民事再生法 第127条(再生債権者を害する行為の否認)
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- 次に掲げる行為(担保の供与又は債務の消滅に関する行為を除く。)は、再生手続開始後、再生債務者財産のために否認することができる。
- 一再生債務者が再生債権者を害することを知ってした行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、再生債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
- 二再生債務者が支払の停止又は再生手続開始、破産手続開始若しくは特別清算開始の申立て(以下この節において「支払の停止等」という。)があった後にした再生債権者を害する行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、支払の停止等があったこと及び再生債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
- 2.再生債務者がした債務の消滅に関する行為であって、債権者の受けた給付の価額が当該行為によって消滅した債務の額より過大であるものは、前項各号に掲げる要件のいずれかに該当するときは、再生手続開始後、その消滅した債務の額に相当する部分以外の部分に限り、再生債務者財産のために否認することができる。
- 3.再生債務者が支払の停止等があった後又はその前六月以内にした無償行為及びこれと同視すべき有償行為は、再生手続開始後、再生債務者財産のために否認することができる。
この条文の基本情報
再生債権者を害する行為の否認とは何ですか?
定義再生債権者を害する行為の否認とは、民事再生法第127条に定められた規定で、「次に掲げる行為(担保の供与又は債務の消滅に関する行為を除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第127条(再生債権者を害する行為の否認)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第127条の条文原文は「次に掲げる行為(担保の供与又は債務の消滅に関する行為を除く。」で始まります。
- 民事再生法第127条は第二節 否認権に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第127条の前の条は民事再生法第126条です。
- 民事再生法第127条の次の条は民事再生法第127条の2です。
- 民事再生法第127条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第127条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第127条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/127
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法127条は、再生手続開始後に再生債権者を害する行為や支払停止前6か月以内の無償行為を否認できると定める規定。監督委員または管財人が再生債務者財産のために行使する。
Q · 倒産しそうな相手から安く買った財産や返してもらったお金、後から「返せ」と言われるって本当?
本当です。否認権で取引が覆り財産の返還を求められることがあります
民事再生法127条により、再生手続が開始すると監督委員または管財人が過去の取引を否認できます。再生債権者を害する行為(1項)、過大な代物弁済(2項)、支払停止前6か月以内の無償行為(3項)が対象です。成立済みの取引でも、受け取った財産を再生債務者財産へ返還させられます。1項の詐害行為は受益者が善意なら否認されませんが、無償行為(3項)は善意でも否認されるのが最大の落とし穴です。
解説
知人の会社が苦しいと聞いて、その人名義の社用不動産を相場より安く譲り受けた。あるいは、貸していた金を倒産直前に不動産で過大に返してもらった。数か月後、見知らぬ弁護士から「その取引は否認します、財産を返してください」という通知が届く。これが民事再生法127条の威力だ。再生手続が始まると、監督委員または管財人は時間を巻き戻す権限を握る。再生債務者が債権者を害すると知ってした行為(1項1号)、支払停止後の加害行為(同2号)、過大な代物弁済(2項)、そして支払停止の前6か月以内の無償行為(3項)。これらは「もう成立した取引」であっても、再生債務者の財産のために覆される。あなたが受け取った側なら、善意(害することを知らなかったこと)を立証できるかどうかが分水嶺になる。知っていたと推認されれば、手にした財産は吐き出すことになる。
法的な位置づけ
民事再生法127条は詐害行為否認を定める規定であり、再生手続開始後、監督委員または管財人が、再生債権者を害する行為・支払停止等の後の加害行為・過大な代物弁済・支払停止前6か月以内の無償行為を、再生債務者財産のために否認できる旨を規定する。担保の供与および債務の消滅に関する行為は1項の対象から除かれる。
手順
- 1.苦境の相手と取引する前に支払能力を確認・記録 取引先が資金繰りに苦しいと聞いたら、財産を受け取る前にその時点の支払能力(決算・入出金・支払遅延の有無)を確認し、記録を残す。後の否認訴訟で『支払停止を知らなかった』という善意を立証する証拠になる
- 2.弁済・譲渡を受ける前に対価の相当性を確保 現物で弁済を受けるなら、消滅する債務額と受け取る財産の評価額が釣り合うようにする。過大だと127条2項で超過分を吐き出す。評価書や見積で相当性を裏づけておく
- 3.無償行為は6か月線を意識し時系列を保存 贈与や財産移転を検討するなら、相手の支払停止等から前6か月以内かを確認する。3項の無償行為否認は善意でも届くため、行為日・支払停止日の時系列を客観資料で特定できるようにする
- 4.否認通知が来たら類型を特定して防御 監督委員から否認通知が届いたら、対象が1項(詐害行為)・2項(過大代物弁済)・3項(無償行為)のどれかを特定する。1項なら善意を立証、3項なら実は有償だった等の主張を検討し、134条による代金回収も併せて主張する
よくある質問 AI による整理
Q1否認権とは何ですか?
