民事再生法 第86条(再生債権者の手続参加)
クイックジャンプ
- 再生債権者は、その有する再生債権をもって再生手続に参加することができる。
- 2.破産法第百四条から第百七条までの規定は、再生手続が開始された場合における再生債権者の権利の行使について準用する。この場合において、同法第百四条から第百七条までの規定中「破産手続開始」とあるのは「再生手続開始」と、同法第百四条第一項、第三項及び第四項、第百五条、第百六条並びに第百七条第一項中「破産手続に」とあるのは「再生手続に」と、同法第百四条第三項から第五項までの規定中「破産者」とあるのは「再生債務者」と、同条第四項中「破産債権者」とあるのは「再生債権者」と読み替えるものとする。
- 3.第一項の規定にかかわらず、共助対象外国租税の請求権をもって再生手続に参加するには、共助実施決定(租税条約等実施特例法第十一条第一項に規定する共助実施決定をいう。第百十三条第二項において同じ。)を得なければならない。
この条文の基本情報
再生債権者の手続参加とは何ですか?
定義再生債権者の手続参加とは、民事再生法第86条に定められた規定で、「再生債権者は、その有する再生債権をもって再生手続に参加することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第86条(再生債権者の手続参加)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第86条の条文原文は「再生債権者は、その有する再生債権をもって再生手続に参加することができる。」で始まります。
- 民事再生法第86条は第一節 再生債権者の権利に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第86条の前の条は民事再生法第85条の2です。
- 民事再生法第86条の次の条は民事再生法第87条です。
- 民事再生法第86条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第86条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第86条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/86
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法86条は、再生債権者が自己の再生債権をもって再生手続に参加できると定める。ただし参加には期限内の債権届出が必要で、届出を怠ると債権は失権する。
Q · 取引先が民事再生を申し立てた。うちの売掛金はどうすれば守れる?
期限内に債権届出をすれば再生手続に参加でき、届出を怠ると失権する
民事再生法86条により、再生債権者は自らの再生債権をもって手続に参加できます。ただし参加は自動ではなく、裁判所が定める届出期間内に債権届出(94条)をする必要があります。届出をしないまま再生計画が認可されると、その債権は失権し(178条)、会社が立ち直っても取り分はゼロになります。保証人から一部回収していても、2項が準用する現存額主義により原則として元の満額で参加できます。まず通知書の中の届出期間の末日を確認することが最優先です。
解説
取引先が民事再生を申し立てた。あなたの会社はその取引先に300万円の売掛金がある。届いた通知書を「難しそうだ」と机に置いたまま放置すると、その300万円は法的に消える。民事再生法86条は、再生債権者が自らの債権をもって再生手続に参加できると定める。一見当たり前の規定だが、裏返せば、参加しなければ何も得られないという冷酷なルールでもある。参加するには債権届出(94条)が必要で、届出をしないまま再生計画が認可されると、あなたの債権は失権する(178条)。会社が立ち直っても、あなたの取り分はゼロだ。さらに2項では破産法の現存額主義が準用され、保証人から一部回収していても原則として元の満額で参加できる。誰が、いつ、いくらで参加できるか。その入口を開けるのが、この一条である。
法的な位置づけ
民事再生法86条は再生債権者の手続参加権を定める規定であり、再生債権者が自己の再生債権をもって再生手続に参加できる旨を規定する。2項は破産法104条から107条までの現存額主義等を準用し、3項は共助対象外国租税の請求権による参加に共助実施決定を要求する。参加は債権届出を前提とする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.通知書から届出期間の末日を真っ先に確認 再生手続開始の通知書を受け取ったら、専門用語の解説より先に「再生債権の届出期間」の末日を探し、カレンダーに赤で記入する。ここを外すと以降の努力がすべて無効になる
- 2.債権額を裏付ける証拠書類を揃える 契約書・注文書・請求書・納品書・取引履歴など、債権額と発生原因を証明できる資料を集める。担保権や保証人の有無も整理しておく
- 3.裁判所所定の債権届出書を作成し期間内に提出 届出書に債権額・発生原因・担保の有無を記載し、証拠書類の写しを添付して届出期間内に裁判所へ提出する(民事再生法94条)。保証人・連帯債務者がいる場合は現存額主義により満額を届け出る
- 4.再生計画案の弁済率を確認し議決権を行使 届出後に送られてくる再生計画案の弁済率を確認する。不服がある場合は債権者集会で議決権を行使して反対する。少額債権者が束になれば計画を否決する圧力にもなる
よくある質問 AI による整理
Q1民事再生の債権届出とは何ですか?
