要点民事再生法 87 条は、再生債権者の議決権を債権の種類ごとに定める。無利息の期限付き債権は中間利息を控除し、罰金や一定の租税、完済不能時の約定劣後債権は議決権を持たない。
Q · 取引先が民事再生になったら、うちの売掛金の額そのままで投票できるの?
できない。債権の種類ごとに議決権が変わる
民事再生法 87 条により、議決権は債権の種類ごとに算定されます。無利息で支払期日が先の確定期限付債権は、手続開始時から期限までの法定利率による利息(中間利息)を控除した額しか議決権になりません。定期金債権は評価して合算(法定利率で計算した元本額が上限)。罰金や一定の租税の請求権は議決権ゼロ(2 項)。約定劣後再生債権は、債務者が上位債権を完済できない状態なら議決権なし(3 項)。額面がそのまま一票になるとは限りません。
取引先が民事再生を申し立てた、という一報が入る。あなたの会社はその相手に数百万円の売掛金がある。回収できるか不安だが、ここで多くの人が見落とすのは、あなたが「再生計画に賛成するか反対するか」を投票で決められる立場にあるという事実だ。87条はその一票の重みを定める。原則は債権額に応じた議決権だが、落とし穴がある。再生手続開始後に期限が来る無利息の債権は、開始時から期限までの法定利率分の利息(中間利息)を額面から差し引いた額しか議決権にならない。条件付き債権や将来の定期金債権は「評価額」で数える。さらに、罰金や一定の租税債権は議決権ゼロ。約定劣後債権に至っては、債務者が上位債権を完済できない状態なら一票も持てない。あなたの債権額がそのまま投票力になると思い込むと、議決権の計算で足元をすくわれる。
民事再生法 87 条は、再生債権者の議決権の額を定める規定である。債権を無利息の確定期限付債権、金額・存続期間が確定した定期金債権、評価を要する債権、その他の債権に区分し、それぞれ中間利息控除後の額・評価額・債権額に応じて議決権を算定する。罰金等や一定の租税、完済不能時の約定劣後再生債権は議決権を有しない。
AI 輔助整理,以條文原文為準
再生計画案の可否を決める投票の一票の重みです。民事再生法 87 条が根拠で、債権額そのままではなく債権の種類ごとに算定された額に応じて与えられます。
債権を 4 区分に分けます。無利息の期限付き債権は中間利息控除後の額、定期金債権は評価額の合計(元本額が上限)、評価を要する債権は評価額、その他は債権額そのままです。
無利息で支払期日が先の債権を現在価値に割り戻す計算です。手続開始時から期限までの年数に応じた法定利率分の利息を額面から差し引き、その額を議決権とします。
各回分を中間利息控除して合算します。ただし法定利率で計算した元本額を超えるときは、その元本額が上限になります(87 条 1 項)。
罰金・科料・過料等、共助対象外国租税の請求権(2 項)、そして債務者が上位債権を完済できない状態のときの約定劣後再生債権(3 項)です。
再生債権の届出(94 条)と調査を経て確定します。届出期間は裁判所が定め、これを徒過すると原則として議決権を行使できません。
枠組みは似ますが根拠条文が別です。民事再生は本条 87 条、会社更生は会社更生法 136 条以下が議決権の額を規律し、担保権者の扱い等に差があります。
議決権の有無と配当(弁済)は別問題です。議決権ゼロでも再生債権として届け出れば計画に従った弁済の対象になり得ますが、計画の中身には口出しできません。
再生手続開始後に支払期日が来る無利息の債権は、87条1項で開始時から期日までの法定利率(現行年3%、民法404条)分の利息を額面から差し引いた額が議決権になります。まだ利息が付いていない将来の債権を、今の価値に割り戻すためです。業界裏話ヒント:利息付き債権ならこの控除がないので、同じ取引でも契約を有利息にしておくだけで、相手が再生に入ったときの議決権が額面通り残る。契約段階の小さな差が、再生局面の発言力を分ける
87条3項は、再生債務者が開始時に上位債権を完済できない状態なら、約定劣後再生債権者は議決権を持たないと定めます。劣後とは上位債権者が満足するまで自分は待つという約束なので、その上位すら払えない局面では、劣後債権者は経済的に回収の見込みがなく、投票で計画を左右する立場にないと整理されるからです。業界裏話ヒント:劣後融資の契約を結ぶ時点で、この再生時に議決権を失うリスクは説明されないことが多い。劣後で出すなら、議決権喪失まで織り込んで条件を交渉すべき
本当です。87条2項により、84条2項の請求権、97条1号の再生手続開始前の罰金等、共助対象外国租税の請求権は議決権を持ちません。これらは再生計画で減免されにくい性質の債権で、他の一般債権者と同じ土俵で多数決に加えるのが適切でないためです。業界裏話ヒント:議決権がないとは計画に口出しできないことだが、裏を返せばこれらの債権は計画の多数決で勝手に削られにくい側面もある。議決権の有無は弱さだけでなく扱いの違いを意味する
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律の主題 | 87 条:再生債権者の議決権の額の算定基準 | — |
| 議決権が減る/ゼロになる場面 | 無利息期限付き=中間利息控除、罰金・一定の租税=ゼロ、完済不能時の約定劣後=ゼロ | — |
| 効く局面 | 各債権の一票の重みを決める | — |
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