倒産手続で、開始前になされた財産流出行為を覆し、再生債務者財産に取り戻す権限です。民事再生法127条以下が根拠で、監督委員または管財人が行使します。
Q2詐害行為否認と偏頗行為否認の違いは?
詐害行為否認(127条)は財産を減らす行為が対象、偏頗行為否認(127条の3)は特定債権者だけ優遇する担保供与や弁済が対象です。同じ回収でも適用条文が分かれます。
Q3否認権は誰が行使できますか?
個々の債権者ではなく、監督委員または管財人だけが行使できます(135条)。債権者は該当行為を発見したら監督委員に情報提供する形で関与します。
Q4否認権の期間制限は何年ですか?
再生手続開始の日から2年、または対象行為の日から20年で行使できなくなります(139条、現行効力は要確認)。早期の証拠確保が重要です。
Q5代物弁済は否認されますか?
現物での弁済が過大な場合、消滅した債務額を超える部分が127条2項で否認されます。現金の通常弁済は1項の対象外で、偏頗行為否認の枠組みで判断されます。
Q6無償行為の否認とは何ですか?
贈与など対価のない行為は、支払停止等の後またはその前6か月以内なら、受益者が善意でも127条3項で否認されます。無償だと善意の盾が効きません。
Q7否認された場合、払った代金は戻りますか?
支払った反対給付は、財団債権または再生債権として一部回収できる場合があります(134条)。全額を失うとは限らないため、防御時に必ず主張します。
Q8民事再生の否認と破産の否認は同じですか?
構造はほぼ同じで、破産法160条以下、会社更生法86条以下に対応規定があります。母法は平時の詐害行為取消権(民法424条)です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1倒産しそうな取引先から、貸していたお金を全額返してもらいました。これも否認されますか?
現金での通常の弁済は、127条1項では否認されません。同項は「債務の消滅に関する行為」を明文で除外しているからです。それは偏頗行為否認(127条の3)という別の枠組みの問題になります。ただし不動産などの現物で過大に弁済を受けた場合は、127条2項で消滅した債務額を超える部分が否認されます。実務のポイント:弁護士は「現金の通常弁済か、現物の代物弁済か」をまず見ます。同じ「回収」でも、受け取った形によって適用条文も結末も変わるからです
Q2受け取ったときに相手が苦しいなんて全然知りませんでした。それでも返さないといけませんか?
127条1項1号の詐害行為は、受益者が「害することを知らなかった」(善意)なら否認されません(同号ただし書)。支払停止後の行為(2号)は、支払停止の事実と加害の両方を知らなかった必要があります。ただし無償行為(3項)は、善意でも否認されます。実務のポイント:善意は受益者側が立証する建前で、相手が苦境にあると知り得た状況証拠(決算書を見ていた、噂を聞いていた等)が残っていると、善意の主張は通りにくくなります
Q3親が倒産する半年前に、私名義に家を贈与してくれました。守れますか?
厳しいです。127条3項により、支払の停止等の前6か月以内にした無償行為は、受益者が善意でも否認されます。贈与は無償行為の典型で、真っ先に狙われます。実務のポイント:親族間の贈与、過大な財産分与、債務免除は否認の常連です。倒産局面では「家族に移しておけば安全」という発想が逆に作用し、もらった家族が返還義務を負う側に立たされます。資産を動かす前に、その時期と有償性を必ず確認すべきです
間違えやすい点 AI による整理
- 「借金を返してもらっただけなのに否認されるのでは」と恐れる人がいるが、問いの立て方そのものが違う。127条1項は債務の消滅に関する行為を明文で除外している。通常の弁済は1項の詐害行為否認の対象外で、偏頗行為否認(127条の3)という別の土俵で判断される。あなたが本当に心配すべき条文は、最初から別にある
- 「善意なら絶対に安全」と知っている人は多いが、その安全の射程を見誤っている。無償行為(3項)は受益者が善意でも否認される。タダでもらったものには「知らなかった」の盾が効かない。知識を持っていても、適用範囲を一段深く知らないと足をすくわれる
- 「もう登記も済んで完全に自分のものだ」と思っていても、否認されれば物権変動ごと覆る。確定したはずの取引が、再生手続開始から2年間は揺らぎ続ける
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 否認の対象行為 | 127条:財産を減らす詐害行為・過大代物弁済・無償行為 | 127条の2:相当対価を得てした財産処分行為 127条の3:特定債権者への担保供与・弁済(偏頗行為) |
| 害する意図の要否 | 1項は加害の認識が必要(善意なら否認不可、無償行為は例外) | 隠匿等の処分意思と相手方の悪意が要件 支払停止等の後などの時期要件と相手方の悪意が中心 |