再生手続に参加するため、裁判所へ債権額・原因・担保の有無を届け出る手続です(民事再生法94条)。届出をして初めて配当と議決権を得られます。
Q2民事再生の債権届出期間はいつまでですか?
裁判所が再生手続開始決定と同時に定めます(34条)。通常は開始決定から数週間から1か月程度で、通知書に末日が記載されています。
Q3民事再生で債権届出をしないとどうなりますか?
再生計画認可により債権が失権します(178条)。会社が再建しても配当はゼロで、正当な債権でも一円も回収できなくなります。
Q4民事再生と破産の違いは何ですか?
民事再生は事業や生活を立て直す再建型、破産は財産を清算して配当する清算型です。どちらも参加には債権届出が必要です。
Q5再生手続の議決権はどう決まりますか?
届け出た再生債権の額に応じて議決権が定まります(87条)。届出額が大きいほど再生計画案への発言力が増します。
Q6民事再生の債権届出書はどう書きますか?
裁判所所定の届出書に債権額・発生原因・担保や保証の有無を記載し、契約書や請求書の写しを添えて期間内に提出します。
Q7民事再生で保証人の求償権はどうなりますか?
現存額主義(86条2項、破産法104条準用)により、債権者が満額の満足を得るまで保証人の求償権は手続に割り込めません。
Q8民事再生の弁済率はどのくらいですか?
事案により数パーセントから数十パーセントと幅があり、再生計画案で定まります。届出総額を前提に弁済率が設計されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1取引先が民事再生したら、売掛金は全部パアですか?
全額が消えるわけではない。再生債権として届け出れば、再生計画で定められた弁済率(数パーセントから数十パーセント)に応じて配当を受けられる(民事再生法86条、94条)。逆に届け出なければ一円も戻らない。実務のポイント:弁護士は再生手続を「届け出た者だけのテーブル」と呼ぶ。通知が来た時点で勝負はもう始まっており、放置している間に席が埋まっていく。届出書の作成自体は専門家でなくてもでき、まず期限の確認が最優先だ
Q2届出の期限を過ぎたら、もう一円も取れないんですか?
原則として追完できず失権する(民事再生法178条)。ただし、その責めに帰すことができない事由で期間内に届出ができなかった場合は、事由消滅後一週間以内に追完できる余地がある(95条)。「忙しかった」では認められない。実務のポイント:通知が届いたのに放置したケースはほぼ救済されない。一方、通知自体が届いていなかった場合は追完が認められやすい。届かなかった事情を証拠で残せるかどうかが分水嶺になる
Q3保証人から少し回収したんですが、その分は届出から引かれますか?
原則として引かれない。破産法の現存額主義が準用され(民事再生法86条2項、破産法104条)、保証人から一部弁済を受けていても、債権者は手続開始時点の元の債権全額で参加できる。実務のポイント:これを知らない保証人は「自分が払った分は債権者の届出から減るはず」と誤解しがちだ。実際は、債権者が満額の満足を得るまで保証人の求償権は手続に割り込めない。保証人として弁済する前に、この順位を理解しておくと不利な肩代わりを避けられる
間違えやすい点 AI による整理
- 「債権者なのだから、黙っていても会社の財産から自動的に配当される」と思われているが、民事再生では届出をしない限り手続に参加できず、配当も議決権もない。沈黙は権利放棄と同じ扱いになる
- 届出に期限があること自体は知っていても、その期限を一日でも過ぎれば原則として追完できず、債権が完全に失権する深刻さを多くの人は軽く見ている。「後でまとめて出せばいい」は通用しない
- あなたから見れば「一部でも回収できればマシ」程度の話だが、再生手続から見れば、届け出た債権額と議決権が再生計画の成否そのものを左右する。あなたの一票が、自分への弁済率を決める側に回ることもある。この落差を知らない者は、受け身のまま条件を飲まされる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 86条:再生手続に参加できる権利そのもの | 94条:参加を実現する手段たる債権届出 178条:不参加・不届出の場合の失権という制裁 |
| 債権者に求められる行動 | 自己の再生債権をもって参加を主張 | 期間内に債権額・原因・担保を届け出る 何もしなければ自動的に失権 |
| 期限の扱い | 参加権は手続開始で発生 | 届出期間内が原則、徒過時は95条で追完余地 計画認可決定の確定で失権が確定 |
| 結果 | 議決権と配当を受ける地位を得る | 届出額に応じ議決権額が定まる(87条) 議決権も配当も一切失う |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も債権者は申報(届出)をして初めて手続に参加でき、期限内に申報しなければ手続内の権利を行使できない点で日本と共通する。
韓国の統合倒産法も회생채권の신고(届出)を参加要件とし、未届出は失権に近い不利益を受ける。日本の届出前置主義と類似する。
