対象になる
- 「うちの債権は共益債権か再生債権か」と二択で考えがちだが、問いの立て方が不正確だ。同じ取引先への債権でも発生時期ごとに性質が分かれる。開始決定前の分は再生債権、開始決定後の分は共益債権と、一つの取引関係の中に両方が混在する
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 119条:共益債権の範囲を七号で列挙 | 120条:開始前の借入れ等を共益債権化する特則 121条:共益債権の随時・優先弁済の効果 |
| 対象となる時点 | 原則、再生手続開始後に生じた費用・請求権 | 再生手続開始前の借入れ等(許可が必要) 共益債権全般の弁済方法を規律 |
| 弁済の扱い | 共益債権に該当すれば随時・優先弁済 | 許可を得れば開始前債権も共益債権に格上げ 再生手続によらず随時、再生債権に優先して弁済 |
| 一般優先債権との関係 | 共益債権は一般優先債権とも別枠 | 格上げ後は共益債権として同様に別枠 122条が一般優先債権との地位を区別 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の重整(会社更生類似)手続では、業務継続のために生じた債務と手続進行に要した費用を優先受償とする。日本の共益債権に対応する機能を持つ
韓国は日本とほぼ同じく「공익채권(共益債権)」の概念を条文で明文化し、手続によらず随時弁済されるとする。制度設計が日本法と近い
ドイツ倒産法は手続開始後に管財人の行為等で生じた債務を財団債務とし、他の倒産債権に優先して財団から弁済する。共益債権に相当する機能を果たす
米国連邦倒産法は手続開始後の管理費用を優先弁済とし、Chapter 11の事業継続を支える。民事再生法が範とした制度であり、共益債権の思想的源流に近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先のメーカーが民事再生を申し立てた。あなたは部品サプライヤー。開始決定前の売掛金800万円は再生債権として大幅カットされるが、開始決定後に納品を続ければその分は共益債権で満額・随時回収できる。出荷を止めるか続けるか、その一手が会社の損益を直撃する
- あなたが再生中の会社の社長で、運転資金が尽きかけている。開始決定後に発生させる費用や借入れによる請求権は共益債権になる(5号)。満額弁済される地位があるからこそ仕入先も金融機関も取引・融資に応じてくれ、あなたは事業を回し続けられる
- 下請けが再生債務者のために緊急の立替払いをした。開始決定後に生じたやむを得ない費用なら、7号で共益債権として保護される
- もし、取引先の再生手続開始決定まであと数日というタイミングで大口注文を受けたら? 納品日を開始決定の前にするか後にするかで、その代金が再生債権になるか共益債権になるかが分かれる。たった一日の差が回収率を左右する
取るべき行動
被害を受けた側:1. 取引先の再生手続開始決定の日付を確定する(官報・裁判所からの通知で確認) 2. 自社の債権を発生日ごとに「開始決定前=再生債権」「開始決定後=共益債権」に仕分け3. 共益債権分は再生計画を待たず随時弁済を請求(121条) 4. 開始前の与信が大きい場合、120条の共益債権化の許可を再生債務者・監督委員と交渉5. 再生債権分は債権届出期間内に必ず届出(期限を逃すと失権する)
訴えられた側:1. 開始決定後に発生させる費用・借入れは共益債権となり随時弁済義務が生じることを資金繰り計画に織り込む2. 監督委員の報酬等(119条4号)も共益債権、優先支払を前提に資金を確保3. 安易に共益債権を膨らませると再生債権者への配当原資が痩せ、計画認可が困難になる点に注意4. 開始前の借入れを共益債権化するには裁判所・監督委員の許可が必要、独断で約束しない
時効(請求できる期限):共益債権の弁済自体に特定の時効・期限はなく、随時弁済が原則(民事再生法121条)。一方、再生債権としての権利は債権届出期間内に届け出ないと失権する。開始決定後の届出期間や調査期間は事件ごとに裁判所が定めるため、通知書で必ず確認すること(最新の手続状況をご確認ください)
学説
通説:119条各号は共益債権を限定列挙したものと解される。共益債権に随時・優先弁済を認める趣旨は、開始後も取引先や金融機関が供給・融資を続けられるようにし、事業継続という再生の原資を確保する点にある。ただし共益債権を膨らませるほど再生債権者への配当原資は減るため、対象は開始後に生じた費用・請求権に限定される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法(平成11年法律第225号)の制定に伴い新設。旧和議法を廃止し、共益債権の範囲を七号で明文化。随時・優先弁済の枠組みを整備し、再建型倒産手続の運営基盤とした
- 民事再生法 第120条開始前の借入れ等を共益債権とする特則
- 民事再生法 第121条共益債権の随時弁済・優先弁済の効果
- 民事再生法 第122条一般優先債権との地位の区別
- 民事再生法 第61条監督委員の報酬等、4号の費用の根拠
- 破産法 第148条破産手続の財団債権に対応する並行概念
- 会社更生法 第127条更生手続における同種の共益債権
- 民法 第703条6号の不当利得返還請求権の実体法上の根拠
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