| 善意受益者の保護 | 1項は善意で保護、3項の無償行為は善意でも否認 | 相手方が善意なら否認されにくい 相手方が支払停止等を知らなければ否認されにくい |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は破産法上の否認と、平時の詐害行為取消権(民法244条)を併用する。倒産局面の財産流出を取り戻す発想は日本と共通する
韓国は回生・破産を統合した債務者回生法100条で否認権を規定。詐害行為・偏頗行為・無償行為の類型区分は日本と類似する
ドイツは倒産否認を母法として体系化し、詐害的行為・無償給付(§ 134)などを類型化。日本の否認権の源流にあたる
米国連邦破産法は詐害的譲渡(§ 548)と偏頗弁済(§ 547)を分けて規律。preference は原則90日前が対象で、時間線を切る発想は日本の6か月線と通じる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先の社長から「会社が傾いてきた」と打ち明けられた数週間後、その人名義の社用車を相場の半額で買い取った。再生手続開始後、監督委員から否認の通知。安く買ったつもりが、車も返し、払った代金は再生債権として戻りを待つ列に並ぶ。あなたは買い手から、いきなり債権者の一人に格下げされる
- もし、あなたが貸金を倒産直前に回収したら、どうなる? 現金での通常弁済なら127条1項では否認されない(同項は債務の消滅に関する行為を除く)。だが不動産など現物で過大に弁済を受ければ、2項で超過分を吐き出すことになる。受け取り方ひとつで結末が割れる
- 父の会社が支払を止めた。その5か月前、父はあなたに預金を贈与していた。あと1か月、6か月の壁を越えれば3項の無償行為否認は届かない。だが時計は止められない
- 友人が「倒産しそうだから、その前に資産を家族の名義に移したい」とあなたに相談してきた。あなたが知っておくべきは、その移転が後で丸ごと覆り、もらった家族まで訴訟に巻き込まれるということ。善意のアドバイスが、相手と家族を二重に追い込むことになる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 再生債務者が支払停止や申立ての前後に、怪しい財産移転、過大な代物弁済、贈与をしていないか取引履歴と登記を洗い出す2. 該当行為を見つけたら監督委員(または管財人)に情報提供。否認権限は監督委員・管財人にあり、個々の債権者が直接行使することはできない(135条) 3. 無償行為(3項)は支払停止前6か月以内なら相手の善意を問わず否認できるため、行為の時系列を正確に特定する4. 否認には再生手続開始から2年の期間制限(139条)があるため、早期に証拠を固めて行使を促す
訴えられた側:1. まず受け取った行為がどの類型かを特定する。詐害行為(1項)、過大な代物弁済(2項)、無償行為(3項)で防御が全く違う2. 1項なら「行為当時、害することを知らなかった」善意を主張・立証し、相手の財務状況を知り得なかった証拠を集める3. 無償行為(3項)は善意でも否認されるため、実は対価があった(有償だった)と主張できないか検討する4. 否認されても、支払った対価は財団債権や再生債権として一部回収できる場合がある(134条)。全損と決めつけない
時効(請求できる期限):否認権は再生手続開始の日から2年を経過すると行使できない。再生債務者の行為の日から20年を経過したときも同様(民事再生法139条)。無償行為否認(3項)の対象は、支払の停止等の後、またはその前6か月以内にした行為に限られる(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)破産法整備に伴う改正 破産法全面改正に合わせて否認制度を再構成。詐害行為否認(127条)から偏頗行為否認を切り離して127条の3を新設し、127条1項に「担保の供与又は債務の消滅に関する行為を除く」との除外を加え、相当対価処分の特則(127条の2)を整理した
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法制定(法律第225号)。旧和議法に代わる再生型倒産手続として、127条に詐害行為否認を定めた
- 2.平成16年(2004年) 改正:破産法全面改正に合わせて否認制度を再構成。詐害行為否認(127条)から偏頗行為否認を切り離して127条の3を新設し、127条1項に『担保の供与又は債務の消滅に関する行為を除く』との除外を加え、相当対価処分の特則(127条の2)を整理した
- 民事再生法 第127条の2相当の対価を得てした財産処分行為の否認の特則
- 民事再生法 第127条の3特定債権者への担保供与等の否認(偏頗行為)
- 民事再生法 第132条否認権の行使方法(請求・訴え・抗弁)
- 民事再生法 第135条否認権限を有する者(監督委員・管財人)
- 民事再生法 第139条否認権行使の期間制限(2年・20年)(現行効力を要確認)
- 破産法 第160条破産手続における詐害行為否認の対応規定
- 会社更生法 第86条会社更生手続における否認の対応規定
- 民法 第424条平時の詐害行為取消権、否認権の母法的制度
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