ドイツも Insolvenzgläubiger は届出(Anmeldung)により債権表へ記載され、配当に与れる。届出と調査を経て確定する構造は日本と近い。
米国の DIP 型再建(Chapter 11)は民事再生法の母法的存在。proof of claim の提出により債権者が手続へ参加する仕組みが対応する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 下請けとして納品した工事代金500万円が未回収のまま、元請けが民事再生を申し立てた。届出期間は通知到達から約1か月。この間に債権届出書と契約書・請求書の写しを揃えて裁判所に出さなければ、500万円は失権する。あと数週間で、回収可能性そのものが消える
- もし、あなたが個人事業主として大口顧客に納品し続けてきて、その顧客が突然「民事再生に入った」と言ってきたら? あなたの売掛金は再生債権になり、満額は戻らない。だが届出を怠れば回収率はゼロになる。動くか動かないかで、数十パーセントとゼロが分かれる
- あなたが再生を申し立てた側の経営者なら、債権者の届出内容が計画の前提になる。届出額の総額で弁済率が決まる。過大な届出を放置すれば、自社の再建計画そのものが狂う
- 前払いした結婚式場が、式の二週間前に民事再生を申し立てた。あなたの前払い金は再生債権だ。式は別の手当てが要るうえ、前払い分を取り戻すには期限内の届出が要る。動きが遅いと、式と前払い金の両方を失う
取るべき行動
被害を受けた側:1. 通知書の中の「債権届出期間」の末日を真っ先に確認し、カレンダーに記入2. 債権額を裏付ける契約書・請求書・納品書・取引履歴を揃える3. 裁判所所定の債権届出書に債権額・原因・担保の有無を記載し期間内に提出(民事再生法94条)4. 保証人や連帯債務者がいる場合は現存額主義(86条2項)で満額を届け出る5. 提出後、再生計画案が届いたら弁済率を確認し、不服なら議決権を行使して反対する
訴えられた側:1. 再生債務者側として債権者一覧表を正確に作成し裁判所へ提出、届出と照合される2. 過大・架空の届出には異議を述べ、債権調査手続で争う(民事再生法100条以下)3. 認否を誤ると確定債権額が膨らみ弁済率が下がるため、債権の存否・額を慎重に精査4. 共助対象外国租税の請求権は共助実施決定がなければ参加できない点を確認(86条3項)5. 計画案は届出債権総額を前提に弁済率を設計する
時効(請求できる期限):再生債権の届出期間は、裁判所が再生手続開始決定と同時に定める(民事再生法34条、通常は開始決定から数週間から1か月程度)。期間経過後の届出は、責めに帰すことができない事由がある場合に限り、その事由が消滅した後一週間以内に追完できる(95条)。一般の消滅時効とは別枠の、手続内の絶対的期限である(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:民事再生法86条の手続参加権は、94条の債権届出により現実化する。2項が準用する現存額主義により、全部義務者からの一部弁済があっても債権者は開始時現存額の全額で参加でき、保証人の求償権は債権者が満足を得るまで劣後する。届出を怠った債権は178条により失権する。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年) 破産法の全部改正に伴い、2項が準用する破産法の条番号を旧法から新破産法104条から107条へ改めた。現存額主義などの準用構造を新破産法に対応させた
- 平成25年(2013年) 租税条約等に基づく徴収共助の国内実施に伴い、共助対象外国租税の請求権で参加するには共助実施決定を要する旨の3項を新設した
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法制定。再建型倒産手続として和議法に代わり導入され、再生債権者の手続参加を定める本条が置かれた。
- 2.平成16年(2004年) 改正:破産法の全部改正に伴い、2項が準用する破産法の条番号を新破産法104条から107条へ改め、現存額主義等の準用構造を新破産法に対応させた。
- 3.平成25年(2013年) 改正:租税条約等に基づく徴収共助の国内実施に伴い、共助対象外国租税の請求権による参加には共助実施決定を要する旨の3項を新設した。
- 民事再生法 第84条参加できる再生債権の定義
- 民事再生法 第87条参加により生じる議決権の額
- 民事再生法 第94条手続参加の方法たる債権届出
- 民事再生法 第95条届出期間を徒過した場合の追完
- 民事再生法 第178条不参加債権の失権という不利益
- 破産法 第104条2項で準用される全部義務者の参加・現存額主義
- 租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律 第11条3項の共助実施決定の根拠(通称 租税条約等実施特例法)
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める